結城義晴のBlog [毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2007年12月22日(土曜日)


12月商戦のなかのクリスマス商戦。
今週から始まった前半戦は、
苦しかったと思う。
10円販売

現在の日本の顧客は、大衆としてみると、
感情の起伏が激しい。
気分が乗ると、大勢で押し掛ける。
乗らないと、どんなに優秀な店に対してでも、
極端に冷淡になる。

ローマ帝国五賢帝時代の地味な皇帝アントニヌス・ピウスの言葉。
「感情を抑制するのに、
賢者の哲学も皇帝の権力も
何の役にも立たない時がある。
そのようなときには、
男であることを思い起こして耐えるしかない」

(『ローマ人の物語』<塩野七生著>より)

ローマ人アントニヌス・ピウスは「男であること」と言うが、
現代日本では、「人間であること」と、
言葉を変えて受け止めたほうがよいだろう。

今日からの、クリスマス商戦後半にこそ、
耐えた力を爆発させたいものだ。
耐えるからこそ、爆発があるのだ。

 

さて、そんな爆発のときに、
昨日につづいて、
結城義晴の小難しい考察。

フランスの学者ルネ・ユーリックの言葉。
「大きな町には小さな店を、
小さな町には大きな店を」

故川崎進一先生が好んだ学者。

これをイオン名誉会長の岡田卓也さんは、言い換えた。
「大きな町にはセブン-イレブン。
小さな町には、ウォマート」

素晴らしい。座布団一枚。

ただし、ユーリックは、
フランスのカルフールが誕生したばかりの時に、
『ルネ・ユーリックの法則』を考えた。
すなわち生存単位、最小競争単位の「競争法則」であった。

したがって、すべてに共通する教訓となった。

ユーリックは、こうも言う。
「まず25%の顧客を獲得する。
するとその店は、信頼されるようになる。
つぎに40%の顧客をつかむ。
すると経営は安定してくる」

作家・安土敏さんは述べる。
「小売業の店舗は、
もともと寡占競争だ」

賛成。

ある業態やフォーマットという切り口で見なければならないが、
小売業の店舗競争は常に、数店によって展開される。

この、競争の原理が見えないから、
感情を抑制できなくなる。

もちろん現在のように、
小売業がある程度のレベルまで発達したアメリカや日本では、
ルネ・ユーリックの時代と違って、
二つの新しい現象がみられる。

第1は、数店の競争が、3店、あるいは2店になってきたこと。
競争の顔ぶれが、減ってきたこと。

2店の競争を私は「複占」という言葉で表現している。

ただし、複占が最後の段階である。
独占はいつの時代も、どんな環境でも、
市場が許さない。

複占の状態になると、
強いもの同士の競争が展開される。
同時に、常に、新たな強い競争者の出現を、
意識し、覚悟しなければならなくなる。

第2は、異なる業態やフォーマットとの競争が展開される。

複占はマーケットの成熟を意味する。
したがって、業態フォーマットは様々に発達している。
だから異業態間競争が展開される。

アメリカのスーパーマーケットと
ウォルマート・スーパーセンターは異なるフォーマットである。
しかし両者は激しい競争を展開している。
複占状況だからである。

日本の都心。
スーパーマーケットとコンビニは競争し始めている。
セブン-イレブンも価格競争を始めた。
スーパーマーケットもコンビニも、
それぞれの商圏内で、
複占しているからである。

 

クリスマス商戦前半、
感情を抑制させて、観察してみるとよい。

苦しかったのは、異業態・異フォーマットに、
顧客を奪われたからである。

インターネット販売を含めて。

最後に、ローマ人を代表してユリウス・カエサルの言葉。
「身の安全を心配しながら生きたのでは、
生きたことにならない」

<まだまだつづく、結城義晴>

2007年12月21日(金曜日)


しみじみと「店」の話。

小売業にとって、
店舗は,
すべてを生み出す源である。

15の言葉
たった1店舗「アイクス」のクレド。

土地を手当てし、
建物を建て、
売場を整え、
商品を並べる。
人を配置し、
宣伝をし、
接客をして、
販売する。

外食業も、
サービス業も、
宿泊業も、
基本的にこの構造は変わらない。

卸売業は、
その店を営む小売業や外食業に、
品揃えを提供する機能を有する。

品揃えを実現させるために、
商品の情報を供給し、
商品そのものを配送する。

製造業は、
商品をつくる。
そして商品を顧客に届ける。

だから商品と顧客を結びつける活動を、
活発に行う。
これをマーケティングという。
マーケティングが、
製造業から生まれたのも、
なるほどと頷ける。

その、小売業の店。

最初の小売商人は、
「店」を持つことができなかった。
だから「店」にあこがれた。
「店」に恋い焦がれた。

たいていは、自宅を店にした。

自宅が狭く、
みすぼらしく、
立地が悪いと、
行商や引き売りのほうが、
顧客にとって、
便利であった。

やがて、資金がたまると、
店を持つ。

土地を手当てし、
建物を建て、
売場を整え、
商品を並べる。
人を配置し、
宣伝をし、
接客をして、
販売する。

フランチャイズチェーンで、これを始める者もいる。
店と商売のパッケージを、
料金を払って提供してもらう仕組み。

ウォルマートの創業者サム・ウォルトンは、
まさにこの例であった。

最初の店が好循環を始めると、
まずは店を大きくすることを考える。
誰でも。

当然ではある。

しかしこれは、
土地を拡張し、
建物を拡大し、
売場を広げ、
品揃えを充実させ、
在庫を増大させ、
人を増員し、
接客を増やして、
販売額を高くすることである。

これには、一つの危険が伴うが、
店を大きくする勢いに乗って、
成功する。
こうして、適正規模の店が出来上がる。

私は、この1店舗の店を、
「生存単位」と名付けている。

生存単位の議論は、
すべてに共通するテーマとなる。

そして実は、この生存単位の店が、
一番強い。

崖っぷちにある店。
後がない店。
店を経営する人間が命をかけた店。

どんなに大きな店がやって来ようと、
生存単位の店は、潰れない。

もちろん「生存単位の店」には、
イノベーションがなければならない。
 常に、自分の顧客を見続け、
その顧客に応える用意がある店。
顧客の要望に応え続けると、
場合によっては、
さらに店を大きくしなければならなくなることもある。
店の場所を移転しなければならないこともある。
遠くからやってきてくれる顧客のために
同じタイプの店を、他の場所に、
出さなければならなくなる場合もある。

 

そうして今度は、支店経営に移ってゆく。
支店経営では3店までが一つの単位となる。

これを「最小競争単位」と呼ぶことにする。

最小競争単位の3店は、
三角形の位置に配置する。

地理的条件の制約があって、
直線で配置せざるを得ない時には、
真ん中の店を、核とする。
これが「最小競争単位」である。

そして、この競争単位も強い。
もちろん最小競争単位でも、
常に顧客を向いたイノベーションが必要である。

 

イノベーションとは、
「顧客を向いたうえで、自らを変える」行為である。
「社会正義にのっとって、自らを変える」行為である。

生存単位、最小競争単位は、
逆に、最もイノベーションしやすい。
イノベーションのスピードが速い。
生存単位と最小競争単位は、
そんなマネジメント単位であると認識すべきである。

問題は、このイノベーションに近い単位の組織が、
いかにモチベーションを維持し続けるかということになる。

しかし、モチベーションの維持が可能ならば、
私はこの単位が、最も確実に、
人間としての幸せを提供してくれるものだと思っている。

 

今、様々な企業において、
会社の売却や合併、統合が盛んに行われている。

私は、ここで、
商人としての幸せと社会貢献という二つの観点から、
ものを考えたいと思う。

 

私は、30年間、様々な商人を見てきた。

社会貢献の大きな商人。
幸せな商人。

どちらをも獲得した商人。
どちらもかなえられなかった商人。

社会貢献を果たした商人。
幸せになった商人。

しかし、幸せ基準で見る限り、
生存単位と最小競争単位こそが、
やはり最良であると思う。

<つづく、結城義晴>

 


今月の標語
著書の紹介
最新刊
1秒でわかる!小売業界ハンドブック


六刷出来!
好評発売中

店長のためのやさしい《ドラッカー講座》


小売業界大研究
二刷出来!
小売業界大研究


お客様の為に
いちばん大切なこと
お客様のために いちばん大切なこと

毎日更新宣言カレンダー
2012年 5月
« 4月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
  • ホームに戻る
  • トップに戻る
  • 友達・上司・部下に知らせる

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。
Copyright © 2008-2012 Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.