結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2022年02月25日(金曜日)

プーチンが信じる「西側の衰退」とカスミBLANDEの「新体系」

ウクライナ共和国の状況。
どんどん悪くなっている。

首都キエフの陥落は、
もう目前に迫っている。

ウォロディミル・ゼレンスキー大統領。
キエフ国立経済大学を出て、
俳優・コメディアンになった。
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主演の政治風刺ドラマ「国民の僕」は、
普通の歴史教師がひょんなことから、
素人政治家として大統領に当選する物語。

その役どころの通りに、
2019年の大統領選挙で、
7割の票を獲得して勝利してしまった。
44歳。

そのゼレンスキー大統領が、
国民総動員令に署名した。
18歳から60歳の男性市民を、
90日以内に兵士として動員する。

ここまで来ても誰も直接、
軍隊を送る気配はない。

私はウクライナ人ではないし、
もうこの動員の年齢枠を超えているが、
いつでも人々の盾になる覚悟はある。

臆病者ではあるし、
体が強いわけでもないが、
その決意はある。

日経新聞電子版に、
ライオネル・バーバー氏が書いている。
英国フィナンシャル・タイムズ前編集長。

「ウクライナに全てを賭けるプーチン大統領」

実にクールな分析だ。

2019年夏、モスクワのクレムリン。

「時計の針が午前0時を回ろうとしていたころ、
私はロシアのプーチン大統領に、
“権力を握る期間が長くなるにつれて、
リスクを取ることへの欲望も
高まっているのではないか”と問うた」

バーバー氏はウラジーミル・プーチンに、
直接インタビューをしたのだ。

プーチンの答え。
「リスクへの欲望は増えるものでも、
減るものでもない。
リスクは常に正当化されるべきだ」

そしてロシアのことわざを言った。
「リスクを取らない者は
シャンパンを飲むことはできない」

バーバー氏。
「権力を握ってから20年以上が経過し、
プーチン氏はウクライナ侵攻という
最大の賭けに出た」

なぜ、プーチンは大きな賭けに出たのか。

多くの専門家の推理。

①北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大
②米国主導で行われたイラク戦争や
リビアのカダフィ政権崩壊
③将来的に隣国のジョージアやウクライナが
NATOに加盟し、独裁国家のロシアが
欧米型の民主主義に囲まれる

いずれも妥当だ。

しかしバーバー氏は、
もう一つ大事な視点を指摘する。

「プーチン氏は
“西側の衰退”という物語を

信じているのだ」

ん~。

つまり民主主義の衰退を信じている。

プーチンが一番恐れているのは、
「ウクライナにNATOが拡大することでない」

バーバー氏。
「本当に恐れているのは、
民主主義が自国の玄関先にまで迫ることだ」

「だから、ウクライナが独立国家として
自らの意志で選ぶ権利を
否定したいと考えている」

「これこそが、プーチン氏が
ウクライナの征服を命じた理由だ」

民主主義の衰退を信じていながら、
それが玄関先まで迫ることも恐れている。

「プーチン氏は、
西側の民主主義諸国が長期間の対峙に備えた
胆力を持ち合わせていないことに賭けている」

だから西側の作戦は簡単である。
長時間の対峙に備える胆力を持つことだ。

「現時点でプーチン氏は
批判や理性には動じないようにみえる」

「大写しになると身も凍るような
プーチン氏の目は、
ロシアの歴史によって訓練されてきた」

「彼は19世紀の古い帝国時代の
領土の一部と”偉大さ”を復元した
21世紀の皇帝になりたいと願っている」

21世紀の皇帝。

習近平と同じだ。

結語は祈り。
「過去の多くの侵略者のように、
彼が致命的に行き過ぎたことを
我々は願うのみだ」

これでは解決策にならないけれど、
「勝利とは
自ら勝ち取るものではない。
敵から恵んでもらうものだ」
(塩野七生『ローマ人の物語』より)
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今日は朝早くから、
つくばエクスプレスに乗って、
研究学園へ。

商人舎流通スーパーニュース。
カスミnews|
食に特化した「BLANDE研究学園店」2/17開設IMG_11502
この店の取材とインタビュー。
塚田英明常務取締役上席執行役員。
営業統括本部マネジャー、
兼 商品開発本部(管掌)、
兼 新業態開発プロジェクトリーダー、
兼 組織人事プロジェクトリーダー。

10時前に到着すると、
待っていてくれた。
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ざっと一巡りして、
中2階のカフェへ。
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外を向いたソファに、
二人で腰かけて話した。IMG_13392

目の前の光景の遠景には筑波山。IMG_1102 (1)2
1時間半もたっぷり話してもらって、
塚田さんの意図が実によくわかった。

新しいフォーマットだが、
それは店の形や商品だけではない。
店舗コンセプトが、
組織やオペレーションと、
密接に絡みついている。

その体系そのものが新しい。

塚田さんは、
コーネル大学RMPジャパン伝説の一期生。
わがことのようにうれしくなって、
話を聞き終えたあたりで涙が出てきた。
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新著「新店ドラ」にサインしてプレゼント。IMG_13402

そのあと写真撮影をしていたら、
ベーカリーで男の子を見つけた。IMG_11032

カレーパンの前に座って、
じっと見ていた。IMG_E11042
いい店です。

そして、
高野康詔(やすのり)ストアマネジャー。
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月刊商人舎3月号に、
塚田英明インタビューとともに、
紹介する。

そのあとブランデ1号店へ。
カスミnews|
Food&Drugの「BLANDEつくば並木店」1/28開設IMG_12342
こちらはカスミ&ウエルシア。

中央にドラッグストアがデンと構えている。
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周辺をスーパーマーケットが取り囲む形。
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1号店、2号店が全く異なる性格をもつ。
これもいい試みだ。

橋本明ストアマネジャーに、
丁寧に案内してもらって、大満足。IMG_14522
この店も商人舎で紹介したい。

ありがとうございました。

期待の大きな新フォーマット。
やはりコロナが時間を早めて、
このフォーマット開発を後押しした。

コロナは衰退も早めるけれど、
イノベーションも早める。

全部終わって、
つくば駅までタクシー。

ちょっとだけ、
ロピアつくば店を覗いた。IMG_12392
駅前の西武百貨店跡への出店。
ロピアの得意のパターンではないが、
まあまあのレベルだった。

ウクライナはどうなるのか。
私は民主主義の停滞は感じるが、
衰退を信じたりはしない。

〈結城義晴〉

2022年02月24日(木曜日)

ロシアによるウクライナ軍事侵攻の「壮大なる時代錯誤」

ロシア連邦の軍が、
ウクライナ共和国に、
侵攻した。

ウラジーミルでも、
ウラジミールでも、
どっちでもいいが、
プーチン大統領が、
戦争を始めた。

1952年10月生まれ。
私より1カ月ほどあとになるが、
同い年。

ロシア系住民の保護という名目。

軍事行動と称してはいるが、
隣国を砲撃し、
隣国に軍隊が侵入した。
戦死者も出た。

ウクライナの軍事施設が空爆され、
首都キエフの空港では戦闘が展開された。

その侵略行為を世界中が、
同時進行で垣間見た。

北京冬季五輪が終了して4日目。

それを待っていたかのような蛮行だ。

日経新聞がすぐに号外を出した。
日経新聞号外ウクライナ侵攻

日経新聞巻頭コラムの「春秋」で知ったが、
白・青・赤と三色が並ぶロシア国旗は、
白がベラルーシ人、青がウクライナ人、
赤がロシア人を示しているという。

それだけ密な関係を積み上げてきた三国だが、
白と赤が手を組んで、
青に戦闘を仕掛けている。

袂を分かったかつての同志に対して、
骨肉相食む攻撃がなされている。

国連の安全保障理事会が開催されている。
ロシアの侵略と同期するように。

しかも議長はなんと、
ロシアのバシリー・ネベンジャ国連大使だ。

ウクライナのキスリツァ国連大使は、
流ちょうな英語で激しく発言した。
「戦争犯罪人は地獄へ直行する」

2014年のクリミヤ併合のときにも、
国連に対する無力感が残ったが、
今回はどう役割を果たすのか。

しかし、
宣戦布告する人間の顔は醜い。

言葉はない。

イオン名誉会長の岡田卓也さんは、
平和産業、地域産業、人間産業を標榜したが、
こういった状況でいつも思うのは、
平和の貴重さだ。

今日は横浜の商人舎オフィス。
仕事が手につかず、
ウクライナのニュースを追いかけた。

3時過ぎから、
やり残していた本へのサインを始めた。IMG_13362
一心不乱、「書」に徹した。

書いていると、心が落ち着く。

80冊分を書き終えて、
全部で100冊、
そして黙想。

最後の方で書いた一文は、
心は燃やせ
頭は冷やせIMG_13372
このあとに書いたのは、
朝に希望
昼に努力
夕に感謝

武力の前では、
人間は弱い。

しかしどんな理屈がつこうとも、
武力侵略には絶対に反対である。

私はそのことを表明したい。

私たち自身には祈るしかできないが、
プーチンの壮大なる時代錯誤も、
21世紀が乗り越えねばならない、
試練なのだろう。

〈結城義晴〉

2022年02月23日(水曜日)

天皇誕生日に思う「二元マトリックス」の限界と有益性

天皇誕生日の祝日。

宮内庁から写真が公開されている。 ph2-r0402-birthday1

令和になって三度目を迎えるが、
まだピンとこない。

「令和」は大化の改新の「大化」以来、
248番目の元号である。

昭和23年までは「天長節」といった。

昭和23年の祝日法で、
「象徴天皇」の誕生日が祝日とされた。

それ以来、昭和天皇の誕生日4月29日、
平成天皇の誕生日12月23日、
令和となって2月23日。

イギリスおよび英連邦王国では、
Queen’s Official Birthday。
女王公式誕生日で祝賀行事が行われる。
6月第2土曜日。

タイやブータンは国王誕生日が祝日となっている。
カンボジアではシアヌーク前国王の誕生日が祝日だ。

日本は祝日が多い国で、
年間に17日もある。

逆にスイスなどは、
国の祝日は1年にたった1日である。

祝日が多いというのは、
国民が祝日を喜ぶからだ。

総じてアジアの国々は、
国家の決めた祝日が多くて、
欧米はそれが少ない。

欧米では祝日以上に、
自分でとる休暇が多いからだろう。

どちらがいいという問題ではない。
どちらが進んでいるという問題でもない。

商売にとっては、
国民の祝日が多いほうが、
販促企画を立てやすくてありがたい。

月曜日の朝日新聞「折々のことば」
第2299回。

存在感をきちんと
捉えていなければ、
歴史も歪(ゆが)んじゃうと
思うんですよ。
(森崎和江)

「あきらかに被害者と目される人が
別の局面では加害者となりうる。
ある歴史観に沿って人の行為を単純に
正/不正、加害/被害の観点から仕分けていると、
その狭間(はざま)であえぐ人々の
苦しみが歪(ひず)み、
ついには見えなくなる」

森崎は「からゆきさん」の著で知られる、
ノンフィクション作家。
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このことばは、
評論家・中島岳志との共著『日本断層論』から。
日本ダンソウロン

正/不正、
加害/被害。

「書き手のまなざしも、
そうした二元の枠に収まらない
生身の感覚を掘り起こしていかねば」

同感だ。

二元と二元で4つの象限に分けて考える。

SWOT分析は、
強み(Strengths)/弱み(Weaknesses)、
機会(Opportunities)/脅威(Threats)。

PPM分析は、
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント。

横軸に相対的市場シェアが多いか少ないか、
縦軸に市場成長性が高いか低いか。

この二元と二元を掛け合わせて、
4つの象限をつくる。

1.スター。
2.クエッション(問題児)
3.金のなる木
4.ドッグ(負け犬)

戦略分析などで、
これらの基本的な考え方を講義するが、
しかしこれらの二次元マトリックスにも、
限界はある。

ケン・ブランチャードの、
4つのリーダーシップスタイルも、
指示・命令的行動と、
支持・援助的行動との二次元マトリックスだ。

それによって、4つのスタイルを分類する。
スタイル1 指示型
スタイル2 コーチ型
スタイル3 援助型
スタイル4 委任型

これも基礎的なマトリックス分類で、
自分の考え方を整理することに大いに役立つ。

けれどもその上に、
二元の枠だけに収まらない、
生身の人間の感覚を掘り起こすことは、
ことさらに重要だ。

何もないところで、
混沌の中で、
何かを導き出そうとすると、
論理性を欠くことになる。

論理性の上に立って、
生身の感覚を追及する。

これこそ、「考える」ということだ。

ただし、この方法も、
論理と感覚の二元論と見えるかもしれない。

しかしその狭間にあるものを、
見出すために有益なのだと思う。

天皇誕生日の祝日も、
二元発想で決めつけてはいけない。

微妙な言い方で、
誤解を招きたくはないが、
存在感をきちんと捉えなければ、
歴史も歪んでしまう。

〈結城義晴〉

2022年02月22日(火曜日)

「猫の日」にジジと「ジャン・ケン・ポン!」

今日2月22日は「猫の日」。
あまり好きなニュアンスではないけれど、
「にゃん、にゃん、にゃん」だから、
猫の日というらしい。

それも2022年2月22日だから、
「スーパー猫の日」。

これが2222年2月22日となったら、
どうなるのだろう。
「スーパースーパー猫の日」か。

この「スーパースーパー」というのも、
語感としてあまり好きではない。

スーパーのスーパーならば、
「ハイパー猫の日」か。

まあ200年後まで、
私も生きてはいないから、
「ハイパー猫の日」なんて、
言われるかどうかはわからない。

うちにも猫がいた。
ジジといった。

2005年3月7日生まれ。
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このブログにも、
「ジジの気分」というタイトルで、
毎週の日曜日に446回も登場した。
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しかし2016年1月4日に死んでしまった。
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だから私にとって、
「猫の日」はさみしい。IMG_6902-4-10

それでも元気を出して、
2014年2月2日の「ジジの気分」を再現しよう。
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スゴク 暖カイ 日 デシタ。
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春ミタイ デシタ。

オトウサン ガ
ボク ト 遊ンデ クレマシタ。
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ボク ハ 尋ネマシタ。
「ナニ スルンデスカ?」
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「じゃんけんぽんは、どう?

ジャア ボク ハ 右手。
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サイショ ハ、グー!
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ジャン・ケン・ポン!
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「わあ、おとうさんのかちだ!」

・・・・・・・・・。

「もういっかい?

サイショ ハ、グー!
ジャン・ケン・ポン!!
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アイコ デ ショッ!
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「また、お父さんのかちだーっ。
うれしいっ!」

・・・・・・・ナンカ、
ボク、ツマンナイ。

「まけてあげるから、
もいっかい、やろっ!?」

サイショ ハ、グー!
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ジャン・ケン・ポン!
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コンド ハ、ボク ノ 勝チ?

チョット、ウレシイ。

モイッカイ。

サイショ ハ、グー。
ジャン・ケン・ポン!
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ワァ、ボク、
マタ 勝ッタ。

・・・・・・・・デモ、
ナンダカ、
ツマンナイ。

ボク ハ グー シカ、ダシテナイシ!
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ジャン・ケン・ポン、
ボク ニハ、ムイテナイ ミタイ デス。

デモ、オモシロカッタ。
タノシカッタ。
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オトーサン ト アソブナンテ、
メッタ ニ ナカッタ カラ。

ありがとう。DSCN8963-2016-4-10-66666

さて今日は午前中、ZOOM会議。IMG_13292
万代知識商人大学第7期の打ち合わせ。
第7期は全く新しい構想となる。

商人舎オフィスに出ると、
㈱イースト・プレスから大封筒が届いていた。

「新店ドラ」のゲラ。IMG_10252
『新装版店長のためのやさしい《ドラッカー講座》』

おかげさまで早々と、
二刷りが決定しました。
新店ドラ

そこでゲラの再々チェック。

ほとんど訂正はないけれど、
二刷りでも最良を目指す。
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いつもいつも、
この一瞬を全生涯と考えて、
全力を尽くす。

それが一番、わかりやすい、
いい人生の送り方でしょう。

それが一番、確かな、
いい人生の過ごし方でしょう。

ありがとう。

〈結城義晴〉

2022年02月21日(月曜日)

IDRセミナー講演と商業界会館の碑「店は客のためにある」

Everybody! Good Monday!
[2022vol⑧]

2022年第8週。
2月第5週。

毎週月曜日に書いているが、
一月、往ぬる。
二月、逃げる。

北京冬季オリンピックも終わって、
人々の関心は身近な問題に戻ってくる。

春がやってくる。

それから新型コロナウイルス感染。
17道府県でまん延防止等重点措置が、
3月6日まで延期される。

その「まん防」もどれだけ効果を発揮するのか、
わかりはしない。

年度末と新年度がやってくる。

2月期決算の企業はもうあと10日ほど、
3月期決算企業は1カ月と10日ほど。

最後のひと踏ん張りのときだ。

今日は、午後から東京タワーの付近へ。IMG_09932

その下の機械振興会館。IMG_09942

一般社団法人流通問題研究協会。
略してIDR。
1966年創設の経済産業省管轄公益法人。
現在のIDR理事長は、
玉生弘昌㈱プラネット会長。

そのIDR主催のオンラインセミナー。
「食品流通の未来を考える」

昨年11月から8回のシリーズ。
今日はその最終回の「終了ミーティング」。

当初はリアルセミナーの予定だったが、
まん防のためにオンラインに変更。

この会館の6階会議室で、
そのセミナーが行われる。IMG_13062

事務局と講師陣、そして聴講者が、
ロの字型に席に着く。IMG_12902

はじめに橋本佳往IDR専務理事が、
開会の挨拶。
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最初の講義は、
西田邦生IDR 理事、
㈱ジャパン・インフォレックス社長で、
多摩大学大学院経営情報学科客員教授。IMG_12962

西田さんは8回のセミナーをコーディネートする。

今日は45分の講義。
ネットスーパーの宅配問題や、
商品マスターに関する専門的な内容。

食品流通の取り組み課題を整理した。

それから私が60分。
テーマは、
「コロナが時間を早めた」IMG_13042
はじめに、拙著を紹介して、
今日の1時間の講義を、
物語として聴いてほしいとお願いした。
『コロナは時間を早める』
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私のこの本には「まえがき」もないし、
「あとがき」もない。

いきなり本文に入って、
最後も本文でピタリと終わる。

物語のように、
コロナと商業との顛末を書いた。

14世紀の黒死病とルネサンス、宗教改革。
100年前のスペイン風邪とセルフサービス。IMG_13022

このCOVID-19パンデミックでも、
時間は早まった。

そのことを実証しつつ、
キャズム期間の判断と、
ポストコロナ時代の経営を、
私の観点から語った。
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もちろん、本を書き終わったあとで、
さまざまな取材をしたり、
インタビューをしたり、
体験したりして、
新たに考え出したことも、
数多く語った。

ネットスーパー・エイジも、
「禁欲円と享楽円」も、
トレードオフとトレードオンも、
事例を加えながら講義した。

私自身も楽しんだ講演だった。
ご清聴、感謝したい。

講演が終わって、
飯倉の交差点へ。

商業界会館。
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私が30年間働いたところ。

全国の商業者たちが、
倉本長治主幹のために、
お金を出し合ってつくったビルだ。

商業界精神の総本山。

最上階の6階には、
かつて宿泊施設があった。
地方から東京に学びに来た商人たちが、
ここに泊まった。

2階にはセミナールームがあって、
ここで研修やセミナーが開催された。

3階にはクラブ室があって、
宿泊している商人たちも、
応接に使った。

もちろん私たちは、
座談会や懇親会に活用した。

入口に碑がある。
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店は客のためにある。長治。
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㈱商業界が倒産して、
商業界会館の店子がなくなった。
残っていたカフェの「ファースト」も、
昨年の11月30日で退店した。IMG_10012
残念なことだ。

商業界会館と東京タワーを背に、
写真を撮ってもらった。
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私たち商人舎が、
倉本長治の遺志を継いでいかねばならない。
改めて、そう思った。
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きびしい冬が去って、
もうすぐ春がやってくる。

冬の間も、
店は客のためにある。

春になっても、
店は客のためにある。

ネットスーパー・エイジにも、
店は客のためにある。

それは変わらない。
ずっと変わらない。

では、みなさん、今週も、
店は客のためにある。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2022年02月20日(日曜日)

習氏の「北京冬季五輪」とローマ帝国の「パンとサーカス」

北京の冬季オリンピックが終わった。

日本選手団の活躍には、
感銘を受けた。

外国選手たちの躍動にも、
心打たれるものがあった。

カーリング女子は、
惜しくも銀メダルとなったが、
最終日まで楽しませてくれた。
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平昌で銅メダル、
北京で銀メダルならば、
次のミラノ・コルティナダンペッツォでは、
金メダルも予想できる。

過剰な期待をかけるつもりはないが、
それは私たちの率直な楽しみだ。

アイスホッケー男子は、
フィンランドが6戦全勝で金メダル。
この初優勝はとてもよかった。

夏季五輪の最終種目がマラソンならば、
冬季五輪はクロスカントリー。
閉会式でその表彰が行われた。
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しかしなんとも後味の悪い冬季五輪だった。

「習氏の習氏による習氏のための五輪」

日本経済新聞2月5日版が、
朝刊一面で書いたように、
完全に政治に利用された。

ロシアはドーピング問題によって、
国としての出場ができない。
そのロシアのプーチン大統領が、
開会式に出席した。

中国、ロシアなどの専制国家の元首たちが、
その専横を隠しもせず、
冬季五輪の舞台で存在感を誇示する。

それに対して、
民主主義国家は無力だった。

1936年のベルリン五輪の教訓は、
どこに行ったのだろう。

2月5日のブログでそう書いたが、
終わってみてもやはり同じ気持ちだ。

世界の未来が心配になる。

朝日新聞「天声人語」

トーマス・バッハIOC会長に批判的。

「先月末、北京市の公園に
真新しい銅像がお目見えした」
例のバッハ胸像。

バッハ会長と要人が歓待を受けた晩餐会。
「目を見張るほど巨大なテーブルの上に、
色鮮やかなジオラマ。
満開の花々や雪原が表現されている」

北京郊外の五輪会場の航空写真。
「黒い山肌に、スキーとボブスレーの
競技会場だけが不自然に白いのだ。
雪が降らず、人工雪でしのいだ」

「五輪自体の持続可能性に疑問を感じた」

その通り。

日経新聞「社説」
タイトルは、
「五輪に人権と調和の理念を取り戻そう」

「ウクライナ情勢が緊迫する中で
競技が続き、閉会式の日を迎えた」

「五輪憲章は、
人間の尊厳の保持や平和な社会をめざし、
調和ある発展のために
スポーツを役立てると謳う」

「理念とかけ離れた大会のあり方は、
五輪の存続そのものを危うくしかねない。
IOCは組織と五輪運営の
抜本的な改革に乗り出す時に来ている」

社説や巻頭コラムは、
ほとんど例外なく、
北京五輪とIOCに批判的だ。

朝日新聞「折々のことば」
昨2021年8月8日の第2109回。

このブログで一度、紹介した。

政治家が行き来するより、
文化が行き来するほうが、
ずっと国と国の関係を
よくする効果がある。
(『天野祐吉のCM天気図 傑作選』から)
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スポーツも文化だ。
だからオリンピックは、
人類が行き来する典型的な文化だ。

編著者の鷲田清一さん。
「感覚に快いものは、
主義主張の厚い壁、
時に無意識の不安に起因する
根深い偏見をもかい潜(くぐ)って
ひたと染みわたってゆく」

スポーツの快さは、
主義主張も根深い偏見も、
かい潜って人の心に染み渡っていく。

だからこそ、
それが利用されることは、
断じて避けなければいけない。

次の冬季五輪はイタリアだ。
夏季五輪はフランスのパリだ。

不思議なことに、
ちょっと安心な気分もある。

私の心が欧米に毒されているわけではない。

ギリシャで生まれた五輪だから、
ヨーロッパ開催ならば、
今回のような違和感を感じないのだろう。

もちろん専制国会での開催では、
ないからでもあろう。

しかしローマ帝国は、
風刺詩人ユウェナリスによって、
「パンとサーカス」と批判された。

「サーカス」は、
映画のベンハーなどに出てくる、
複数頭立て馬車の競走や、
剣闘士の格闘などの見世物である。

皇帝、すなわち権力者によって、
食糧と娯楽が無償提供された。

国家が強く管理した五輪も、
見方によれば「サーカス」ということになる。

どんな時代にも、
スポーツと食べものは、
専制に利用されやすい。

美辞麗句を並べ立てても、
それ自体には快さがあっても、
専制に利用されやすい。

2000年も前からの教訓である。
心してかからねばならない。

〈結城義晴〉

2022年02月19日(土曜日)

商人舎15年目の「店」から「業」へ、「業」から「人」へ。

横浜の商人舎オフィス。
それなりに年季が入ってきた。

2008年2月1日に会社を設立して、
15年目を迎えた。

何より本が増えた。

資料などはできるだけ、
デジタル化してストックしているが、
それでも増えた。

自転車も加わった。
ロヂャース28号。

乗る機会がつくれなくて、
今のところ、
インテリアと化しているが。

前職の㈱商業界で30年。
現在の㈱商人舎で15年。

商人舎となってからは、
池袋の立教大学で5年。
研究室も持っていた。

しかし商業界の30年間は、
ずいぶん長かった気がする。

入社して12年で編集長に就任した。
それから7年で取締役、
さらに7年で代表取締役となった。

長く感じるのは、
立場も変わったからだろう。

その㈱商業界は、
コロナ禍の2020年4月に、
自己破産した。

商業界の創始者・倉本長治は、
28歳でスカウトされて、
月刊雑誌「商店界」編集長に就任した。

昭和2年(1927年)のことだった。

商業、流通業の世界には最初に、
「商店界」という専門雑誌が存在したのだ。

それから戦後の昭和23年(1948年)に、
株式会社商業界が設立されて、
月刊商業界が創刊された。

倉本長治は、
商人道を説くとともに、
欧米流の商業の近代化を訴えた。
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はじめは「店」の雑誌だった。
近代化以前の商店のためのメディアだった。

次は「業」の雑誌だった。

「業」は仕事や事業のことであり、
業種、業態などを意味する。

近代化を志向して、
チェーンストアやショッピングセンターを、
啓蒙し、指導した。
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平成の時代となって、
その20年(2008年)、
私は会社をつくって、
「商人舎」とした。

人が集まり、学ぶ舎人(とねり)である。
商人が集まり、学ぶメディアだ。
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21世紀は知識商人の時代だと見定めた。
さらにその知識商人たちが、
商業の現代化を実現すると考えた。

ポストモダンの流通業である。

近代化の呪縛から解き放たれ、
近代化の矛盾を克服し、
さらに真の全体最適を志向する。

商店界の時代には、
小さな業種店と大きな百貨店しかなかった。
小さな雑草と大木の百貨店による森。

月刊商店界は最後には、
小手先技術と目先の販促の雑誌となって、
1993年に廃刊した。

商業界の時代には、
流通革命の実現を目指して、
さまざまなチェーンストアが登場した。

超巨大なチェーンストアをつくる時代。
しかしそのために小さな雑草は、
刈り取られても仕方ないとの主張さえあった。

「大きいことはいいことだ♫」
大木だけの森を目指した。

商人舎の時代は、
巨大なコングロマーチャントも、
さまざまな業態の企業も、
小さな専門店も、
全体最適の社会を目指しつつ、
それぞれにポジショニングを確立する。

新しい共生の森を志向する。

さらにそこには、
デジタルの沃野が広がり、
オフラインとオンラインが融合する。

ユニコーン企業が、
新たに登場するだろう。

しかしゼブラ企業も、
続々と誕生するに違いない。

すべては知識商人たちが実現させる。

「店」から、「業」へ。
「業」から、「人」へ。

近代化前から近代化へ。
近代化から現代化へ。

商人舎は、
なくてはならない発信媒体となる。
志ある知識商人の、
意識と行動を変えるメディアとなる。

私たちの商人舎は、
そのために存在する。

ちょっと年季の入ったオフィスで、
そんなことを思った。

いい日だった。

〈結城義晴〉

(注)ユニコーン企業とは、
イノベーションを起こし、
市場を独占することで、
多額の利益を生む可能性をもつ、
スタートアップ企業のこと。

そのユニコーン企業は、
第一に利益を追求する。

これに対してゼブラ企業は、
SDGsやサステナビリティなど、
持続可能な範囲の中での成長を重視する。
共創の社会貢献を第一の目的とする組織である。

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