テキサス州ダラスから、
イリノイ州シカゴへ。

寒い。

ダラスが28度、シカゴは9度。

どういうわけか、
今回の旅は疲れがひどい。

毎日更新宣言ブログも、
現地時差で。

さて、シカゴに着いて、
一晩眠って、少し元気回復。

朝一番で、
ジュエル・オスコーへ。DSCN7821.JPG-7
このシカゴ地区のマーケットシェアは、
トップの23.6%で177店。

こんなに高い占拠率を持つのは、
この地の2社のローカルチェーンが、
経営統合したのが、
現在のジュエル・オスコーだから。

しかし伝統型スーパーマーケット。
「コンベンショナル・タイプ」という。DSCN7820.JPG-7

入り口に牛肉の冷蔵平ケース。
そして「Buy one Get one Free」
1パック買ったらもう1パックはタダ。DSCN7811.JPG-7
この手法はアルバートソンが得意とする。
そう、ジュエルオスコーは、
アルバートソンの傘下にある。

しかしこの会社、転売転売で、
所有者が変転している。

もともとはこの地のジュエルが、
オスコードラッグと合併した。
そして社名がジュエル・オスコーに。

この会社は、やがて、
アメリカンストアーズに買収される。
さらに1992年には、
アルバートソンに売却される。

そのアルバートソンは紆余曲折の末、
投資会社サーベラス資本の元に置かれ、
さらに最終的には2015年1月、
セーフウェイと統合させられてしまう。

このシカゴ地区ではもともと、
ドミニクスというローカルチェーンが、
ジュエルと競合していた。
それが1999年に、
セーウウェイに買収されていた。

この結果、この地のローカルチェーン、
ジュエルとドミニクスは、
親会社同士の統合で、
これらも互いに合併されることになり、
23.6%のトップシェアになってしまった。

青果部門は比較的に良い。
現在のアルバートソン本体、
そして多くのセーフウェイ本体よりも、
いいかもしれない。DSCN7819.JPG-7

それでも、ごく普通の鮮度、
品揃え、サービスレベル。DSCN7814.JPG-7

鮮魚、精肉、惣菜の対面売場。
これも普通のレベル。DSCN7809.JPG-7

奥壁面のコンコース。
ここも、どこといって特徴はない。DSCN7817.JPG-7

Oオーガニックのプライベートブランド。
これはセーフウェイの大ヒット商品。DSCN7818.JPG-7
つまりはアルバートソン・セーフウェイ、
折衷型の、普通の店となっている。

この地域の三番手のローカルチェーン、
ラウンディーズ。

そのラウンディーズの、
高級スーパーマーケットのバナーが、
マリアーノス。DSCN7834.JPG-7
名づけ親はロバート・マリアーノさん。
現在のラウンディーズのCEO。

多分、イタリア人かスペイン人、
どちらにしてもラテン系。

このマリアーノさんは、
かつてドミニクスの経営者でもあった。

マリアーノさんは、
ドミニクスをセーフウェイに売却し、
今度はラウンディーズを、
クローガーに売った。

だからいまマリアーノスは、
クローガー傘下。

複雑。

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しかしマリアーノス、
素晴らしい。

中2階にイートーンスペースがある。DSCN7832.JPG-8
フードサービス部門と、
グロサリーストア部門が分かれて、
基本的にはウェグマンズ方式。

しかしグロサリー部門は、
クローガーの強みを生かして、
エブリデーロープライスを採用。

「SimpleTruth」は大量に導入している。
クローガーの大ヒット商品の、
ライスフスタイルブランド。

1階の青果部門の前に、
寿司バーがあるが、
そこで昼食。
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手前は団長の平塚善道さん、
平和堂SM事業本部部長。
向こうは伊藤勉さん、
東海営業部東海第二グループマネージャー。

そして店長interview。DSCN7841.JPG-7

ストアディレクターのべスニックさんと、
クローガー本部取締役のアマンダさん。
アマンダさんはラウンディーズ担当の、
クローガー取締役。DSCN7851.JPG-7
べスニックさんはアルバニア共和国出身。
つまりは移民。
ヨーロッパのバルカン半島の国。

べスニックさんの生い立ちを聞き、
アメリカでの仕事のキャリアを聞き、
そして信条を聞いて、
一同、大いに感動。DSCN7843.JPG-7

質疑応答は44分22秒の長丁場となった。DSCN7850.JPG-7
通訳はウィルソン三和さん。

質問に対して、べスニック店長が、
スマホで調べていろいろ答えてくれた。
私も途中でその回答を解説した。DSCN7844.JPG-7
アマンダさんへの質問にも、
ていねいに答えてくれた。DSCN7852.JPG-7
終盤はべスニックさんから、
平和堂側に矢継ぎ早に質問攻め。

これにも大いに答えて、
盛り上がった。

しかし移民から店長にまで、
のし上がったべスニックさん。
そのガッツに学ばせてもらった。

最後に全員で写真。
ハトッピーポーズ。DSCN7856.JPG-7
アマンダさんが、
隣で私に聞いた。
「ハトッピー? なに?」

平和堂のゆるキャラです。
そのポーズです。

最後の最後はべスニックさんと握手。DSCN7857.JPG-7
移民ながら、ユーモアと知性と根性で、
マリアーノスの名物店長となった。

ドナルド・トランプに対して、
また腹が立ってきた。

次にトレーダー・ジョー。
アルディと共同で出店。DSCN7876.JPG-7
もちろんトレーダー・ジョーは、
ドイツのアルディ傘下。

アメリカのアルディと兄弟出店。DSCN7858.JPG-7

どこに行っても、レベルは高いし、
店や売場は標準化されている。DSCN7859.JPG-7

しかし現代の標準化は、
クッキーカッター型ではない。
それぞれの店の個性を生かしつつ、
全体で標準化されている。DSCN7860.JPG-7

壁面にリンカーンパークのイラスト。DSCN7861.JPG-7

デモンストレーションコーナーには、
ローテーションで必ず人が入っている。DSCN7874.JPG-7

ゴンドラが斜めに切ってあって、
エンド陳列も美しい。DSCN7864.JPG-7

これが2ドル99セントワイン。
「チャールズショー」
全米最大販売ボトル数。DSCN7872.JPG-7
米国アルディ&トレーダー・ジョーの、
2016年合計年商は、
227億8100万ドル、2兆2781億円。
伸び率は7.9%。
合計店舗数は1903店。

合わせると米国チェーンストア18位。
シアーズホールディングスの上を行く。

どちらも1万平方フィート(281坪)。
どちらもプライベートブランド主体。
どちらもリミテッドアソートメントストア。

すごい会社です。

詳細は月刊商人舎2013年6月号。
Trader Joe’s
~人・品・店のすべて~

今日の最後は、
イータリー。
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世界に35店舗。
アメリカは4店舗。
このシカゴ店は2013年12月オープン。
2010年にオープンしたのが、
ニューヨークのフラットアイアン店で、
シカゴはアメリカ2号店。

真四角の店舗構造で2層。DSCN7898.JPG-7

青果部門はイタリアの市場スタイル。DSCN7900.JPG-7

ベーカリーはイタリアパンのほか、
ピザなどを焼き立てで提供する。DSCN7882.JPG-7

そしてレストランと小売業の融合。
顧客は「食べて、買って、学ぶ」DSCN7886.JPG-7

この店で初めて、
マイクロブルーワリーが設けられた。
その隣は当然ながらビールバー。DSCN7918.JPG-7

1階にはレジがあって、
スーパーマーケットスタイル。DSCN7926.JPG-7

その信条がいい。
「Life is too short not to drink well」
直訳は「うまい酒を飲まずにいるには、
人生は短すぎる」
意味は、「人生は短い、
だから美味い酒を飲もう」
DSCN7919.JPG-7
ん~。

詳細は月刊商人舎2月号特集。
地球イータリー化現象
Global EATALY Phenomenon

今日はいい店ばかりだった。
ジュエル・オスコーを除いて。

マリアーノスのCEOはラテン人で、
べスニック店長は、
バルカン半島のアルバニアから来た。

トレーダー・ジョーは、
ドイツのアルディの傘下に入った。

イータリーはもちろん、
イタリアから現象を起こしつつ、
アメリカにやって来た。

地元のジュエルは、
オスコードラッグと合併し、
その後、アメリカンストアーズから、
アルバートソンの資本へと移り、
セーフウェイ傘下ドミニクスと併合。
転売に次ぐ転売。

不思議なものを感じた。

商人舎2月号Message。
仕事の垣根を越えよう!

仕事の垣根を越えよう。
自分の仕事の枠組みを広げよう。
隣の仕事と結びつこう。

何のために?

顧客を喜ばせるために。
新しい価値を生み出すために。
他の追随を許さぬビジネス創造のために。

たとえばコストコホールセール。
小売業と卸売業の垣根を超えて、
圧倒的な低価格を実現させた。

たとえばユニクロ。
アパレルリテイラーが製造機能を獲得して
SPAの新しい世界を切り拓いた。

そしてイータリー。
食品小売業と外食業を融合させて、
「食べる・買う・学ぶ」店を生み出した。

業界の慣習を乗り越えよう。
自分の壁を壊して新しい船に乗り込もう。
隣の世界と結びつこう。

何のために?

シュンペーターは読み切った。
イノベーションは、
「ニュー・コンビネーション」である。

それが新しい価値を生み出す。
模倣困難なビジネスを創造する。
そしてこの現象は地球上に広がりつつある。
〈結城義晴〉

リテールの仕事は、
国の垣根を越えて、
世界化している。

アメリカと言えど、
国内にとどまって、
小さく生き延びようとすると逆に、
否応なく大資本の論理に巻き込まれ、
結局はその傘下におさまっていく。

それをシカゴの街で、
思い知らされた。
(続きます)

〈結城義晴〉

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