我が盟友・鈴木圀朗さんから、
本をいただいた。
「陳列と演出ハンドブック」
私の古巣(株)商業界から発刊された。
不思議な気分。

この分野の第一人者の最新刊。
是非、勉強してください。

その最新版を右手に、
元祖ともいうべき雑誌別冊号を左手に、
スマイル。
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左手の元祖本は、
「陳列と販促の教科書」

月刊食品商業別冊号。
1995年発刊。

私が編集長として刊行した。

自分で言うのも何だが、
これはいい別冊号だった。
実によく売れた。

当時、(株)万代では、
現副会長の山下和孝さんが、
この別冊号を何度も何度も読んで、
書き込みをし、マーカーを引いて、
自分で徹底的に勉強した。
その後で、全社員を教育した。
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それが万代の陳列と販促の基盤となった。
その万代は2016年2月期決算で、
年商3135億円、146店舗。
関西ダントツを目指す企業に成長した。
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私も鈴木さんの原稿に、
手を入れさせていただいて、
自分の本のようにして作ったので、
感慨深い。
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鈴木さんにとっては、
デビュー作のような一冊。

その後、2004年には、
「販促と演出の教科書」、
さらに2005年には、
新書版「陳列技術入門」。
次々と発刊されていった。

これらも私は社長兼編集統括として、
管掌し、監修した。

この鈴木さんの「教科書」に先立って、
「惣菜の教科書」が、
発刊されていた。
もちろん著者は林廣美先生。
こちらの発刊は1994年。
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食品商業別冊「教科書」シリーズは、
この2冊によって高い評価を得て、
さらに部数も爆発して、
その後、次々に発刊されていった。

「青果の教科書」
「鮮魚の教科書」
「精肉の教科書」
「日配の教科書」
「グロサリーの教科書」
「店長の教科書」
「チーフの教科書」
「パートタイマーの教科書」

さらにその新版教科書群。

1996年に映画「スーパーの女」が、
伊丹十三監督によって製作されて、
私もちょっとだけ協力した。
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東京・布田の日活調布撮影所には、
伊丹組の事務所があった。
バラックのような建物の2階に上がると、
棚に食品商業の別冊をはじめとして、
「教科書」シリーズが並んでいた。

1996年だから、
「惣菜の教科書」と「陳列と販促の教科書」
その次くらいの「教科書」だったと思う。

伊丹さんをはじめとして、
映画製作スタッフがこの雑誌を読んで、
売場をつくり、映画をつくった。

私は人生で一度だけ、
映画のプログラムに原稿を書いた。

スーパーマーケットは、
「泣ける仕事」だという話。

その鈴木圀朗の最新刊。
手に取ってみてください。

さて、日経新聞ニューヨーク特派員。
滝口朋史さんがコラムを書いた。
タイトルは、
「トランプ・スランプ」に身構える市場

医療保険制度改革法。
通称「オバマケア」

「その代替法案採決を巡り、
与党共和党内の議論が紛糾。
トランプ米大統領が掲げる公約の実現性に
不透明感が意識され始めた」

「入国禁止令に続き看板政策が
またもや暗礁に乗り上げたトランプ政権」

「期待先行で上昇を続けた株式相場が
現実に直面した途端に
スランプに陥るのではないか――」

「トランプ・スランプ」の、
ごろ合わせが面白かったので、
ちょっとだけ紹介。

それよりも、東洋経済オンライン。
こちらはリチャード・カッツ特約記者。
やはりニューヨーク在住。

「日本の大手企業と
エンゲル係数の
意外な関係」
サブタイトルは、
「庶民が飢えても大手企業は儲かる?」

週刊東洋経済3月25日号に掲載された。
鋭い指摘だ。

まず「エンゲルの法則」の説明。

「ある国が豊かになれば、
家計に占める飲食費の割合は低下する」

この割合を「エンゲル係数」という。

「農業と食品加工における
生産性の向上によって、
食品価格が大幅に低下するからだ」

「エンゲル係数の低下に伴い、
人々は収入を食費でなく、
住宅や車、電化製品、休暇、服装や宝飾品
といった他のものに回すことができる。
それこそが豊かさの象徴といえる」

日本も終戦直後、
食料不足や困窮に見舞われ、
一般家庭のエンゲル係数は、
6割程度だった。

その後、低下傾向を続けてきた。

しかし、この流れは、
2005年前後に止まった。

総務省統計、
2人以上の世帯のエンゲル係数。
2005年は22.9%、
2013年には23.6%、
2015年には25.0%。

これはバブル期以降の過去30年間で、
最高の水準だ。

逆転の理由の第1は、
「消費増税に伴う食品価格の上昇」
第2の理由は、
「円安による輸入品価格の上昇」

日本の食品の多くは輸入品である。

だから円安は、「日本の消費者から
海外生産者への所得移転」ともいえる。

第2次安倍晋三内閣発足後の4年間で、
食品価格は、
11%上昇した。

対照的に、
物価上昇率は、

3%にとどまっている。

この物価上昇率からは、
食料やエネルギーが除かれている。

これは奇妙なことではない。

なぜか。

「エンゲル係数が、
減少傾向にあった時分でさえ、
日本は農産物や食料品に対して
保護主義的な政策を取り、
国内の消費者は他国よりも
多額の所得を食費に回すよう
強いられていた」

OECD(経済協力開発機構)の統計。
この数字には各種調整が加えられている。
だから総務省統計とは異なっている。

2012年の時点では、
消費税率引き上げと
円安進行の前の段階。
この時点で、日本人は、
家計の13.7%を飲食費に費やした。
英国は9.3%、
米国は6.3%だった。

カッツ記者の主張。

「安倍政権が日本人の生活水準を上げ、
経済成長や消費支出増を
実現したいならば、
米国が撤退したとはいえ、
TPP協議で約束した
輸入関税引き下げに踏み切るべきだ」

「そして、JA(農業協同組合)を
独占禁止法の適用外とする規定も
撤廃すべきだろう」

「以上のいずれの措置にも
及び腰である事実は、
安倍政権の優先事項が
どこにあるのかを示している」

この論調は、
米国食品産業を有利にさせる。
しかし日本の消費者の
食生活には貢献する。

食料価格が上昇すれば
企業の利益も増える。

「企業の経常利益の対GDP比は
過去最高の6%に
達している」

いま、日本の大企業は好調だ。

この企業群の「経常利益」には、
海外関係会社の収益が含まれる。
そしてそれは円安になれば、
自動的に増える。

日本の最大手5000社の
直近の収益状況を見ると、
国内での収益を反映する営業利益が、
金融危機前の2007年比で
5%近く減っている。

その一方、経常利益は、
2007年より約15%増えている。

「この差の要因は、
海外での利益拡大である」

カッツ記者の表現。
「“日本株式会社”は、
国内が飢餓状態になっても
巨額の利益を上げる方法を学んでいる」

「アベノミクスは、
日本株式会社を救済した。
しかし、主婦やサラリーマンは、
救済の対象ではなかったようだ」

この指摘には、
耳を傾けておかねばならない。

〈結城義晴〉

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