今年の桃の節句は日曜日だ。

2歳と0歳の孫娘がいる。
2歳のほうは雛祭りを楽しみにしている。
毎日、おやつは雛あられで、
それをボリボリ、音をさせて食べている。

彼女たちの将来の可能性は無限だ。

しかし彼女たちの未来社会に、
それほど明るい展望はもてない。

自分自身で切り拓いていくしかない。
そうあってほしいと思う。

小さい春が見える。

小唄。
「梅は咲いたか
桜はまだかいな♪」
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沈丁(じんちょう)の香の石段に佇(たたず)みぬ
〈高濱虚子〉
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久しぶりに日経新聞「大機小機」
コラムニストは四つ葉さん。

タイトルは、
「株最高値でも縮む日本経済」

日本がGDPでドイツに抜かれた。

2023年の名目GDPはドイツが4.5兆ドル、
日本は4.2兆ドル。

ドイツは就業者数が日本の6割、
労働時間は8割にすぎない。

日本の生産性が低すぎるのだ。

第1位の米国は25兆ドル、
第2位の中国は18兆ドル。

大差がついている。

しかも日独の3位4位集団は、
近い将来に5位のインドに抜かれる。

「経済大国」の看板は、
降ろした方がいい。

「世界第2位の経済大国」だった頃の意識が
抜けきれていない。

コラムニスト。
「日経平均株価は史上最高値でも、
世界の時価総額に占める日本株比率は
6%程度である」

そして海外から見た日本像。

「安くて安全で遊びに行くには適し、
美食とサブカルチャーは人気。
警戒感もさほど持たれていない」

「ただし学びに行くには
大学のレベルが高くなく、
稼ぎに行くには
賃金が魅力的でない」

「まずはそんな等身大の自画像を
直視することから始める必要がある」

同感だ。

コラムニストは過去を懐かしむ。
そしてコラムニスト自身が、
等身大の自画像を直視できていないようだ。

「1990年代前半、日本経済は
世界の6分の1程度のシェアを有していた」

「当時の日本は良くも悪くも影響力があり、
若くして大きな舞台を踏めた」

私にもささやかながら、
そんな体験がある。

「円高を生かして海外体験を積むことも
容易だった」

1ドル70円台のころの海外旅行は、
天国のようだった。

「今では国家の存在感が低下し、
円安定着で海外留学へのハードルも高い」

「次世代の政官財のリーダーを
どう育成するのか。
これをおろそかにすると、
日本はますます埋没するだろう」

コラムニストは。
やはり従来型のエリートだ。

政官財に限らず、
スーパーマーケットのチーフたちが、
弾丸で海外を体験するのもいい。

「スポーツ界では、
世界で活躍する“若くて強い日本人“が
数多く登場している」

「それが何かヒントにならないか、
と夢想している」

大谷翔平、井上尚弥、羽生弓弦。

音楽家やミュージシャンだって、
画家や彫刻家や建築家だって、
明治、大正、昭和と、
日本が貧しい発展途上国のころ、
自分で世界を切り開いた。

むしろ政官財の人間のほうが、
税金で「お国がかり」で海外体験をした。

その時代は終わった。
懐かしむことはない。

重厚長大から、
軽薄短小へ。

レース型競争から、
コンテスト型競争へ。

経済大国から、
おいしくて、たのしくて、
心豊かな国へ。

金をつくるよりも、
幸せをつくる。

そんな夢想のほうが、
未来的である。

そしてそのほうが、
長い目で見れば金を稼げる。
模倣困難な経済性を構築できる。

いわゆる経済大国は、
模倣されやすい。

中国がそれをしたし、
インドもそれをする。

ブラジルだって、
アフリカだって。

日本らしさ、
そのユニークさ。
幸せをつくる仕事。

それは新しくてのびやかな、
小売業やサービス業の時代でもある。

大谷翔平の結婚の発表も、
みんなが新しい夢に期待しているからこそ、
これだけ盛り上がるのだ。

孫娘たちも、
幸せをつくることに、
一生をかけるのだろう。

それを願いたい。
明日は雛祭りだ。

〈結城義晴〉

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