2010年2月2日(火曜日)

第4弾 サトーカメラ 佐藤勝人の巻[第3回/経営理念]

カテゴリー: サトーカメラ 佐藤勝人の巻  16時24分44秒

佐藤勝人氏:

自分的にはいい経験してるなぁと思いますよ。
いい勉強してるなと。
だから商業界が主催するアメリカセミナーにも行ったんです。
2002年か、2003年くらいから。
業態論だとか、どの商品に変えていけばいいのか、勉強するわけです。

そこで、どうしてもぶつかるのがチェーストア理論なんです。
なぜなら、すでにチェーンストア志向で経営されている人たちはいっぱいいる。
何か勉強すればするほど、
今の自分の商売から離れていっちゃうなと。
経営手法、経営論になってくるんですね。
悩んでました。
自分なりに、色々調べながらね。
だから勉強にはまったんですけどね。

★思い出を一生キレイに残すために

佐藤勝人氏:

その中で、腹をくくって掲げたのが、
「思い出を一生キレイに残すために」の経営理念だったんです。

思い出を一生キレイに残すために俺たちはやるんだと。
だから途中で撮るものは変わっても関係ないと。
カメラから他の形なるのかもしれない。
フィルムが無くなるかもしれない。
そんなものはどうでもいい、記録方式はどうでもいい。
俺たちはこのためにやってるんだと、決めたんです。

その次に、商売のエリアを決めたんです。
全国展開を考えていくと、
先輩たちがやってる商売になってしまうんで、
今からやっても敵わないなと。
今からトヨタを作っても無理というのと一緒で、
ちょっと厳しいかもしれないなと。
取り敢えず商売のエリアを絞ってみよう。栃木県に絞ってみようと。

その瞬間に、やるべきことが見え始めたというか。
思い出を一生キレイに残すための商売を、
エリアを絞って展開しようと決めた瞬間に、
我々の大好きな商売、
我々の大好きな市場創造、文化創造ができるってことが見えたときに、
やっと、経営してて、商売してて面白いなって思えるようになりました。

結城氏:

素晴らしいですよね。まったくその通り。
いつも佐藤さんのいっている
「思い出を一生キレイに残すために」っていうのが、
サトーカメラの大スローガンですよね。
この基本理念があるからね。

★「視力を守る」と「籠かきの教訓」

結城氏:

商業界の同友会の方で、
熊本で「メガネのヨネザワ」って150店ほどのメガネ屋さんをやっている
米澤さんって方がいるんですが、
「お客様の視力を守る」というのが会社の考え方なんですね。
視力を守る、視力っていうのは「目の力」ですよね。

だから米澤さんの二人の息子さん達は、
二人とも眼医者、眼科医なんですね。
その意味では、「お客様の視力を守る」っていう経営思想を
手段は違っても親子そろってやっている。
そういう思想の広がりを持っているんです。

僕の話にはいつも出てきますけど、江戸時代の「籠かきの教訓」。
江戸時代の籠かきは、
自分の仕事を「籠を担いで走ること」だと思ってたら、
江戸時代で、籠かきが無くなってしまった。
でも自分の仕事は、
「お客様を運ぶ仕事だ」という位置づけで仕事をしていたら、
明治時代になったら蒸気機関をやったり、
今の時代は新幹線を走らせたり、飛行機を飛ばしたり、
お客様を運んで、海外へ連れてったりという仕事が隆盛している。

つまり、自分の仕事の本質は何なのかというのを、
しっかり見定めてなければ迷ってしまうし、時代に対応できない。
そういう話をするんですけ。
佐藤さんの「思い出を一生キレイに残すために」というのは、
正しくその籠かきの教訓であり、
米澤さんの「お客様の視力を守る」と共通していて、
これが商売の全てのスタートだということですよね。

★常識破りのカメラの11年保証

佐藤勝人氏:

これはこれで、いつも議論になるんですよ。
どんな商品を売ろうとしても、
「思い出を一生キレイに残すために」の考えに、
ちゃんとフィットしてるのかしていないのか。
例えば、サトカメでは11年保証ってやってるんです。
カメラの11年保証。
ありえないんですよ、そんなこと。

よく言うんですよ。
「11年も使うバカいないだろう」

するとみんな言います。
「うん、いないですよ」
「何でやるんですか?どういうことですか?」って。

僕は答えるわけです。
「保証書というのは、
壊れないことを保証するためにあるメーカーの保証でしょ。
だから保証が切れた瞬間に壊れやすいんでしょ。
壊れたらお客さんは皆腹立つわけでしょ。許せないんだ、俺も」
「じゃ、11年ってどういう基準なんですか?」

メーカーで修理部品を持ってるのが10年なんですよ。
そうすると、あと1年くらいはギリギリ部品を取っといてある。
この範囲が11年なんです。
うちなりに調べた結果ね。

だから、11年までだったら修理することはできる。
直す、直さないは別にしてね。
11年の保証期間があれば、1回や2回は壊れるかもしれない。
サトカメだったら、その時に直してあげられるってことです。
普通の会社だったら、
直すとコストもかかるし、めんどくさいから
「買い変えろ、買い替えろ」って言う。

それも分かるんだけど、私よく言うんですよ。
「思い出を一生キレイに残すために」、
カメラを買い替えたって、思い出は残りません。
その金額分を、写真にしてください。
画像で残してくださいってね。
普通は3年に一度カメラを買い替えさせる。
4~5回ほど買い替えるわけです、11年の間に。
そっちの方が、メーカーの発想的に効率いいんだろうけども、
「思い出を一生キレイに残せない」から、うちじゃダメ!

もちろん、お客様も使い勝手が悪くて
直してまで使い続けるのはヤダということもあるけど、
そうじゃない限りは、とにかく直して使ってもらう。
少しでも修理代を安くするから、その分、写真に残してくださいと。

さらに、カメラは最終的に捨てるっていうお客様には、
最後は使わなくてもいいから、
直して取っといてくださいって言いいなさいと。

「何でですか?」(スタッフ)
「お客様がカメラ買った時は、どういう時だった?」

だいたい、子供が生まれたり、結婚したときなど、お祝い時なんですよ。
例えば子供さんが生まれた時にお客様はカメラを買ったら、
ずーと、5年でも6年でもそのカメラで、一緒に撮ったわけです。

子供から見た思い出というのは、このカメラを覗いたお父さんなんです。
このカメラにも思い出があるはずだと。
だからこれも使えるようにして取っておいて、
子供さんが大きくなった時に、それをあげればいいじゃないかと。

「これパパが使ったやつだよね」

そこに文化が生まれる。
だから11年までだったら直すことが出来るから、うちではやろうと。

そんなバカなことやってるやつはいないって笑われたけれども、
サトカメはやってる。
その代わり無償ではできないから、
取るところはしっかり取りますけど。11年保証をやってます。


結城:

今の時代にね、不況になってきて、その考え方はピタリだしね、むしろね。
ずーとつながりますよね。

その話で言うと、2010年2月期の決算会社、上場企業の会社の中で、
これからの一年間、一番経常利益率が高いという会社が、
ガリバー・インターナショナルという自動車の中古の会社。
2月に決算した会社がですね、
2010年の今期はこういう予想ですって、みんな出すんですね。
それを、全部ランキングに上げていったら、
ダントツのトップ、92%の経常利益の伸び率がガリバーなんですよ。

この時代に、車だって中古ですから。
もう新車を買い替えるっていうことではなくて、
古い車を買ったり、古い車をずっとメンテナンスして使う、
そういうトレンドになってきてますからね。
サトーカメラの11年保証っていうのは、正しく今の時代に合ってる。

今の時代に合ってるというか、好況になろうが不況になろうが、
ずーと時代に合ってるという考え方で見た方がいいと思いますけどね。
素晴らしいアイデアですね。

それともう一つ。
これは佐藤さんの持論ですけども、エリアを決めた。
栃木に決めたと。
これはさっきもおっしゃったけど、
経営戦略として、実に見事だと思うんですけどね。

★エリアを絞って質を高める経営こそ無上の喜び

佐藤勝人氏:

経営論っていっぱいあって、
極端に小さい話か、大きい話しかないってやってるけどね。
チェーンストア理論が正しいと私も思うし、
それがキチッとできないと、商圏を広げることは難しい。
基本ですからね。
色々考えて、調べた結果、エリアを絞り込んだ。
自分自身の性格の問題もある。
もちろん勉強不足もあるんですよ。
自分ではちょっと違うかなと思い始めたんですよね。

それは先輩達がすでにやってますから、
その店を見に行ったり、話を聞いて、
もちろん尊敬はするんですけども、何か違う自分がいるんですよ。
熱くなれない自分がね。

やっぱり経営ってものは、結城先生もそうですけど、
80歳までやろうって思ってるわけですから、
熱くならないとできませんからね。

そうすると自分が命がけで突き進みたいって思ったときに、
どういうやり方ができるかなって思ったら、、
エリアを絞り込んで、そこで質を高めていくということが、
何て言うんですか、
自分にとっては最高にこの上ない喜びというか。
商売やってて、相手が大きい会社だろうが何だろうが、
「いや、うちの方が上だよ」じゃないけど、
そう言いたいっていうか、
そういう考えに行き着きましたね。

だからアメリカに視察に行っても、
ナゲットマーケットとか、
ああいう店の方がカッコいいって見ちゃうんですよ。
これはもう性格の問題かなと(笑)。

結城:

いや、それは佐藤さんの性格というわけじゃなくてね、
非常にセオリーに則ってますよ。

チェーンストアの一つの理屈っていうのが、
ローカルチェーンが最終単位、一番重要な単位。
ローカルチェーンは一つの小商圏と言いますけど、
店舗が隣接して一つの文化圏が、一つのローカルチェーンの単位で、
そこで強いことが何よりも大事です。
全体で大きいのは何の意味もないっていうのが、
僕のチェーンストアの認識の仕方なんですね。
ローカルチェーンが一番重要な単位。

佐藤さんの栃木に決めたっていうのは、
ローカルチェーンを作るっていう、
正しい仮想かもしれませんね。

続きます

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