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楽しくて、世のため、人のためにもなる| アメリカ流通 浅野秀二のアメリカ寄稿

浅野秀二のアメリカ寄稿

楽しくて、世のため、人のためにもなる

2010年08月10日(火曜日)
カテゴリー:
  • アメリカからのメッセージ
  
1:13 PM

日経新聞8月1日、ページ7に面白い記事があったので、
思わずここに書くことにした。

マサチューセッツ工科大学、名誉教授レスター・サロー氏の
インタビューの記事で、20世紀最高のエコノミスト、
ケインズの言葉が紹介されていた。

100810_nikkei.jpg

「大恐慌の克服法は狂ったように紙幣を印刷し、
狂ったように景気刺激策を打ち出すことだ。
大恐慌を治すなら国民の半分を使ってケンタッキー州の
陸軍基地にある金塊を全部埋め、彼らに時給$5支払う。
次に残る半分の国民に、その金塊を掘り起こさせる、
見つけた人は、その金を自分の物にし、それを全部消費する。」
これが不況脱出の処方箋だと言う。

100810_nikkei2.jpg

私も時々、日銀券をたくさん刷って
一人100万円配ったらどうなるか?と考えたりする。
日本経済はデフレから脱出、円は他の外貨に対して暴落、
それは思うツボではないかと?
しかし、やはり長期的に考えると生産性を伴わない金の分配、
これは国民を無責任・怠惰にする。
社会主義崩壊でそれは経験している。やはり浅知恵か?

次の写真は、アメリカの証券専門紙Barron’s、8月9日の記事である。
デフレの処方箋として、2兆ドルの緊急緩和をするというのである。
ドルを印刷して、印刷しまくるのである。

100810_barrons.jpg

これが日本的沈滞を避ける方法だと、写真のマンガの下に書いてある。

100810_barrons2.jpg

これがオバマ大統領の民主党政権の政策だ。
共和党支持者は、オバマの社会主義的経済政策は失敗すると信じているが、
共和党にも大幅減税以外の不況脱出の妙案は聞かない。

日本は700兆円近い負債をつくって公共事業をやってきたが、
いまだに不景気、それをケインズが生きていたら、どう説明する?

きっと、日本の官僚特有の小出しだったから成功しなかった。
狂ったように景気刺激を打てば違った。
とでも言うのか?
ケインズ政策を、緊急治療とインフラ整備に限るべきだった。

日本はモルヒネを長く使用しすぎた。
自民党によって死に体にされたが、民主党はそれにまたモルヒネを打つという。
多小の延命には成功するが、これで日本は終わる。

100810_berries.jpg

レスター教授は、日本に内需が広がらない理由は、
技術革新がないからと言っている。
アップルのiPodには徹夜で行列するが、ソニー製品には並ばない。
ようするに楽しさがないというのである。
日本は真似は成功したが、追い抜くにはイノベーションが必要で、
イノベーションは政府でなくて、教育だと言うのである。

日本には無駄なことしている社員が多い。
たとえば銀座のデパート、お辞儀は非生産的というのである。
日経の記者が「それは文化の問題だ」いうのには、
どちらが、経済成長に優れているか?と反論している。
私も昔から百貨店の朝の入口に並んでするお辞儀は、
山口組の挨拶と同じだと言い続けてきた。
ロボットがお辞儀をした方がもっと楽しいし、
客の目を見て微笑してた方がうれしいはずだ。

100810_mocha.jpg

ついでにもっと脱線すれば、
2009年盛和塾で最優秀経営者を受賞した
サリナスの世界最大のラン栽培農家の松井さんは、
JALにも知られる存在になった。
彼が日本に行く時、サンフランシスコ空港で支店長が挨拶に来た。
成田でも重役が、バンコックでも現地責任者が挨拶に来た。
松井さんは失望した。
「せっかくUAの利用をやめて、JALを応援しているのに、
これではJALは再生できない。
俺に挨拶に来るような経営は無駄だ。
稲盛会長に電話しなくては?」
これもJALは 文化論とかたづけるのか?

ホールフーズはこの不景気の中、コストカットと売り上げ増で、
昨年の四半期と比較して88%も利益率を上げた。
低価格で攻めているウォルマートは既存店のマイナスなど、
苦戦をしている。

100810_chibi.jpg

「小売業はエンターテイメント産業」と喝破した
スチューレオナルドの創業者。
ホールフーズの経営。
いつの世も楽しさが、不況脱出のキーワードだ。
現代は、楽しさと人々の健康、世界の環境破壊につながらない経営が
求められている。もちろん、コスト管理は言うまでもない。

レスター教授の話から、不況脱出には、
政府の公共事業と、民間の楽しさに繋がるイノベーションの
コラボレーションが必要と理解した。

ローマにも、7万キロの石を敷き詰めた道路や、
市民の一人あたりに1000リットルの水を供給した
11本の水道橋などの公共事業があり、
市民に娯楽を提供した7万2000名の収容能力を誇った
コロッセオ・円形闘技場では、奴隷の剣闘士同士の戦いや、
ライオンと人の格闘などを市民は楽しんだ。
これはあまりにも刹那的で破滅的だ。

100810_colosseum.jpg

現代では、楽しみはあくまで、世のために、人のためになる
知恵と愛をベースとすることが前提となる。
2000年前よりは、人類・社会は精神的には
多少は進化していると信じている。

浅野秀二
8月10日

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