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地中海クルーズ(1) バルセロナの巻| アメリカ流通 浅野秀二のアメリカ寄稿

浅野秀二のアメリカ寄稿

地中海クルーズ(1) バルセロナの巻

2010年12月15日(水曜日)
カテゴリー:
  • 旅先からのつれづれ日記
  
2:20 PM

昔のことである。
フラメンコ・ダンサーの第一人者、小松原庸子
(だと思うが、記憶がはっきりしない??)
が新聞に書いていた。
「フラメンコ・ダンスは女のエクスタシーの表現であり、
その激しい蹴りは人を殺傷することも出来る。」

当時、日本拳法部で蹴りを得意としていた
私の若い心を激しくとらえた。
いや、蹴りの強さより、女のエクスタシーに、
興味を持ったのが正直な心かもしれない。
本物のフラメンコが見たい。
本場のスペインに行こう。

101215_flamenco.jpg

大阪の大学を卒業予定の高校の同級生から電話があった。
「浅野、東京に就職で行くなら、
新宿のエル・フラメンコに行こう。」

東京に到着するやいなや、彼とエル・フラメンコに向かった。
スペイン料理は初めて、メニューなどまったく解らない。
聞いたことがあるエスカルゴ(フランス料理)を
注文することにした。
文明人になるために、2人で目をつぶって食べた記憶が懐かしい。

その後、東京に就職をし、日比谷公園で真夏の夜の舞踏、
小松原庸子の踊りを何回か見たが、スペインに行く機会は無かった。

今回の山の神のお告げは、地中海クルーズであった。
最初の訪問都市はバルセロナ。

サンフランシスコからロンドンのヒースロー空港で乗り換え、
空港の寿司屋で、スパイシー(からい)うどんを食べた。
従業員の着ているTシャツの文句が気に入った。
「早い、楽しい、新しい」

101215_t-shirt.jpg

まさに成功するための条件だ。
日本人は成功の条件は味と答える。
海外では必ずしもそうではない。
上記の3つの条件と、「量があれば鬼に金棒」

出港となるバルセロナ市についに着いた。
家を出て、24時間も経っていた。
観光は教会見物、正直もう飽きた。体が鉛のように重い。
ホテルは1992年のバルセロナ・オリンピックの
選手村を改造したホテルだった。新しい街、情緒は無い。

翌日のホテルの朝食に驚いた。
今まで食べたアメリカのどのホテルより、
フルーツ、ベーカリーの種類が豊富だった。
大皿に3杯たべる。

地図を頼りに、歩いてあの有名な建築家・ガウディが設計した教会、
サグラダ・ファミリアに向かう。

101215_sagrada-familia.jpg

親しくしていただいている、商業建築で有名な黒川恭一先生の会社は、
ガウディ設計事務所、彼の名前を取っている。

高卒で東大教授になった、安藤忠雄も、
ここで大きなインパクトを得て人生が変わった。
私は興味本位、また教会か?と言う感じ。

遠くからグロテスクな姿が見える。
建築がはじまって100年以上も経つが、いまだ建築は続いている。

101215_sagrada-familia2.jpg

もうこの偉大な遊び心に感動した。
創造は遊び心、意味の無い世界を、意味あるものにする。
これが人間の知恵か?
意味ある世界を、偉大な宗教家やアーティストや天才によって、
人間は世の中の意味あることを知るのか?

この教会の異様な姿に驚いたが、特別に感動はなかった。
中に入る?12ユーロは高い?
いままでたくさんのヨーロッパの教会を見て来た。
入場は止めよう?でも1500円か?
思いなおす、それなら普通の金額だ。
結局教会の中に入ることにする。

101215_sagrada-familia-inside.jpg

その瞬間、いままで見たことのない、
外面から想像できない世界を見た。

101215_sagrada-familia-inside2.jpg

これは何だ?理屈はない。
俺はこの世界なら好きだ。宇宙空間を見た気がした。
心が明るく楽しい、あの中世の教会、暗い、苦しみの世界から
解放された気がする。

101215_sagrada-familia-inside3.jpg

これが極楽浄土とも思えた。この教会の歴史も宗教的理屈も知らない。
だだ、ただ強く感動した。私の本能を満足させた。
ありがとう。

あとは場末で、フラメンコ・ダンスを見て、
本場女のエクスタシーを感じたい。(これは無理、見るだけだ)
細くて手足がながく、野性的な肉体と、
鋭い目つきの踊り子だった。
特別、若くも、美人でもなく、魅力的でもなかった。

101215_flamenco2.jpg

しかし踊り始めると、やがて妖艶が漂い、
女の激しい情熱や嫉妬、男の淡白な肉体や心と違う、
愛欲の激しさを感じる。

101215_flamenco3.jpg

足を小刻み動かし、激しく床を叩いたかと思うと、
目をうつろに空に見上げ、時には睨みつけ、
上半身をスロー回転させる。
波は一気に登りつめない、
繰り返し、繰り返し、強弱を付けながら、床を蹴り続ける。

101215_flamenco-guitar.jpg

このような女の情念を知ったら、男は奈落の底に落ちるか?
それともこれを励みとして、人生の運気が伸び、上昇気流に乗るか?
2つのタイプがある。
後者は「あげまん」に会ったということになる。

さて、食品スーパーらしきものは、都市の中心に無かった。
昔馴染みの食料品店が、いまだに多かった。
唯一の例外は、デパートの地下が、
スーパーマーケットになっていた。
レベルは驚くべきものではない。
写真はEl Corte Ingeles Departmentである。
この周辺は街の中心、賑わいはすごかった。

101215_barcelona.jpg

特筆すべき点は、バルセロナのアメ横?、
市場(Mercat de La Boqueria)の質の高さは驚きだった。

101215_market.jpg

果物・青果、陳列、彩、新鮮さ、
種類の多さ、楽しさ、魚も素晴らしい。

101215_market6.jpg

101215_market7.jpg

101215_market8.jpg

生ハムが目立つ、食事も出来てもう最高、
フォアグラ、カラスミはアメリカ半額だ。

101215_market4.jpg

アメリカのスーパーは、間違いなく、ここからも学んでいる。
そのような気がした。
都市部においては、このような市場の機能、
重要性は当分失われないと確信を持った。

101215_market5.jpg

明日はいよいよ出港だ。
コロンブスがここバルセロナで、
この海の先にはアメリカがあると叫んだ銅像がある。

101215_colombus.jpg

15世紀のことである。
今、中国、インドの若者にとって21世紀は、
あのヨーロッパの大航海時代と同じような時代だと思う。
彼らはこれから想像を絶するインパクトを世界に与える。
彼らの武器は人口と移民と商魂だ。
日本は覚悟して、開国をしないと、彼らの植民地になる。
アメリカも、ヨーロッパも、同じリスクを感じている。

世界はめまぐるしく、激しく、動いている。
化石のような政治とマスコミに涙する。

101215_flamenco-asano.jpg

浅野秀二
12月15日

« JACからのクリスマスカード | 地中海クルーズ(2) 出港、イタリア・ギリシャへ »

3 件のコメント

  • mizkan より:
    2010年12月15日 9:51 PM

    相変わらずの洒脱な切り口とロマンティックな語り口。すばらしい! いつも楽しく拝見しています。

  • 匿名 より:
    2010年12月17日 2:57 AM

    あーさん、かっこえー。まるでスペインの貴公子みたい。

  • 浅野秀二 より:
    2010年12月18日 11:37 PM

    mizkan様
    くだらないことばかり書いているブログをいつ止めようかと
    思ってきましたが、その言葉に励まされ、もう少し頑張ります。

    ゲスト 様
    貴女のような若くて美しい方から、そう言っていただけると
    すぐのぼせます。
    From 調子者


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