[第1回] 根本的な問題点
お待たせいたしました。
本日より、POPのプロ・中山政男先生と結城義晴のSpecial対談
『間違いだらけのPOP!にモノ申す』
を連載でお届けいたします。
店頭での現状、問題点を洗い出し、本来のPOPの役割について
中山先生と結城が鋭い切り口で語りつくします。 [事務局]
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この5年間でPOPが乱れている
結城義晴
中山先生はスーパーマーケットをはじめ、
小売業のPOPについて長年、指導をされてきました。最近、アメリカのスーパーマーケットを見てきたばかりですが、
改めて思うのは、
アメリカのスーパーマーケットの売場は、
商品そのものが、お客に訴えかけている。
POPはプライスカードを中心に展開されていて、
非常にシンプルで、お客は分かりやすい。トレーダージョーにしても、ホールフーズにしても、
あるいは、セイフウェイにしてもウォルマートにしても、
そうです。
それでいて、お店の主張がきちんと出ている。コーナーボードやサイン、
おすすめする商品のショーカードにしても、デザインの統一が図られている。
企業ごとに、あるいは店ごとにデザイナーがいるそうで、
その店の主張がこめられたビジュアルツールが展開されているわけです。日本では、近年、「コトPOP」などといわれ、
POPの効用があらためて注目されていて、それは大事なことなのですが、
どうも、店頭でPOPだけ氾濫している気がしてならない。
中山政男
私はPOPづくりの指導をさせていただいて、
何十年と店頭をも見てきましたが、
ここ5年くらいでしょうか、
あまりにも店頭のPOPがひどくなってしまっています。POPコンサルタントとして、この業界で
長年、仕事をさせていただいてきました。
自分なりに、これをなんとか直さなきゃいけない、
その責任があると思っているんです。だから、私で役に立つことがあればと、
一年中、全国を歩いて、お話しさせていただいている。店頭のPOPの乱れには、
いろんな理由があるんだろうとおもいます。
コンサルタントの方の影響があったり、
機械化が進んで、誰もがPOPがつくれるようになったり。
その機械化を先頭になって進めてきたのは、
私自身ですから、その責任もあるでしょう。
でも、どうも勘違いされている。私がスーパーマーケットにいた頃は、
POPのデザインと制作技術を学んで、
そのうえで、商品部と相談しながら
店頭のPOPデザインを決めていた。
だから、店のデザインもキレイに統一されていた。それがいつの間にか、パソコンと印刷機で
基礎を学ばなくとも、誰でもが作れるようになってしまった。機械化は、
良かったのか、
悪かったのか。ただね、機械でもちゃんとできていないですよね。
例えば、これなんかは(POPの写真を示して)
何が言いたいのかが分からない。
結城
1枚のPOPに情報が入りすぎているんですね。
中山
「今日はこれだ」って、訴えているんですが、
あれもこれもとPOP枚数が多くて、
何がおすすめなのか少しもわからない。
手書きの問題点
中山
ある先生が「手書きがいい」といったら、
こうなってしまったんですよ。
手書きがいいと言ったって、
これではあまりにもひどいだろうと思う。こうしたことが実は全国の店頭で行われているんです。
いまここにあるPOP事例は、
大きいところで数百億円規模の企業です。
10億、50億、100億、500億規模の
チェーンストア企業でもこれが現状です。
驚くじゃないですか。
POPシステム会社が、
導入先の小売企業と一緒になって
いいものをつくろうという意識が
希薄になったことも原因でしょう。いまは、POPシステム開発よりも、
デジタルサイネージや電子POPに関心が移っている。そうしたなか、誰かが「手書きの方がいい」といいはじめた。
もちろん、手書きはいいんです。
技術がしっかりしていれば。でも、実際には、
何が書いてあるか分からないものが多いんです。
誤字や脱字、送り仮名が抜けてたり。ところが平気でこうしたPOPがつけられているんです。
見直すこともしないで、作ったらそのままをつけてします。そんなPOPが店頭に溢れているんです。
<続きます>
1 件のコメント
時代が流れているんだから、POPの仕組みや作り方だって変わってもいいと思いますが?
今のお客様がどちらを支持しているのかが大事なのではないでしょうか。