結城義晴のBlog [毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2008年11月3日(月曜日)


帰国しました。

今日は、文化の日。祭日。
だから、「Good Monday」はまたもや、明日に。

ニューヨーク・JFケネディ空港。

直行便で成田まで14時間。

商人舎第2回USA研修会。

お陰様で、中身の濃い研修、
チームワークの良い視察旅行となりました。
ご参加くださったすべての皆様に感謝します。

参加者を派遣してくださった皆様にも、
感謝したいと思います。

5泊7日の米国視察が多くなりました。
世の中がスピーディになったこともあるし、
便利になったこともある。

だから、あっという間の1週間です。

しかし、今回も濃密な時間を共有することができました。
テキサスからニューヨークまで、
ずっと天気もよく、
雨に降られたり、風に吹かれたりといったことも、
まったくありませんでした。

最後のバスの中。
私は3つのことを言いました。
第1は、世界的な経済危機の中の視察であったこと。
私たちは、それを肌で感じた。
金融崩壊に近い状況の中、
ハロウィンを心から楽しむ大衆がいました。
ウォルマートも、コストコも、
トレーダー・ジョーズもアルディも。
そしてウェグマンズもホールフーズも、
皆、元気を売っていました。

実体経済の代表選手たちは、
誇りと自負をもって、
顧客のために、売り場をつくっていました。

そのことの貴重さを、私たちは学びました。

1929年の世界恐慌の翌年、
マイケル・カレンが世界で初めて、
スーパーマーケットを開店させました。

1979年の第2次オイルショックの翌年、
サム・ウォルトンはエブリデー・ロープライスを、
スタートさせました。

1989年のベルリンの壁が壊され、バブルが崩壊した翌年、
ウォルマートがシアーズとKマートを抜いて、
世界第1の小売業となりました。

そして2008年、貨幣経済破綻の今、
WWTCは強かった。
ウォルマート、ウェグマンズ、
トレーダー・ジョーズ、コストコ。

そして2008年、貨幣経済破綻の今、
何が起こるか。
その何かを、肌で感じて、
私たちは帰国しました。

第2は、アメリカ人のマーチャントたちに直接、
出会ったことへの感謝です。

HEBセントラルマーケットのバーバラさん、

HEBフード&ドラッグのガルシアさん、

そして元HEB上級副社長のフレミングさん。
めりっさ1
HEBプラスのドンさん。
どん

ウォルマートに堂々、対抗しているわずかな企業のひとつHEBは、
さまざまな方々が、商人舎の研修に協力してくださいました。

さらにウォルマートのジェフさん、
ジェフ
マーケット・ストリートのジェイソンさんとリックさん。
ジェイソンさん

私たちは直接、米国知識商人に会うことによって、
偏見や先入観を取り去って、
本質を学ぶことができました。

感謝の念に堪えません。

そして第3に、その結果、
私たちは、「自ら、変わる」ことができました。

帰国した商人舎研修会の団員を、
身近に見ることができる皆さん。

感じ取ってください。
この元気を、
このビヘイビアを。

自ら変わらなければ、店を変えることはできない。
自ら変わらなければ、職場を変えることはできない。
自ら変わらなければ、仲間を変えることはできない。
自ら変わらなければ、会社を変えることはできない。
そして自ら変わらなければ、社会を変えることはできない。

私は、いつもの言葉を放ちました。

いつも以上に、気持ちがこもっていました

重ねるたびに、
この言葉は重くなっていきます。

そして「Next One」への意気込みとなります。

ありがとうございました。

最後に今回の団長の安川光男さんと固い握手。

安川さんは、吉野ストア代表取締役社長。
「明るく、楽しく、元気よく」
団長の方針。

ほんとうに明るく、楽しく、元気よく。
記念すべき商人舎第2回USA研修は終了したのでした。

ありがとうございました。
お疲れ様でした。

<結城義晴>

[追伸]
第2回商人舎USA研修のもう一つの成果は、
「商人舎エコバッグ研究会」の発足です。
会員の皆様、よろしくお願いします。

環境問題には、意見を言ったり、声を上げているだけではだめ。
行動しなければ。
その行動のひとつが「エコバッグ」。

エコバッグをつくった方。
エコバッグを収集している方。
エコバッグを研究している方。

多くの皆様のご参加を募ります。

2008年11月1日(土曜日)


2008年11月1日です。
今年も、あと2カ月。
早いものです。

商人舎11月の今月の標語。
「満足した顧客だけが再び来店してくれる」

これは、スチュー・レオナードさんが残した言葉。
FW

もっとも有名なのは、これ。

Rule1
The Customer is Always Right!
Rule2
If the Customer is Ever Wrong,
Reread Rule1.

原則1
顧客はいつも正しい。
原則2
たとえ、顧客が絶対に間違っていると思っても、
原則1を読み返せ。

しかし、創業者のレオナードさんは、
言葉の重みを知っていた。
だからたくさんの重い言葉を残した。

「常に覚えておきなさい。
満足したカスタマーだけが、
再び来店してくださることを」

「利益は、ご褒美であり、権利ではない。
満足してくださったカスタマーからの
称賛の証なのである」

「お客様を愛せば、お客様はあなたを愛してくださる」

多くの言葉の中から、選んだ11月の商人舎標語。
「満足した顧客だけが再び来店してくれる」

消費不況は、深耕している。
しかし12月年末商戦は、少しは盛り上がる。
その時に、多くのお客様に来店していただくためには、
11月1日の今から、
満足を提供し続けなくてはいけない。

今日、お客様の満足を実現させた。

だから、年末にも戻ってきてくださる。

それを信じて、今日を生きる。
これが11月の過ごし方。

昨日は、そのスチュー・レオナードと、
トレーダー・ジョーズ、
そしてフェアウェイ・マーケット。

ブルックリンの最新トレーダー・ジョーズは、
もう大繁盛していた。
TJ
ハロウィンの本番の日。
皆、どの店よりも、
ハロウィンを楽しみつつ、
アピールしていた。

それから同じブルックリンのフェアウェイマーケット
FW1

トレーダー・ジョーズの新店から車で10分。
明らかに影響を受けている。
残念なことに。

だから自慢の青果のボリューム陳列が、
むなしく映る。

アメリカの消費不況は、ここまで来ている。

日本も。

だから、今月の標語。
「満足した顧客だけが再び来店してくれる」

<結城義晴>

追伸①
商人舎USA視察研修会報告は、
コーネル大学RMPジャパンのホームページと連動しています。
事務局長の大高愛一郎さんが、商人舎ツアーに参加していて、
毎日更新でレポートしています。
御覧ください。

追伸②
アメリカ出張のため、
「林廣美の今週末のこの一品」は、
2週続けてお休みしました。
申し訳ありません。
林先生から原稿はいただいております。
アップされていないのは、結城義晴が疲労困憊だからです。
お詫びします。

来週の金曜日に、
「林廣美のこの三品」として、
一挙掲載の予定。
ご期待ください。
 

 

2008年10月31日(金曜日)


ウォルマートは進化している。
貨幣経済危機の時、
実体経済にも大きく影響が出ている。

しかし、ウォルマートは、
この危機をも自分のものとしている。

プラノ店コ・マネジャーのジェフさんが語る。
ジェフ
わが社にはいい言葉がある。
「スピーディな5セントの動きは、
スローな1ドルよりも儲かる」

利は売りにあり。
薄利多売説。
それが、「スピーディな5セント」を
「スローな1ドル」に優先する根拠だ。

ウォルマートでは、
最新のハイランドビレッジ店を訪れた。
アップスケール型であり環境対応型。
ウォルマート1

次に、有名なプラノ店。
こちらはアップスケールタイプの最初の実験店。
プラノファサード
そしてマッキーニ店。
中身はレギュラータイプだが、環境対応の実験店。
マッキーニ
すなわち、プラノ型とマッキーニ型の集大成が、
ハイランドビレッジ店というわけ。

さらにネイバーフッド・マーケットも。
NMプラノ
一目瞭然で共通していたのは、陳列の見事さ。
今日は、それを一挙公開する。

眺めるだけでよい。
次々に見るだけでいい。

その裏に、
「5セントのスピーディさが、
1ドルのスローさに優先されている」様が、浮かべば。

まず、青果部門。

5色の缶飲料。

ケース入りコカコーラ。

現在は、エブリデー・ロープライスとも、
オールウェイズ・ロープライスとも、
表現しない。
「アンビータブル・プライス」
意味と趣旨は同じ。

ペットボトル飲料。

3色ケース入りバドワイザー。

単品のワイン。3ドル74セント。374円。

ペプシコーラ4SKU。

単品エンド。左ウィングのゴミ箱は必須。

左が「セイブ・イーブン・モア」。
ロールバックと同様の特売。
右が、「アンビータブル・プライス」。
ウォルマート流正札販売。

袋入りコーヒーの最売れ筋ダンキンドーナツ・コーヒー。
単品エンドで、7ドルから6ドルへのロールバック。

ワイン、9ドル28セント。

ゴミ袋、単品エンド。

衣料品の縦陳列。

4色炭酸飲料、これも縦陳列。

この店の実験。
ゴンドラアイルの中に、エンドのようなボリューム陳列。
隣り合った品目の関連性は全くない。
しかし顧客は、驚くし、新鮮に感じる。

同じくゴンドラアイル内のエンド型陳列。

ネイバーフッドマーケットの洗剤。

左がマンガ柄のパッケージ商品、
右がペットボトル。

タオル、ファブリックスのエンド2本。

いかがだろう。

ウォルマートは、価格志向の店だ。
しかし価格で顧客を釣ろうとはしていない。

陳列技術を駆使して、顧客を喜ばせようとしてる。

その根本にあるのは、
「スピーディな5セントの動きは、
スローな1ドルより儲かる」

この思想だ。

<結城義晴>

2008年10月30日(木曜日)


ブログアップの時間が12時間ほどズレています。
お許しください。

今、テキサス州ダラス。

朝、講義をして、視察して、
夕方、会食をして、
そのあと、私の部屋で懇談、議論して、
それから写真を整理して、
このブログを執筆して……。
すると、現地時間午前5時。

2時間弱、仮眠して、また出かけます。

それでも、気力充実。

楽しいことばかりですから。

さて、昨日は、
メリッサ・フレミングさんを迎えたセミナー
元HEバット上級副社長。
広告とマーケティング担当だった。
ニーマン・マーカスという超高級百貨店からキャリアを始めた。
同社は、ダラスに本拠を置く。
そこで、HEBにスカウトされ、副社長に就任。

主に、ウォルマート対策やプライベートブランド開発に携わった。

オースティンに来るたびに、
フレミングさんの講義を聴く。

今回は、ハロウィン直前ということもあって、
魔女の帽子をかぶって登場。
メリッサさんなりのユーモア。めりっさ1
ユーモアからのスタートではあったが、
講義は、いつも以上にテンションが高く、
私の持ち時間まで食い込んだ。

経済危機と穀物価格高騰から始まって、
店頭の消費者の動向へ。

クレジット・カードを使い果たしてしまった消費者は、
給料をもらったら、購買する。
懐の金がなくなったら、買わない。
まさに「Hand to mouth」
食品を買うか、食品をあきらめて、
腹をすかしながら違うものを買うか。
この選択しかない。

それに対応できる店だけが伸びている。

そう、ウォルマート、コストコ。

そのプライベート・レーベルが売れている。
「スカイ・ロケットのように」
ウォルマートのグレート・バリューは2.5倍のスピード。

「ラテ・イフェクト」という消費傾向がある。
スターバックスの売れ筋カフェラテが敬遠され、
プレーン・コーヒーが売れる。
余分なもの、飾り、虚飾は一切、排除する消費。

日本でも、こうなる。

さらに「テイク・ミール」
持ち帰りの食事が伸びている。

レストランやフード・サービスで消費せず、
家庭で食べる。
しかも格安な食事。

メリッサさんの講義は、続く。
テスコのフレッシュ&イージーに対する評価は辛口。
ウォルマートのマーケットサイドは絶賛。

ハッキリしている。

そしていつものように「HEBのウォルマート対策」。
今回は簡潔に要点を整理してくれた。

①全社を挙げて、ローコスト体質にする。
②仕入れ価格をできる限り下げる
③生鮮食品でウォルマートに決定的な差をつける

この3点。

私の持論の「利益を上げる5原則」のうちの3つに通じる。
利は内にあり。
利は元にあり。
利はこの品にあり。

そのためにウォルマートを徹底的に研究する。
そして「ウォルマートの強力さを中性化させる」
メリッサさんは「中性化」という言葉を使った。
なかなか良い表現。

勝つのではなく、敵の力を中性化させる。

メリッサさんの「ウォルマート対策」は、
帰国してから再整理して、お届けしよう。

ウォルマート対策のあとは、プレイべート・レーベル開発。
これも長編の講義。

コーネル大学RMPジャパンのカリキュラムに、
「商品開発とPB」がある。
私が担当する講座。
そこで、メリッサさんのレクチャーの内容も、
丁寧にご紹介しつつ、
私の持論を展開したい。
これも、単行本1冊分のテーマではある。

今回も、いい講義だった。

団員と記念写真。
メリッサ2

最後に、結城義晴とツーショット。
メリッサ3
私のコーネル大学RMPジャパン副学長就任を祝福してくれた。
メリッサさんには、その重みがよくわかっている。
だからこそ、なおさら、感謝したい。

朝の講義が終了し、メリッサさんに別れをつげると、
彼女の古巣HEBの三番目のフォーマット「HEBプラス」へ。
アシスタント・マネジャーのドンさんにインタビュー。
どん
彼もよく話してくれた。

同店は、5700坪のフルライン構成の店舗。
明らかにウォルマート対策店舗。
HEBプラス
車で5分のところにウォルマートがある。
ドンさんもこの店から2分のところに6年前に家を買った。
4ベッドルーム・建坪85坪の15万6000ドルの家。

だからウォルマートのことをよく知っている。

ちょうど、クリスマス売り場を始めたばかり。
H2

1週間の客数3万7000人。
客単価45ドル。

「強みは、店のサイズ、品揃えのバラエティ、
そしてユニーク・コンセプト」

「弱みは、ゼネラル・マーチャンダイズ」
すなわち非食品。

HEBプラスは非食品強化型だが、
その非食品はウォルマートには残念ながらかなわない。

しかし生鮮は圧倒的に強い。
青果・鮮魚・精肉。
青果

そして、グロサリーや雑貨では、
「ロープライス・エブリデー」を断行している
これがウォルマートの強さを中性化させる作戦。

この店に長いこといると、一瞬、
ウォルマートの店内を回っているような錯覚に陥る。

そしてウォルマートとの違いは、
「クーポン販促」
DMのクーポン、
新聞折り込みチラシによるクーポン、
インストアクーポン。

ウォルマートがやらないプロモーションを、
さらにひとつ持っている。

それが、奏功している。

ドンさんに別れを告げて、
私たちはバスで、ダラスへ。
4時間、私の車中講義は3時間近く。

そして、ウォルマートのハイランドビレッジ店へ。
アップスケールと環境対策の両方の要素をこめた意欲店舗。
ウォルマート1

ウォルマートは一足先に、10月1日からクリスマス売り場を展開。
クリスマス
消費不況の中、どこよりも早く、
年間最大イベントを立ち上げた。
「備えあらば憂いなし」

これが現在のウォルマート最新の惣菜売場。
信じられないほどの洗練さ。
デリ

ハロウィンの売り場もダイナミック。
ハロウィン
ウォルマートは、進化し続けている。

最後に、アメリカ最大のクローガーへ。
最大とはスーパーマーケット最大ということ。
年商702億3500万ドル(7兆円)、伸び率6.2%。
純利益11億8000万ドル(1200億円)、伸び率は5.9%。
店舗数3662店。
クローガー
堂々たるナショナルチェーン。

このところ業績はすこぶる良い。
それはウォルマート並みのローコスト・オペレーションを、
必死で確立したから。
経費率17%から18%。
そして財務を立て直した。

しかし、現場をみると、納得はいかない。
senngyo
たまたまこの1店のことかもしれない。
しかし、テキサスのクローガ―で、現場が生き生きとした店を、
見たことがない。

「神は現場にあり」

そして、コーネル大学ジーン・ジャーマン先生言うところの
「スーパーマーケット・ジレンマ」
それに陥っている。

マーケティングの本質的なところでの見直しが必要。

ライバル「セーフウェイ」はその修正が終了している。

クローガーは数字はいいが、現場がもう一息。
青果
生鮮が弱体化したのが決定的な問題。

今日も、充実した1日。

小売りの神に、感謝。

<結城義晴>

2008年10月29日(水曜日)


10月28日正午、成田を発って、
28日朝のダラスに到着。
そのままテキサス州の州都オースティンへ。

民主党のオバマ候補の優位は動かない。
白人の子供に近い狂信者が、
オバマ暗殺を謀って、逮捕されたけれど。

この日の米株式市場で,
ダウ工業株30種平均が、3日ぶりに急反発。889ドル35セント高の9065ドル終了。
上げ幅の大きさは過去2番目だった。

大きく下がって、大きく上がる。
乱高下。

午前には、10月の米国の消費者信頼感指数が前月比で急低下し、
過去最低を更新。

そんなとき、ウォルマートのCEOリー・スコットが、
投資家説明会で、出店抑制策を発表。
今期の出店数は、191店に抑える。
これは、前年対比12%のマイナス。
来期も、150店前後に減少の計画。
これはマイナス35%。

2008年1月決算期には218店の出店数だった。

米国内飽和が近付いている上に、
この不況。

投資額も、前期の91億ドル(9100億円)から60億ドル前後に減らす。

リー・スコットは、同時に、
日本の西友に関してもコメントした。

「日本事業には満足していないが撤退はしない。
日本は小売業市場が約1兆1000億ドルと巨大な市場。
にもかかわらず、上位20社がシェア2割を分け合う。
つまり細分化された市場だ。
従ってわれわれの可能性はまだある」

そんなときの、オースティン。
HEバットとホールフーズ。
前者はアップスケールタイプの「セントラル・マーケット」も、

レギュラータイプのフード&ドラッグも好調を維持している。

セントラル・マーケットのフーディーズ・バーバラさんは、
「不況になって、高価な商品は売りにくいが、
スペースに余裕があれば、ワインを置く。
ワインは食事を誘発する」
こう語る。

カスタマーを「ゲスト」と呼び、

レストランのようなサービスを展開する。
それがセントラル・マーケットの差異性。

一方、フード&ドラッグのアシスタント・マネジャーも力強く語った。
ノエ・ガルシアというメキシコ人。
1年前に、アルバートソンから転職した。
昨年収は12万ドルと高給取り。

この会社は、家族的。
1週間前にこの店の全員「100ドルずつボーナスが出た」

貨幣経済危機の今、業績維持をしている非上場企業は、
従業員満足を高める策に出る。
それが売り場に出ている。
客数に反映されている。

ホールフーズの旗艦店。
売り場のレベルは、さすがの水準。
しかし、客数ががた減りの感あり。

午後、4時くらいのピークタイムのはざまに訪れたからかもしれないが、
やや元気がない。

ニューズウィークで、
「ホールフーズは高い」
と決めつけられたイメージが、
この貨幣経済破綻の今、
ボディーブローのように効いてきている。

しかし、ホールフーズに迷いはない。

客数は少ないが、従業員はカスタマーサービスに懸命だ。

スモークサーモンの試食を頼んだら、
「これもいかが、これもいかが」
と次々に勧めてくれる。

レジでも、ショッピングバッグを家族にプレゼントする、と言ったら、
4セットもサービスしてくれた。

ホールフーズの懸命さが感じられる。

実体経済の担い手という自負も失われていない。

これは、本当にうれしいことだ。

<結城義晴>

 

2008年10月18日(土曜日)


「景気が悪くなっているのに、物価が上がる」
これをスタグフレーションというが、
私は「高速道路渋滞のような現象」と表現している。

その高速道路の渋滞、
貨幣経済と実体経済のねじれによって生まれていた。

貨幣経済の驚くべき膨張と実体経済の縮小。
しかし貨幣経済が、株価の暴落で急落。

だから、世界の原油高、穀物相場高は、是正されはじめた。

これも驚くべき早さ。

先進国の共同歩調が奏功したこともある。

原油は、ニューヨーク先物市場で1バレル70ドル。
3カ月で半値となった。
小麦や大豆も小康状態から、下落状態へ。

しかし、高速道路の渋滞は、蛇腹のように歪だ。

先の方は、空いているのに、ここは渋滞。
つまりタイムラグがある。

それが現状。

世界相場は下がっているのに、
国内では値上げの商談が行われたりしている。
そしてたとえ下がっても、高止まり。
私の、最初からの指摘。

それでも、世界的危機に対しては、予想より早い処置。
人間は、学習する。

アメリカの消費社会を見ていても、
大衆の辛抱強さ・根強さを感じずにはいられない。

もうひとつの話題。
日本経済新聞が「優良企業ランキング」を発表。
30回目になる。

総合1位は任天堂。
2年連続。

総合2位は、3年連続でファナック。

商業分野では、55位のローソンが最高位
58位の島忠が2位
77位のイオンが第3位。

このランキング、来年は、順位が大きく動く。

安定性の高い会社が評価される。
それは、株式時価総額などの要素ではなく、
「信用」という長期評価に、
少しだけでもシフトした結果になってもらいたいものだ。

さて、アメリカ小売業レポートの連載。

マンハッタンの対岸ニュージャージー。
その「ニコラス・マーケット」から車で15分ほどの高級住宅地。
「マーケット・バスケット」。
1960年に始まったオーナーシップ経営のスーパーマーケット。
1店舗のインディペンデント。

これも「ニッチ」を形成している。

私自身の経験では、30年前に、
同じ「マーケット・バスケット」の名前で、
カリフォルニアに100店規模のスーパーマーケットが展開されていた。

クローガーの傘下にあって、
クローガーは、この時代から「マルチ・バナー戦略」を採っていた。

西海岸では見られないクローガーのグループ企業の店。
当時、私は敬意の念をもって、訪れたことを記憶している。

ニュージャージーの「マーケット・バスケット」は、
クローガーとは全く関係ない。

しかし「マーケット・バスケット」というネーミングは、
「ケット」というところが韻を踏んでいて、響きが良い。

「手軽な買い物ができる食品市場」
そんなニュアンスが、ある。
MBファサード

その通りの店で、入口をはいると、
顧客と店員とが、声を掛け合っている。
そして試食、試食、試食。
私たちも「サンプル・ライフ」に次ぐ「サンプル・ライフ」。
中央
店舗入り口が、サービス・デリの売り場。
中央の平台で、パンとディップが派手に関連販売されている。

周りをぐるりと対面ケースのデリ売り場が囲んでいるl。
デリ

デリから、対面の精肉コーナーへ、。
肉

さらにシーフード売り場へ続く。
水槽があって、カニなど遊んでいる。
魚
インディペンデントのおかず屋。

もちろんニュージャージーのメニューや味をしっかり出した洋風惣菜。
デリ

ずっと対面ケースが続く。
de

チーズの売り場は、アイテム豊富。
これはインディペンデント・スーパーマーケットにとって、
欠かせない商品構成のひとつ。
チーズ」

そして、チーズのあとは、デザート・ケーキ。
こちらも対面売り場。
ケーキ

「ニコラス・マーケット」は比較的オーソドックスなレイアウト。
それに対して、マーケット・バスケットは、
市場のごときにぎわいで特徴を出す。

サービスデリ、パン、肉、魚、チーズ、乳製品。
最後に、青果部門がやってくる。
青果
最後に位置づけられているが、
鮮度もよく、品揃えも豊か。

このリンゴのバスケット陳列。
ボリューム感もあって、楽しい売り場。
リンゴ

イモ玉類も、バスケット陳列。
imo

「マーケット・バスケット」の店名の通り、
バスケットを多用して、強烈な親近感を与える。
だから、この店が好きだという日本人は多い。
葉物

青果のあとに、グロサリーやキャンデー売り場が現れる。
キャンfデー

そして大事なこと。
レジチェッカーは、若くて美しいお嬢さんばかり。
これも心地よい。
reji

そういえば試食コーナーのお嬢さんも、
若くて美しかった。
サンプルライフ
これも、マーケット・バスケットの武器である。

マーケット・バスケットを、その収益性などの尺度で、
俎上に上げる必要はない。

「ニッチ」とはこういう店をも包含する価値観だ。

私は「幸せ基準」と呼ぶ。

「この店では社会貢献度が小さい」
そういう人がいるかもしれない。
産業づくりにはならない、と。

しかし、鳥の目で見ると、
このマーケット・バスケットも、
アメリカのスーパーマーケット産業の一翼を担っている。

ただし、ニコラスとマーケット・バスケットは違う。

片方は、店を回るとフルコース・ディナーを思わせる。
一方は、楽しいおかず屋が存在している。

そのどちらをも選べるし、
私は「ニコラス派」、私は「マーケット・バスケット派」と、
顧客が二分されている。

両者の違いが鮮明であることに、
「ニッチ」スーパーマーケットとしての存在の意味がある。

<結城義晴>

 

2008年10月17日(金曜日)


週末は、盛りだくさん。

①世界経済の話。
②「林廣美のこの一品」
③アメリカ報告「ニコラス・グランドオープン」

株式市場、大混乱。
週明け、暴落から反発したものの、
三度、四度、反落。
日本の基準は、日経新聞の平均株価で表現される。
アメリカは、ダウ・ジョーンズ社。
だから日本は「日経平均」
アメリカは「ダウ平均」

その日経平均、昨日は1089円も下がった。
11%強のダウンで、過去二番目。
平均株価が8458円。

為替市場でも、ドルが下がって、円が上がった。
1ドル99円台前半。

一連の株安によって、
アメリカ・ヨーロッパ・日本で、
時価会計を一部凍結する動きが出始めた。

企業の会計原則を、一時的に、
株式の時価で評価するやり方から、
簿価で評価するやり方へ戻す。

世界の貨幣経済の最大の要素は、株式時価総額で、
それが1年前には40兆ドルあった。
それがこのところの株価暴落で半減した。

これを時価総額で評価していたら、
多くの企業の「企業価値」が半減してしまう。
だから時価評価の会計制度を、一時的に凍結しようというのだ。

すなわち、
「企業価値」の評価が変わりつつある。

株価評価という物差しの転換。

何に?

それは、今のところない。

私は、企業の「信用」が、
何らかのメジャーになるのがよいと思っている。

それは、株価ではなくなりつつある。

マネーではなく、「信用」。

それが今日のニュースの最大のポイント。

さて、今日の第二弾。
「林廣美の金曜日のこの一品」
週末に、この一品をお客様に売り込んでほしい。
その、商品は?

「新米ちらし寿司」

おばあちゃんがつくるようなちらし寿司。
各地域の土産土法のちらし寿司。
「土産土法」(どさんどほう」とは、
その土地でつくったものをその土地の調理法で食べること。

しかも、今の時期は新米を使う。
「新米」のシールを必ず貼ること。

なお、来週、金曜日の24日。
林先生、岩田弘三さん、そして私の、
「3人のビッグセミナー」開催
岩田さんは、ご存知、ロックフィールド社長。
いま、惣菜・中食の世界で最も自信を持って経営している人。
ウェグマンズのカテゴリー・マーチャント吉野邦夫さんをして、
「あのまま持って帰っても、売れる商品ばかり」と言わしめた。
そのロックフィールドの岩田さんの経営、商品、時代の見方。
それらが、全部、分かる。
是非、ご参加を。

さて、今日は、盛りだくさん。
何度も言う

第三弾は、アメリカ・スーパーマーケットのカメラ・レポート。
大好評。

あまり知られていない企業。
たった2店舗の「ニコラス マーケット」。
ニュージャージーで1943年に、食品店としてスタート。
現在、「フード・タウン」というバナーで、
800坪のスーパーマーケットを展開。
インディペンデントながら、素晴らしい店づくり。

ニュージャージーで1943年に、食品店としてスタート。現在、「フード・タウン」というバナーで、800坪のスーパーマーケットを展開。インディペンデントながら、素晴らしい店づくり。

私たちが訪れた10月11日は、
リニューアル・グランドオープンの日だった。
ニコラスチラシ1
ニコラスチラシ2

ニュージャージーの高級住宅地の木陰の中に、
瀟洒な建物が登場する。
ニコラス1
ネイバーフッド・ショッピングセンター。

入り口で、縫いぐるみのライオンが出迎えてくれた。
ニコラス2
楽しいスーパーマーケット。

ロバート・グリーンウェイ店長がインタビューに応じてくれた。

「リニューアルオープンで、店は新しくなった。
最新のマーチャンダイジングを展開している。
プロデュースの部門、サービス・デリの部門が鍵を握る」

現在、120名の店員。
皆、家族的な雰囲気で、
インディペンデントにしか出来ないサービスを提供している。

「Niche(ニッチ)」という言葉は、
その人、その会社の「最適の位置付け」を意味する。

「隙間」という意味だけではない。
アメリカで生き残って、再投資できる独立系の店は、
必ず、ニッチのポジションを獲得している。
それは、自らの「ロイヤル・カスタマー」を確保しているから、
可能となる。

店舗入り口では、美しい花が顧客を迎えてくれる。

右手壁面の最初の売場は、バナナとパイナップル。
大きなカットで「試食」を提供。

瑞々しい葉物の売場が続く。

左手壁面はカットフルーツから始まる。

左手は、見事なりんごの売場。
アメリカでは、20SKU以上のりんごがなければ、
強い青果部門とはいえない。

青果売場から、鮮魚部門に続く。
今回、強化した売場。

そして奥の壁面は、ミート、乳製品。

牛肉は、「プライム」の最上級グレードを品揃えしている。

フレッシュ・ソーセージも、このニコラス独特の味。

店舗左側に、チーズの売場。
これもインディペンデントのスーパーマーケットには、
欠かせない売場。

モッツァレラチーズの試食実演コーナー。
これがおいしいし、惜しげもなく試食させてくれる。
顧客はまさに「サンプル・ライフ」。

チーズに続いて、ゲーム・ミートの対面売場。

そして寿司は欠かせない。
ただし、これは問屋の商品。

本格的なデリカテッセン。
対面売場で、顧客の要望どおりの量を包んでくれる。

レジ前には、美しいボリューム陳列のグロサリー。

店舗左手がベーカリー。
このベーカリーも商品とイメージが一致している。
コーネル大学では「ノン・ファンクショナル」という。

最後にデザート・ケーキ売場。
アメリカのスーパーマーケットは食事の順番に、
部門が並んでいる。
部門を回ると、フルコースのディナーが楽しめる。

レジは、フレンドリー。
グランドオープンだからといってぎすぎすしたとこは全くない。

「ニッチ」こそ、生きる道。
そのニッチであることに、誇りを持つ。
それがアメリカのインディペンデントの生き方なのだ。

週末の長編、ご愛読、感謝。

<結城義晴>


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