第八回[最終回] 何を目的として情報システムと向き合うべきなのか?

2009年3月2日(月曜日)
カテゴリー:

當仲寛哲VS玉生弘昌 対談

 11時00分02秒

當仲寛哲(USP研究所)VS玉生弘昌(プラネット)対談 

対談を終えて、研究会参加者からは、率直な意見や質問がでました。
その一部を紹介します。

参加者:玉生社長にお伺いします。
これだけ情報システムが整備されてくると、
卸売業の役割というものが問われるのではないかと感じました。
このような状況で、小売業がメーカーと直接取引きをして、
利益を上げようとしないのは、なぜだと思われますか?

玉生:例えば、日用雑貨ですと、1つの小売業が、数百メーカーと取引を行います。
これを卸を介さず直接行うとすれば、物流センターの前に、
メーカーから直接何千台ものトラックが納品の列を作ることになります。
これはナンセンスなことですよね。

また、日本の日雑卸は、耳掻き1本でも、
発注すれば1本1本ピッキングして、納品することができます。
こうすれば、小売業は、在庫を持つ必要がありません。
これだけレベルが高い物流サービスは、世界中を見回しても、他にありません。

結城:日用雑貨の物流がそこまで発達した理由というのは、どこにあるのでしょう?

玉生:コンビニの台頭ではないでしょうか。
1970年代に、セブン-イレブンがコンビニエンスストアという業態を日本に広めました。
その後、コンビニもどきが次々と誕生しましたが、
そのコンビニもどきにはバックヤードがありませんでした。

そして、そのような店舗が、洗剤やシャンプーを、
いちいち日雑卸に持ってこさせたのです。

最近では、通路別納品や、売り場別納品までできる日雑卸もいます。

當仲:小売業の無茶なニーズにこたえることで、
卸売業のレベルが上がったというのは面白いですよね。
小売業が基点となって、卸やメーカーに影響を与えたというのは、
あらゆる業界に当てはまるように思えます。

■どこまでをシステムで吸収していくべきなのか?■

参加者:小売業は、特売の頻度が多いのも問題です。
特売をすると、それぞれをユニークなものとして認識しなければなりません。
システム上にその特売期間も、情報として持たねばならない。
それが物事を煩雑にしているように感じます。

當仲:小売りは売り方を工夫することが生存意義です。
そのために煩雑になるのであれば、それを技術的に吸収する必要がありますね。

どこで競争して、どこで競争しないかの線引きが必要です。

例えば食品の総合レジについて考えて見ましょう。
あれは1台120万円ぐらいするのですが、数が集まると非常に安くなります。
ところが、小売業はそれを各社でバラバラ仕入れている。その必要があるのでしょうか。

小売業のシステムは、業界全体で統一してしまうと面白くありませんが、
どこかしらのレイヤーで、共通化したほうが、
メリットが出てくるのではないかと思います。

参加者:伝票で人が動くので、いまだに店から伝票が無くなりません。
伝票レスなど実現できなさそうです。

結城:特にローカルのスーパーマーケットは、
情報システムにおける理想と現実のギャップが激しいようですね。
ドラッグストア業界では、以前はさまざまな共同仕入のグループが乱立していて、
まるで今のスーパーマーケット業界のようでしたが、
それを集中し、整理してきた歴史があります。

そのとき、ドラッグストア業界では、
「業界をひとつにする」、「薬事法を改正する」と、
そういうことを旗印に掲げたわけではなくて、
最初に「セルフメディケーションを推進しましょう」ということを言いました。
この「セルフメディケーション」が、
どのような企業でも、共有できるコンセプトだったということがことが、
集中・整理の大きなきっかけだったようです。
 
結城:スーパーマーケット業界における情報システムの問題にも、
セルフメディケーションのような、業界を挙げたコンセプトが必要です。
今回玉生社長のお話を伺って、私は人間のネットワークのあり方と、
それをひとつにしていく知恵について、考えをめぐらせました。  (了)

*********************************************************

コンピュータリテラシー研究会では、今後も、定期的な活動を行っていきます。
活動については随時、この研究会ページでご案内いたします。
研究会に参加を希望される方は、info@shoninsha.co.jp までご連絡ください。

コメント(0)

第七回 小売業にとって、ITは標準化のための手段とはなりえない

2009年2月23日(月曜日)
カテゴリー:

當仲寛哲VS玉生弘昌 対談

 09時26分55秒

當仲寛哲(USP研究所)VS玉生弘昌(プラネット)対談 

當仲:玉生さんのお話にもありましたように、
メーカーと卸売業者の間のデータ共有システムには、大きな技術的進展がありました。

一方、小売業においては、ほとんど、その分野における技術が発展していません。

メーカーと小売りを比較してみると、
かなりシステムに対する意識が違うということがわかります。
業界特性からきているものなのではないかと、私は考えています。

メーカーは、工場で商品を製造します。
機械を使って、ラインで生産する。
機械を使って生産するのだから、いかに無駄のない動きをするか、
統一化して、標準化するかということが発想の根本にあるようです。

ですから、工場の機械にまず投資を行い、
それをいかに効率よく回すかということを考えます。
それはコンピュータについても同様で、
原価ダウンをするために、どのように標準化・統一化を行うか、
ということが常に念頭にあるのです。
コンピュータもそのために活用されています。

ところが、小売業は、お客様に満足してもらうことが、価値観の中心です。
ITは、統一化・標準化の手段ではありません。

■お客様志向と企業の独自性■

例えば私たちは「レジ」というものを、効率を上げるためのものではなく、
お客様に気持ちよく買い物をしていただくための装置と考えます。
そして、その道具を導入することが、
お客様にとって、どのような影響を与えるのか?という考え方が、
機械投資への制限となります。

また、小売業では、誰もが店舗を観察することで、
店舗の作りや、商品の価格についての情報を知ることができますが、
その裏側のオペレーションについては皆さん、オープンにしたがりません。

企業の独自性にこだわるという、小売業特有の文化がその背景にあると思います。

小売業で、システムの標準化が進まない理由の、もうひとつとしては、
販売する商品の種類・特性がバラエティー豊かであるということも挙げられます。

生鮮3品のように、コードをつけて過去の販売実績を分析しても、
あまり意味が無いものもあります。
仕入れのチャネルもたくさんあれば、販売の方法もさまざまです。

玉生生鮮のシステムの標準化は難しいですね。

                                       第八回に続く

コメント(0)

第六回 システムは基幹系・情報系・戦略系がある

2009年2月19日(木曜日)
カテゴリー:

當仲寛哲VS玉生弘昌 対談

 08時00分00秒

當仲寛哲(USP研究所)VS玉生弘昌(プラネット)対談 

玉生:基幹系システムというものは、
伝票処理や、給与計算など、定型的な手順で仕事が遂行される仕組みです。
これらの作業は、手順が一定なので、プログラムを組めば結果が出ます。

請求書発行に10人かかっていたのが、
コンピュータを入れたら2人でできるようになります。
しかも1週間かかっていた作業が、1日で出来るようになると、
眼に見えて生産性があがったといえます。

伝票処理だけでも、大型汎用コンピュータから、
オープン系のサーバに入れ替えることができれば、
劇的にコストが安くなります。

売上げ1000億円でも、パソコン1台で全部処理することができます。

また、パソコンと二十何万円の給与計算ソフトがあれば、
社員が10万人いても、給与計算ができてしまいます。

ところが、現在は、大型汎用機でそれをやってしまっている。

安田火災海上は、すべての業務システムをオープン系にしたところ、
それまで数年かかっていた、新しい保険サービスの設計が、
数ヶ月で済むようになったということです。

ですから、ほとんどの経営者は、コンピュータというと、
導入すれば省力化・迅速化・ミスの防止を進める効果があり、
コストダウンをするための道具と考えています。

■待ち望まれるCIOの誕生■

玉生ところが、会社の仕事の8割は、非定型業務です。

非定型業務とは、分析・企画・調整を試行錯誤しながら、やりとりしていくものです。
スタッフの8割はこの仕事をしています。
それまでこのような分析・企画・調整の仕事は、
コンピュータでは処理できなかったのですが、技術が進歩することで、
コンピュータで実現できるようになりました。

これを情報系のシステムと言います。

例えば、パソコンを使って、画面を見ながら、
来年の販売計画を考えたり、シェアの増減を予測したりする。
そして、それをグラフにしてみたり、加工してみたり…。
スタッフにとって、
このようにして処理された情報は武器になりますので、どんどん普及します。

そして、定型業務がオープン系になると、基幹系と情報系とで、
データを上手くリンクすることができるのです。

ところが、情報系の生産性は、基幹系のそれとは全く意味が違います。

宣伝部のスタッフが10人いる、予算は10億円。
それで、来月の常務会までに、よりよい宣伝計画を提出しなければならない…
というように、経営資源は一定です。
基幹系の生産性とは全く意味が違うのです。

企業の情報システム部が、コストダウンを目的として、情報系を作ろうとすると、
全く求めているものとは違うものができてしまう結果となります。

最近では、定型業務と非定型業務の他に、
戦略系といわれる業務が注目されています。
ITを使うことで、新たなサービスを生んだり、新たな仕事を創出します。

これから企業は、優秀なCIOを育て、CIOが会社の立場に立って、
戦略的にITを選択する必要があります。
日本では、どんなに優秀なシステム部長でも、社長や役員になることはありません。

CIOがいないと、経営者として、ITを最適に判断することはできません。
これは日本の組織における今後の課題だと言えるでしょう。

                                       第七回に続く

コメント(0)

第五回 ハードウェアが1000倍進歩したのにも関わらず…

2009年2月16日(月曜日)
カテゴリー:

當仲寛哲VS玉生弘昌 対談

 08時00分00秒

當仲寛哲(USP研究所)VS玉生弘昌(プラネット)対談 

玉生:今から20年ほど前に、ダウンサイジングという言葉が流行りました。
メインフレーム、大型汎用機と呼ばれる、昔からのコンピュータを入れ替えて、
新しいオープン系の機械にし、コストを数分の一に下げようというものです。

実際、アメリカの場合は、ソフトウェア会社が、
昔からの古いテクノロジーしかもっていないSEをリストラして、
UNIXが分かるSEを採用しました。

当時は、会社が儲かっているのに、なぜ人の首を切るのか?
という批判も出ましたが、これはまさに技術の入れ替えだったのです。

ところが、そのとき、日本は全く技術の入れ替えを行いませんでした。
そのため、今でも古い仕組みのものを、日本だけがたくさん抱えている
状態になってしまったのです。

皆さん、ムーアの法則はご存知かと思います。
ゴードン・ムーアという、インテルの創業者の予言で、
「半導体チップは1年半で倍に進歩する」というものです。
1年半で倍ですから、3年で4倍、4年半で8倍、6年で16倍、
…10回倍になると1000倍になります。
15年間ぼやぼやしていると、
ハードウェアは1000倍進歩していることになります。

プラネットでは、23年間で5回マシンを入れ替えていて、
その度に、システムの運用コストが大幅に下がっています。
そのため、サービス利用料を、これまで7回も値下げしてきました。

一番最初に導入したプラネットのセンターマシンは、20億円しました。
ところが、今では同様以上のものを200万円ほどで調達することができます。
それだけITは進歩しているのです。

皆さんの会社は、この20年間で何回マシンを入れ替えたでしょうか?
最新の機械を使えば、売上1000億円の企業でも、
マシン1台で全ての伝票処理ができます。
そのために必要なソフトウェアは、たぶん数十万円で済みます。
ところが、そこに踏み込むことができない企業が大半です。

なぜなのでしょうか?

■オープン化を邪魔するマシンルームの大型汎用機■

玉生:企業のシステムは、表で示したように分類できます。

例えば、基幹系と呼ばれる業務の基本は、受発注を行い、
このデータ処理をコンピュータで行い、請求書に発行するというものです。

これを大型汎用コンピュータで行えば、提携的な業務を自動化することができます。
この業務を高性能サーバに入れ替えれば安くなるのですが、
大型汎用コンピュータからの移植ができません。

一方で、事務所内にパソコンはたくさんあります。
このパソコンはオープン系です。
それが増殖して、LANでつながっている。
事務所を見渡して、それぞれの机にパソコンがあると、
自分の会社がオープン系だと勘違いしがちですが、
実はマシンルームの奥の方には、
大型汎用機に象徴されるような昔からの仕組みが密かに動いており、
企業の変革を阻むのです。

さて、レガシーとオープン系はどのように違うのでしょう?

UNIXやLinuxのように、公開して開発されたOSで動く仕組みを、
オープン系といいます。
ここではWindowsもオープン系に含めます。
オープン系とレガシー系では、OSも違いますが、文字コードも違います。
オープン系はアスキーコードが中心で、統一が取れていますが、
レガシー系ではEBCDICなどが中心で、統一が取れていません。

文字コードが違うと、互換性がありません。

また、レガシー系の仕組みでは、
世界で当然の通信仕様とされている
TCP/IPでの通信ができないということも、大きな問題です。

ところが、レガシー系のシステムを、オープン系のシステムに
切り替えようと思っても、
システム部長には技術的な知識が無いために、
社長に問題点を説明することができないのです。

                                      第六回に続く

コメント(0)

第四回 次世代の標準、インターネットEDI

2009年2月9日(月曜日)
カテゴリー:

當仲寛哲VS玉生弘昌 対談

 15時06分22秒

當仲寛哲(USP研究所)VS玉生弘昌(プラネット)対談 

玉生:日本のメーカー・卸間のEDIは、
世界的に見てもかなり進んだものが普及しています。
一方、小売業界では、EDIはうまくいっていない、というのが現実だと思います。
世界に目を転じてみますと、
EDIFACTというプロトコルが多くの国々で普及しています。
また、現在では、国連が「UN/EDIFACT」という基準を管理しています。

※EDIFACT:1987年、ISO(国際標準化機構)が承認した、ビジネスプロトコルの国際規格
※UN/EDIFACT:現在貿易手続をはじめとしてビジネス全般に亘って幅広く使用されている電汎用国際基準

海外ではこれらのプロトコルが一般的なのですが、
漢字が載らないなどの欠点もあります。
そこで、日本では、財団法人流通システム開発センターが先頭に立って、
「JEDICOS」というプロトコルを作りました。
ところが、このJEDICOSもあまり普及していません。
また、流通システム開発センターは、次世代EDIということで、
「流通BMS」という仕様を定めました。
「流通BMS」は、JEDICOSに次ぐ新世代のEDI仕様で、
インターネットを使っています。

将来的には、圧倒的に早く、安く、大容量のインターネットEDIが、
主流になることでしょう。

皆様方自身、ご自宅でADSLや光ファイバーを使ってインターネットをつなぎ、
動画などを楽しんでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
インターネットでカラーの画像を見ると、
文字と数字しかない伝票のようなテキストデータの通信に比べて、
少なくとも20倍以上、動画にいたっては1000倍以上の電気信号を使います。
今やそれが簡単にできる時代です。
光ファイバーで、24時間つなぎっぱなしでも、月数千円ですみます。

■インターネットの落とし穴はセキュリティ■

玉生:当然ビジネスでも、インターネットという
優れた通信手段を使うようになりますが、問題は、
通信の途中に様々な危険性が潜んでいるということです。
途中でデータの盗聴、改ざんが行われたりする可能性があります。
ですから、まずビジネスでインターネットを使う場合には、
暗号化を行う必要があります。

もう一つ、インターネットEDIを実施するためには、
「成りすまし」防止のための、電子認証が必要になります。
Aという卸から、Bというメーカーに発注がきたときに、
確かにA社からの発注なのか、ということを認証しなければなりません。

そのため、認証を行う第3者機関があります。
日本ベリサインという会社が有名です。
ところが、電子的認証にかかる料金というのは、まだまだ高い状況です。
ある会社とある会社の間の通信を認証するのに、年間1万円以上はかかります。
取引先がたくさんあると、それだけ金額がかさむのです。

プラネットでは、すでに、
SMOOTHEDIというインターネットEDIを提供しています。
日本でインターネットEDIを行っているのは、このサービスしかありません。
また、プラネットでは業界認証局というものも作っていまして、
5年間1万円で、複数対複数の接続を認証することができます。

「もううちはWebEDIを導入しているよ」という企業もあるかと思いますが、
WebEDIとインターネットEDIは根本的に違うものです。

「インターネットEDI」は、マシンtoマシンで、
全てのデータが自動的にやりとりされます。

「WebEDI」は間に人間が入ります。
相手先のマシンから届いた情報を、
人間がブラウザなどで閲覧して作業するというものです。

ですから、WebEDIは割と手っ取り早くできますが、
必ずしも全てが自動化されているとは限りません。

なぜ、これほどまでに、インターネットEDIが日本では普及しないのでしょう?
そこには、「レガシー問題」が関係しています。
                                      第五回に続きます

コメント(0)

第3回 プロトコル・コード・フォーマット

2009年1月27日(火曜日)
カテゴリー:

當仲寛哲VS玉生弘昌 対談

 17時04分59秒

當仲寛哲(USP研究所)VS玉生弘昌(プラネット)対談 

玉生:EDIで通信を行う際には、技術的な約束ごととして
「プロトコル」、「コード」、「フォーマット」の3つの標準
があります。

この3つを取り決めることで、よいデータ交換システムを作ることができます。
海外では、「プロトコル」「コード」「フォーマット」の標準化を行い、
企業の経営戦略に結び付けていますが、
日本はまだ、その次元までたどり着いていないのが現状です。

「プロトコル」とは、
ネットワークを介して、
コンピュータ同士が通信を行なう際に用いられる約束ごとのことです。
通信手順、通信規約などと呼ばれることもあります。

たとえば、先ほどお話した「J手順」というのもプロトコルです。
「コード」は、商品や取引先に割り振られて、それぞれを識別するためのものです。
身近なものとしては、JANコードが挙げられます。
「フォーマット」は、どの情報をどのような順番で、
何桁の数字で表現するのかの取り決めです。

■J手順の失敗■

玉生:日本では、1985年に、日本チェーンストア協会が、
J手順というプロトコルを制定し、
広く普及したのですが、そのとき、フォーマットは決めませんでした。
単純に事務的な決めごとなのですが、このときに決めなかったために、
現在でも1000を越えるフォーマットが日本中で通信されています。

しかし、これではフォーマットの戦略的意味がありません。
セブン-イレブンの発注も、マツモトキヨシの発注も、
発注の中身はほとんど違わないはずなので、
書式を一つに統一しておけばよかったのですが、
残念ながら現在、EOSは、
標準化のレベルが非常に低い状態のままなのです。

それに加えて、J手順が完全に陳腐化しています。
大手ベンダー各社が、
J手順のサービスを終了するということを宣言しています。

現在、パソコンに標準でついているTCP/IPという通信プロトコルは、
J手順の100倍以上のスピードがあります。 
しかも安価です。

J手順は、テレビ電話の時代の、
モールス信号のようなものだということができるでしょう。
ところが、J手順しか使えないというユーザーが、いまだ日本にはたくさんいます。

これでは「私は電話を知りません。連絡は手紙だけでしかできません」
というようなものです。

プラネットでは、メーカーさん341社、卸店590社をユーザーとして、
EDIのサービスを提供しています。
この加盟企業間でやり取りされる情報は、フォーマットが統一されています。

プロトコルは、プラネット標準プロトコルというものを使用しています。

コードは、GDSと呼ばれる、商品マスタの業界統一データベースを使っています。

発注データ、仕入れデータ、事前出荷情報データ、請求データ…
さまざまなデータの種類が企業間を行ったり来たりします。
それによって、マシンtoマシンによる電子取引が完結するのです。

日用品雑貨、化粧品、ペットフード業界では、
プラネットを介して、大規模な取引が行われています。

今データの種類は24種類。全てフォーマットは標準化されています。
メーカーさんは、プラネット仕様のフォーマットの通信システムを作れば、
プラネットと接続している約600社の卸店さんと、発注情報や請求情報などの交換を、
一気にオンラインで行うことができるようになります。
卸店さんも、プラネットに加盟すれば、数百社のメーカーさんと、
オンライン取引ができるようになります。
これを「N対N接続」といいます。

                                         第四回に続きます

コメント(0)

第2回 メーカーと卸をつなぐEDIネットワーク

2009年1月20日(火曜日)
カテゴリー:

當仲寛哲VS玉生弘昌 対談

 21時32分37秒

當仲寛哲(USP研究所)VS玉生弘昌(プラネット)対談 

當仲: さて、本日は、株式会社プラネットの玉生弘昌社長にお話を伺います。
日本の流通小売業界においては、
伝票や、商品マスタのレイアウトを統一しようという動きが何度も出てきました。
ところが、今までそれがうまくいったことはほとんどありません。

日本の小売業はディテールにこだわります。
そのため、自社の強みを出すために、情報分析の項目ひとつとっても、
他社といかに違うことをするかということを考えます。

それが、わが国の小売業における、情報システムの標準化を阻んできました。

一方、コンピュータの世界に目を転じてみましょう。
メールやインターネットという、インフラの根本的な仕組みは、
数十年前からあるものですが、そのときからほとんど変化せず、
しっかりと世界中に定着しています。
表面に現れない底辺の技術の統一は、さほど難しくは無いのです。

私たちはこのようなコンピュータの特質というものを知った上で、
コンピュータを業務のどの範囲に適用すべきなのかということを、
考えなければなりません。

そして、小売業の各企業が共通して使うことができるシステムを、
作っていく必要があるのではないでしょうか。

その上で、他社と共通な部分とはまた違ったところで、それぞれの企業ごとの、
商売のディティールを出していけばいいのです。

日用品雑貨分野で、いち早くEDIネットワークを立ち上げられたプラネット。
その玉生社長の話をうかがいながら、
「標準化」とは何かを、この勉強会の場で、議論して、
突き詰めていきたいと考えております。

■日本の流通業におけるネットワーク化の歴史■

玉生:ただいま紹介いただいた、玉生です。
 
私が代表取締役社長を勤めます株式会社プラネットは、
日用品雑貨メーカーと卸企業をつなぐEDIネットワークを提供しております。

加盟企業は2008年9月末現在で、メーカーが341社、卸店が590社。
月間1億レコードの発注や仕入れ等の取引データの通信をしています。

EDIとは、受注側(メーカー)、発注側(卸店)のコンピュータが、
ネットワークでお互いにつながっていて、
発注データ、出荷案内データ、物品受領データ、請求データ等々を、
やりとりするというものです。

いわば、伝票による取引の「マシン to マシン」による自動化です。 

今、流通小売業界には、さまざまなIT化の波が押し寄せています。
EOSは皆さんご存知かと思いますが、EDI、ECR、CRP、CPFR…
さまざまな技術が存在しています。

CRP(連続自動補充)など次世代の取り組みは、
いずれもEDIが稼動していることが前提となっています。
日本の流通におけるネットワーク化は、1980年に、
日本チェーンストア協会(JCA)が、
J手順というEOS用の通信手順を制定したところから始まりました。

これを機に、EOSが盛んになり、現在でも大規模に行われています。
しかしながら、EOSは発注データの片方向通信に過ぎず、
早くEDIを始める必要があります。

そして、1985年、電気通信事業法が施行されました。

それ以前まで、通信は電電公社以外は行ってはいけないとされていましたが、
この法律によって、民間が通信を行ってもよいことになりました。
そして1000社以上のVAN会社が誕生したのです。

VAN(付加価値通信網)とは、
通信の際にコード変換・スピード変換など付加的サービスを行うもので、
広く使われるものと期待されました。

民間の通信事業者が乱立する中で、
花王、ライオン、ユニチャーム、資生堂、P&G等々のメーカーや、
パルタック、あらた、中央物産などの卸店、
それぞれが独自にネットワークを作り、受注や発注を行おうと考えたのです。

しかし、これでは卸店もメーカーも端末だらけになってしまいます。

そこで先手を打って、大手メーカー8社が共同して設立したのが、プラネットです。
幸い、卸店とメーカー間の交通整理役としてのプラネットの役割が、
多くの企業に受け入れられ、業界統一的なネットワークインフラとなりました。
それから徐々に加盟企業を拡大し、現在の規模のネットワークができています。
最近はペットフードや大衆薬メーカーが増えています。

■インフォメーションオーガナイザーとしてのプラネット■

玉生: 現在、プラネットでは、加盟企業のうち200社近くが自動発注を行っています。

それまでは卸店の発注係が、丸1日かけて、
いろいろなメーカーにFAXや電話で発注をかけていたのを、
プラネット仕様を使って、データを一発どんと送ると、
1日あたり10分程度で、全ての発注が終了するようになります。

これは、当然、伝票レスです。

発注情報は、データとしてネットワーク上でやりとりするだけでなく、
FAXのような形にして送信することもできます。
ですから卸店は、プラネットに加盟していないメーカーさんに対しても、
何の気兼ねなく普段どおりの手順で発注することができます。

EDIは、もはや流通業にとって、
欠かすことができない重要な社会的基盤ということができるでしょう。
私たちの仕事は、その一端を担っています。

プラネットは、インフォメーションオーガナイザーという立場を取っています。
確かに、ネットワークや端末機を共同利用すれば、便利は便利なのですが、
考えてみれば同じ端末を、同業者が使っていますので、
競争会社同士が相乗りしている状態です。

私たちは、通信の部分については、
第三者であるインテックという通信会社に、全てアウトソーシングをしています。

プラネット自身はその運営をしているだけで、通信そのものはしていません。
ですから、プラネットがデータの中身を覗いてみようと思っても、
見ることはできません。

そういう構造にしたことで、各社の理解を得て、ユーザーが増えたわけです。

玉生社長

通信というのは、技術が進歩しており、複雑です。
それを理解して使いこなさねばならなりません。
大手メーカー各社とも、優秀なSEがいたとしても、
ネットワークの専門家を抱えているわけではありません。

そこで、プラネットが彼らになりかわって最適な選択をしていこうと考えています。
そういう意味では、ハードウェアでもなく、ソフトウェアでもなく、
私どもはユースウェアの会社だと考えています。
                                            第3回へ続きます

コメント(0)