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<連載>スーパーマーケットの省エネ環境戦略

<連載>スーパーマーケットの省エネ環境戦略

「見える化」で節電とコスト削減に取り組もう!

2011年05月04日(水曜日)
カテゴリー:
  • 省エネビジネス・トレンド
  
6:26 PM

先日、独立行政法人中小企業基盤整備機構による
「省エネルギー計測監視等推進事業」の公募説明会が開催された。
電気やガスなどのエネルギー消費量を、自動で計測できる計測監視装置を設置して、
エネルギー技術の導入可能性を調査する事業者に対して、
国が1/2の補助金を出すというもの。
助成金は100万から最大で3000万まで。

エネルギーの「見える化」の推進が目的である。

今年度で3年目。
申請資格は中小企業に限定されている。
この補助事業の締切は5月末まで。
ご興味のある方は独立行政法人中小企業基盤整備機構の下記URLまで。

http://www.smrj.go.jp/keiei/kankyo/059004.html

さて一般的に、スーパーマーケットでは毎月100万円以上の電気代を支払っている。
もし、10%の電気代を削減できるとすれば、年間で120万円以上の経費が節約できる。

そんなことは可能だろうか?

さらに今、東京電力の管内では、節電が最重要テーマになっている。
節電といっても、むやみに電気を消すだけではなく、政府から目標を与えられている。
それは15%の節電である。

こんなことが可能だろうか?

ダイエットの基本が、体重計に乗って日々の数値を把握することであるように、
省エネの基本も、計測して時間ごとの使用量を把握することが重要である。
見えないエネルギーを「見える化」することが、省エネへの動機づけに不可欠である。

実際のところ、電力消費の実態を把握しない限り、どこまで節電できるかわからない。
その可能性を調査し、無理のない「がまんしない省エネ」に取り組む必要がある。
商売であるから、お客様に気づかれないで節電する方法を考えたい。

しかし、スーパーマーケットでは、
本部が気にしているほど、お店では省エネに注意していない。
それは、売上の評価基準が数値化されているのに対し、省エネの評価がわかりにくいためだ。
省エネを数値化して評価することが「見える化」である。

今、さまざまな「見える化」のための機器やシステムが登場している。
私の会社でも「グリモニ」というモバイルスマートメーターを開発している。
これは電力計測機から、無線LANで「iPad]にリアルタイムの電力消費量を表示するシステムである。
電力の使いすぎを注意する警報機能を備え、お店での省エネ施策を促す。

5月11日から「エコオフィス/エコ 工場EXPO」が東京・国際展示場(ビッグサイト)で開催される。
省エネに関する最新情報、「見える化」システムに興味のある方はぜひ、来場を。

<By 森下兼年>

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エアコンの室外機にご注意

2011年04月19日(火曜日)
カテゴリー:
  • 省エネ
  
11:20 AM

夏場の暑い日は、エアコンがオーバーヒートのような状態になり、
機能が停止することがある。
この場合、室外機にホースで水を当てて、冷やすことで、
再起動可能な状態になる場合も多い。
(原発みたいですが)室外機を冷やすことが重要である。

ということで、早速、エアコンについて相談のあった美容室を訪ねた。

その美容室は、一見レストランと見間違えるほどの外観で、
広いガーデンとテラスを備えていた。
しかし、そこは信じられないことにエアコンが利かない理由がいくつもあった。

1.南側がすべてアルミのガラス面になっている

窓の面積が多ければ、
冬は放熱効果が高く、夏は日光を直接受け、熱をまともに取り込む。
またアルミは銅に次いで放熱効果が高いので、
冬は内部の熱を外に逃がし、夏は外部の熱を内側に運ぶ。

2.室外機の設置場所が温室ハウス状態で、
とても高温な状態になっている

室外機の設置場所には、もともと、屋根も壁もなかったらしいが、
雨をよけるために半透明の屋根を設置していた。
しかし、近所から室外機の熱風が来ると苦情があり、四方を壁で囲ってしまった。
当然、室外機は高温な環境にあり、
ヒートポンプ本来の熱交換が難しい状態となる。
これが、故障の最大の原因となっている。

20110418_air-conditioner.jpg

3.1ルームで吹き出し口が6箇所あった空間を、
3つの部屋に仕切っている

スタッフルームと着替えの部屋を小さく仕切り、
それぞれに吹き出し口が1個ずつある。
この2つの部屋は小さく、窓もないため、冷房が抜群に効く。
しかし残りの広大な空間は、能力不足で冷房も暖房も効きが悪い。

4.天井ぶち抜きで、天井を高くしている。

これは飲食店などでよく見かけることであるが、
開放感のある空間を演出するために、設計時の天井をはずして、
配管やエアコンがむき出しになっている状態である。
当然、設計時に計算された空間より大きくなるので、エアコンの能力不足が起きる。

20110418_air-conditioner-ceiling.jpg

このように、空調の環境は非常に問題があり、
このままでは単に機械を更新しただけでは、
問題があるということをアドバイスさせていただいた。

特に都会では、エアコンの室外機の設置場所に困る。
できるだけ、風通しの悪い場所や直射日光の当たる場所を避けることが必要だ。

室外機の劣悪な環境がエアコンの寿命を短くし、電気代を高くする。
今一度、みなさんのお店の室外機をチェックしていただきたい。

<By 森下兼年>

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ESCOの問題点

2011年04月11日(月曜日)
カテゴリー:
  • 省エネビジネス・トレンド
  
1:23 PM

先週からの続きのESCO(エスコ)の話である。
中小企業のエスコの問題点は以下の3つに集約できる。

1.リースや融資の与信がない

2.提案書作成までの省エネ診断のコスト負担

3.助成金の申請の手間は、
予算規模にかかわらず同じ

1の与信が最も大きな課題である。
もともと省エネやコスト削減のための設備投資は、
ランニングコストを削減することが目的である。
そのための投資額を、長期間で回収するのがエスコ事業である。

通常その期間は6年から8年に設定される。
しかし金融機関の統計では、
中小企業の残余命年数はそれ以下になっており、
よほどの優良企業でなければ、リースも融資も難しいとされる。

もちろん、エスコ事業者が資金を提供する
「シェアード・セイビングス」という方式もある。
しかし、これは、エスコ事業者が
設備投資の資金を用意しなければならないため、
実施可能な案件数に限りがある。

与信の問題については、
国や行政が保障する制度が、昨年あたりから実施されている。
しかし、100%の保障ではないので、金融機関も積極的ではない。

2の省エネ診断のコスト負担とは、
エスコ事業を提案するためのコストのことである。

エスコ事業による省エネ・省コストの提案書をつくるには、
対象施設の詳細なエネルギー使用実態を把握する必要がある。
例えば、エアコンなどのエネルギー負荷の高い設備の
電力量を時系列で把握するために、
配電盤に計測器を設置し、
数週間のデータ取りが必要である。(図参照)

20110411-01.JPG
20110411-02.JPG

電力計測器

機器の稼働率を正確に把握しなければ、
設備改修後の削減額を算定できない。

さらに、現場でのヒアリングや様々な設備の調査を実施して、
専門家のノウハウによる提案書を作成する。

これらの作業に係る経費は
通常、40万円から200万円は見ておかなければならない。
これを誰が負担するのか?

ユーザーから見ると提案書作成までは、
営業であり無料で行われるのが当然と考える。
しかし、提案自体がノウハウであり、
それを無料で提供していては、商売が成立しない。

なぜなら、ユーザーは、提案内容をそのままとし、
他の事業者から見積りを取ることもできるからである。

エスコ事業者の経営が難しいのは、
営業段階の経費を、
自社で負担しなければならないからである。

一般的に、機器メーカーは無料で提案書を作成する。
しかし、それは自社の製品に関するものだけであり、
答が決まっている。
エスコ事業者は省エネ診断を実施してから
提案内容を検討するので、根本的に異なる。

さらにもう一つ。
エスコ事業者の意見を代弁すると、
公共の省エネルギーセンターが省エネ診断を無料で実施していることが、
民間の省エネ診断事業が成り立たない要因の一つである。

3は、説明するまでもない。
2億の事業も、200万円の事業も、同じ手続きが必要である。

さて、先週はCGC中国の4月度地区環境委員会に出席した。

私は「レジ袋無料配布中止」(レジ袋有料化の行政の言い方)による
中国CGCの「緑と心の基金」の委員をしている。
その会議で「節電について」というテーマがあり、
東京のCGCジャパンが作った資料が配布された。
それは、コンビニやイオンの節電への対応状況をまとめた資料だった。

そもそも、広島では、全く節電の必要はない。
節電しても、関東を助けることはできないのである。

その状況でも、全国チェーンであれば、
同じように看板の電気を消している。

また、レシートの紙も枯渇しているようで、
レシートの広告部分をカットして、7ミリ短くする方法を説明された。
この際、紙のレシートをなくして、IT化できないものだろうか。
家庭ごとに自動的に家計簿ができるシステムを開発すれば、
ユーザーの囲い込みにもなるだろう。

<By 森下兼年>

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森下兼年プロフィール

福岡県出身。
福岡県立修猷館高等学校 卒業。
九州大学工学部水工土木学科 卒業。
広島市内の環境コンサルタント会社に勤務、環境システム事業部を立ち上げる。
2008年10月に12名の仲間とスピンアウトし独立、株式会社グリーンテクノロジーを創立。
地球温暖化対策地域推進計画の策定(島根県、広島県、名古屋市、香川県など)、環境情報システムの開発などが主な実績。
現在は中国電力をはじめ、企業の環境・エネルギーデータの集計・分析サービスを主力事業として、企業の環境経営の支援を行っている。
最近は銀行や、業界団体、企業経営者などへの講演多数。

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