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知識商人登場!當仲寛哲の巻[第4回 LINUXとの出会い②]| コンピュータ・リテラシー研究会

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知識商人登場!當仲寛哲の巻[第4回 LINUXとの出会い②]

2009年08月04日(火曜日)
カテゴリー:
  • 當仲寛哲VS結城義晴 対談
  
12:51 PM

當仲氏:

松田さんにあった1993年当時、
松田さんが指導していたコンピュータというのがあったんです。
実は僕は、その頃は不良でして、
みんながコンピュータをやっているのをただ見ているだけで、
実際にはあちこち遊んでいるような人間だった。

結城:

どこでも不良なんですな。

當仲氏:

そうです。不良なんです(笑)。
それで、
「當仲が遊んでばっかりだから何か書類でも書かせよう」という話になった、
当時、私の上司だった中内さんの秘書課長が使っていた
SONYのニューズというコンピュータがあったんですね。
それが自分が使い慣れていていい、ということでお借りしたんです。
そのSONYのニューズという機械は非常に高価なマシンで、
Unixという基本ソフトが入ってる、そういうコンピュータだったんですね。
それを使って「仕事しろ」だとか
「何か報告書でも書け」と言われたんですけど、
僕がやってたのはゲームとかそんなことばかり。

★Unixの「Small is Beautful」がきっかけ

當仲氏:

でも27歳になった時に、もう一回ちょっと勉強し直してみようかと思って、
「入門Unix」という本を買って、それで読み始めたんですね。
学生の時は全然勉強なんかしてなかったんけど、
改めてそれを読んでるうちにですね、
松田さんの言っていることに似てるなと思ったんです。

そのUnixの教科書に書かれていたのはですね、
「Small is beautiful」、「小さいことは美しい」と。
さらに、道具を組み合わせて問題を解決する、ということも書かれている。
大事なことはいかに速く情報を知ろうとするかということではなくて、
情報を柔軟に出せること、あるいは機械が変わっても
自由に移植できること。
別の機械に情報を移していけるかどうかだ、と書いてあったんですね。
まさに、松田さんの考え方に似ている。

じゃあ、考え方が似ているんであれば、
松田さんの考えをUnixという機械の上でソフトに組んでみたらどうか、
そう思って、スタートしたのがきっかけだったんです。
何もかも偶然だったんですね。

コンピュータといっても、
われわれがやっているようなシステムは、
お店で発生した販売のデータや、検収をした仕入れのデータ、
あるいはオーダーの発注データを集計したり、結合したりしてるだけに過ぎない。
まあ、一言で言ってしまえばデータの切り貼りをしてるだけなんですね。

★一晩で情報システムができる恐るべきソフト

當仲氏:

そう言いきってしまうと、気楽になってですね、
じゃあデータを足すとかひっつけるとか、足しこむとか、
そういった道具を作って、その道具を組み合わせてやれば
どんなシステムだって出来るだろうと思った。
もともと人間がやっていたことですから、小売りの仕組みというのは。
だから、人間がやってたことを機械に置き換えて、
そこで正確さやスピードが勝るのであればコンピュータを使えばいいやと。
そういうお気楽なことを考えて、基本的な道具を作ろうと始めたんですね。

それがUnixの考え方とぴったり合ってですね、
Unixでそういった簡単な足すとか引くとかひっつけるという
「コマンド」を使ってそのデータの加工をしたら、
これが実に簡単にできることが分かったんです。
これが、非常にあっというまにできる。

例えば、一つ、情報システム作ってって言われても、
一日あれば全部できちゃうんですね。
と言うか、早い時だと数時間でできてします。

ダイエーでやってたころは、前日の夜7時にバイヤーを集めて、
「新しい発注のシステムについて説明します」って説明会をやった後に
徹夜して一晩で作っってしまったとか、そんな極端なことがあったくらいです。
このUnixという考え方を使って情報システムを作ると簡単にできるんです。
そういうふうな恐るべきソフトがあるんです。

★40年前開発されたUnixがインターネットを生んだ

當仲氏:

それは、実は40年も前に作られたソフトなんだけど、
実はこれは、皆さん、インターネットやメールで今、使ってます。
そういったものも全部Unixから生まれてるんですね。

ところがUnixは、当時としては過激な考え方だったんですね。
だから当時は、システムとかビジネスには使われなかったんです。
主に大学、軍事とか研究といったことに使われていた。
要はあまりに切れ味がいいので、
切れ味が良すぎると逆に商売にならないこともあるんですね。
なので、しばらく放っておかれた。
でも、Unixから生まれたいろんな技術を利用して今のITの世界が華やかになっている。
そういった技術が、40年、ちゃんとずーっと維持され続けているというのは、
これは驚くべきことなんです。

ぼくは、それに着目したんです。
先ほど、話したLinuxというのは、実はUnixの一種と言えるものなんですね。

Unixは40年前、1971年にできたんですが、
これはアメリカのAT&Tという電話会社の研究所で作られたものなんです。

結城:

日本で言うとNTT。

當仲氏:

そうです。NTTです。
そんな巨大な会社がですね、コンピュータの研究をやって、
これでビジネスをやったらですね、コンピュータ業界は潰れてしまう。
だから独占禁止法でもって、Unixというのを作ったけれど、
これで商売してはいけないと法律で禁止されたんです。

AT&Tは、じゃあ何をしたかというと、
せっかくいいもの作ったのに、商売できないんだったら、
これを公開しようと、タダにして世界中にバラまいたんですね。
それがUnixの面白いところです。
実は今、みんなが使ってるインターネットというのは、
Unixのプログラムをバラまくためにできたネットワークなんですよ。

したがってUnixに始まった知恵というのは、今でもインターネット上に全部あります。

當仲氏:

それから1980年ごろになって、
AT&Tも独占禁止法の縛りから解放されて「商売していい」となった。
商売していいとなったらAT&Tは急に態度が変わった。
今まで自由にバラまいていて、そのバラまかれたものを見て
いろんなメーカーが、いわゆるUnixライクな、いろんな基本ソフトを作っていたんですけど、
それに対して「俺たちのものを見て、商売をしてる」という訴えに出たんですね。
それで、世界中が混乱に陥った。
Unixはいいものだったんだけど、ビジネスの領域に入った途端、
みんなが喧嘩をし始めて、いいものが出なくなってきたんですね。

その時に現れたのがWindowsだったんですね。
みんな喧嘩している間にWindowsが大きくなっちゃったんですね。

結城:

なるほど。Windows搭載のパソコンが普及した。

當仲氏:

それで、様子を見ていたフィンランドの学生がいてですね、
「これは悲しいことだ」と。
こんなにいいものなのに、お互いに喧嘩しあっている。
しかも、みんなUnixのソースプログラムを隠し始めたと。
こんなことをやっていたら、せっかくのいいものがダメになると考え、
その彼が始めたのが、LinuxというUnixの一種なんです。

続きます

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