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日本とカリフォルニアの暑い夏| アメリカ流通 浅野秀二のアメリカ寄稿

浅野秀二のアメリカ寄稿

日本とカリフォルニアの暑い夏

2011年09月14日(水曜日)
カテゴリー:
  • アメリカからのメッセージ
  
12:38 PM

残暑お見舞い申し上げます。
日本はまだ暑い日が続いているようですね。

私にとっては日本の暑い夏は終わり、
カリフォルニアで再びインディアン・サマー(残暑)と、
仕事が一番忙しい時期を迎えた。

今年の日本の夏は阿波踊りから始まった。

20110913_asano-sasaki.jpg

数日前まで、普通のおねえちゃんやおばちゃんだった人達が、
袈裟をかぶり、下駄を履き、浴衣を着て、見せる踊りの
色気、オーラに圧倒された。

20110913_awaodori2.jpg

400年前、民百姓の暮らしが
あまりにも貧しく、悲しく、喜びがないことを、
阿波の国の領主さま、蜂須賀様は嘆き悲しみ、
阿波踊りを奨励した。
そしてその後の夜這いを許したことにより、
領民は喜び、やる気になり、国が豊かになったそうだ。

20110913_awaodori.jpg

日本では計数管理が主体の経営が流行っているようですが、
小売業には心理学的側面が大きいはず。
楽しければ、必ず生産性はあがる。
阿波踊りはその原点を象徴していると思った。

その後、故郷で親父の初盆、
広島でアメリカ大学時代の同窓会。

自伝ブログの7話に登場する梅尾さんは、
日本帰国後、英語塾経営で財をなし、
宮島が見える高級マンションのペント・ハウス別荘と
大型ボートを所有するまでになった。

20110913_miyajima.jpg

今回の同窓会は彼のマンションで寝泊まりさせてもらった。
これを見たら、梅尾先輩のアメリカの学生時代の貧乏暮らしは、
誰も想像できないだろう。

年収5千万円の外資系の社長になった人、
大学の英語講師、故郷でホテルマンになった人、
音響メーカーのパイオニア㈱の米国事業を立ち上げたパイオニア(先駆者)、
いろいろな人材がいて本当に楽しかった。

広島では福山に立ち寄り、
山本知典氏の案内で福山のエブリイの新店を見学。

20110913_every-facade.jpg

松江にあるエブリイの業務用スーパーと違い、高質スーパーで、
開店して半年で年商30億円ベースの売上げで進んでいる。

20110913_every-peach.jpg
日本のスーパーの戦いは安さだけが主戦場ではないことが、
非常に勉強になった。

20110913_every-fish.jpg

レストランの開店式で忙しかった岡崎雅廣社長にも
挨拶をする機会があった。
ここでお礼を申し上げます。

その後、東京でセミナーをさせていただいた。

20110913_asano-kouen.jpg

店舗を見ながらの研修と違い、
ウォルマートやホール・フーズ、
トレーダー・ジョーを見たことが無い人に
アメリカ小売業の語りかける難しさも感じた。

8月24日、アメリカに帰国したその日から、
時差ぼけを感じる暇もなく、
すぐに日生協の下見の仕事を開始。

その後、伊丹の豆腐屋さん、但馬屋食品の
中島耕作社長以下8名参加の4日間の研修があった。
社長みずからの陣頭指揮で
アメリカの小売業の視察のみならず、
社長と社員とのコミュニケーションを良くし、
ベクトルを合わせ、結束を固め、
ヤル気のある集団をつくるのが目的です。
社長は、いずれ社員全員を
アメリカに連れて来ると言っておられた。

さて、週末が空いた。
木曜日に友人に電話して、ヨセミテで登山をしないかと誘った。

20110913_lake.jpg

登山の経験は3年前の富士山以外は皆無。
理由は最近体力が落ちているという意識があるからだ。
富士山に登った時ほどの体力がまだあるのかを試したかった。

登山のベテランの水戸さんが言った。
「では明日、二人で行きますか?
Mt.Dana、標高3979メートルの山に案内します。」
「富士山より高い山か、それなら挑戦し甲斐がある。
行きましょう。」さっそく、道具を買いに行った。

20110913_camping.jpg

テントでキャンプもするという。

20110913_climbing-tools.jpg
「二人だけは面白くないな、女の子を誘いましょうよ?」
突然の話で、誰ものってこなかった。
当てが外れた。今さらやめましょうとは言えない。

金曜日の朝8時に家を出た。
明日、土曜日は50%の確率で雨。
「雨模様ではやばいので、
3307 メートルのMt.Hoffmannに切り替えましょう。」
文句はない。
そもそも登山は名目で、女子と行くのが目的のような
出来心からスタートしている。

20110913_bear-trap.jpg
ヨセミテまで4時間半、公園内のキャンプ地は満員だった。
ヨセミテのTioga峠(3000メートル)を越えて、
ヨセミテの外にキャンプ地を設定した。
まだ時間がある。

取りあえず、足ならしに2900メートル級の山に今日は登る。
黙ってついて行くしかない。
弱音は吐けない。
富士山に登ったプライドで頑張った。

20110913_top-of-mt2.jpg

何とか登頂した。足が疲れた。
明日は朝から雨が降ればいいと思った。

20110913_marmot.jpg

テントを張り、キャンプ・ファイヤ用の材木もたくさん集めた。
オカマでもあるまいに、野郎二人のキャンプである。

20110913_camping-asano.jpg

食事の前に水戸さんは夕食のおかずを釣りに行き、
ニジマスを3匹、釣ってきた。

20110913_mito-rainbow-trout.jpg

これで夕食のおかずに不足はない。
銀紙で包み、焼いて食ったが、美味しかった。

20110913_rainbow-trout.jpg

キャンプ・ファイヤの火は煌々と燃えている。
話は尽きないが、何かが不足している。赤い声がないのだ。
早々と9時半に寝ることになった。
外は曇っていた。雨も降りそうだ。
しめしめ、明日は雨だ。
今日の2900メートル登頂で十分に目的は達成だ。
明日は体を休めたい。インディアンの雨乞の歌と踊りでもしようか?

20110913_mountain-view.jpg

真夜中、トイレに起きると、
空は満天の星、月は満月、明日は晴れそうだ。
これは大変、熟睡をしないと体力はない。

朝7時起床し、コーヒーにベーグル、バナナ。
テントをかたづけ、2300メートル地点まで車で行った。
「あの見えている山の手前を回って、
その向こうが、Mt.Hoffmannです。
私の足で登って、2時間のコースです。」
「あの見える山より高いですか? 」
「はいそうです。」

20110913_mt-hoffman2.jpg
ショックだが、水戸さんに弱音は見せられない。
私には3時間はかかりそうだ。
最初は話をしながら歩くが、10分もすると、
彼と数十メートルの差が開き、会話は途切れる。

20110913_lake-yosemite.jpg

それにしても壮大な景色だ。
ヨセミテ国立公園ほど美しい公園は知らない。
2000メートル級から3000メートルを越える山々がたくさんある。
それに世界第2位の落差を誇るヨセミテ滝をはじめ、
たくさんの滝や湖がある。
登山道(トレイル)だけで2000キロもあると聞いた。

20110913_mt-hoffman.jpg

景色を見ながら、一歩一歩登って行く、残雪がある。

20110913_snow.jpg

高山植物の花が美しい。

20110913_flower2.jpg

20110913_flower.jpg

高原に住むリスは見たが、
標高が高いためか、シカや熊は見ない。ラクーンも見ない。
背中が山猫のような動物を見た。
大型のリスのような風貌のマーモットがたくさんいた。

20110913_marmot2.jpg

太った体型の猫より大きな感じで、
ペットとしては大きすぎる。でもかわいい。

遠くの山には雲がかかっている。
雨が降っているようだ。雲が近づいてくる。
山頂近くまで登って来た。
あと50メートル、ここからは道はなく、
岩を這い上がるしかない。

20110913_mountain.jpg

ステッキを置いて、岩を這い上がろうとするが、足がもつれる。
膝が笑うような状態だった。

雷が遠くで鳴っている。
先ほどから小雨がぱらついてきた。
「岩が濡れてくる可能性がある。
この岩登りは危険ですね。どうしますか?」
「危険なら、やめておきます。」と答えたかったものの、
山頂を目の前にして3307メートルを諦めるようでは、
キリマンジャロは夢のまた夢。
ここで止めるわけにはいかない。
止めてはあまりに情けない。
よしやるぞ。

恐る恐る、這いつくばってのぼり始めた。
足を滑らせれば、間違いなく、死の可能性がある。
彼の助言を聞きながら、なんとか登頂できた。

20110913_mt-hoffman-top.jpg

ヨセミテ360度の視界が見えた。
壮大なパノラマである。

20110913_asano-mito.jpg

いつもヨセミテ・バレーから見上げていた、
ハーフ・ムーン・ドームが眼下に見えた。
やはり登って良かった。静かな感動があった。

20110913_asano-mountain.jpg

雨が強くなってくる。
早く下山しないといけない。
尻を岩につけながら、滑るように降りる。
出来るだけ立って歩かない。

道がある所まで降りた。
さあ、急ごう。雷が怖い。

帰り道、数組のグループに会った。

20110913_climbing-group.jpg

「君たち、バカな行為はやめた方がいいよ、雨が降るよ。」
と言いたかったが、若者にしたら、
この登山など、お茶の子さいさいかもしれない。
自分の器量で人に助言など、とんでもない話だ。
これを老婆心と言うのか?

何とか下山した。
登り始めたのは8時半、下山したのが午後2時10分。
合計5時間40分もかかった。

下山の途中はもう2度と山登りはしないぞと思ったが、
翌日になると、また山に登りたくなってくる。
自然の中に身をおいた心地よさは、都会では得られない。

水戸さん、またお願いします。
次回はできれば、赤い声をする人にも声を掛けてください。

20110913_mito-mountain.jpg

体力がないと言うより、足腰が弱っている。
これから鍛え直さないといけない。
平地を歩いている程度では難しそうだ。
その気力があるか?
それこそ問題である。

20110913_top-of-mt3.jpg

浅野秀二
9月13日

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