猫の目で見る博物誌――。
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冬の野菜。
みんなおいしい。
一番好きなのは蕪です。

おく霜の一味付けし蕪(かぶら)かな
〈小林一茶〉
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霜が降りるごとに、
一味ずつうまくなる蕪。

カブ(蕪)はアブラナ科アブラナ属、
ラパ種の越年草。

アブラナ属はBrassica、
ラパ種はrapa。
学名はBrassica rapa。
英語ではTurnip。

日本語では「蕪」、
カブラ、カブナ、カブラナ、
ホウサイ(豊菜)、ダイトウナ(大頭菜)など、
各地に様々な呼び名がある。

スズナ(鈴菜)は、
春の七草のひとつに数えられ、
カブの葉の部分のこと。

「カブ」の語源は、
頭の意味の「かぶり」、
根を意味する「株」など、
諸説ある。

頭のような形をした根、
そんな感じでとらえてもいいだろう。
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カブは世界中で栽培されている。
地中海沿岸原産のヨーロッパ系は、
学名Brassica rapa L. var. rapa、
アフガニスタン原産のアジア系は、
学名Brassica rapa L. var. glabra。

日本でも古くからある野菜で、
古事記に記述される「吉備の菘菜(あおな)」、
日本書紀では持統天皇が栽培を推奨した。

だから京野菜などでもカブは、
とても重要な位置を占める。

肥大した球形の根の部分を食べるが、
このカブの可食部分は、
実は「胚軸」と呼ばれる部位。

本当の根は、その下に、
ひげ状に伸びている。
通常はこのひげは切り捨てる。

根の部分の栄養素はビタミンCに富むし、
鉄分・リン・カルシウムなど。
ダイコンとほぼ同じ。

葉にはカロテン、ビタミンC、
そして食物繊維が含まれる。

ダイコンはアブラナ科ダイコン属。
カブはアブラナ科アブラナ属。

品種改良の結果、
ハクサイ・チンゲンサイ、
さらにコマツナなどが生まれ、
これらはカブの仲間。
広義にはカブ菜類。

日本では全国に、
約80品種のカブが栽培されている。
冬の朝の蕪の味噌汁。
いいなあ。
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金町小かぶは最も生産量が多い代表品種。
聖護院かぶは日本で最も大きい。
京都名物千枚漬けに使われる。
天王寺かぶは西日本で代表的な中型種。
大野紅かぶは江戸時代から、
北海道で栽培された。

温海かぶ山形県鶴岡市温海地区の特産。
日野菜かぶは滋賀県特産で、
ダイコンのように細長く、首が赤い。
金沢青かぶは石川県の伝統野菜。
今市かぶは奈良県の早生小カブ。

日本国内で生産される欧米種は、
ゴールデンボール、パープルトップなど。

「かぶらライン」は、
カブの品種を日本の東西に分ける線。
東がヨーロッパ系、西がアジア系。

そのかぶらラインは関ケ原付近になる。

大阪府立大学名誉教授の中尾 佐助が、
「かぶらライン」と名づけた。

ロシアの民話・童話に、
「おおきなかぶ」がある。

ロシア語で「Репка」。
内田莉莎子再話・佐藤忠良画の絵本はいい。
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おじいさんが あまいかぶを
うえました。
「あまい あまい かぶになれ。
大きな おおきな かぶになれ」

あまい げんきのよい
とてつもなく おおきな
かぶが できました。
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おじいさんは
かぶを ぬこうと しました。
うんとこしょ どっこいしょ
ところが かぶは ぬけません。

おじいさんは おばあさんを
よんできました。
おばあさんが おじいさんを ひっぱって
おじいさんが かぶを ひっぱって――
うんとこしょ どっこいしょ
それでも かぶは ぬけません。

おばあさんは まごを よんできました。

まごが おばあさんを ひっぱって
おばあさんが おじいさんを ひっぱって
おじいさんが かぶを ひっぱって――
うんとこしょ どっこいしょ
まだまだ かぶは ぬけません。
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まごは いぬを よんできました。

いぬが まごを ひっぱって
まごが おばあさんを ひっぱって
おばあさんが おじいさんを ひっぱって
おじいさんが かぶを ひっぱって――
うんとこしょ どっこいしょ
まだ まだ まだ まだ ぬけません。
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いぬは ねこを よんできました。

ねこが いぬを ひっぱって
いぬが まごを ひっぱって
まごが おばあさんを ひっぱって
おばあさんが おじいさんを ひっぱって
おじいさんが かぶを ひっぱって――
うんとこしょ どっこいしょ
それでも かぶは ぬけません。

ねこは ねずみを よんできました。
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ねずみが ねこを ひっぱって
ねこが いぬを ひっぱって
いぬが まごを ひっぱって
まごが おばあさんを ひっぱって
おばあさんが おじいさんを ひっぱって
おじいさんが かぶを ひっぱって――
うんとこしょ どっこいしょ

やっと、
かぶは ぬけました。
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かぶがぬけて、
よかった、よかった。

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「うんとこしょ どっこいしょ」

かぶはいい野菜ですね。

(『猫の目博物誌』〈未刊〉より by yuuki)

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