2010年8月4日(水曜日)

第4弾 サトーカメラ 佐藤勝人の巻[第7回最終回/一点突破、面展開]

カテゴリー: サトーカメラ 佐藤勝人の巻  09時00分56秒

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結城:

コンサルタントとして指導する中身ですが、
例えば、どういうセオリーやどういったことをするんですか。

佐藤氏:

まず会社に頼まれるときは、誰が見ても私を軽く見てるから、
「あーチラシの先生だね、売上げをパンパン上げてくれよ」
「はい、喜んで行きます」って行くわけですよ。

行って、商品在庫から商品構成からザッとみて、
従業員さんや幹部さんを見せせてもらえば、
大体会社の流れは分かるわけですよ。
レベルっていったら失礼だけど。

それで困ってることをヒアリングする。
社長が困ってることをヒアリングして、
現場は確かに社長の指示にあってるとします。

その場合、何をするかというと、
まずが幹部レベルからの教育を行うわけです。
ただし、指導しながら実績を上げていかないといかけない。
このご時世ですから、大変です。

まず、実績を上げる方法を指導する。
販売促進、店頭の売場の作り方、手配りチラシ、部下の育成。
とにかく実践で売上げが上がる方法、
その会社でぴったりな方法見つけてあげて、
数字(実績)を上げながら、皆を喜ばせながら、
組織改革に入っていく。
あとは仕組みの改革ですね。業務の流れも含めて。

それから今の問題点。
現場末端の方から上まで話を聞いて、どんなギャップがあるのか。
社長とのギャップ。
それを私が、一個一個、仕組み的に変えていっちゃう。
中に入っている人を使ってね。
それを一個一個キチッとやっていく。

販促の施策でで売上げが上がっても、
一回は良くても次には続かない。
商品の用意できていなかったり、商品構成の根本的なミスがあるので。
それをいきなりやろうと言っても出来ないってことになる。

だから、まずは出来る範囲のことから、小さな数字でもいいから作らせる。

できる範囲の順番があって、やっぱり会社によって違うんですよ。
最終的には組織変えちゃう。
それで人間をいじっていっちゃう、社長と相談しながら。

でもやりすぎちゃうと、全社員がこっち向いちゃうんで。
やりすぎちゃうと社長以下、皆が、僕の方を見てしまう。
それはマズイなと。
取り敢えず社長の考えというものを形にし、
社長の苦労を形にしてあげる。
そうすることが大事です。
意外だけど、どこの会社いっても、
そういう役柄の人がいないのね。
皆、それに困ってるんだよね。
嫌われたくないからね。

だから僕みたいな、第3者が来て、ボーンと言ってくれた方が助かる。
社長の考えてることを第3者が言うことによって、
社長の言ってることは間違ってないと社員は思う。
だいたいどの会社行っても、
社長さんが考えてることってそんなに間違ってない。
勉強されてるから。
だけど、そこから下のギャップがすごい。
それを埋める仕事ですね。

だから多いですよ。
もう厳しいっていう会社に呼ばれることが。
順調な会社は呼ばれないですから。
本当に危ないって時に呼ばれて、入り込んで、
今いるメンバーで、どう会社を変えていくか。
それを私が先頭に立ってやってあげる場合もあるし、
あるいはできる人を見つけてやり方を教えて、
その人が先頭に立ってやる場合もある。

結城氏:

このCDオーディオ対談で、成城石井の大久保恒夫社長と話しましたが、
小売業は、社長や本部が、現場でこうやろうと方針を出しても、
3割くら いしかやられてない。7割は全然実現されない。
大久保さんは2つの会社の雇われ社長をされてきたんですけど、
社長としてやるべきことは、
本部や社長の指示が、現場で100%なされるよう、
そのギャップを埋める仕事が一番重要だと言っている。

彼が言うのは、たとえ本部の指示が間違っていても、
その通りにやれば、ある一定の成果は得られる。
社長の指示が大きな間違いじゃなくても、実際に現場で全部やってみることが、
小売業ではとても大事なんだと言ってたんですね。

佐藤さんも、そこを埋める仕事ですよね。

佐藤氏:

だって間違ってる、間違ってないっていうのは、後の話であってね。
間違っていたって徹底的にやれば、成功する場合もありますからね。

結城:

そうですね。
ユニクロのファーストリテイリングの柳井さんも、
間違いはしょっちゅうやって、1勝9敗だと。
1回成功して9回失敗、むしろ1回成功で99回失敗の方が正しいと。
ただそれは、現場を含めて徹底的にやってみないと
間違いは検証出来ないわけだから、どんどんやると。
ダメだったら、それをいち早く止めるというのが、私の強さだと言いますけど。

まあコンサルタントとして、そのあたりを指導するということになるんでしょうね。

面白い事例はありますかね、コンサルタントで。

佐藤氏:

面白い事例は、栄養ドリンクね。
1本1000円もする栄養ドリンクのケース。
現場の人間一人一人を育てていくのが大好きだし、
やっぱり実績を上げると喜ぶわけですよ、一人の人間がね。
だから売り込みの指導をしたわけです。
1店舗に20人いれば、一人一個として20品目になるわけです。

まず一人一人に商品を決めさせます。
次にやるのは、その商品を調べさせること。
自分で味見したり、いろいろと。
今までは1000円もするようなドリンクは売れない。
大正製薬さんの100円ぐらいで売ってるスタッフからすると、
こんな1000円なんて売れるわけないって。
そう言っていたスタッフが、1000円の栄養ドリンクを自分で選んだ。
何か知らないけどね。

これまで、並べておいても、ひと月でせいぜい3個とかしか売れていない。
それを私がいきなり、「一カ月で1000本売るぞ」って宣言するわけです。
要するに1000円のものだから、1000本売れれば、ある程度の実績になる。
達成すればボーナスも1万円ぐらい上がる計算になるから、1000本やってくれと。

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佐藤氏:
そうすると、「はぁ?」ですよ。
「今まで3本しか売ったことがないのに、無理に決まってるじゃないですか」
でも、僕なりに計算すると1000本くらい余裕で売れる数字なんだよね。
それくらいやらないと、本人の給料にも反映されないし、
社長の目にも止まらないからね。
「やりましょうと、やり方は一緒に教えてあげるから」と言うわけです。

まずは、商品について調べなさいと指示する。
そうすると、成分のタウリンの効能が出てくるわけです。
お客様は、説明すると買うんだけど、
タウリンがどうの言われても、普通の人はわからないわけですよ。

その次に彼に聞いたんですよ。
「そのタウリンがどうのこうのって、他のもので説明してくれよ」って。

そしたら
「ああ、簡単ですよ」
「何なの?」
「カキ1個に対して、このドリンクには60個分のタウリンが入ってるんですよ。そのくらいの量なんです」
「えーっ。それはすごいことじゃない。それがドリンク1本1000円じゃ安いじゃん」
そうすると彼は、
「あ、そうですね」
「よーし、それをじゃあ、売場を作ろう」

もちろん医薬品じゃないんで、そこまで厳密にやれないけどね。
製造会社や工場で調べた結果、まあ、だいたいその位だという。

「じゃあ、わかりやすくするために、カキの殻を量販店に行ってもらって来い、60個!」
「分かりました!」

60個もらってきて、売場に60個飾ったわけです。
カキと言えば、お客様は皆、良いの分かってるから、
このカキの分量分のタウリンが、このドリンク1本で摂れるって書いたの。
で、1000円。
バカスカ売れちゃって。

それを飲むと、別に変なもの入ってるわけじゃなく、ミネラルが摂れるんでね。
ビタミンは摂るけど、ミネラルは摂らないから、
それが摂れるっていうんで反響がすごかった。
余裕で1000本売れちゃった。
それでびっくりですわな。

彼が言うには、
「商売って面白いですね、売るってことは面白いですね」

今度、同じようなことを、調剤薬局でもやらせたんですね。
調剤薬局のそれも薬剤師ですよ。
薬剤師が絶対そんなことやらないし、そんなことを言わないから。
始めに、何でやらなくちゃならないのかを、キチッと説明して、理屈でね。
これからの薬剤師ってのはこういうものなんだって説明して。
そうしないと競合につぶれて、店もつぶれて、あなたの仕事はないって。
それでやり方を説明した。

それで調剤薬局の人が一言、
「今、これがお勧めなんですよ」
言うだけで、足の裏に塗るクリームなんだけど、日本一売っちゃった。
薬剤師が「これはいいですよ」って言ったら、これは売れるわけです。
モノは間違いないからね。

「だったらやれー」って号令をかけた。
薬剤師もそれで納得したから、来たお客様、来た患者に、
「これ塗っといた方がいいですよ」って言う。
パカッて売れるんですよ。
買う方も、買ってったら「えらい、いいわー」って喜ぶ。
「ヒアルロン酸が入ってるからだ。普通のは尿酸だからダメだ」って。

そうしたら「面白い」ってことになって次々に始まった。
売ることの面白さを知ったんですね。
売れるんじゃない、売ったんだよね。
その面白さを知っちゃったら、一気に仕事が楽しくなっちゃった。
お客様が来て、
「いや、良かったよ、この前の商品」って言ってくれるから、
喜んじゃってね。
それで仕事って面白いですねって、どんどん人が変わっていく。

結城:

本当に面白い事例ですね。
そういうことって、商売の中にたくさんあるはずなんですね。

佐藤氏:

一人の人間が出来ることってそんなものなんです。
だけど会社や店レベルで考えたら、それが一番、欲しいわけです。
だから売ることの楽しさを、そうやって見つけさせてあげると。

一人の人間は、最大30品目できる。
たとえ出来の悪い人でも10品目はできる。
10品目を一人がやり始めたら、面白くなってくる。
お客様も面白くなってくるし、われわれも面白くなってくる。
だったら、次の季節はどの商品をやろうかと、商品部にかけあったりする。

「これを集中的に売っていきたいです。」
ただの品出し係が変わっちゃうんですよ。
ただの薬剤師が変わっちゃうんですよ。
それを患者さんやお客様が求めてるんだなって分かるわけ。
別に無理やり売ってるわけでもなんでもないから。

これだけ商品の種類があり過ぎると、お客様も何が何だかわからない。
自分にピッタリ合うのは分からない。
そういうものを、ポーンとワンポイントで教えてあげるだけで、
お客様は価値を感じるんでしょうね。

結城:
そうですね。
セブン-イレブン、今1万2100店あるんですけど、
10年ほどやってるのが、「発注分散」。固い言葉ですけども。
発注分散っていうのは、アルバイトのA君、パートタイマーのBさんに、
例えばお菓子のポテトチップの売場はアルバイトのA君、
飲料のお茶やソフトドリンクの売場はBさんっていう方法で、
「あなたにこの売場を任せるから商売してください」
とお任せする。
発注を分散させる。
だいたい弁当とかロスが出る惣菜などは、
店長とかオーナーが直接やるわけです。

あまり腐ったりしない商品は、
「あなたに発注任せますから、あなたが好きなようにやってください」
というふうに任せるんですね。
これがもう、セブン-イレブンの強さのポイントになってるんですね。

今の話と同じで、「あなたに任せるから好きなように」、
要は商売の面白さを教えている。
それはセブン-イレブンの強さの根本で、
セブン-イレブンのシステムというのは、
その一人のパートタイマーやアルバイトさんが、
発注をして、陳列して、販売すると。
それを助けるような仕組みになってる。

佐藤氏:

なんだろうな。
仕組みというもので、
人をぞんざいに扱いすぎたんだなっていうのは、何となくわかった。
例えば車の修理工場で、ずーっと修理やってる人がいるわけですよ。
無口なおじさんでね。
あの人はダメだって会社の社長も言ってるわけです。
もう使えないんだと。

ところが私がその人に説いてあげて、話をしてあげて。
修理してるから車に詳しいわけだから、
その人が車を売った方が、お客様は一番助かるわけでです。
その人が、「こっちの方がいいですよ」って言った方が嬉しいわけですよ。

その人にそういう話をして、車販売を担当してもらったら、
バカスカ売るわけですよね。お客様にも評判で。

昔の営業マンって、やたら着飾ってね、
口先上手だったら売れたみたいだけど、今はそうじゃないから。
本物が欲しいわけだから。
その人に、私はスーツ着ないでくれって言ってるんです。
作業着でいいと。
修理を主にやってます。その私がお勧めする車はこれですって。
そうしたら、お客様としては最高なんだよね。
口下手な方が返っていいんですよね。口達者よりはね。

それでその人は喜んだわけだけども、
社長はあんまり面白くなかったみたい。
社長は売ってくれて嬉しいけど、
あいつはダメなんだって、また戻されちゃったみたいですけども。

結城:

でもやっぱり、働き甲斐だとか生き甲斐だとかいうのは、
そういう売ることと直結していて、
お客様が喜ぶ顔を見るだとか、それを売った自分を喜んでる、
そこに妙味があるんですよね。

佐藤氏:

商人って言葉ありますけど、
いかに商人を育てるかの、基本中の基本は販売をする、売るっていうことだよね。
その勉強を誰もさせてない。売るということの勉強を。
それがマズイんじゃないのかな。
特にこれだけ価値観が増えた時代になってくると、
特に商品の見極めが出来ないから。

これからはまさに売っていくという人間。
それもお客様の立場になってね。
簡単に言うけど、お客様の立場ってどういうことなんだろうと。

そういうふうに突き詰めていくと、
私は北海道の人の気持ちまでは分からないな、
責任持てないなってなっちゃったんです、本部としてね。

現時点の44歳で責任持てるのは栃木県だけだって。
今後は分からないです。
5年後、10年後、20年後、どんどん現場も勉強していくから、
そこから膨れ上がると思うんだけどね。
ただ今の現時点では、栃木しか責任が持てないと。
やっぱり商人を育てるって考えた場合ね。
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結城:

そうですね。
今は栃木の商人を育ててるってわけですね。

存分に話してもらってる気もしますし、
足りない気もしますが、
そろそろ終わりにさしかかりました。
佐藤さんは毎日ブログを書いている。
僕も毎日書いているので、毎日ブログ仲間マンですね。
その意味で同士であります。
「エキサイティングに売れ」
これが一番新しい本ですね。
ブログの楽しさっていうのを、
最後にちょっと聞いていいかな。

佐藤氏:

ブログの楽しさっていうのは、やっぱり自分を整理すること。
文字にするって難しくて、結城先生を見てて凄いなって思うんだけども。
文字にするって難しいんですよ、どんなことでも。
だから皆、書かないんだよね。
今日あったことを理論化しないで文章化しただけなんだけど。
でも、文章化するっていうのも勉強かなと。
言うのは簡単なんですよ。書いてみろって。
書くことが行動だから。
もちろん言うことも行動だけど。
書いてみなさいって言っても、書けないんだよね、なかなかね。

私の場合はビジネスブログってなってくるのかな?
一つのことに対して、もうちょっと突っ込んで書いてみるとかね。
いつも言ってるけど、一度文字にしてみる。
そうすると言葉が間違ってたなと。
今度は書きながら辞書を持って調べる。
そうすると、あれ、意味が違かったとかね。

そうやって、ブログを通して、
今日あったことの整理という意味で、書き続ける。

文章を書くというものの大変さもあるけど、
文章にすることによって、やっと初めて腹に落ちるじゃないけどね。
頭で何10回、50回、100回言って、何となく形ができてきて、
それを文章にして、初めて腹に落ちるということを覚えた。
自分のものにするためにね。

結城:

すごくいい勉強してる感じですよね。

単行本も出されていますが、
最初のきっかけは、どういうことだったんですか?

佐藤氏:

最初のきっかけですか。
1988年の頃、「書いたらいいんじゃないですか」って言われてね、
そのときにも市場の7~8割のシェアを押さえてたんで、
「こんな会社ないから書いて下さい」って言われて、書いた。

それで書いてみようかって、面白半分でね。
目次45項目、たった30分で書いたんです。
その姿を編集担当者が見て、「やっぱあんた凄いわ」って始まってね。
取り敢えずチラシの内容だったんだけどね。
たった一枚のチラシでも、経営戦略や思い入れが全部入ってたんで、
そのことをそれを書いたんです。
そうしたら、やっぱり本格的に書いてくれって。

じゃあってことで、スタートしたんですけど、
最初はなかなか書けなくて。
目次書くことはできたけど、意外に書けない。
書いたことない人間だからね。
書けなくて辛くてね。
何が辛いかって、
例えば本を書こうと思った場合に、何かを止めて書かなくちゃならない。
皆さんがパチンコしてる時に、書かなくちゃならないわけですよ。
やたら辛く感じでね。
途中、本を投げだして、2年くらい書かなかったんかな。

それで2002年になって、これはヤバいと。
投げっぱなしはさすがにマズイと思って、
最後1カ月で書き上げて、2002年に出版された。

最初は自費出版にしてもらった。わからなかったから。
まあ半分買うということで自費出版。
だけどそれが一週間もしないうちに売れちゃった。
カメラ業界に売れたんで。
すぐに増刷・増刷で、そこからお金が入ってきた。
8回くらい増刷したのかな。
それから新装版に変わって、また売れ始めた。
それが、『日本一のチラシはこう作れ』。

その本を商業界編集部の人が読んでくれて、
それで商業界での連載が始まった。

結城:

それでコンサルタントとして、人気出てきたわけですね。
最初はチラシから、得意の分野から入って行った。
絞り込んで、得意のことを、得意の分野を見せて。

今、『エキサイティングに売れ』という単行本を出している。
対談の最後の方で、
「やっぱり商人は売ることで喜びがある。売ってみなきゃダメなんだ」
ということを話してくれましたが、そこに繋がってきたわけですね。
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佐藤氏:

そうです。
だから最初の『日本一のチラシはこう作れ』の時は、強いて言うならば、
接客も含めて商売というものは、いかにお客様に上手くコビ売ってでも売るか
ってことだったと思うんですよ。
自分の中でも。
まだ当時34歳くらいですからね。

ところが、ブログや本、指導をやってきながら、段々違うんだと思うようになってきた。
価値が分からないからブランドに走るのであって、
価値が分かればちゃんと値段つけていいわけですね。
それを売っていく。

特に中小ローカルの仕事っていうのは、
メーカーがマイナーかどうかはどうでもよくて、
その商品が自分の理念にあったものかどうかちゃんと選び出して、
それをエリアの中に広めていくっていうのが仕事だと思うようになってきた。
そこに喜びを感じるようになってきた。
価値を見出して、この価値を広げていくっていう、
その方法として、チラシというものは、エリア内のメディアだと。
最高のメディアですよ。一番安いんですよチラシが。

チラシと栃木に絞ったから、
ラジオと、店頭と、全部つなげていっちゃう。
ホームページもそう、ブログもそう、メディアですから。
リアルとバーチャルをどんどんくっ付けていっちゃう。

結城:

それが一点集中してきたんですね。
まさしく佐藤さんの持論、
「一点集中、一点突破」に繋がってきた。

佐藤氏:
そうです。
「一点突破 面展開」ってね。

結城:

一点突破 面展開。
まあ一言で言うと、
「一点突破 面展開」が佐藤勝人の経営戦略と。

佐藤氏:

よく言うんですよ。
それができないで、店舗展開はあり得ないんだよね。
他の商品、新しいエリアってあり得ないんだよね。
ひとつ出来た上で、次の商品、次のエリアに行くってことだよね。
そうですよね。

結城:
その通り。
ここが固まらなければ次には行けない。
ここが危うくて次に行くなんてあり得ない。

佐藤氏:
だけど一般的いうと、ここが危ういから他に行くってことになるんですよ。
ここが危ういから、他の商品に逃げるってことなんです。
いくら他のエリアに逃げても、他の商品に逃げても、
またその道のプロがいるから、そこには、やられるよと。

だから一つのことを極めるとまではいかなくとも、徹底していかないと。
検証して調べて、なぜなのかってやっていかないと、どの商品に逃げても無理。

結城:

その通り。
それが商売のある種の極意ですね。

一番最初に出た話で、60坪の宇都宮の店が、
ウォルマートの47坪よりも広いと。
これは僕も小型の食品スーパーの人たちにいつも言ってるんですけども、
例えば150坪のお店で、隣に600坪の同じ業態がやってきた。
だとしたらお魚売場だけは、150坪の中の60坪くらい取って、
隣の600坪の食品スーパーの魚売場が30坪や45坪だったら、魚売場は圧倒すると。
他は小さくてもいいからと。
こういう生き方をしなくちゃダメだと言うんですけど、それと全く一緒なんですよね。

つまり「一点突破 面展開」。
これはあらゆる商売、あらゆる業種に適応できるものです。
アメリカの話をちょっとしますと、「スプラウツ・ファーマー・マーケット」っていう
野菜・果物がやたら強い食品スーパーマーケットがあるんです。
「ファーマー・マーケット」は野菜・果物のお店という意味なんです。
それがアメリカの競争の激しい中で残ってるのは
、野菜・果物が強いからだということなんですね。

「一点突破 面展開」は、
アメリカでも同じように適用されてると思いますね。

そんなことが、「佐藤勝人の一刀両断」というブログに書かれてます。
結城義晴の「毎日更新宣言」と合わせてお読みいただくと、
非常に役に立つということになります。

最後にですね、皆さんいろいろ疑問にもつことは、
「佐藤さん、専務もやってて、コンサルタントもやってて大丈夫なの?」っていうこと。
佐藤勝人は、そのことに対してこうしてる、というのを最後にお話しください。

佐藤氏:

分かりやすく言うならば、私はゴルフやりません。
趣味は仕事ですって言います。
趣味ありませんって言う。
もう決めちゃったんです、私はね。

昔はいろいろやりましたよ。
サーフィンやったり、スキーやったり、ゴルフやったり何でもやったんですけども、
何をやってものめり込まないんですよ、自分。
唯一のめり込んだのが、この商売だった。
あと経営コンサルタントの仕事。
だから私はこれだけでいいと。
あと何にも出来なくてもいいと思う。
だから365日、仕事してる。

メーカーの接待とかには一切、顔を出さない。
それはもう、うちの兄貴(社長)が行くからね。
メーカーの接待も、メーカーの招待旅行も一切行きません、私は。
そんなことよりも、私は仕事と勉強していますと。
そんなんで骨抜きになりたくありませんって。

あとは情報化社会でネットもありますし、電話もありますから、
ちょっとしたことはどこでもできます。

商売とコンサルタントをやっと一本化できたのが、この2~3年。
そうすると二足のわらじじゃなくて、これもサトーカメラの仕事ですよ、
たとえば明日指導に行く自動車屋さんも、これはサトーカメラの仕事なの。
ここからサトーカメラの次の展開を見つけてくるということなんです。

強いて言うならば、
365日24時間、仕事・勉強・読書。
これが趣味。

これを80歳まで続けやると、自分は40歳になって決めました。
私を心配するというよりも、皆さんの方こそ心配してくださいと(笑)。

結城:

はい最後に、ご名答が出ましたところで、終わりにします。
どうもありがとうございました。

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<了>

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2010年8月2日(月曜日)

第4弾 サトーカメラ 佐藤勝人の巻[第6回/アソシエイツ教育]

カテゴリー: サトーカメラ 佐藤勝人の巻  16時23分50秒

結城:

サトカメの佐藤さんの会社も、正しく学ぶ集団ですよね。

佐藤氏:

そうですね。
うちの場合アソシエイトって言ってるんです。
入ってきたときに彼らに説明するのは、
我々は販売員ではない、使いっぱしりじゃないんだ、
言葉は悪いですけど、労働者でもないんだと。
考える集団であってほしい、学ぶ集団であってほしいと。

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佐藤氏:
採用するときに、サトカメは優秀な人が入るんですよねって
よく言われるんですけど、そんなことないんだよと。
皆、何の考えもなく、
どこにも就職できなかったからというレベルで入社してくるわけです。
だから、そういう子たちを一人一人アソシエイトとして育て上げていく。
もともと、何もできないのを知ってるわけです、こちらは。
新入社員ってそうですよね、何も出来ないですよね。

だから彼らによく説明するんです。
会社が金を払って、何も出来ない人に教える。
「普通は逆だろう」って言いながら、教えていく。

一つ一つの作業の指導もありますけど、
それだけじゃなくて、なぜ勉強しなくちゃならないのか、
なぜ学ばなくちゃならないのかっていうのを教えていく。

わかりやすく言うなら、
お客様を呼ばなくちゃならないのが我々の仕事。

もちろんイベントとか、いろいろありますけども、
最終的には働いている人間ですよ。
売っている商品は同じなんだから。
いくらサービスが良かったとしても、
最終的には人間、接客してくれたアソシエイト次第で、
お客様はどうしようかなと購買を決めるわけです。

置いといて、黙って売れる消耗品もありますけども、
高額商品になってくると、人が相手して、
人がお客様にあったものを売らなくちゃならない。
いくら機能的、性能的にキチッと説明したとしても、
最終的には、お客様は、
接客している人を気に入るか、気に入らないかなんですよ。

極端なことを言うと、田舎に行けば行くほどそうなんです。
田舎に行けば行くほど、人との繋がりっていうのを、お客様も気にする。

商品知識が素晴らしく堪能であればいいのかって、そういうわけではない。
最終的に、お客様のことを理解すること。

スチューレオナードが、「お客様はいつも正しい」
といっていますが、それだけじゃない。
お客様から学ぶこと。それを2002年に付け足して教えている。

「お客様は正しいから言うことを聞け」って言ってるんじゃないんだぞ。
お客様が、「これ、おかしいじゃないか、どういうことだよ」って言われた場合に、
確かにお客様が勘違いしてる場合もある。
でも勘違いさせたのは、我々の責任なんだから、
勘違いさせてすみませんでしたと対応しなければならない。
そして、勘違いをさせないためには、
どのように仕組みを変えていけばいいかを考える。
何がいけなかったのかを、お客様から学ぶ。
それを付け足したんですよ。

我々の勉強方法は、
どちらかというと教科書を開いてやる勉強じゃない。
いかに一つの現象から、結果から、問題を解読して、
そこからどのように改善していくのか。
仕組みごと変えていくのか。

それが分からない場合に本を見て 調べていく。
隣の店を見て真似していく。
隣の業界を見て真似する。
うちは失敗したけれど、隣の業界は、こういうことをやっていた。
だったらこうした らいいんじゃないかという話になる。

逆になっちゃうと大変なんですよ。
教科書からやっちゃうと、今度は出来なくなっちゃうんですね。
これはダメ、あれはダメってことが多くなっちゃうので、
あえてお客様から学ぶんだってことを教えている。

それをしていかないと、やっぱり間違える人間も多いんですよ。
我々は出来た人間じゃないからね。
どうしても理屈先行になって。
理屈に勝るものはないからね。
実践はどう考えたって、理屈には敵わないから。

理屈は100%あるけど、実践は100%はあり得ない。
イチローだって3割なんだから。

それで途中で分からなくなっちゃう子たちが多いので、
慌てずに、お客様から学びなさいと教える。
気づいたら、問題を提示して、そこから理屈を学んでいきましょう。
そういう路線にもっていったんですよ。
そうすると皆、結構、面白がって、勉強にのめり込んでいく。

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佐藤氏:
私もそうなんですが、難しい本を読むと辛い、眠くなっちゃう。
しかも自分の仕事に関係しないと本は読まない。

だから、自分の会社、現場で起きてる課題を、
どう解決したら良いか、どう仕組みを変えればいいかって考えた時に、
そういう関連の本を探して、3冊も4冊も読む。
それと同時に現場を見て、学んだことを現場に落とし込んでいく。
そうすると、やってて面白いなと。

アソシエイツには365日24時間、
いつでも勉強なんだよ、仕事なんだよと教えている。
一つのことに対して、ずーっと考えて、頭の隅に入れとけば、
どっかで解決策に繋がる。

だから勉強してないやつは直ぐに言うんだよね。
「思いつきで言わないで下さい」って。
思いつきじゃないんだよ。君は今ここで考えたから思いつきかもしれないけど、
私は、ここ一週間、ずーっと考えてきたから、この策が出たんだ。
そのために本を調べて、現場もチェックして、検証してきた。
そういうんです。
店長レベルだと、今考えろって言われた時にしか考えられない。
それじゃマズイので、
常に現場に答えがあって、そこから勉強し始めてくださいって指導する。
そういう勉強方法を教え込んでますね。

結城:
その現場主義っていうのは、僕も大賛成ですね。
現場から学ぶ。

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結城:

今の話で面白かったのは、
コンサルタントとしていろんな業種に行って、
そこでは佐藤さんの経験やセオリーを言いつつ、
逆に、指導先から吸収して帰ってくるってくだりね。

佐藤氏:

そうですよ。
基本的な仕組みだと思うんですよね。
確かに王道と言われるのものも一つだと思うんです。
ただ、若干、皆違うんですよね。
方法は一緒でも若干違うんです。
やっぱり人間も筋肉質とか体質によって変わってくるわけだから
それと一緒で、企業も人も皆違うんですよ。
その違いを見極めてあげて、その違いを教えてあげる。
どの業種に行っても基本は変わらない。
私の仕事先ってどういうのがあるんですか?
とよく聞かれるんですけど、
町の小さな靴屋さんから、自動車屋さん、車検場から、卸売市場、
スーパーマーケット、ドラッグストアとか、薬局とか、
ホテル、ビジネスホテル、ラブホテルとか、リフォーム屋さん。
とにかくいろんな業種、業態があります。

一番笑っちゃったのは、お坊さん、お寺さん。
お布施どうしたらいいかって話で。
お布施のもらい方。
価格帯から何から作ってあげないといけない。

基本的には自分がやってるローカルチェーン商法ですよね。
これを彼らの業界、業態、業種に落としこんでコンサルするわけです。
そうすると、そこでまた気づくんです。
人の会社指導してて、
「あれ自分のとこは最近やってなかったな」と。
自分の会社を自分で指導してると、
どうしても自分だけが進んでいちゃう、進化していっちゃうから、
後に戻れなくなる。
原点に戻れって言っても、社員も進化してくるからね。

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佐藤氏:

どんどん高度になっていくのはいいんですけど、
肝心な、基本中の基本を教えていないってことになったりするんですよね。
これが分からなくなっちゃうんですよ。

他業種を指導するときは、基本中の基本から入るんです。
そうすると、最近うちの新人に基本中の基本教えてなかったなとかね。
だから、いろんな業種・業態を指導することによって、
ローカルチェーン商法っていう自分の指導方法が出来上がってきた。

年配の方から18歳の子供まで指導することによって、
また帰ってきて、自分の会社にフィードバックすることができる。
「佐藤さんは誰の指導を受けてるんですか?」ってよく聞かれるんです。
最初に言いましたように、「お客様はいつも正しい」。
だから、お客様から学んでいるんですね。
そうしたことが身についたから、365日仕事してるんですよ。

結城:

二足のわらじって昔言ってたのが、今は一体になってる。

佐藤氏:

そうですね。
だから二足のわらじの時は、
ちょっと後ろめたい気持ちがあったんですよ。
自分の中で。指導してて。
週に3日やってるんで、
自分の会社には週に4日しかいなくて、
これはマズイなーって思ってたんですよ。

ところがそれが一つになった時に、
二足のわらじじゃなくなったんです。

俺のやってることは、二足のわらじじゃないんだ。
ビジネスで言うと、その指導先の会社と提携することもありうる。
サトーカメラで販売を担当したりとかね。
あるいは指導先のお客様を紹介してもらったりとか。
いまは、ちょっと面白くなってきたと。

結城:

なるほど。

<続きます>

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2010年7月29日(木曜日)

第4弾 サトーカメラ 佐藤勝人の巻[第5回/商圏を絞る]

カテゴリー: サトーカメラ 佐藤勝人の巻  17時00分28秒

結城:
佐藤さんの仕事の向き合い方、情熱っていうのはよく分かりましたけど、
話を聞いていて、ドラッガーという先生が、
ゼネラルエレクトリックのジャックウェルチに言った言葉を思い出しました。

ジャックウェルチという人が、GEの社長になったときに
二つのことをやりたいと言ったそうです。
一つは国際戦略を徹底的にやりたい。
もう一つはドラッガー先生に会いたい。
この二つの思いがあって、両方とも実現させたんですが、
初めてドラッガー先生をお呼びして、話を聞いた時に、
ドラッガーはこう言ったそうです。

「ウェルチさん、あなたはドキドキ・ワクワクする仕事をしていますか?
それ以外は他の人に任せなさい。
もしドキドキしない仕事をいくつか抱えているとしたら、それは止めなさい。
自分がドキドキ・ワクワクする仕事だけしなさい。
他のことは他の人に任せなさい」

これが有名なジャックウェルチの「選択と集中」という考え方の大元なんですね。

佐藤さんを見ていると、さっきの栃木に絞った。
そして、自分の生まれ育ったところで、仕事ってこんなに面白いんだってことに
気づくわけですよね。
そこが素晴らしいと思うんですね。
そして栃木でいろんなことをされてるいる。
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佐藤氏:
そうですね。
だから絞って見えたことっていっぱいあって、
それまでは栃木で商売してて、地元が大っ嫌いだったんですよ。
早くここから出て行きたかったんです。
お客さんから、あーじゃない、こーじゃないってクレームはくるし、
安くしろだの怒られるわけだし。
もうこんな土地なんかいたくないって思いました。
早く出ていくことを考えたんです。
それで店舗展開も考えたんです。

一つの経営論として
「成功したければ住む場所も変えろ」というのがあるんですが、
そういう意味でも、地元だけで仕事をするのは嫌だったんです。

でも、運が良かったって今、思うのは、
経営コンサルタントという仕事を10年くらい前からし始めて、
本を出したお陰で他業界の人たちを指導したり、全国を回るようになっった。
そうしている間に、気づいてみたら、カメラ屋さんっていいなと。
自分の商売の良さが分かってきて、栃木の良さが分かってきた。
よそに行くことによって。

そうしたことが背景にあっったから、絞り込んだのかもしれないですね。
人に教えておきながら、自分が気がついてみたら拡大志向になっていた。
でも、それは、ちょっと違うかもしれない・・・。
そういう葛藤があって、自分なりに気づいた。

それで、いざエリアを絞って、いろんなことを考えて、
「思い出を一生キレイに残すために」を掲げた。

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佐藤:
みんなにも言っているんです。
マーケットだけを見たら、
例えばデジタル一眼レフというものは、
栃木県内で年間でせいぜい2~3万台しか売れない。
そのマーケットを競合店と取り合って、うちは一番だっていっても、
たかだか2万台なんですよ。
栃木の人口は200万人いる。60万世帯ある。
200万人のうちの2万人にしか売ってない。
60万世帯で2万台なんです。市場の100%を売ってもね。

そう考えた時に、われわれは商品を絞り込んで、エリアを絞り込んだわけだから、
2万人だけではなく、エリアにいる人に全員に来店してもらおうよ、と。
カメラなんて興味なくたって来てもらおうと。

そのためにはどうすればいいかって発想なんです。

一つの商品決めたら、ここに住んでる住民全員に買ってもらおう、楽しんでもらおう。
写真を通して、カメラを通して、ワクワクしてもらおう。

考え始めた時に、ただ「カメラはいいよ、写真はいいよ」って言っても、
興味がないんだから誰も寄ってこないわけですね。
興味ある人しか。
だったら興味のない58万世帯を、どうやってこっちに振り向かすかと。

そうすると音楽に興味がある人とか、本に興味がある人、
遠足とか旅行に行った人とか、いろんな人たちがいるわけですよ。

そうだよなカメラというものは、写真というものは、
写真が目的じゃない、カメラが目的じゃなくて、
皆さんは自分の趣味を撮っておきたい、
旅行に行った証を撮っておきたい、
付き合ってる彼女の証を撮っておきたいとか、
何かいろいろあるわけですよね。
思い出を残しておきたいっていうものが。

その時に写真、カメラを使ってもらえばじゃないですか。

だから目的を、「カメラ買えカメラ買え」「写真を残せ」から、
お客様の「どこへ行きたい、何を楽しみたい」という
本来の目的に視点をおいて、施策を打ち出してみたら、
新しいマーケットが広がってきた。
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佐藤氏:
たとえば、栃木県内の若い子たち集めて、
ミュージシャンの育成とかもやってるんですね。
「何でサトカメがそんなことやるんですか?」ってみんな言います。

「思い出を一生キレイに残す」って考えたときに、
やっぱり映像・写真だけじゃダメだ。
実際の音楽も入って、一つの思い出として完成されるって思ったんです。
でも、音楽を使おうとしたら、
著作権がどうのこうので、高くて使わせてもらえない。
使える曲となると、運動会でかかってるような曲とかしかない。
それじゃちょっとダメじゃないかと。何かないかなって思った時に、地元のミュージシャンたちに、
「お前たち、思い出を一生キレイに残すために、それに合う曲を作れ」
って言ったんです。
そしたら皆喜んで作るんですよ。
これが聞いたらいいんです。
彼らで十分、作れるんじゃないかって。
そこで、彼らに「一緒になってやらないか?」って言った。
彼らは彼らで個人商店みたいなものだから、
喜んでミュージシャン同士でくっつき始めた。
だったらサトーカメラがバックになって、キチッとやってあげましょう、
そうして、スタートしたんです。

そうすると彼らのファンもサトカメにやってくる。
今までカメラなんて全然興味がなかったファンが、
サトカメさんで可愛がってもらってるんだから、カメラ買おうよって皆、来るわけです。
写真も面白いねって始まるんです。

ターゲットにしていなかったエリアに住んでる人間たちが、
いろんなとこから来るわけですよ。
サッカーチームを応援すれば、サッカーファンが来てくれる。
バスケットチームを応援すれば、バスケットチームのファンが来てくれる。
そうやっていろんな人が写真を撮ってくれれば、
「思い出を一生キレイに残す」というサトカメのミッションが達成できるわけです。
エリアを絞ったおかげで、より楽しくなってきた。
買ったことが無い人、使ったことが無い人に買ってもらうほど、楽しいことはない。

その時にその人たちが言うんですよ。
「ありがとう」って。
君たちに出会って、すごく楽しくなったよ、
カメラを使うことを覚えたよ、こんなに簡単だったんだね、
面白いねって言ってくれるんです。

彼らミュージシャンを通して来てくれたわけですよね。
やっぱりやり方っていろいろあるなって思います。
それが文化創造、市場創造ってなるわけです。
エリアを絞ることはできる。

大手企業の場合は、これを有名なサッカー選手を使ったり、
世界で、日本で有名なミュージシャンを使ったりするわけですよ。
それは、日本中に広めようとするからですね。
だから何億円とかかるわけです。

自分ができる範囲で考えて、栃木の中でメジャーな人を使えばいいとかね。
そうなってくれば、ある程度われわれでもできるんですよね。

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結城:
結局、チェーンストア理論といって、
これは渥美俊一先生がいっている理論ですけども、
商圏は限定して、小商圏にして、客層を広げる。
まさしくそれは、根こそぎですよね。
だから佐藤さんは、こういう言い方は変だけど、
チェーンストア理論を実に忠実にやってると僕は思いますね。

佐藤:
そうですか。
自分の勉強方法って面白いんですけど、
他の会社を指導してるわけですよ。全国回ってね。
そこで教えながら勉強してる。
誰がそういうことを教えてくれたのか分からないし、
自分のやり方も誰に教わっていいのかも分からない。
だから自分で学んだんですね。
教えながら自分で勉強して、それで学んで帰ってくる。
そういう手法を覚えちゃったんですね。

結城:
正しく勉強する人は、人に教えつつ、人に教わりながら学ぶことですからね。
部下との関係もそうだし、自分の息子と娘との関係もそうですよね。
むしろ学ばせてもらうことの方が多いなってね。

<事務局からのお詫びとお知らせ>

第4回から第5回にかけて、半年ほど時間が過ぎてしまいました。
佐藤勝人様ならびに楽しみにご購読いただいていた読者の皆様にお詫びいたします。
これから毎日連続で、最終回まで一挙に掲載いたします。

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2010年2月5日(金曜日)

第4弾 サトーカメラ 佐藤勝人の巻[第4回/市場シェア]

カテゴリー: サトーカメラ 佐藤勝人の巻  12時30分31秒

<中略>
話はローカルチェーンづくり、菱食の低温食品事業部の初期のマーケティング戦略で盛り上がります。
そして再び、サトーカメラの店づくりに。

結城:

経営戦略が決まって
一番最初に言っていた60坪店舗の話、
ここにもどってくるわけですね。

佐藤勝人氏:

そうです。
60坪の店を最初建てたっていうのも
何も勉強してなかったわけじゃなかったんだけど、
気づいてみたらウォルマートですら47坪。
ヤマダ電機さんでもあっても40くらい。
60坪は、売上げから算出した結果なんですね。
だから勝つんですよね。

栃木県内にヨドバシさんも出てきてるんです。
ヨドバシさんだったらマックス100坪は作ってくるだろうから、
本店をその2倍の200坪にした。
そうして栃木県内全部、網羅したんです。

だから彼らが出店してきても、
もちろん凄い会社ですけど、うちは何も響かず、
どちらかと言うと、返ってこっちの業績があがってきたりとかね。

面白いですよね。
彼らがセールやれば、サトーカメラにお客様が来てくれる。
これは市場シェアの論理ですからね。
サトーカメラは、
デジタル一眼レフのシェアが60%を超えてるんです、栃木県内で。
デジタルコンパクトカメラが大体27~28%。
デジタルビデオカメラが25~26%。
写真そのものは30%のシェアを押さえてる。

結城:

すごいですね。

佐藤勝人氏:

真っ向勝負といっても、血みどろの戦いを好いているわけではないけど、
そういった部分も見せないとまずいんですね。
お客様から見ると、やっぱり戦ってる姿も好きなんですよね。
戦う姿勢を見せるから、お客様も
「サトーカメラ裏切ってないな」って来てくれるわけですよ。
全部が全部、戦わないでできたら、それは世話ないですけど。
やっぱりありますよ。戦っている姿を見せなくちゃならない部分は。
そこでお客様も賛同してくれて、
お前の店も頑張れよって来てくれるわけです。
応援に来てくれるわけです。

じゃ、どこで稼いでいくのか。
競争の中で、一番勉強になったのは、
消耗品というか、商品で
キチンと稼げる流れを作っていかないいけないということ。
日銭が入ってくる流れを作っていかないと、
経営が厳しくなるということですね。

結城:

そうですね。

佐藤さんは独学で勉強したのかもしれないけど、
セオリー通りの商売ですよ。
アメリカの食品スーパーでも、
ナショナルチェーンと言われるクローガー、セーフ、アルバートが
どんどんダメになっている。
アメリカ行っていつもお店見るんですけど、
アルバートソンという2000年の前までは、
エクセレントカンパニーって言われていたスーパーマーケットですけど
素晴らしい店で、僕も何度も感動したんですけど、
今はもうダメになってしまったんです。
一番頑張ってるのがローカルチェーンでドミナントシェアを高く持っている企業。


結城:

ここで面白い話を一つ。

FOTUNE誌が発表する「働きたい企業ランキング」の
いつも上にあるウェグマンズっていうスーパーマーケットなんですけど、
一店舗だけ見ていると高級グルメスーパーに見える。
だけど、ウェグマンズの本拠地のニューヨーク州の北側の
ロチェスターという町があるんですけど、
ここに行くとウェグマンズは23店舗ありまして、
その地域のスーパーマーケットのシェアを49%持っているんですね。
23店で49%のシェアを占めると、
ウェグマンズがグルメスーパーじゃない、
高級スーパーじゃないって逆に証明されるわけですよ。

もし高級グルメスーパーだったら、
町全体が高所得者ばっかりでいなきゃならないけど、
その町にはウォルマートもあるし、
アルディていうハードディスカウトもあって、非常に繁盛してる。

そこで49%を占めてるっていうのは
ウェグマンズがロチェスターのお客様に一生懸命対応しようって思ったら、
品揃えがそういう風になってきて支持されたということ。
ウェグマンズは、「コンシステンシーロープライス」という、
エブリデーロープライズもやって、
コカコーラは地域でウォルマートに次ぐくらいに安い。
そちらもやりながら、
でもお客様のグルメにも対応しようと考えたから、ああいうお店になった。
要は、この地域と決めたところのお客様に一生懸命に対応しようとすると、
結果としてあのようなスタイルになって、
それを他のエリアに持っていったら、上手くいったと。
こういう理屈が成り立つわけですね。

食品スーパーのような商売であっても、
ローカルチェーンでシェアを持つのは一番重要なことになってるわけです。
だから、佐藤さんも、宇都宮を中心にした栃木の、
サトカメの生き方は正しくそれだと思ってるんです。

佐藤勝人氏:

ありがとうございます。

続きます。

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2010年2月2日(火曜日)

第4弾 サトーカメラ 佐藤勝人の巻[第3回/経営理念]

カテゴリー: サトーカメラ 佐藤勝人の巻  16時24分44秒

佐藤勝人氏:

自分的にはいい経験してるなぁと思いますよ。
いい勉強してるなと。
だから商業界が主催するアメリカセミナーにも行ったんです。
2002年か、2003年くらいから。
業態論だとか、どの商品に変えていけばいいのか、勉強するわけです。

そこで、どうしてもぶつかるのがチェーストア理論なんです。
なぜなら、すでにチェーンストア志向で経営されている人たちはいっぱいいる。
何か勉強すればするほど、
今の自分の商売から離れていっちゃうなと。
経営手法、経営論になってくるんですね。
悩んでました。
自分なりに、色々調べながらね。
だから勉強にはまったんですけどね。

★思い出を一生キレイに残すために

佐藤勝人氏:

その中で、腹をくくって掲げたのが、
「思い出を一生キレイに残すために」の経営理念だったんです。

思い出を一生キレイに残すために俺たちはやるんだと。
だから途中で撮るものは変わっても関係ないと。
カメラから他の形なるのかもしれない。
フィルムが無くなるかもしれない。
そんなものはどうでもいい、記録方式はどうでもいい。
俺たちはこのためにやってるんだと、決めたんです。

その次に、商売のエリアを決めたんです。
全国展開を考えていくと、
先輩たちがやってる商売になってしまうんで、
今からやっても敵わないなと。
今からトヨタを作っても無理というのと一緒で、
ちょっと厳しいかもしれないなと。
取り敢えず商売のエリアを絞ってみよう。栃木県に絞ってみようと。

その瞬間に、やるべきことが見え始めたというか。
思い出を一生キレイに残すための商売を、
エリアを絞って展開しようと決めた瞬間に、
我々の大好きな商売、
我々の大好きな市場創造、文化創造ができるってことが見えたときに、
やっと、経営してて、商売してて面白いなって思えるようになりました。

結城氏:

素晴らしいですよね。まったくその通り。
いつも佐藤さんのいっている
「思い出を一生キレイに残すために」っていうのが、
サトーカメラの大スローガンですよね。
この基本理念があるからね。

★「視力を守る」と「籠かきの教訓」

結城氏:

商業界の同友会の方で、
熊本で「メガネのヨネザワ」って150店ほどのメガネ屋さんをやっている
米澤さんって方がいるんですが、
「お客様の視力を守る」というのが会社の考え方なんですね。
視力を守る、視力っていうのは「目の力」ですよね。

だから米澤さんの二人の息子さん達は、
二人とも眼医者、眼科医なんですね。
その意味では、「お客様の視力を守る」っていう経営思想を
手段は違っても親子そろってやっている。
そういう思想の広がりを持っているんです。

僕の話にはいつも出てきますけど、江戸時代の「籠かきの教訓」。
江戸時代の籠かきは、
自分の仕事を「籠を担いで走ること」だと思ってたら、
江戸時代で、籠かきが無くなってしまった。
でも自分の仕事は、
「お客様を運ぶ仕事だ」という位置づけで仕事をしていたら、
明治時代になったら蒸気機関をやったり、
今の時代は新幹線を走らせたり、飛行機を飛ばしたり、
お客様を運んで、海外へ連れてったりという仕事が隆盛している。

つまり、自分の仕事の本質は何なのかというのを、
しっかり見定めてなければ迷ってしまうし、時代に対応できない。
そういう話をするんですけ。
佐藤さんの「思い出を一生キレイに残すために」というのは、
正しくその籠かきの教訓であり、
米澤さんの「お客様の視力を守る」と共通していて、
これが商売の全てのスタートだということですよね。

★常識破りのカメラの11年保証

佐藤勝人氏:

これはこれで、いつも議論になるんですよ。
どんな商品を売ろうとしても、
「思い出を一生キレイに残すために」の考えに、
ちゃんとフィットしてるのかしていないのか。
例えば、サトカメでは11年保証ってやってるんです。
カメラの11年保証。
ありえないんですよ、そんなこと。

よく言うんですよ。
「11年も使うバカいないだろう」

するとみんな言います。
「うん、いないですよ」
「何でやるんですか?どういうことですか?」って。

僕は答えるわけです。
「保証書というのは、
壊れないことを保証するためにあるメーカーの保証でしょ。
だから保証が切れた瞬間に壊れやすいんでしょ。
壊れたらお客さんは皆腹立つわけでしょ。許せないんだ、俺も」
「じゃ、11年ってどういう基準なんですか?」

メーカーで修理部品を持ってるのが10年なんですよ。
そうすると、あと1年くらいはギリギリ部品を取っといてある。
この範囲が11年なんです。
うちなりに調べた結果ね。

だから、11年までだったら修理することはできる。
直す、直さないは別にしてね。
11年の保証期間があれば、1回や2回は壊れるかもしれない。
サトカメだったら、その時に直してあげられるってことです。
普通の会社だったら、
直すとコストもかかるし、めんどくさいから
「買い変えろ、買い替えろ」って言う。

それも分かるんだけど、私よく言うんですよ。
「思い出を一生キレイに残すために」、
カメラを買い替えたって、思い出は残りません。
その金額分を、写真にしてください。
画像で残してくださいってね。
普通は3年に一度カメラを買い替えさせる。
4~5回ほど買い替えるわけです、11年の間に。
そっちの方が、メーカーの発想的に効率いいんだろうけども、
「思い出を一生キレイに残せない」から、うちじゃダメ!

もちろん、お客様も使い勝手が悪くて
直してまで使い続けるのはヤダということもあるけど、
そうじゃない限りは、とにかく直して使ってもらう。
少しでも修理代を安くするから、その分、写真に残してくださいと。

さらに、カメラは最終的に捨てるっていうお客様には、
最後は使わなくてもいいから、
直して取っといてくださいって言いいなさいと。

「何でですか?」(スタッフ)
「お客様がカメラ買った時は、どういう時だった?」

だいたい、子供が生まれたり、結婚したときなど、お祝い時なんですよ。
例えば子供さんが生まれた時にお客様はカメラを買ったら、
ずーと、5年でも6年でもそのカメラで、一緒に撮ったわけです。

子供から見た思い出というのは、このカメラを覗いたお父さんなんです。
このカメラにも思い出があるはずだと。
だからこれも使えるようにして取っておいて、
子供さんが大きくなった時に、それをあげればいいじゃないかと。

「これパパが使ったやつだよね」

そこに文化が生まれる。
だから11年までだったら直すことが出来るから、うちではやろうと。

そんなバカなことやってるやつはいないって笑われたけれども、
サトカメはやってる。
その代わり無償ではできないから、
取るところはしっかり取りますけど。11年保証をやってます。


結城:

今の時代にね、不況になってきて、その考え方はピタリだしね、むしろね。
ずーとつながりますよね。

その話で言うと、2010年2月期の決算会社、上場企業の会社の中で、
これからの一年間、一番経常利益率が高いという会社が、
ガリバー・インターナショナルという自動車の中古の会社。
2月に決算した会社がですね、
2010年の今期はこういう予想ですって、みんな出すんですね。
それを、全部ランキングに上げていったら、
ダントツのトップ、92%の経常利益の伸び率がガリバーなんですよ。

この時代に、車だって中古ですから。
もう新車を買い替えるっていうことではなくて、
古い車を買ったり、古い車をずっとメンテナンスして使う、
そういうトレンドになってきてますからね。
サトーカメラの11年保証っていうのは、正しく今の時代に合ってる。

今の時代に合ってるというか、好況になろうが不況になろうが、
ずーと時代に合ってるという考え方で見た方がいいと思いますけどね。
素晴らしいアイデアですね。

それともう一つ。
これは佐藤さんの持論ですけども、エリアを決めた。
栃木に決めたと。
これはさっきもおっしゃったけど、
経営戦略として、実に見事だと思うんですけどね。

★エリアを絞って質を高める経営こそ無上の喜び

佐藤勝人氏:

経営論っていっぱいあって、
極端に小さい話か、大きい話しかないってやってるけどね。
チェーンストア理論が正しいと私も思うし、
それがキチッとできないと、商圏を広げることは難しい。
基本ですからね。
色々考えて、調べた結果、エリアを絞り込んだ。
自分自身の性格の問題もある。
もちろん勉強不足もあるんですよ。
自分ではちょっと違うかなと思い始めたんですよね。

それは先輩達がすでにやってますから、
その店を見に行ったり、話を聞いて、
もちろん尊敬はするんですけども、何か違う自分がいるんですよ。
熱くなれない自分がね。

やっぱり経営ってものは、結城先生もそうですけど、
80歳までやろうって思ってるわけですから、
熱くならないとできませんからね。

そうすると自分が命がけで突き進みたいって思ったときに、
どういうやり方ができるかなって思ったら、、
エリアを絞り込んで、そこで質を高めていくということが、
何て言うんですか、
自分にとっては最高にこの上ない喜びというか。
商売やってて、相手が大きい会社だろうが何だろうが、
「いや、うちの方が上だよ」じゃないけど、
そう言いたいっていうか、
そういう考えに行き着きましたね。

だからアメリカに視察に行っても、
ナゲットマーケットとか、
ああいう店の方がカッコいいって見ちゃうんですよ。
これはもう性格の問題かなと(笑)。

結城:

いや、それは佐藤さんの性格というわけじゃなくてね、
非常にセオリーに則ってますよ。

チェーンストアの一つの理屈っていうのが、
ローカルチェーンが最終単位、一番重要な単位。
ローカルチェーンは一つの小商圏と言いますけど、
店舗が隣接して一つの文化圏が、一つのローカルチェーンの単位で、
そこで強いことが何よりも大事です。
全体で大きいのは何の意味もないっていうのが、
僕のチェーンストアの認識の仕方なんですね。
ローカルチェーンが一番重要な単位。

佐藤さんの栃木に決めたっていうのは、
ローカルチェーンを作るっていう、
正しい仮想かもしれませんね。

続きます

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2009年11月18日(水曜日)

第4弾 サトーカメラ 佐藤勝人の巻[第2回/業態転換]

カテゴリー: サトーカメラ 佐藤勝人の巻  16時25分05秒

結城:

ヨドバシカメラとビックカメラが、どんどん成長してるけど、
あとは皆、苦しくなっている。

僕も商業界の社長をやっていた時代に、
商業界にはエルダーという先輩の方たちがいるんですけどね。
佐藤さんもよくご存じだと思いますが、
カメラのキムラの会長をされていた
木村迪夫さんっていうエルダーの方がいた。、
経営されていた会社はとてもいい会社でしたけれども、
やはり非常に大変になって、
カメラのキタムラと一緒にならざるを得なかった。

本当に、この数年間、カメラ業界はドラスティックですよね。

あの牛丼の吉野家の安部修仁社長が、
BSEの問題でアメリカンビーフを売ることができなくなってしまった。
お先真っ暗ですよね。
それを耐え忍んで900日間頑張った。
それに似てるんですけど、
牛丼のBSE、アメリカンビーフはいずれ販売できるようになるから、
そこまで待てばいいんでしょうけど、
フィルムは無くなっちゃうんですからね。

★フィルムと現像で儲けていたカメラ業界

佐藤勝人氏:

そうですよ。
だから、お客様に怒られたのが、一番ショックでした。
お客様に「お前は何、言い始まるんだ!」と。

間違いなくフィルムは無くなる、
だから今からもう変えていきましょうと、
お客様に教えるわけです。
そのお客様に本気で怒られるわけです。

「お前何考えてるんだ。そんなわけないだろう」
「フィルムを無くすな。カメラ屋のくせして」

お客様にそう言われたのが、一番ショックでしたね。

今は、そんなこと言う人はいませんよ。
当然のことだって、そうなっていますから。

結城:

やっぱりフィルムで儲けてたんですか?

佐藤勝人氏:

そうですね。
カメラそのものは、極端にいえば、儲けがなくてもいい。
多少でも利益額の方で、利益率じゃなくて、入ればいいんです。

写真現像は、製造小売りのようなものです。
だから、それがきちんと回っていれば、
現像と写真代で儲かったという時代がずっと、あったんです。

フィルムがなくなるから、
これからはこうしようって動き始めたんですけども、
私もまだまだ若造ですから、勉強が浅いですから、
利益の取る分が遅かったというか・・・。

変化の読みは早かったんですけど、
商品構成やら、値付けやら、何やら、その後の展開が浅かった。

昔は写真を撮れば、フィルムだから、
現像しないと見られない。
だから皆さん、お店に現像しに持ってくるわけですよね。
黙っていても、お客さまは来店したんです。

スーパーマーケットもそうですよね。
夜になれば食材が無いわけで、
黙っていても買いに来ていただける。

カメラ屋もそれで良かったということなんです。

それが変わってきちゃった。
フィルムが無くなっちゃったわけです、急に。
車屋さんで言えば、明日から車が無いというようなもんです。
スーパーマーケットで、
明日から玉ねぎがない、大根がないっていってるようなもんです。

そんなこと考えろって言ったって、
普通は考えられなかった。
ではなぜ、自分が考えられたかといえば、
しいて言うなら、若かったからかなと。

佐藤勝人氏:

実は、自分たちの過去を調べたんです。
サトーカメラの過去。
サトーカメラが何で急成長したのかを調べた。
だって、この業界では、一番ビリッケツからスタートしたんですよ。
それが一気に上がってきたのはナゼかなって思って、
自分で自分の会社を調べ始めたです。

そうすると、1988年、
われわれの会社が始まった当時というのは、
オートフォーカスの一眼レフカメラが出始まった時なんです。

それまで「マニュアル式の一眼レフカメラがカメラだ」といってた店が
みんな潰れちゃった。
うちは新参者だったんで、
これからはピントが自動の新しいカメラが間違いなく使われるであろうと、
そう考えて、後から参入して、それを広めたんですね。

それで、
「違うんだ、昔からカメラとはこういうものなんだ」っていった
会社が、店が、みんな潰れてったんですよ。
メーカーさんも問屋さんも。

それを20年の間の始めのうちに経験していたので、
その時と今と同じだと気づいたわけです。
だから、しがみついてたらこれは終わるぞと言うことを、
自分たちがやった経験を題材にして、
これを理論化して、皆に説明して、納得させた。

★トヨタは織物の自動機械から業態転換した

結城:

商売っていうのは、時代の変化って一言でいいますけど、
暮らしの変化だとか、イノベーションだとか、
そういうことに合わせていかなきゃいけない。

考えてみると、日本最大の会社のトヨタ自動車も、
元々は豊田自動織機。
豊田佐吉が発明した、織物の自動機械からスタートしたんですね。
豊田自動織機は今でもありますけど、
その豊田自動織機の中に自動車部というのがあって、
事業部を作って、その自動車部が独立して、トヨタ自動車なった。
今やトヨタ自動車の方が、断然大きくなった。
豊田自動織機というのはあるけれども、
織物とかそんなのはやっているわけではない。

つまり業態の転換をする、乗物の転換をするという、
そういう歴史を持ってるんですね。

今日も本屋に行ったら、
鈴木自動車の会長が、本を出していて、バーンと並んでましたけど、
スズキも同じように、東海地方の自動織機から始まって、
スズキの場合は、二輪車を始めたんですね。
自動二輪、オートバイ。
それから軽自動車を始めて、
今、インドの軽自動車の80%のシェアを持っている。

もともとの自動織機の織物の会社でいたら、
とうになくなっている。
いち早く時代の流れを、転換を見て、そちらに切り替えていった。
やっぱりそういうことは、とても大事ですよね。

カメラ業界は、この2000年に起こったということですよね。

続きます  

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2009年11月5日(木曜日)

第4弾 サトーカメラ 佐藤勝人の巻[第1回/パラダイムの転換]

カテゴリー: サトーカメラ 佐藤勝人の巻  18時30分55秒

第4弾は、サトーカメラ代表取締役専務の佐藤勝人さんとの対談です。
佐藤勝人さんは、日本販売促進研究所という研究所の代表取締役でもあり、
大活躍の「若手本物商人」(結城義晴)です。
インタビューの結城義晴も、佐藤勝人さんに負けじと帽子をかぶってジーンズ姿。収録は4月27日。
まだ宇都宮の山々は雪をかぶったまま。

宇都宮の雪山
フィルムからデジカメへと急激に変化したカメラ業界、市場の変化にどのように対応し、
ローカルチェーンとして地位を築きあげたのか。
そして経営者とコンサルタントの2足の草鞋(わらじ)をはきこなす佐藤勝人の生き方。
お互いを信頼し合う二人が熱く語った2時間。そのエッセンスをお届けします。
 
 

サトカメ本社

★カメラ業界異例の売場面積60坪でスタート

結城:

佐藤さんは、日本販売促進研究所という研究所の代表取締役でもあり、
大活躍の若手本物商人、私はそう思っています。
ちょっと佐藤さんの元気に負けないように力が入っております。
今日は、非常にいい勉強になるし、楽しい時間を皆さんと一緒に過ごしたいと思います。
最初に佐藤勝人さんの簡単な自己紹介をお願いします。

佐藤勝人氏:

どうもこんにちは。
私は、1964年、辰年です。44歳、今年で45歳になります。
サトーカメラという会社を栃木でやってるんですけど、
まあ知らない方が多いと思うんですけどね、
カメラに特化して商売を始めまして、

実家が写真屋さんをやってたんですけど、親父がね。
ちょうど、何年かなあ、1988年ですか、
私がまだ23歳、24歳のときに、
やってたものを私と私の兄貴と、私の嫁の3人で、
まあ何ていうんですか、下心見え見えで(笑)、
一発あててやろうとしてスタートしたのが、サトーカメラなんですね。

20年前ですからロードサイドブームでして、
だいたい坪数も100坪から150坪くらいまでのお店が
出始めたときなんですよね。
その波に乗っかって始めたというんですかね。
ただ、レギュラー店舗そのものは60坪なんです。

カメラ業界で言うならば、
平均で6坪から10坪ぐらいなのが、
昔ながらのカメラ屋さん写真屋さんのスタンダードなスタイル。
それをいきなり6倍大きくしてね、
60坪スタイルを平均サイズとして、
ちょうど20年前にスタートしました。

純粋なカメラ屋さんていうのが、今はなくてですね、
いろんな商品を売っていくという業態論になってきてるわけですよ。

私たちは20年前は、テレビを売ったりパソコンを置いたりもしたんですよ。
いろいろ売れるようにということで。
利便性を追求してやっていったんです。

★ウォルマートにも勝てるじゃないか!

佐藤勝人氏:

ところが坪数が60坪で限られてますからね、
そうするとYKK(ヤマダ電機、コジマ、ケーズデンキ)ですか、
家電量販店にかなわないわけですよ。

そこで私、23歳、24歳の若造は考えたんです。
「どうしたら彼らに勝てるのかな?」と。
永遠に勝てないのかな、無理なのかな?と思って、
何度も何度も視察したんですね、彼らの店をね。

それで、ふっと気がついたのが、
60坪しかない小さな店ですけど、
彼らは何千坪ですけど、カメラコーナーだけを見たら、
「あれ?30坪ぐらいしかないぞ、うちが60坪だから
カメラコーナーだけにしちゃえば、彼らに勝てるんじゃないか!?」
と、ふと、その頃思ったんですね。

それで帰ってきてから、
ラジカセとかパソコンとか一切止めて、
カメラオンリーしたんですね。

もちろんカメラ屋の息子だったってこともあって、
カメラそのものも好きだったし、知ってたんで、
これにしようって特化したんですね。

そこからですね、そこから快進撃がスタートしたんですね。

もう一つだけ言っておきたいのは、
ウォルマートでさえ、カメラコーナーは47坪なんです。
だから、ウォルマートが来ても勝てるぞ!
って話なんですけどね。

結城:

非常にエッセンスのところに入りましたけど、
今はサトーカメラを23歳で始められたわけですが、
今、18店ですか。

佐藤勝人氏:

そうですね。小さなお店も含めてですね。
★50年歴史のあるフィルムが消える!?

結城:

なおかつ、栃木県はもとより「北関東甲信越で12年連続ナンバーワン」と
何かチラシにも謳ってまして、ホームページにも謳ってますけど、
そういう会社になったと。
そういう佐藤さんですが、最初にね、
このカメラ業界は本当に大変な経験を、
この21世紀に入ってからしましたけど。
いわゆるデジカメに変わっちゃうという。

佐藤勝人氏:

そうですよ。

結城:

いわゆるパラダイムの転換などと言いますけど。

佐藤勝人氏:

だって、普通考えられなかったもん。
この業界では、50年続いたんですよ、フィルムというものが。
無くなるなんでいうことは、誰も想像していなかった。

もちろんそれを知っていたのは
メーカーの一部の人たちだけですよ。
技術者レベルの人たちだけですよ。
それ以外は誰も知らなかったんです、本当に。

それが起きたのが、1996年くらいからジワジワと始まって
2000年に入った時には、もうデジカメ。
それでもフィルムは残ると、
あの天下のフジフィルムさんもコダックさんも、
皆、言ってたんです。

フィルムは残るから心配するな、
歴史は50年もあるから、デジタルは追いつかないと。
まあ心配するな、心配するな、とメーカー大号令で
全世界中に発信してたんです。

私が2002年の時ですかね。
ちょうど入れ替わる前、まだフィルムの方が多かったんですけど、
その時に、ちょっと待てよ、と。
これちょっとおかしいぞと。
メーカーが言ってるのは確かに間違いはないけど、
そんな急に変わるわけないからね。
徐々になくなる、まあなくなりはしないか。

★カメラ屋のくせに、お前馬鹿か

佐藤勝人氏:

でも、「ちょっとおかしいんじゃないか、これ。」
「なんでですか。」

自分がデジカメ使ってみて、
どう考えてもデジカメの方が便利だし、
これからメールで飛ばすのも考えて、
パソコン使うのも考えて、
どう考えてもデジカメじゃないか、と。

「ということはフィルムは無くなるよ。
フィルムのある意味がないよ。
芸術性を訴えたとしてもね。もちろんそれは分かるけれども。
一部の愛好家が使うだけであって、世間的にはあり得ない。」
そういうことを、2002年に私が、この業界に言ったんですね。
提唱したんですよ。

その瞬間に、かなり大ひんしゅく買いましたけど。

結城:
そりゃ、大変だ。

佐藤勝人氏:

どういうことかと言うと、
「お前余計なことを言うな」と。
「お前に何が分かる」と。
「この50年の歴史の何が分かる」と言われた。

サトーカメラは、当時、
栃木県内のフィルム市場の80%を売っていたんです。
その80%押さえてる会社が急にですよ、
なくなるからデジタルに変えるんだと言ったら、
もちろん、うちのアソシエイト達(社員)も
「何言ってるんですか?」と言うんですよね。

当時の社長も含めてですね、メーカー、問屋さんも含めて、
「何を言ってるんだ。お前馬鹿か?」と。
お客様にも怒られましたよ。
「カメラ屋のくせして、何をいうんだ」と。

★生き残りを賭けて、一気に舵を切る

佐藤勝人氏:

でも、それは違うと。
間違いなく変わると。
だから5年先を読んだんです。
勉強してたおかげですけどね。

もう間違っていたっていい、
俺はこれで進むんだっていうことで、
まずは一気にうちのアソシエイト、当時150名全員に説明してね。

そうすると店長レベルは皆、言うんですよ。
「現場を知らな過ぎる!」

それでも私は言い続けて、なぜそうかってことを
理詰めで説明しないと、皆、理解してくれないから。
そのために勉強してるわけですから。
理詰めできちっと説明して、だから間違いなくこう変わると。

そうして、2002年からサトーカメラ全社あげて、
舵を変えたんですね。

それがあったから生き残ってるというのがあるんですよね。

この10年で、カメラ業界そのものは、3分の1に縮小しました。
10年前は1兆円産業だったんですけど、今は3000億産業。
それでもって、店数も10年前は1万数千店舗あったんですけど、
今は3000店舗ちょっとしかない。
そんなレベルなんです。
それで問屋もほとんど潰れてしまって、
メーカーさんも撤退してしまってという状況なんですね。

その中でも、サトカメの場合は2002年の段階で
一気に舵を変えたんで、何とか生き残っています。
またそこで新しい市場、マーケットをつくり始めている
そういう段階なんですよね。

続きます  

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