商人舎

アメリカ流通 浅野秀二のアメリカ寄稿

浅野秀二のアメリカ寄稿

《Vol.2》 ドニューブ川クルーズ

2010年01月12日(火曜日)
カテゴリー:
  • 旅先からのつれづれ日記
  
11:45 AM

最初の寄港地パソーは、3本の川の合流地点。
美しい中州に船は泊まっていた。

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2000年の歴史を持つローマ軍の駐留地や、6~8世紀の東欧の王国、
アジャール人(アジア系)をフランク王国のカール大王が破った話、トルコの侵入、
ナポレオンの活躍など豊かな歴史を持つ地だが、一泊で移動だ。

ドナウ川はドイツからオーストリアに流れて行くのだが、
オプションでチェコ共和国にバスで行き、
その後、次の港・リンツ(オーストリア)にて合流する道を選んだ。

1993年1月1日、チェコとスロバキヤは平和的に2つの国に分かれた。
1939年ヒットラーによってドイツに併合され、1945年西側諸国によって解放されるが、
1950年ロシアに占領され、共産化された。
経済悪化の中、1960年の民主化運動がおこり、1968年再びロシアが侵入する。
1989年大規模なジェネストで民主化を達成した。
現在の人口は1100万人たらずの小国である。

(それより、東京オリンピックで活躍した、ゴールド・メダリスト、
チャフラススカの金髪と笑顔を憶えている日本人も多いと思う。 今、彼女はどうしているだろう…?)
 
 
バスは雪景色の中、走る。
絵のように美しいこの南ボヘミアの町は、
曲がりくねった、VLTAVA(ヴルタヴァ)の渓谷にあった。
100112_vltava_castle.jpg
この町はチェコ内地とオーストリア・ドイツのドナウ川地域と
北イタリアとがちょうど接するところに位置している。
古い中世の町とクルムロフの城、おとぎ話の国に来たようだ。
ユネスコの世界遺産に登録されている。
 
 
3日目はオーストリアのソルツ・バーグ(ザルツブルグ)に行った。
100112_salzburg1.jpg

今は石油を持つ国が経済力をもつが、中世世界では岩塩を持つ町が経済力をもった。
ここはソルツ(塩)で繁栄した町、オーストリア第2の都市・25万人の町である。
それより、モーツァルトの生誕の町としての方が有名である。
サウンド・オブ・ミュージックの撮影の町、あのアルプスの麓で、
ジュリー・アンドリュースが、ド・レ・ミの歌を歌った光景はここだ。
雪を抱いたアルプスと途中で見た湖が美しい。
 
 
ここでは思いがけない発見があった。
アメリカではこの10年、新しいショッピング・センターとして、
ライフスタイル・センターが開発されて来た。
我々もライフスタイル・センターはヨーロッパの商店街、
ダウンタウンの古き良き町の再現と説明をしてきた。
ロスのザ・グループや、
サンノゼ市のサンタナ・ロー・ショッピング・センターなどに、もうそっくりである。
教会や広場があって、3~4階建てのアパート・住居の下は店舗である。
100112_salzburg4.jpg
 
 
広場には近隣の農家の直売場、ファーマーズ・マーケットがあり、
自家製のパン、野菜、魚、肉など、生産者の顔を見ながら買い物をする。
100112_farmers_market.jpg

また、いたるところに迷路(路地)があり、隠された店が好奇心をそそる。
観光客の存在は地元の人の衝動買いを誘う。
この賑わいこそ、小売の原点、必須条件だ。

花屋。各種バラを取り揃えている。
100112_farmers_market2.jpg

八百屋。新鮮なフルーツがたくさん。
100112_farmers_market3.jpg

りんごをよく見ると、ハートマークがついている。

100112_farmers_market4.jpg

日本ではあまり見られない、ロマネスコ。
100112_farmers_market5.jpg
 
 
歴史、文化の中での買い物は楽しい。
明らかにここ本場の方が人も多く、魅力的であった。
価格競争だけになりつつある今のアメリカの小売業は、
消費者の心を無視しているように思える。
この町でのショッピングは楽しい。
それにしてもニューヨーク5番街のような人出である。
100112_salzburg3.jpg
 
 
大通りには小型のスーパーもあった。
100112_salzburg_supermarket3.jpg

田舎町としては洗練されている気がする。

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「糖分の無いアイス・ティーはないか?」と聞いたら、「ない」と言われた。
これからヨーロッパ人の体型もアメリカ化するだろう。
困ったことだ。

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1月12日
浅野秀二

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《Vol.1》 ドニューブ川クルーズ

2010年01月05日(火曜日)
カテゴリー:
  • 旅先からのつれづれ日記
  
3:30 PM

新年明けましておめでとうございます。
不況であろうと、雨が降ろうが、風が吹こうが、
今起こっている事が常にベスト、そう信じて未来に生きる。
今年もよろしくお願いします。

 
 
 
<ドニューブ川クルーズ Vol. 1>
100105_danube_river.jpg
あのワルツで有名な「美しく青きドナウ川」のことである。
貧しい世代は旅行をするのにも理屈がいる。(ただ楽しめば良いものを…)

我々の先輩は、ゴルフは人生・ビジネスそのものと言う人が多かった。
一向にスコアが上達しない私は上司からみれば、仕事の出来ない部下でしかなかった。

さて、その理屈とは、過去、現在を知り未来を洞察する歴史観を養う、
グローバルな視点を持つ、異業種や専門分野以外も理解をする。
アメリカに住む我々の欠点はアメリカ至上史観である。
EU27カ国の誕生は訪問の恰好な材料をくれた。

100105_mountainview.jpg

世界の3極をなす最近のEU、特に元共産圏を見たい。
EU27カ国の経済の3分の1はドイツ、
あと、イタリア、フランスを合わせると75%の経済力になる。

ドイツはブラジルに本国以上に土地を持ち、
ブラジルや南米の職業軍人の高官の多くはドイツ系である。
BRICsの一つ、ブラジル経済発展の原動力は
ドイツのエンジニアリングが背景にあり、ブラジルは買いだ。
ロシアにも巨大な投資、土地、利権、コネクションを持っている。

アメリカでも一番多い白人種はドイツ人だ。アングロサクソンではない。
かっての日本の同盟国、ドイツは過去と決別し、
第2次世界大戦で失った広大な旧領土をあきらめることで、
諸外国との新たなる関係の中で着々と未来を形成してきた。

日本は効果のない外交を戦後65年もやっている。
島国のため、長い孤立の歴史を持つ外交は苦手だ。
日本を一歩出ると独善的美学は通用しない。
核や軍事を持たない外交では領土交渉は出来ない。
平和外交に徹するなら、北方領土などさっさと諦めて、
ロシアで自由な経済活動が出来る利権だけ手にする方法もある。
日ソの硬直した関係を横眼に韓国と中国がロシアで大躍進、
日本の出番はなくなりつつある。
土地の所有権より、使用権を認めてもらえば良い。
商売や、資源開発など出来る自由だ。
ベネチアの商人国家はそうして1000年間生きてきた。(塩野七生著・『海の都の物語』より)
 
 
ドイツ、ミュニック空港(ミュンヘン)到着、書き込む書類はない。
荷物検査もなく、そもそも空港に政府の係員などほとんどいない。
スタンプを押す係員だけ、シンプルさに感動した。
アメリカの入国は厳しい。日本と言えば、やたら空港に役人が多い。

100105_airport_grocerystore.jpg
空港内の食料品店 

 
クルーズのある港・パソーまで空港からバスで2時間。
100105_germany.jpg
時速100キロでアウトバーンを走るが、制限時速もなく、
道路標識もほとんどない。超合理的だ。

ドナウ川はロシアのボルガ川に次、ヨーロッパ第二位の2888キロの大河だ。
アルプスから黒海まで流れる。流域には10ヶ国がある。
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これからドイツ、チェコ、オーストリア、ハンガリー、スロバキアの5ヶ国を訪問する。
リバー・クルーズの良さは、まず金がかからない、食事、宿、すべて船内だ。
体調が悪ければ下船せず寝ていれば良いのである。
ホテルで仕事をする人がいるが、それと同じ。インターネットも完備されている。
年末・正月は船内で仕事することにした。

船内には昔の美人がたくさん乗船しているが、心は惑わされない。
邪魔はいない。飛行機はすべてマイレージ(無料)、この幸運に感謝したい。
夜9時から、EU連合のセミナーがあった。
タイトルは「EU連合がスーパー・パワーになれるか?」である。
100105_seminar.jpg

セミナーを聞くより、百聞は一見にしかず、昔の国境を越えた時に理解出来た。
鳥取県と島根県の県境と変わらない、古いゲイトは残っていたが、
EU統一は歴史的必然のような気がする。

理屈はやめて明日から観光客気分で楽しもう。
100105_lecturer.jpg

浅野秀二
1月6日

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JACからのクリスマスカード

2009年12月21日(月曜日)
カテゴリー:
  • アメリカからのメッセージ
  
11:35 AM

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