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セーヌ川クルーズ(1)| アメリカ流通 浅野秀二のアメリカ寄稿

浅野秀二のアメリカ寄稿

セーヌ川クルーズ(1)

2011年12月20日(火曜日)
カテゴリー:
  • 旅先からのつれづれ日記
  
2:35 PM

なぜかは知らないが、
12月はセーヌ川のクルーズだそうだ。
山の神のお告げは絶対だ。

20111220_river-cruise.jpg

セーヌ川はフランスの中では第二の長さの河川で、
全長は780kmほどある。
パリを流れる川として、あまりにも有名。
欧州大陸の多くの川がアルプスを源流とするが、
セーヌ川は標高480メートルの高原が水源である。

20111220_tree.jpg

今回きたのは、
パリから大西洋の近くまでの450kmを、
5日間かけて往復するリバー・クルーズ。

さて、クルーズの2日目。
ヴァン・ゴッホの住んでいた家と、
彼と兄弟の墓を見学した。

20111220_vangogh-cemetary.jpg

偶然にも、「ジョージ君、アメリカへ行く」第20話の中で、
「浮世絵がフランスの印象派の絵に
影響を与えたというスピーチをした」
という話を掲載したちょうどその日だった。
年間300万人もの人が訪れていると聞いた。

20111220_vangogh3.jpg

印象派はフランスでは非常に人気があったようだ。
正直、中学の美術の時間にゴッホや
印象派ではないが、ムンクの「叫び」を初めて見た時、
自分の心の嫌な部分を見ているような、
愛憎半ばした複雑な感情があった。
印象派のマネや、踊り子の絵で知られるドガなどは、
人前で好きと言えた。

20111220_vangogh2.jpg

それにしても連日、雨である。

20111220_tour-in-rain.jpg

気候は冬の日本海のようだ。
朝は9時頃まで暗く、夕方4時過ぎるともう暗くなる。
この気候は明らかにゴッホの性格や絵に
影響を与えた気がする。
明るい色に憧れたはずだ。

20111220_rainbow.jpg

セーヌ川沿岸は世界遺産に指定されているが、
特別に興味をもつような風景はなかった。
古い城跡と教会、中世の町並み、
5年前に初めて見た時のような感動はない。

20111220_church.jpg

船の中ではもっぱら、パソコンに向かって仕事をした。
アメリカにいる時の生活と正直、変わらない。

20111220_asano-working.jpg

インターネットのおかげで、
我々の仕事はどこでもできる。
良いことか、悪いことはわからないが。

時間が取れず、なかなかバケーションに行けない人には、
リバー・クルーズは最高の選択肢かもしれない。
船から見る景色は、いつも変化するし、
食事はあげ膳すえ膳。
仕事に飽きるころには、陸地に立ち寄り、
バスで適当に観光地案内もしてくれる。

クルーズ4日目は、「史上最大の作戦」と言われた、
ノルマンディー上陸作戦のビーチを訪れた。

20111220_normandy2.jpg

実はあまり気にしていなかったが、今回のクルーズは、
パリとノルマンディーがメインだったらしい。

20111220_asano2.jpg

ノルマンディーとは、North man という意味で、
12世紀にはバイキングが占領していた土地らしい。
また、ここの領有を巡り、
イギリスとフランスは100年戦争を繰り広げた。

20111220_germany-map.jpg

とにかくこのビーチは、アメリカ人にとっては、
大切な訪問地のようであった。

ノルマンディー上陸作戦では、
16500名ものアメリカ軍、イギリス軍、カナダ軍が
砂浜に船を沈め、8kmにも及ぶコンクリートの浮橋に
人工的な港湾施設を造った。

20111220_normandy3.jpg

1944年6月6日、上陸用舟艇4,000隻および
艦砲射撃を行う軍艦130隻を含む6,000を超える艦艇と
12,000機の航空機が上陸を支援した。
迎え撃ったのは、20世紀最高の戦術の天才と言われた
ドイツの有名なロンメル将軍だ。

これこそ歴史に残る、史上最大の上陸作戦だった。
これにより、最終的に300万人近い兵員が
ドーバー海峡を渡ってノルマンディーに上陸し、
ベルリンを目指した記念すべきビーチであった。

20111220_normandy.jpg

いずれにせよ、気の遠くなるような物量・数字である。
連合国側は1万人以上の死傷者をだした。
アメリカ人にとって、ノルマンディーは、
日本人にとっての日露戦争で勝利した旅順港や
302高地のような聖地なのかもしれない。

クルーズのツアー客全員で
アメリカ人兵士の慰霊塔に黙とうし、
アメリカ国歌を歌った。

20111220_normandy4.jpg

現在、軍に所属している人、
またはかつて米軍に奉仕していた人が
グループの中で3分の1もいた。
その人たちは最敬礼をしていた。
しかもその中の3名は第二次世界大戦に出征していたそうだ。

20111220_normandy5.jpg

それにしても戦争では双方、多くの若者が亡くなった。
平均年齢21歳だったという。
このような記念碑や戦争博物館をみると、
ここまで生き伸びてきたことに、
本当に感謝の念が湧いてくる。
どうしたら世界は平和で暮らせるか?
人類はいまだに回答を見つけられない。
大量破壊兵器が、戦争への誘惑を阻止している、
という皮肉な現実がある。

帰りのバスの中では、寒いからということで、
地元ノルマンディー産のカルバドス酒が配られた。
カルバドスとは、リンゴサイダーから作られる
アルコール度数40%のブランデーである。
私はそれを、一気に2杯飲んだ。

その後、車内にはシャンソンが流れた。
『枯葉』、『ラ・メール』、『愛の賛歌』、『摂氏盆(C’est si bon)』…
若い頃、聞きなれた歌が旅情を誘う。
そして最後は美人ガイドさんが自ら歌を歌ってくれた。

20111220_tour-guide.jpg

そこで最高に盛り上がった。
彼女は若くはないが、私が唯一見つけた、
田舎のパリ・ジェンヌであった。

パリ市内はニューヨークと同じで、
北アフリカや中近東の人々で溢れ返っていた。
本当のフランス人は地方にしかいない。
20年後の日本見るようである。
日本の東京、大阪の大都市は中国人だらけになり、
地方都市のみが、日本人の住みかとなる。

ワイン1杯でまた妄想が始まる。
2杯飲めばどうなるか?
果てしない妄想だ。
そろそろ2杯目が欲しいので、
今日のブログはここで終わる。

20111220_asano.jpg

浅野秀二
12月19日

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