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小国の幸福 ~スイスの旅 その1~| アメリカ流通 浅野秀二のアメリカ寄稿

浅野秀二のアメリカ寄稿

小国の幸福 ~スイスの旅 その1~

2013年07月17日(水曜日)
カテゴリー:
  • 旅先からのつれづれ日記
  
3:46 PM

人生で一番楽しい「旅」を
仕事にしてしまった僕の旅の楽しみは、
とにかく一日も早く家に帰ることである。

家に帰れば、愛犬のチビとモカが大歓迎してくれる。
100601_chibi-moca.jpg

自宅にいる時こそが非日常、
たまらなく快適なひと時である。

そうは言いながらも、帰国日を楽しみしつつ、
やはり休暇は再び旅に出ることになった。

穴場の旅行が好きな僕は、
誰もが最高の観光地と認めるスイスなどに
特に興味は持てなかった。

ところが、人生と同じで、
人は時々、希望しないことに足を突っ込み、そこにはまる。

20130717_glacier6.jpg

サンフランシスコからニューヨーク経由で、
スイスのチューリッヒに着いた。
20130717_zurich3.jpg

チューリッヒ市の人口は36万人、大都市圏を入れると147万人。
スイス最大の都市圏だそうだ。

今まで見慣れた各国の国際空港と違って、
こじんまりとした地方都市のような静かな空港に驚く。
これがスイスの表玄関か。
20130717_zurich-airport.jpg

不安な気持ちを抱きながら、
空港でホテルのシャトルバスを待った。
やがて、迎えのバスが来た。
朝の10時15分にホテルに着いたが、
まだホテルはチェックインの時間ではない。
20130717_zurich2.jpg

一応フロントに聞いてみよう。
金髪で背の高い、綺麗なお姉サマだ。
「何時にチェックインできますか?」
「部屋の掃除が終わっていれば、今でもOKですよ」
と彼女は笑顔で答えた。

すぐ部屋に入れた。
なんと親切で余裕のある社会だ。

機内では2時間しか寝なかったが、休まないで街に出よう。
20130717_zurich.jpg

ホテル近くにトラム(市電)の駅があった。
20130717_asano-train.jpg

しかしコインが手元になく、切符が買えない。
若くて美人な地元の人に聞きながら、
なんとかクレジットカードで買うことができた。
喜んだのもつかの間、あんなに苦労して切符を買ったのに、
改札には出入口がなく、拍子抜けした。

列車にも乗ったが、
ここでも改札口で切符を調べるにくる駅員がいなかった。
20130717_asano-train2.jpg

誤魔化そうと思えば、いくらでもできるのだ。
しかし、日本人のプライドがそれを許さない。

駅員が多く、誤魔化すことができない完璧な日本の姿が、
これを見ると、妙に人件費の無駄な仕組みに思えてくる。

翌日は23スイスフランですべての公共機関に乗ることができ、
博物館・美術館などを利用できる切符で観光した。
これは確かに安い。

チューリッヒ湖の遊覧船に乗った。
20130717_lake-zurich-swimming.jpg

私のテーブルの前に老人が座った。
元IBMの研究員で、ロセオと名乗った。
20130717_asano-roseo.jpg

「スイスは教育レベルが高く、職業訓練制度は優れている。
技術コンクールでは韓国には負けるが、世界有数の国だ」
(韓国か…日本ではなかったのが悔しい)

スイスの一人あたりの国民所得は、$51,170。
20130717_lake-zurich.jpg

ルクセンブルグ、ベルギー、シンガポールに次いで世界4位。
上位の国はすべて小国である。
ちなみに日本は15位で$34.640。

ロセオとの会話は弾んだ。
「スイスではイノベーションが日々行われ、
特に医療・薬、機械、時計、金融、観光、IT産業で
ヨーロッパのどこにも負けない。
最も成功した豊かな社会なのだ。
失業率は3~4%、この湖の周辺の家は5~6億円以上、
世界の金持ちがここに住んでいる」
もっと話していたかったが、船が陸に着いてしまった。
「さようなら」

3日目の夜、ツアーの団体に合流した。
アメリカ人とオーストラリア人、合計32名の参加。
夕食時に、各々が自己紹介。
旅のコーディネーターはイタリア人の女性。
明日からはいよいよアルプスに行く。

翌朝、簡単な市内観光後、
サンモリッツ(St. Moritz、標高1800m)に向かった。
20130717_stmoritz.jpg

有名なスキー・リゾートで、
3000mを超える山から一気にすべり降りることができる
最高のスキー場である。
20130717_stmoritz4.jpg

行く途中はカリフォルニアのヨセミテ公園を、
もう少し大きくしたような大景観だった。

その姿の美しさに感動の声を挙げながら、
2600mのユリア峠(Julier Pass)を越える。
20130717_stmoritz2.jpg

周辺は3600mを越す山々が広がっている。
20130717_stmoritz3.jpg

街に着くと、馬車が待っていた。
馬車で片道約15kmかけ、
氷河の近くまで行くと言うのだ。
20130717_glacier3.jpg

氷河が解けた川は、ミネラルの影響で乳白色。
この5年で氷河のサイズは半分ほどになったらしい。
20130717_glacier4.jpg

地球温暖化の影響を最も受けているのはスイスだ。
20130717_glacier2.jpg

今度来るときには氷河に見えないかもしれないと説明を聞き、
たくさんの写真を撮った。
20130717_glacir.jpg

20130717_glacier5.jpg

その後、ヨーロッパで一番水が澄んでいる、
サンモリッツ湖(Lake St. Moritz)を見ながらホテルへ。

水を清く保つため、エンジン付きのボートは禁止されている。
スイスは環境問題の意識が高いのだ。
この町はヨーロッパ、いや世界のリゾート地。
世界の富豪が住む町らしい。
スイスの美しさは、想像以上だった。

途中たくさんのインド人と中国人のグループにあった。
20130717_india.jpg

歴史は動いているのだ。
この美しさと快適さを見て、彼らは何を感じるのだろうか?
やがて彼らの国から移民が押し寄せるだろう。
その兆候はすでにみられる。

<By 浅野秀二>

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