結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2025年07月12日(土曜日)

ひこばえの会で話した「無印のころ」と「起業家精神」

ちょっと涼しい土曜日。

東京・自由が丘へ。
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いつもの花屋・モンソフルール。
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ほおずきを提案していた。
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大学生のころ、歌をつくった。
メロディーとコード進行は覚えているが、
歌詞は確かではない。

御免。

作詩はいばらみちをさん。作曲は私。
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ほおずきの隣には、
ハイビスカス。
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家に帰ると、
道端にハマオモト。
もう枯れそうだ。
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夕方、再び家を出て、
白幡クラブの会計報告書にサインをした。
ささやかな地域ボランティア。

その足で日ノ出町へ。

仲間が集まると、
いつもの万喜多へ。IMG_4314 (002)

高校時代の同人誌「孼(ひこばえ)」の仲間。
7人いるけど、今日は4人。

ずっと正月に会っていたが、
コロナが収まったころから、
3カ月に一度、集まることにした。

左の廣部秀一は一番の多作家で、
長い小説を書いていた。

その隣の関孝和が世話人で、
関も小説家だった。

右の城戸康は詩人だった。
私は城戸の作品が好きだった。IMG_4318 (002)

近況を報告すると、必ず病気自慢から始まる。

ずいぶん飲んでから私は、
商業界の社長を辞めたころのことを、
思い出しながら話した。

最初の「無印」のころ、
横浜の関内にあった名刺屋に飛び込んで、
一枚の名刺をつくった。

肩書のないグレーの名刺だ。
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住所と電話番号、メールアドレスと、
結城義晴のblog[毎日更新宣言]のアドレス。

それだけの名刺。

その前のものは、
株式会社商業界代表取締役社長。
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株式会社商人舎をつくって、
その代表取締役の名刺ができた。
今も変わらない。

すぐにこんな名刺もできた。
コーネル大学RMPジャパン副学長。
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いずれも懐かしい。

最初のグレーの名刺を制作してくれたのが、
㈱日本名刺印刷。

その鈴木堅社長とはとても親しくなって、
雑誌などの印刷を一手に、
お願いするようになった。

商人舎編集スタッフの鈴木綾子さんは、
鈴木社長の義理の妹だ。
雑誌などのデザイナー七海真理さんは、
鈴木堅さんの実の妹。

古巣の商業界とは、
まったく関係しない人たちと出会って、
ゼロから出発した。

大変なことだったが、
それがよかったと思っている。

今、いろいろな人が、
会社から独立して仕事をしようとしている。

前職で一社員としてやっていた仕事や事業を、
断りもなしに自分のもののように始めたりする。

これは明らかなルール違反だが、
そんなことがまかり通るはずはない。
もちろんそんな事業は成功しない。

たった一人で、
あるいはわずかの仲間と、
ゼロから始める。

それが「起業家精神」であり、
企業家精神である。

そんなことを話した。

ピーター・ドラッカー。
「企業家は変化を当然かつ健全なものにする」

「彼ら自身は、それらの変化を
引き起こさないかもしれない。
しかし、変化を探し、変化に対応し、
変化を機会として利用する」

「これが企業家および企業家精神の定義である」

前職の仕事をそのまま盗むことなど、
起業家精神とは正反対の恥ずべき行為だ。

関君からは手製の線香花火を貰った。

今も「科学の祭典」のブース代表をしている。
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そのブースで子供たちに、
線香花火のつくり方を教える。

いい気分で孼の会は終わった。IMG_4320 (002)
無印のときにこそ、
自分の力が試される。

その自分の力を信じる。

そこから始めるのがいい。

〈結城義晴〉

2025年07月11日(金曜日)

セブン&アイ第1四半期決算の「努力は夢中に勝てへん」

月刊商人舎7月号の表紙。
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平原に赤い扉。
キリンがそれを潜り抜けると、
象に変わる。

野暮な説明だけれど、
これを「居抜き」出店と見立てた。

いかがでしょうか。

商人舎の表紙はいつも、
一捻りしたイラストを使います。

6月号の特集は、
「’25ニッポン小売業番付」
そのイラスト。
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これも面白い。
気に入っている。

編集部とデザイナーが、
楽しみつつイラストを探しまくり、
デザインに工夫を凝らしてつくります。

表紙も楽しんでください。

今日は1日、横浜オフィス。

毎月書いている「セルコレポート」が届いた。
連載「艱難は商人を鍛える」
第39回。
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午後に入って来客。
㈱寺岡精工リテイル事業部の皆さん。
私の左が取締役事業部長の齋藤文克さん、
営業グループ部長の甲斐圭一郎さん、
右が開発グループ部長の佐々木和哉さん。
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いくつかの質問に答えて、
いくつかのアドバイスをした。

それから夕方、スクワット。
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今日はノーマルスクワット50回。
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50回目はちょっとしんどいが、
普通にできるようになった。
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さて第1四半期決算が次々に発表されている。

商人舎流通SuperNews。
セブン&アイnews|
第1Q営業収益2兆7738億円1.6%増・純利益129%増

昨日の夕方に記者会見が開かれた。
私はオフィスでオンラインで見た。

画面には決算説明資料が移される。
しかし語り手の映像はない。
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セブン&アイはずっと顔を出さない。

スティーブン・デイカス社長に変わったから、
これも変わると思ったが、
そうでもないらしい。

2026年2月期第1四半期の営業収益は、
2兆7738億円、前年増減率1.6%増。

営業利益650億7600万円、9.7%増。
営業段階では増収増益。

しかし経常利益は533億円で3.1%減。
四半期純利益は490億円、129.2%増。

有価証券の評価益の減少で経常減益。
だがイトーヨーカ堂の店舗売却益によって、
純利益が大幅増加。

固定資産売却益は372億円。
あれだけの店舗を開発した、
時間と知恵と経費を想像すると、
悲しい372億円だ。

結果として営業利益率2.3%、
経常利益率1.9%。

厳しく言えばセブン&アイは現在、
並み以下の収益性の企業である。

国内コンビニエンスストア事業は、
営業収益2235億円、0.7%減。
営業利益545億円、11.0%減。

チェーン全店売上高は1兆3461億円で1.4%増。

海外コンビニエンスストア事業は、
営業収益2兆0936億円、3.2%増。
営業利益86億8700万円、94.2%増。

スーパーストア事業の営業収益は、
3395億円、5.5%減。
営業利益84億9600万円、294.8%増。

イトーヨーカ堂は営業利益53億7500万円、
前年同期は6億6200万円の営業損失。

ヨークベニマルは営業利益34億9200万円、
20.3%の減少。

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まだ過渡期のセブン&アイ。

営業収益は米国セブン-イレブン、
営業利益は国内セブン-イレブン。
その国内コンビニが減収減益。

全体を俯瞰するとまだまだ厳しい。

全社一丸となって、
頑張ってほしい。

それが見えないところが辛い。

朝日新聞「折々のことば」
第3441回。

好之者不如楽之者
〈孔子〉

「これを好む者は
これを楽しむ者に如(し)かず」

「好むというのは楽しむのには及ばない」

ある対象に執着する人は、
それと一体になれる人に、
所詮(しょせん)(かな)わない。
『論語』(金谷治訳注)雍也(ようや)第六から。

編著者の鷲田誠一さん。
なじみの理髪店主がふと呟(つぶや)いた。
「努力は夢中に勝てへんて、よう言いますね」

夢中でいると何と競うこともない、
だから無敵だ。

セブン-イレブンも、
イトーヨーカ堂もヨークベニマルも、
かつてはみんな仕事に夢中だった。

いまは、利益を上げることに努力している。

かつての自分たちに、
今の自分たちがかなわない。

夢中でいると、
競う必要がない。

努力は夢中に勝てへん、のだ。

〈結城義晴〉

2025年07月10日(木曜日)

商人舎7月号特集「居抜き」の是非の「トルストイ派と寺山修司派」

月刊商人舎、本日発刊!
2025-07商人舎

[特集]
「居抜き」の是非
店舗開発の標準化パラドックス

[Cover Message]
チェーンストア業界に「居抜き出店」が目立つ。ニッポン小売業番付第4位㈱パンパシフィック・インターナショナル・ホールディングス(PPIH)のドン・キホーテ、西友を買収して1兆3000億円規模の番付第7位に躍進する㈱トライアル・ホールディングス、ロピアを核に急速成長を続ける㈱OICグループ。
しかし話題の「居抜き店舗」が急増する現象は、撤退店舗の激増を前提としている。競争の激化、マーケットの縮小、さまざまなコストの高騰、人員の不足。それらの結果、起こるのが「閉店」と「撤退」、「居抜き」の急増。通常のスーパーマーケットやチェーンストアは指をくわえて、この「居抜き」の行進を見ていていいのか。
教科書通りの標準化思想は本来、多店化のスピードを上げるための方策でもあるが、皮肉なことにそれにこだわると物件が見つからず、結果としてチェーン化の速度は鈍る。これこそ現代チェーンストアのパラドックスである。さて、どう考え、どう決断するか。今、「居抜き」の是非を問う。
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目次。
2025商人舎7月号目次
いつものように特集のまえがき。
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特選のケーススタディが3本。

ドン・キホーテの居抜き出店作戦
PPIHの融通無碍な物件開発とマーケット開拓とは?
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ロピア花巻店の広域化作戦
イトーヨーカドー撤退店舗をどう変え、どう活かしたか?
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イオンスタイル竹の塚
ヤマダデンキとのコラボで旧イトーヨーカドーを凌駕する
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「店を再び元気にする」基本メソッド
居抜き物件の活かし方「チェックリスト」(新谷千里)
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今月号は巻頭にパネルディスカッション。
日本スーパーマーケット協会。
「食品流通の新しいカタチ」
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会長の岩崎高治ライフコーポレーション社長、
副会長の川野澄人ヤオコー社長、
服部哲也サミット社長。
それから原和彦アクシアルリテイリング社長、
大髙耕一路ヨークベニマル社長。

豪華なパネラーの発言は、
一言も見落とせない。syouninnsya7gatugou paneru

実にいい内容だった。

それから[新店の注目点]
サミットストアららテラス北綾瀬店
ブランディングと全従業員でサミットらしさをつくりあげる
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巻末に、
52週MD[2025年 下期編]
月別コンセプトと重点販促テーマを提案する
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7月号も全力で執筆し、編集しました。

そして[Message of July]
パラドックスから抜け出せ。

景気が悪くなると、皆が倹約する。
しかしその結果として需要が減る。
そしてさらに景気が悪化する。
「倹約のパラドックス」である。

落書き禁止の壁に、
「落書きするべからず」と書く。
それは許されるのか。
「落書きのパラドックス」と呼ぶ。

正しそうに見える前提。
妥当と思われる推論。
それなのに受け入れがたい結論。
それがパラドックスである。

標準化された店舗は、
出店スピードが早い。
しかし標準に適した物件は出にくい。
だから店舗開発は遅くなる。

パラドックスに陥らないためには、
正しそうに見える前提や、
妥当と思われる推論を、
疑ってみる必要がある。

正しいと言われてきた理論、
わかりやすそうな理屈を、
頭から信用してはいけない。
自分で考えなければならない。

今がよければいい。
リスクを背負わない。
目先の利益を追いかける。
それがパラドックスに陥る原因となる。

革新的技術によって先行した企業は、
その技術にこだわって革新性を喪失し、
新たな革新を果たした新興企業に打倒される。
「イノベーションのジレンマ」。

正しいと言われてきた理論、
妥当と思われている推論。
いつもそれらを疑ってかかれ。
そしてパラドックスの隘路から抜け出せ。
〈結城義晴〉
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最後に朝日新聞「折々のことば」
今日は第3440回。
編著は哲学者の鷲田清一さん。

幸福な家庭はすべてよく
(にか)よったものであるが、
不幸な家庭はみな
それぞれに不幸である。
〈トルストイ〉

ロシアの文豪の『アンナ・カレーニナ』の書き出し。
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幸福については定義をしないまま、
味なことを言う人が多い。

歌人・演劇家の寺山修司の『幸福論』。
「不幸はいつも同じ顔をしているが、
幸福の顔は、それぞれ違っている」
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真逆。

鷲田さん。
「幸福を一つの達成と考えるか、
目的とは無関係な悦(よろこ)びと捉えるかの違いか」

「居抜き」の是非も、
この二人の幸福のとらえ方と同じ。

あなたはトルストイ派か、
寺山修司派か。

〈結城義晴〉

2025年07月09日(水曜日)

ニチリウ・バイヤーセミナーの「理論化・体系化」と「楽しさ・面白さ」

「チェーンストアは、
小売業であり、

卸売業である」
ゴドフリー・レブハー。

1950年代の米国ジャーナリストの言葉。

鋭い。

チェーンストアの卸売業機能を担うのが、
商品部であり、バイヤーである。

カリフォルニア大学のデルバート・ダンカン教授。
「小売業は、
バイヤー(買う機能)であり、

セラー(売る機能)である」

買う機能が商品部であり、
売る機能が店舗である。

今日も、
ニチリウバイヤーセミナー。

梅雨明けの大阪は暑い。
けれど私たちはホテルに缶詰。
それはそれで快適だ。

2日目の午前中は結城義晴の講義。
3時間2講座。
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バイヤーの機能や仕事に関しては、
実践や経験が極めて重要だ。

しかしどんな仕事にも、
セオリーやメソッドはある。
それがバイヤーやマーチャンダイザーの場合、
意外にも理論化・体系化されていない。
企業のなかで継承されていないことも多い。

それを私がやっている。

初めにスライドを使って
「コモディティ化現象」を講義する。IMG_7290

「コモディティ化」とは、
⑴企業間における技術的水準が同質化して、
⑵製品やサービスの差別化が困難になること。
⑶どのブランドを取り上げてみても、
顧客からするとほどんど違いが見いだせない状況。

世界中の大潮流だ。
ブランドや商品のコモディティ化の進捗を、
バイヤーは大前提として仕事をしなければならない。
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工業型商品のコモディティグッズ、
農業型商品のノンコモディティグッズ、
情報型商品のノンコモディティグッズ。
それらの価格政策。

プライベートブランドは、
このコモディティ化現象によって、
主に4つに分類される。
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さらに競争のマーケティングも、
バイヤーの必須の知見だ。
取引先をカテゴリーごとに、
4つに分類しておかねばならない。

第1講義の最後は、
マーケティングの分析手法。
その中からSWOT分析とPPM分析。
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PPM分析における、
製品のライフサイクル。IMG_7306

これらの分析手法は商品開発の際に、
論理的なベースになる。
参加者たちも真剣だ。
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短い休憩をはさんで、
プライベートブランドの体系。
講義内容はより具体的になる。
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テスコやイオン、セブン&アイの事例。
PBを受託するメーカーの動静。
一番重要なところだ。

さらにバーチカルマーチャンダイジング。
垂直統合の大きな錯覚や誤解。
この講義は今、突っ込んで指摘する人はいない。

最後はチェーンストアのアパレル問題を、
一気呵成に語った。
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午後は昨日に引き続いて、
グループディスカッション。
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議論して結論を導き、資料をつくる。
いまやパソコンでの資料づくりは当たり前だ。
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そして9つの班の発表。
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受講者は、
プレゼンテーション内容を聞いて、
質問する。
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それに対して発表者が答える。
最後に結城義晴が講評する。
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発表内容は食品から衣料、住関連まで、
多岐にわたった。
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それぞれに商品開発の視点が良かった。
しかも2日間で学んだ
マーケティングの分析手法を使って発表してくれた。IMG_7338

ニチリウグループ企業の、
地域資源を活かした提案もあった。
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バイヤーたちは市場をよく勉強しているし、
グループでの議論や情報交換を通じて、
新たな知見を得る。
しかもグループ企業の理解も深める。
グループワークのいいところだ。

セミナーの最後は、
バイヤーの仕事の締めくくり。
すなわちサプライチェーンマネジメント。

最後にバイヤーのコミュニケーション。
ドラッカーのコミュニケーションを講義する。
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バイヤーの意義とその魅力を語ると、
参加者たちの表情が輝いてきた。
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2日間の講義を通して、
仕事の面白さと深さを感じてくれたら、
講義した甲斐がある。
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最後に拍手をもらった。
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ご清聴に感謝したい。

参加者全員を送り出して、
日本流通産業㈱人事総務部のお二人と写真。
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人事総務リーダーの松吉知子さん。
部長の酒井幸男さん。

このバイヤーセミナーは、
年々、充実して、
成果が顕著になってきた。

来年も開催される。

商人のことを英語で、
Merchantという。

マーチャンダイジングする人。

チェーンストアの主役のひとつが、
バイヤーであり、マーチャンダイザーである。

朝日新聞「折々のことば」
第3439回。

心のスタミナが
充分ではなかったので、
マラソン練習には苦労しました。
〈増田明美〉
増田明美

長距離ランナーとして、
めざましい記録を打ち立てた。
が、度重なるアクシデントに苦しんだ

「とくにマラソンでは、
心のスタミナが重要です」

「昔、修行僧のような顔つきで走っていたら、
ピクニックに行くようにして完走した
マラソンの先輩に、
楽しまないと続かないよと言われ、
人生の走りまで変わった」
〈『公研』6月号より〉

仕事は長いマラソンのようなものだ。
ピクニックに行くように、
楽しまないと続かない。

バイヤーの仕事は本来、
楽しいものだ。

健闘を祈る。

〈結城義晴〉

2025年07月08日(火曜日)

ニチリウ・バイヤーセミナーの52週MDとバイヤーズマニュアル

 関東付近に梅雨前線が復活。

気象庁、正しい判断だった。
ホッとしたことだろう。

しかし大阪は梅雨明けしたにもかかわらず、
蒸し暑い。

昨日夜からその大阪。

ニチリウグループ・バイヤーセミナー。
日本流通産業㈱が主催する。
1泊2日の研修会。

会場はホテルクライトン新大阪。
その2階がセミナー会場。
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バイヤーセミナーは2021年に開始。
年1回の開催で、今年は4回目。

ニチリウグループの加盟企業から、
51名が参加。

毎年参加者が増えて、
定番のセミナーになってきた。IMG_E7211

10時半からスタート。IMG_7216
司会は松吉佐知子さん。
日本流通産業人事総務部人事総務チームリーダー。

初めにニチリウの活動の動画を視聴。
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講義は結城義晴と鈴木哲男さん。
鈴木さんは㈱REA会長で、
もちろん52週MDの開祖。

午前中は私の担当。
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ニチリウが創設されたのは1974年、
大規模小売店舗法が施行された年だ。

ニチリウ創設のトップたちは、
大いに危機感を持っていた。

それが共同仕入れ機構となった。

今もトランプ関税をはじめ、
危機感は強い。

だからこの6月23日、
Aコープ共同機構がニチリウに参加した。
9社で476店舗、2997億円の売上高だ。

ニチリウは16社、3生協、2641店。
2024年2月期で総売上高3兆8296億円。

全国の優良なチェーンストアが加盟する。

講義はそんなことを語った後、
まずは「コロナは時間を早めた」を、
スライドで講義した。

膨張と成長は重要な考え方だし、
トレードオンはバイイングにとっても、
今、必須の概念だ。

それからマネジメントの6つの体系、
マーケティングの位置づけを講義した。

バイイングはマーケティングだからである。IMG_7227

昼食をはさんで午後は、
鈴木哲男先生。

テーマは、
「バイヤーのための52週MD&ストアコンパリゾン」IMG_7231

店舗の52週MDを実現するために、
商品本部とバイヤーがなすべきことを、
具体的な事例をもとに、講義する。IMG_7234

鈴木先生自身の調査や各社の事例をもとに、
実践的な技術を解説してくれる。
バイヤーにとっても学ぶことは多い。IMG_7237
3時間を一気呵成の講義。
いつも以上に乗っている印象だった。

最後の講義は再び、結城義晴。IMG_7241

テーマは、
「実践バイヤーズマニュアル」
チェーンストアにおけるバイヤーの機能と位置づけ、
バイヤーとマーチャンダイザーの違い、
バイイングの基本、
取引先との関係づくりと条件などを講義する。IMG_7247

皆、真剣に聞いてくれる。IMG_7255

初日の講義の最後は、
ブルーオーシャン戦略。
「ERRCアクション・マトリックス」。
4つのアクションはバイヤーにとって、
必須の仕事である。

それから「バリューエンジニアリング」。
その5つの考え方。
4番目と5番目に力を入れてほしい。
とくに5番目に拒否感をもってはならない。IMG_7252

講義が終わると、
参加者は9つのグループに分かれて、
ディスカッション。IMG_7260

学んだことから課題を決めて、
その解決施策を検討する。
明日はその発表もある。IMG_7261

終日聴講してくれた田淵寿さん。
日本流通産業専務。IMG_E7259

夜7時からは、
交流を兼ねた食事会。
もちろん司会は松吉さん。IMG_7279

かんぱ~い。
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講師と事務局もかんぱ~い。
真ん中は、酒井幸男さん。
人事総務部部長。
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鈴木先生と事務局のお二人、
そして商人舎GMの亀谷しづえ。

ニチリウグループ企業の動向や、
関西マーケットの競争状況、
さらには激変するチェーンストア産業など、
話題は尽きなかった。IMG_7268

懇親会の終盤には参加者との撮影タイム。

サンエーの皆さん。IMG_7271

Bチームと有志の皆さん。IMG_7274

Aチームの元気な皆さん。IMG_7276

最後は1本締め。
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最後はサンエーの皆さんと、
アメリカ視察の話で盛り上がった。

皆さんをアメリカに連れて行って、
一緒に学びたい。
そう思った。
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ドナルド・トランプの書簡が届いた。
日本に対しては25%の関税をかけるという通達。

それを跳ね返す力は、
日本の政治にも経済にもない。

しばらくはそれを受け入れるしかないのか。

しかしこれによってバイイングは変わる。
かつてと同じソーシング活動は、
これからできないだろう。

それでも経済行為の本質は、
リスクを負うことだ。

ピーター・ドラッカー先生が、
力強く言い切った。

それは私たちに対する励ましの言葉だ。
(つづきます)

〈結城義晴〉

2025年07月07日(月曜日)

廣田正さん、ご逝去「廣田の後に廣田なし」/伊藤園陳列コンテスト

Everybody, Good Monday!
[2025vol㉗]

2025年第28週。
7月第2週。

七夕。

二十四節気の小暑。
暑い日です。

訃報。
廣田正さん。

「廣田の前に廣田なく、
廣田の後に廣田なし」

私は言い続けた。

㈱菱食社長、会長を担って、
食品卸売業界にこの人ありと言われた。

商人舎流通SuperNews。
訃報|
廣田正㈱菱食(現三菱食品)元社長・会長逝去/92歳

7月3日(木) 、老衰のため、
92歳で永眠された。

最後に一緒に撮った写真は、
学習院マネジメントスクールの最終講義のとき。
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1933年2月27日のお生まれ。
1955年、慶応義塾大学経済学部卒業後、
(株)北洋商会入社。
社員38人、年間売上高10億円の会社だった。

しかし会社はぐんぐん成長した。
1962年、林周二著『流通革命』がベストセラーになった。
廣田さんが入社して、7年経ったときだ。
「問屋無用論」がジャーナリスティックに書かれていた。

しかし、この試練を廣田さんと菱食は、
くぐりぬけてきた。

1960年代、廣田さんは、
「不満足領域の継続は新産業を生む」と信じた。

そして「後進の先進性」を学んだ。

1970年2月、同社取締役、
1973年2月、常務取締役。
1979年、北洋商事と野田喜商事㈱、新菱商事㈱が、
3社合併をして㈱菱食が誕生した。

1982年3月、代表取締役専務取締役、
1987年3月、代表取締役副社長、
1989年3月、代表取締役社長。

私はこの年に食品商業編集長となった。
そして廣田さんと深くかかわるようになった。

1995年、東証二部上場、
1997年、東証一部指定替え。

2003年1月、代表取締役会長。

「食品卸売業の仕事を通じて、
社会に貢献していく」

それがライフワークとなった。
そして常に透徹した眼で、
仕事と市場を見続けてきた。

だから小売業に対しても、
製造業に対しても、
総合商社に対しても、
見解や発言がぶれることはなかった。

多くの卸売業と合併し、吸収し、
会社を大きくしてきた。

「50人の会社がかかる病気、
100人の会社がかかる病気。
幼年期・少年期・青年期に
人間がかかる病気がそれぞれありますが、
あれと全く一緒」――。

いろいろな会社の成長を見続けた。

㈱商業界の抱えていた問題を、
廣田さんに助けてもらって、
解決したことがある。

有難かった。

そして私は、大手小売業に対して、
あえて苦言を求めた。
廣田さんは率直に答えてくださった。

「本当は消費者の代わりに
小売業さんが決めているから
小売業さんに価格決定権があって
しかるべきということであって、
その向こうに消費者がいるということを、
ややお忘れになった企業があったのではないか」

「メーカーにとって卸売業が顧客ではない。
卸売業にとって小売業が顧客ではない。
メーカーも卸売業も小売業も、
コンシューマーが共通の顧客だ」

コーネル大学ジャパンでも講師として、
毎年講義をしていただいた。

5つの提言をしてくださった。
dscn4817-1.jpg
1.成長と膨張は違う。
これは田島義博先生の言葉。

2.不満足領域の継続は新産業を生む。
廣田さんの信念。

3.企業の利益はその企業が果たした社会貢献の対価である。

4.「脱皮」には「単純脱皮」と「変態脱皮」がある。
企業の成長には変態脱皮が必要だ。

5.構造変革期にはリーダーの役割がより重要となる。
「志」を持った指導者になってほしい。

とりわけ志の高いリーダーだった。

廣田の前に廣田なく、
廣田の後に廣田なし。

いまでも、そう思う。

廣田さん、
ありがとうございました。
さようなら。

今日は、東京・清水橋の伊藤園本社へ。
IMG_4251 (002)

2025年春期お~いお茶陳列コンテスト。
その最終審査会。

本社エントランスホールには、
ドジャーズの大谷翔平選手の等身大パネル。
その隣にユニフォームが飾られている。
IMG_4253 (002)

2024年から伊藤園のグローバルアンバサダー。
MLB30球団スペシャルエディションボトル。itoen03

今年に入って、
陳列コンテストは2回に分けて行われた。
第1弾が1月20日から2月28日まで、
第2弾が3月3日~4月6日まで。

審査会場は地下会議室。
応募作品がずらりと並ぶ。IMG_9307

事務局からコンテストの概要と審査についての説明。itoen06

審査委員は伊藤園トップの3人の皆さん、
それから商人舎の二人と食品商業編集長。
itoen06-1

陳列コンテストは、
ドジャーブルーの大谷選手を際立たせた、
応募作品が多数を占めた。

応募店舗数も過去最大。
翔平効果だ。

4つのコースごとに6人の審査員が、
いいと思う作品に付せんを貼っていく。

付せんの多い作品が選抜されて、
最後は審査員の議論で、
大賞と優秀賞を決める。itoen07

店舗賞を決めたら、次は企業賞。itoen08

それぞれの企業全体の取り組みを評価する。
こちらも大賞および優秀賞を選ぶ。

すべてのコースの賞を決めたら、
審査員が一言ずつ講評を述べる。
IMG_E9368

最後は雑誌のための審査員の写真撮影。
それぞれに商品を持ってポーズ。

真ん中から右に本庄大介社長、
本庄周介副社長と神谷茂専務。
私の左が松井康彦商人舎プロデューサー、
梅澤聡食品商業編集長。IMG_E9381

最後の最後は、
審査会に携わった全スタッフが集合。itoen10
最終審査会までしっかりと選考してくれた。
ありがとう、感謝します。

審査会が終わると、
役員応接室でお茶をいただきながらの、
恒例の情報交換。
IMG_E9391
どういうわけか故人の話になった。

慶應義塾大学名誉教授の故村田昭治先生。
私は商業界に入社したばかりのころ、
「村田番」だった。

つまり村田先生担当。

村田昭二のトップマネジメントリレー対談。

本庄大介さんも村田先生をよく知っていて、
話は盛り上がった。

故渥美俊一先生の話に移って、
この話も盛り上がった。

梅澤編集長や山本恭広編集長も、
大いにお世話になった。

その渥美先生の『商業経営の精神と技術』は、
私がゴーストライターをやった。
商業界40周年記念出版だった。

それからドン・キホーテやロピアの、
居抜き出店の話など。

大介社長、周介副社長ともに、
実にチェーンストアの情報に詳しくて、
情報交換は盛り上がる。

楽しいひととき。

そのあと私は品川から新幹線に飛び乗った。
そして新大阪へ。

今日は故人のことを思う日だった。
合掌。

では、皆さん、今週も、
志高く、ありたい。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2025年07月06日(日曜日)

「党利党略」ではない参議院と「細幅鍵盤」のピアノ

暑い日だ。

今日、猛暑日地点が、
今年最多の139地点となった。

1日の最高気温が摂氏35度を超える。
それが猛暑日。

第27回参議院選挙の選挙運動も、
この猛暑日では辛いだろう。

朝日新聞の「天声人語」
参議院の独自性を問題にする。

「人は生まれた時は0歳で、
誕生日を迎えて一つ年をとる」

「今では当たり前だが、
かつては生まれた時点で1歳とし、
1月1日に一つ年を加える数え年が普通だった」

現在は「満年齢」だ。

還暦や古希まで満年齢で祝ったりする。

1949年、
「年齢のとなえ方に関する法律」が成立した。
これは参院の発議が発端となった。

「当時、発議の理由を説明したのは、
作家で参院議員の山本有三だった」

あの『路傍の石』の山本有三だ。
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文部委員会で発言した。
「税金は取られ、モノはない。
国民は非常に暗い気持ちになっております」

戦後4年が経過して復興が進んでいた。
しかしGHQ主導の超緊縮策で、
倒産や解雇が相次いでいた。
暗い時代だった。

山本はだからこそ、
満年齢に変えるべきだと訴えた。

数えより年齢が減るので、
「若くなったような気がいたしまして、
国民の心が何となく明るくなるような気がする」

コラム。
「諸政一新の戦後の空気と、
『良識の府』の懐の深さ、
ちゃめっ気も感じる」

初期の参院には、今よりも独自性があった。
政党間の争いで紛糾する衆院を尻目に、
議員立法や法案修正で存在感を示した。

首相への代表質問で、
啖呵(たんか)を切った参議院議員もいた。
「衆院は数の政治だが、
参院は党利党略の場所ではない」

そんな参議院議員、いないかなぁ。

こんなに暑いのだから、
サマータイム導入でも訴えてほしい。

現金給付か消費減税か。

私はどちらも反対だ。

個人の力で、
党派を超えて仲間と声を揃えて、
社会を明るくする参議院議員。

出てきてほしい。

さて新潟日報の巻頭コラム、
「日報抄」

ピアノの鍵盤の標準幅は、
1オクターブ約16.5センチ。

バッハやショパンが活躍した時代は、
今より約8ミリ細かった。

現在の幅になったのは1870年ごろ。

「手の小さな人にとって幅の違いは切実だ」

「女性を中心に手の小ささが妨げとなって
演奏家の道を断念する人や、
ピアノをやめる人がいる」

新潟市の黒田千亜紀さん。
「細幅鍵盤」の普及に取り組む。
ユニバーサル鍵盤と呼んでいる。

オーストラリアで、
ピアノを弾く人を調べたら、
女性の約9割、男性の2割超が、
現在の幅を弾きこなすには
手の大きさが不十分だった。

わかる。

私も手が小さい。
とくに小指が短い。

それなのに学生時代は、
ベースギターを弾いていた。
ピアノもバイエルから練習したが、
オクターブを弾くのがつらかった。

黒田さんも、
手は1オクターブがぎりぎり。
無理に指を広げて練習し、
手を痛めたことがある。

細幅鍵盤を手に入れて、
初めて弾いた時には、
「今までの苦労は何だったのと、
くらくらした」

そして演奏をより楽しめるようになった。
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オクターヴ演奏時のX線像。
『ピアニストの手』酒井直隆著より

グランドピアノなら、
鍵盤は標準幅と容易に交換できる。
海外で細幅も選べるピアノコンクールが始まった。

「目指すのは自分に合う鍵盤を
選べるようにするという当たり前のことです」

コラム。

「それぞれの人に合わせた
道具や環境があればいい。
ピアノに限った話ではない」

同感だ。

私は昨年の5月に、
ラスベガスでlittle Martinを衝動買いした。
ちいさなギターだ。IMG_4250

それがとてもいい。

参議院選挙も、
自分に合った議員を選べるといい。

政党色の強い議員は、
参院にはもう必要ない。

個性豊かで個人の主張をもった議員が欲しい。

〈結城義晴〉

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