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第1巻 岩崎高治の巻[第3回 店舗、売り場、商品の改革]| 結城義晴の知識商人対談CDオーディオ セミナー

結城義晴の知識商人対談CDオーディオ セミナー

第1巻 岩崎高治の巻[第3回 店舗、売り場、商品の改革]

2009年02月16日(月曜日)
カテゴリー:
  • ライフコーポレーション岩崎高治社長の巻
  
7:04 AM

結城
ライフは199、200店舗近くもあったわけですから
まず、現状のお店と、その売場の商品を改革されたのでしょうが、
効果は、どんどん上がったのでしょうか?

岩崎社長
業績が上がらなかった当時の現状を分析した時に、分かったことは、
お客様の数が減っていて、既存店の売上高が減っているということでした。
こうした状況では、いくらコストを削減しても、
中期、長期間で見ると、どうしても競争には負けてしまうだろうと。

結城
コスト削減には限界がありますからね。

岩崎社長
短期的に利益を上げるのであれば、コスト削減の手法もいいと思いますが、
やはり10年、20年、あるいは30年と、
企業が生き残るためには競争力をあげなきゃいけない。
そのためには、お客様の数を増やさなければいけない。

では、どこから手をつけるかとえば、
お客様が、目に見える『店舗の改革、売り場の改革、商品の改革』
だろうと考えました。

結城
ポイントは客数を増加させると。

岩崎社長
その通りです。

結城
私の持論でもあるんですけど、
ロイヤルカスタマーをつくって安定的に客数を増やす。
その客数を増やす増やし方というのは、新しい顔ぶれのお客様を増やすのではなくて、
まずは同じ顔ぶれのお客様の来店頻度を高めてもらう。
これもレジを通過する客数が増えることになります。
そうすると、おなじみのお客様が何度も来て下さってお店の客数が増える。
その人たちの口コミで新しいお客様、ニューカスタマーも増えていくと。
これが段取りというか、手順だという風にいつも主張しているんですが、
ライフの改革というのは、そうしたところにあったんでしょうか?

岩崎社長
そうですね。
われわれの中心業態というのは、スーパーマーケットですから、
売り場面積の大きな、1万㎡というお店もありますが、
基本的には1500㎡、2000㎡というフォーマットです。
そうすると、自ずと商圏というのは、お店から半径500m、
あるいはせいぜい1キロと言う範囲です。
新しいお客様に来ていただくことも必要ですけども、
お客さまの来店頻度を高めていただくということが、
非常に重要であるのではないかなと思います。

★縮小均衡ではなく、売上げをとる政策

結城
そうですね。
もう一つ生産性の向上をさせると言う視点。
先程も、人時生産性だとか、坪当たりの生産性だとか、
そういう話が出ましたけれども、
基準や指標というのは設けられたのでしょうか?

岩崎社長
(中略)衣料品、生活関連の坪当たりの売上高が100万円を下回るという売り場が当時ありましたので、そう言った所については売り場のくくりの見直したり、あるいは食品を広げたりしました。
酒の免許の自由化もありましたので、お酒を入れるということも一つの方法でした。

それから当社の場合には、食品のゴンドラ本数が非常に少なかった。
ですから出来る限り、加工食品に関しては、
ゴンドラ150本は最低取ろうというような考えのもと、売り場を広げました。

そしてどうしても、われわれで使えない所については
テナントさんに入っていただくと言うようなことをやって、
ノンフーズ、衣料品、生活関連の坪当たりの売上高100万円を、
なんとか達成させようということでやってきました。

手を打たなければいけない所については、一通り打ったと思っています。
そこで数年前からはもう一度、
衣料品も生活関連もドラッグもそうですけども、
積極策をとって売り上げをとっていこうと、
従来のような縮小均衡ではなくて、
売り上げを取っていこうという政策に変えているところです。

結城
なるほど。すばらしいですね。
坪当たりの生産性と、人時の生産性となると、
これは作業の問題というのが大きく横たわってきますよね。
これはもう一朝一夕では出来ないでしょうけれど。

岩崎社長
当社の場合、人時売上高を大きな指標にしています。
これが今現在は14000円を越えています。
改革を進める前は12000円を瞬間的には切るという状況もありました。
これは業界の平均値、あるいは非常に優れた小売業の数値から比べると、
2/3程度ということになります。

皆一生懸命働いているにもかかわらず、結果として人時売上高が低いということは、
どこかに作業の無駄があり、やり方がおかしいと言うことがいえます。
そう言ったことでは企業としてももちろん生き残れませんし、
従業員の処遇の改善ということもなかなか出来ない。

結城
なるほど。

岩崎社長
そこで、たとえば物流のありかた、情報システムのありかたを見直したり、
本社からお店への情報伝達をする際には、出来るだけお店の方がわかりやすいようにしようと。
本社の方で、何度も繰り返しお願いをするというようなことがないように、
受け手が分かりやすいボールを投げようと取り組みました。

お店の作業についても、業務改革と当社では呼んでいますけれども、
業務改革の専門スタッフをつくって、店舗に入り込んで、
各部門の朝から閉店までの作業の棚卸しをしました。
どの時間帯に、どの作業をすることが一番いいことなのかということを、
全て洗い出して、作業の組み替えに今現在、取り組んでいるところです。

結城
今、現在もこれは続いているのですか?

岩崎社長
ええ、これは取り組み始めて3年、4年目になりますけれども、
まだまだ先の長い話だと思っていますので、
10年20年かかる仕事だと思っています。
ようやく歯車が回り始めたところかと思います。

結城
岩崎社長は、妙に自信があるんですけれども、
その自信っていうのは、多分この辺りに手応えを感じていらっしゃるんだろうなと、
僕は推測している訳ですけれどもね(笑)。

岩崎社長
自信があるというか、やらないといけないと思っていますので、
使命感ですよね。

続きます

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