商人舎

五十嵐ゆう子の米国日記

五十嵐ゆう子の米国日記

Changing your Life 

2011年07月05日(火曜日)
カテゴリー:
  • 五十嵐ゆうこの米国日記
  
11:39 AM

日本へ向かう飛行機の中で、久しぶりにゆっくりと映画を見ました。
いつもは、はじめに洋画の新作を見るのですが、
今回は邦画を先に観ることにました。
私の大好きな宮本信子さんや中谷美樹さんなどが出ていたのがきっかけでした。
話題の『阪急電車 片道15分の奇跡』です。

20110704_hankyu.jpg

最初は出演者それぞれの異なる日常が映し出され、
それがオムニバス形式で進んで行きます。
そして最終的に一つに繋がっていくという形のストーリー。

片道わずか15分の阪急電車沿線で乗り降りする男女達が、
ふとしたきっかけで袖触れ合うこととなり、
最後はそれぞれの人生が“希望”へと
変化して行くさまに感動して涙が止まりませんでした。

序盤の駅のシーンは宮本信子さん演じるおばあちゃん
(孫役は今、超人気子役の芦田愛菜ちゃん)が駅に着いて、
電車に乗ると、乗客のほとんどが会話も交わさず、
携帯の操作をし続けている光景を目にします。
おばあちゃんがうんざりした顔をするところが印象に残ります。
そこへ肩もあらわなウエディングドレスを着た中谷美紀さんが、
たった一人で電車に乗ってくることから話の糸が絡み始めます。
(ここから先は是非、映画を借りてご覧になってください。)

見終わった後、「ああ、人が触れ合う場所ってなんて素晴らしいのだろう。
このストーリーの中で起こる奇跡は、家の中に引きこもっていては、
けして生まれない。」と思いました。

涙が出たのは映画に感動したからですが、実は他にも理由がありました。
以前、私にも同じような、人生を変えてしまうほどの“ちいさな奇跡”を
体験をしたことがあるからです。
これは何度か研修ツアーのバスの中でも
紹介させていただいたことがあります。

その“ちいさな奇跡”はある年の12月、クリスマスイブの出来事でした。
ラスベガスに住んでいた頃、よく通っていたTrader Joe’sという
食料品店でおきました。

20110704_tj-facade.jpg

クリスマスイブまで仕事が続いていた私は、クリスマスぐらいは
家族できちんとした晩餐を準備しなければ、と思っていました。
しかし仕事の疲れもあり、一から料理をするという気にはなれませんでした。
私のような働く主婦にとって、簡単でおいしく、グルメな冷凍食品を
リーズナブルな価格で購入できる、Trader Joe’sは強い味方でした。

20110704_tj.jpg

さっそく店内で、フランス産のチーズやシャンパン、ミニチュア・アペタイザー、
チキンのゴルゴンゾーラソースの冷凍食品、
解凍するだけでおいしく食べれるケーキ、
花などをカートに入れ、レジに向かいました。

ちょうど夕方の6時の閉店前でした(イブなので閉店が早かったので)。
いつも忙しい店とはいえ、
さすがにクリスマスイブの夕食時間前はレジも空いていました。

突然、出口右横にあるオープンオフィスから、
(Trader Joe’sは、店内のどこからでも見えるところに事務所が設置されており、
キャプテン(店長)もそこに待機している)
鐘の音が“チン!”と合図のように店内に鳴り響きました。

その時、顧客が支払いを終え、自動ドアから外へ出ようとすると、
キャッシャーにいたクルー(店員)が笑顔で
「Merry Christmas! Mr. Smith」と声をかけました。

すると店内のクルー全員が
「Merry Christmas! Mr. Smith」と揃って言い出したのです。
声をかけられた顧客は飛び上がるようにびっくりした後、大笑い。

アメリカでは現金をたくさん持ち歩く人は少なく、
クレジットカードか、銀行引き落としのデビットカードで支払いをする人が多いので、
カードを見れば顧客の名前が一目瞭然なのです。

その様子を見ながらレジに並んだ私は、ちょっと恥ずかしいなと思い、
自分の順番になったら現金で払おうと決めました。
すると、レジにいたクルーの女性が
「もし、差し支えなければ、あなたのお名前を教えてくれませんか?」と、
にっこり笑って問いかけてきたのです。

20110704_tj-lori.jpg

彼女の素晴らしい笑顔に負けたのと、
私もそこまでへそ曲がりでは無いので、名前を告げました。
そして私がドアを出る間際に、クルー全員が合唱するように、
「Merry Christmas! Yuko」と声をかけてくれました。
私はやられたとばかりに、その場にへたり込んで大笑いをしてしまいました。

外へ出ると、私の後ろから同じように声をかけられた顧客と目が合いました。
彼は私に、「そうえいえば明日はクリスマスだよね・・・
すてきなクリスマスを!」と言い、
満面の笑顔で去っていきました。

想像できないかもしれませんが、
灼熱の砂漠に位置するラスベガスでも、
冬はとても寒く、雪が降ることもあります。

先ほど話しかけてくれた人の口元からは
白い息が出るほど寒い夜だったのに、
私の心はとても温かく、涙が出そうになりました。
私は“ああ、クリスマスが来たのだなぁ。”と実感しました。
同時に、いったい地球上で何人の人が、
今日がクリスマスイブであることも忘れてしまうほどの
忙しさや、孤独、疲れ、悲しみをかかえているのだろうと考えました。

しかし、たった一言あのように声をかけてもらえるだけで、
今日が本当は素晴らしい日なのだと感じることが出来るのです。
言葉ってなんて不思議なのかしら!と思いました。

その時でした。
まるで映画のワンシーンのように空から雪が降ってきたのです。
私は店の周りに飾られた白と青の電飾と
ちらつく雪の光景に魅せられながら、
“お店ってすごいなあ。
今まではただ必要な商品を買う場所だとしか思っていなかったのに、
人と人が触れ合う場所はこんなにもドラマチックなんだ。
お店についてもっと知りたい!“と考えていました。

私にとってこの経験は、
食品小売業の世界の奥深さを実感し、
魅せられていく、大きなきっかけとなりました。

店とは商品を仕入れ、並べ、売り、購入される、
という単純な小売の流れのみならず、
そこに人の心が関ることで
“感動的なエンターテイメント”が生まれる舞台となるのです。

先日、研修で2011年5月21日にリニューアルオープンしたばかりの
Santa Monica Placeという
ライフスタイルショッピングセンターを訪れました。

ルイヴィトン、トリーバーチ、バーバリー、コーチなどの
有名人気高級ブランド店はもちろん並んでいます。

20110704_louis-vuitton.jpg

20110704_tory-burch.jpg

The Market(紛らわしい名前ですが、Safewayの食料品店ではありません)
と呼ばれるオーガニックやグルメを主体としたファーストフードとレストランや、
料理教室などを集めた“食の通り”があります。

20110704_the-market.jpg

誰でも利用可能なフードコートは屋上にあり、
心地よいソファが置かれ、海が見渡せるようになっています。

20110704_santa-monica-place3.jpg

そして反対側はオープンエアーのモールが見えます。

20110704_santa-monica-place.jpg

人々はここへ来ることで、
映画の中に登場するようなライフスタイルを体験できるのです。

研修参加者の一人が
「五十嵐さん、素敵な場所ですね。
ここに歩いている人、みながセレブに見えますよ。」と言われました。

20110704_santa-monica-place4.jpg

私は「ええ、周りを歩いている人達も、あなたのことを見て、
同じように思っているかもしれませんね。
この場所へ訪れるだけで日常を離れ、
豊かなライフのワンシーンを味わうことができるのです。
だから人がこうしてやってくるのではないでしょうか?
中には豊かではない人もいるかもしれません。
でもたまにはこのようなショッピングセンターを訪れ、
美味しい食事を食べ、元気になり、明日への活力へと繋がっていけば、
やがて希望を生み出すのかもしれませんね。」と答えました。

20110704_santa-monica-place2.jpg

今回、日本へ来る直前に結城先生とご一緒した研修では、
Santana Row というライフスタイルショッピングセンターを訪れました。

20110704_santana-row.jpg

2002年、完成間近だったこのモールは、
建設中に1/5が火事で燃えてしまという事故がありました。
さらにオープン後は、ハイテク産業のバブルが弾けてしまったため、
オープン当初は人が訪れないという不幸なスタートをきりました。

20110704_santana-row2.jpg

しかしその後、核となる小売店の入れ替えや、
しゃれたグルメレストランの出店、人々の憩いの場所となる広場や
ストリートに樹や花を植えるなど、段階を踏んだ開発を続け、
魅力的な街づくりを行なっています。

20110704_santana-row3.jpg

今では、週末でなくても、昼の12時を過ぎると
バスで入るのが困難なほど賑わっています。

業界アナリスト達は、このモールに人が集まる理由は、
小売店でのショッピングだけではないと言います。

20110704_santana-row5.jpg

草花に溢れ、まるで外国の街を訪れているかのような感覚を与えてくれる
このストリートや街並みが一番の強みなのです。
それこそが人々の心を和まし、
またここへリピートして訪れたいと思わせているのです。

20110704_santana-row7.jpg

『阪急電車 片道15分の奇跡』で中谷美紀がナレーションするイントロで
「名前も知らない人達は、私の人生に何の影響ももたらさないし、
私の人生も誰にも何の影響もあたえない…
世界なんて、そうやって成り立っているんだ…そう思っていた…でも…」とあります。

私は、人が集まる場所には、
きっと奇跡を起せるチャンスがあると思っています。

<By 五十嵐ゆう子>

コメント (0)

生き残りをかけたラスベガスの小売業 Still Surviving

2011年06月08日(水曜日)
カテゴリー:
  • アメリカ小売業の最新情報
  
11:45 AM

 ニュースでご存知のように、米国の住宅価格がまた下落し、雇用や製造業関連の経済指標も予測を下回り、その当然の結果として株価も下がりました。

 特にラスベガスの住宅価格は底知らずの低迷をみせています。経済恐慌による大波の被害を最も受けた地区と言われるほど、その爪痕も生々しく、建設途中の住宅や開発中のショッピングモールの多くが、すでに3年以上も野ざらし状態のままです。しかし、その混沌とした中でも、生き残りをかけてさまざまな取り組みを行なっている小売業がここに存在しています。

 以前、商人舎ホームページで連載した私の体験小説、「Thank You 命をありがとう」の中でも書きましたが、年にわずか100ミリしか雨の降らない砂漠の、過酷で乾いた大地でも花は咲きます。それはどんなに恵まれた森の中で咲く花よりも美しく、力強く、見るものの心を打ちます。

20110608_poppy.jpg

 ということで今回は、ラスベガスの町で生き残りをかけた勝負に挑んでいる食品小売業の取り組みについてお話したいと思います。

 商人舎USA視察ツアーのベーシックコース(ラスベガス)で結城先生と共に視察したGlazier’s Food Market Place。おりしも、この食料品店はリーマンショックが起こった2008年後半に開店予定でした。しかし凄まじい経済打撃の影響によってオープンは遅れ、翌年の2009年9月にアップスケールなグルメスーパーとしてグランドオープンしました。ロケーションは住宅開発が拡大するはずであったラスベガスの西南地区で、バブルがはじける前の高級志向者を対象に、おそらく大きな収益を期待していたはずです。

20110502_facade.jpg

 Glazier’sが開店してすぐ、この店に訪れた私が目にしたのは、車がまばらにしか停まっていない広大なパーキングロット(駐車場)と、客よりも働いている従業員の方が多い様子でした。ただし、店内の雰囲気は東海岸の優良店Wegmansを彷彿とするようで、惣菜やベーカリー、青物コーナーはバラエティーに富み、内装やライトニング(照明)も洗練されていました。Eat Inコーナーに置かれたグランドピアノの自動演奏は訪れる客にアップスケール感を与えていました。

 開店以来この店には幾度か訪れましたが、内心、「周りの住宅建築がストップし、多くの人が破産して家を手放す中、いつまで経営を維持できるのかな?」と思っていました。現にラスベガスでは、さまざまな小売店舗が軒並み閉鎖していく状態が今でも続いているのです。

 ところが、つい先日、久しぶりにこの店を訪れてみて吃驚しました。店内はお客で賑わっていたのです。特に目を引いたのが、オープンキッチンでスクラッチから(素材をきざむところから)調理されてどんどん陳列されていく、種類豊富な少量パックの惣菜でした。


20110502_microwave-ready.jpg

一般的なスーパーマーケットでアメリカンサイズを見慣れている我々の目には、その“お一人様サイズ”がヘルシーで新鮮に映りました。

20110502_chicken.jpg

 内容も他の店では売られていないものばかりでした。すべて、オーナーのMr. Glazierの奥様が開発したレシピ通りに調理されたものらしく、パックや惣菜コーナーに“Mrs. G’s Signature”とか“Mrs. G’s Chef To go”と書いてありました。

20110502_chef-to-go.jpg

 ギリシャ、フレンチ、イタリアン料理など、エスニックな味の料理で、ラスベガスの有名ホテルにあるバイキングで出てくるような珍しいものばかりです。地元の口コミブログを見ても、ここの惣菜は非常に人気があり、顧客が店を訪れる目的になっています。

20110502_italian.jpg

 結城先生とこの店を訪れた際、社長のMr. Glazierがいたので(彼はたいてい店に居て、周りのスタッフに目を光らせています)立ち話をしました。Mr. Glazier曰く、小パック惣菜を始めてから客足が増えたそうです。

20110502_salmon.jpg

 他のスーパーで売られているミールのように、すでにメイン、副菜からデザートまでが決まっているのと違い、Glazier’sの惣菜は、全てを自分の好みで選んでコンプリートミール(完成された食事)に出来ることが顧客に評判が良いそうです。

20110502_asparagus.jpg

そしてエスニックな料理は、その国の人が食べても納得のいく味に近づける努力をしています。

20110502_roasted-veg.jpg

 もちろん寿司も売られていました。他の店のように作られたものを発注して販売せずに、魚からさばいて作っており、日本人の客が美味しいと言ってくれるので、自信をもっていると言っていました。

 また、ラスベガスが全米や世界中から人が押し寄せる観光都市で、たくさんのコンベンション(催し物)が開かれることを利用して、家族同伴で訪れるビジネスマンの妻や娘達を対象に、近い将来、料理教室を開く予定です。ストリップの老舗レストランのシェフを店に呼び寄せて、店の食材を利用した1日クッキングスクールを行い、それをテレビで流すのだそうです。

 特に印象的だったのは、Mr. Glazierが最後に言った一言でした。「まわりのスーパーはローカル、ローカルと言っているが、私が目指しているのは商圏範囲の広いリージョナル、いやそれ以上なのです。遠くから客が車を乗り付けて来る店になりたんですよ。ラスベガスにGlazier’sありきと人々が口にするONLY ONEになることが目標です。」

 Glazier’sは今のところ単独店ですが、今後3店舗を出店予定なので、このようなことが言えるのも理解出来ます。ペンシルバニア州で16店舗経営していた店を売却し、一度はリタイヤ(引退)をした現在66歳のMr. Glazierが、砂漠の真ん中の町で熱く語る言葉に大きな力を貰いました。

 被災し、多くを失った東日本の町に、今年も桜の花が咲きました。結城先生が先月まで標語とされていた“すこしずつ、ひとつずつ、いっぽずつ”から、今月の“顧客からのスタート”とあるように、困難の中でも前へ踏み出すきっかけは顧客のニーズに中にあります。そして日本の小売業界がいつか大輪の花を咲かせ、未来を切り開いていくと信じています。

20110602_poppy.jpg

<By 五十嵐ゆうこ>

コメント (0)

Guilt-reduced Food 後ろめたさを軽減する食品

2011年04月26日(火曜日)
カテゴリー:
  • 最新トレンド商品
  
10:12 AM

このタイトルを見て、「どういう意味?」と思う方がきっといると思います。まずは下の写真をご覧ください。

20110426_guilt-reduced-food.jpg

これは、アメリカ人が日常的に食べているマカロニチーズやトマトソースパスタを、Trader Joesがカロリーオフ・バージョンで開発したプライベートブランドの冷凍食品です。一般商品との違いは、豆乳で出来たチーズや、低コレステロールのヘルシータイプのオイルを使用したりしていて、一般の商品より健康的で低カロリーであることです。また、肉を一切使用していない(つまり動物の命を犠牲にしていない)ベジタリアンフードという意味合いも兼ねてGuilt-Reducedとうたっています。

先日、私が買い物へ行った際、このトマトソースパスタの試食が行なわれていたので、早速食べてみましたが、ベジタリアンだと意識しなくても美味しい味でした。一昔前のベジタリアンフードといれば、“良薬口に苦し”のごとく、“身体には良いけれどまずい”といったイメージがありました。しかし、ベジタリアンフードの歴史がそろそろ半世紀近くになる米国では、Whole Foodsなどの大手ナチュラル・オーガニック食品マーケットが成長してきただけあり、この手の食品は随分と美味しく、見た目もおしゃれになってきています。

私の高校生の息子の意見では、都会のティーンエージャーの間で、ヘルシーな食生活やベジタリアンフードを食べることはちょっとしたステータスで、「Very Cool(かっこいい)!」なことなのだそうです。以前はWhole FoodsやSprouts Farmers Marketなどで働いていた人達は、どこかヒッピーのような雰囲気だったり、神経質そうで痩せていて、いかにも菜食主義を彷彿とさせるタイプが多いなと感じていましたが、近頃は今時のオシャレな若者達が働いています。

20110426_wf-gluten-free.jpg

ベジタリアンフードの人気と平行し、ここ数年は”グルテンフリー食品“も人気です。グルテンとは小麦やライ麦に含まれる小麦タンパクのことで、それらと水を混ぜた際に弾力を生む”粘り“の成分です。米国では、このグルテンにアレルギーを持つ人が多くいるとされています。特に遺伝的免疫疾患のセリアック病の人がグルテンを取ると、深刻な病気の悪化に繋がります。もっと身近なところでは、グルテンはアトピー発症の原因でもあると言われています。

20110426_gluten-free-food.jpg

2007年頃からグルテンを含まない食品が、非常に注目され始め、その後一気に広がりました。最初は健康食料品店でしか、グルテンフリー食品を買うことは出来ませんでした。しかし最近では、一般スーパーマーケットにも登場するようになってきています。有名な話では、クリントン前大統領の娘のチェルシーさんの結婚式で出された料理のすべてが、グルテンフリー(彼女は特にアレルギーではないにも関らず)であったそうです。小麦の代用として玄米や米粉、タピオカ粉などが使用されており、これらの原料を使用した味は、以前はあまり美味しくなかったのですが、今は改善されてきました。そうしてチェルシーさんのようにアレルギーを持たない人からも、肥満の原因でもある炭水化物が少なく、健康にも良いという理由から、グルテンフリー食品は求められるようになりました。

数週間前、南カリフォルニア州のオレンジ市にある“Veggie Grill”という店にランチを食べに行きました。

20110426_veggie-grill.jpg

南カリフォルニアに7店舗あり、多くのメディアからも注目され、非常に成功しているベジタリアン・ファストフード店です。ハンバーガーやタコスなど、一般的なファストフードのメニューが全てミートレス(肉を一切使用せずに、テンペなどの大豆で代用)で提供されています。

20110426_veggie-grill-hamburger.jpg

20110426_veggie-grill-macaroni.jpg 

マカロニチーズもグルテンフリー(米粉使用)でメニューにのっていました。ハンバーガーは、見た目や食感も肉が入っていないとは信じられませんでした。そしてなにより驚いたのが、3種類くらいのメニューをシェアして味見したところ、どれも非常に美味しかったことです。

20110426_veggie-grill-3dishes.jpg 

店に訪れていた客は親子連れや、若者、普段はベジタリアンなどを気にしていないような筋肉隆々の男性客もいました。店内はパステルカラーを基調に、ポップで明るく、お洒落で楽しい雰囲気でした。

20110426_veggie-grill-instore.jpg

金額は通常のファストフードで支払うハンバーガーセットの倍はかかり、けして安い昼食代とは言えませんでした。しかし、これだけ美味しくベジタリアンフードを食べることができて、しかも通常のファストフードよりもカロリーオフで身体にも良いわけなのですから、たまにはこういうランチも悪くないなと思いました。ベジタリアンフードの良い点は、繊維質を含む素材を多く使用しているので消化に良く、お腹一杯食べてももたれないという利点があります。これならいつもはカロリーを気にして、いつもは控えがちなデザートも、後ろめたさを感じることなく食べることができます。

しかしここでカロリーの高いデザートを口にしては、元も子もないので、この日のデザートはフローズンヨーグルトデザートで有名な”Pinkberry”で、フルーツをトッピングしたヘルシーなヨーグルトアイスを食べました。

20110426_pinkberry-facade.jpg

“Pinkberry”というフローズンヨーグルトのフランチャイズチェーンは、ロサンゼルスのハリウッド発祥で、今やニューヨークにまで広がる人気のデザート店です。韓国系移民が2005年に創業して以来、その病み付きになる“味”に、毎日食べないと気が狂ってしまうという熱狂的なファンまでいて、巷では麻薬患者を喩えにだして“クラック(麻薬)ベリー”と言うあだなまで付いています。

20110426_pinkberry-toppings-panel.jpg

20110426_pinkberry-toppings.jpg
自分好みのトッピングを選ぶことができます。

一店舗あたりの年商は最低でも1億円で、ハリウッドの一号店は3億6~8千万円と言われています。デザート1つで平均5ドルはするので、けして安いとは言えませんが、低脂肪・低カロリーで美味しく、毎日食べても普通の高カロリーなデザートを食べるほど後ろめたさを感じないということが、アメリカで大ヒットした要因です。

20110426_pinkberry-frozenyogurt.jpg

最後に、話はがらっと変わりますが、お伝えしたいことがあり、こちらの写真を貼らせて頂きます。

20110426_cost-plus-help-japan2.jpg

この写真はエスニック輸入家具、雑貨、食器や食品を販売するCost Plus World Marketで撮影しました。Cost Plus World Marketは全米30州で260店舗を展開しているチェーンです。

20110426_cost-plus-facade.jpg

私はいつもここで珈琲豆を購入しており、たまたま豆の補充に訪れた際、一番目立つ正面フロントで上記の陳列とポスターを見ました。今年の9月30日まで、ここで販売している日本産商品の売り上げから出た利益分を100%寄付するという取り組みです。

20110426_cost-plus-help-japan.jpg
こちらのホームページでも内容を見ることができます。
その日は、奇しくも福島原発の放射能汚染がレベル7に引き上げられた翌日でした。そして、SN News(スーパーマーケットニュース)というサイトの見出しで、Wegmans Food Marketsが日本の食品について懸念し、今後、必要に応じた対応を強化するという記事がでた日でした。私はアメリカに食品を卸している人を何名か知っているので、このニュースを読み、心が沈みました。しかしCost Plus World Marketの取り組みを知って、すこしずつですが、希望の灯火がまた心に宿ってきました。

20110426_cost-plus.jpg

今、世界の至るところで、日本の安全と東日本の復興を祈り、出来ることから始めようとしている企業や人々がいるのだなと感じています。

私も知り合いの紹介でサポートを始めています。航空会社で働くあるアメリカ人女性が、仙台のボランティアグループを通じ、実際に現場で必要とされる物資の情報を集めています。彼女は逐次メールで情報を送り、我々はそれをチェックし、必要な物資を購入してロサンゼルスのトーレンスにいる彼女のもとへ届けています。航空会社も無償でこの物資を日本へ届けてくれています。直接、ニーズのある人々の手元へと物資が届けられるそうで、安心しています。

そして、ここでまた、結城先生の言葉を思い出しました。
まさしく“ひとつずつ、すこしずつ、いっぽずつ”です。

20110426_asagao.jpg

五十嵐ゆう子
JAC ENTERPRISES, INC.
ヘルス&ウエルネス、食品流通ビジネス専門通訳コーディネーター

コメント (0)
<次のページ
前のページ>

商人舎サイトマップ お問い合わせ
今月の標語
  • 目標主義者になろう。
五十嵐ゆう子プロフィール

食品流通小売業・ビューティ・ウェルネス(健康食品関連)のコーディネーター、通訳、執筆、翻訳、コピーライター。

米国食品展示会日本語通訳デスク、米国健康博覧会(Natural Product Expo West)にてプレス通訳、米国優良企業Trader Joesの専門バイヤー(カテゴリーリーダー)と共にプライベートブランド商品開発のアシスタント業務など、活躍中。

【執筆活動】
日本生活協同組合連合会『生協運営資料』に“クローズアップ米国小売業―その変化と成長戦略の舞台裏”を2部構成で執筆。 南カリフォルニア、オレンジ市のタウンページ“スイートオレンジ”にてグルメ特集連載。 CMP JAPAN社の美容専門誌『ダイエット&ビューティ』に米国の健康・美容情報記事を2005年より6年間毎月連載中。

【講演活動】
2008年、2009年と2年連続で東京ビッグサイトで開催の“ダイエット&ビューティ展示会”にて講演。

JACenterprises
カレンダー
2025年6月
月 火 水 木 金 土 日
« 8月    
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  
指定月の記事を読む
カテゴリー
  • お知らせ (1)
  • アメリカの食生活 (4)
  • アメリカ小売業の最新情報 (17)
  • ウェルネス(健康)情報 (7)
  • ビューティ(美容)情報 (8)
  • 五十嵐ゆうこからのメッセージ (9)
  • 五十嵐ゆうこの旅行記 (4)
  • 五十嵐ゆうこの米国日記 (2)
  • 最新トレンド商品 (2)
最新記事
  • 2014年08月27日(水曜日)
    Staying Alive 生きてます!
  • 2014年01月15日(水曜日)
    New Year’s Resolution 新年の誓いと抱負
  • 2013年09月04日(水曜日)
    Dreams become Reality 夢が現実になる
  • 2013年07月24日(水曜日)
    Hot Summer!  猛暑!
  • 2013年01月10日(木曜日)
    Happy New Year 2013
最新コメント
  • 2014年09月19日(金曜日)
    ひろまめ :Staying Alive 生きてます!にコメントしました
  • 2014年08月19日(火曜日)
    匿名 :RESTLESS IN SEATTLE  シアトルで大忙しにコメントしました
  • 2014年08月14日(木曜日)
    Mayunese :RESTLESS IN SEATTLE  シアトルで大忙しにコメントしました
  • 2014年05月11日(日曜日)
    taka :What is “KOMBUCHA”? “コンブチャ”っ...にコメントしました
  • 2014年01月21日(火曜日)
    五十嵐ゆう子 :New Year’s Resolution 新年の誓いと抱負にコメントしました

USA視察研修会Specialコース

定番視察研修会報告

参加者の声は天の声!

  • ホームに戻る
  • トップに戻る
  • 友達・上司・部下に知らせる

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。
Copyright © 2008-2014 Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.