商人舎

<連載>スーパーマーケットの省エネ環境戦略

<連載>スーパーマーケットの省エネ環境戦略

この夏注目のデシカント空調と「ESCO」

2011年04月04日(月曜日)
カテゴリー:
  • 省エネビジネス・トレンド
  
10:39 AM

今年の東京の夏は、エアコンが使えるのだろうか?

今やコンクリートとガラスの中で働いているビジネスマンにとって、
エアコンなしということは考えられない。
寒いのは厚着やカイロなんかで何とかなるが、
暑いのはどうにもならない。

これから省電力になる製品は
「コスト度外視」で導入されることになるのではないだろうか?

私はCO2削減コンサルタントなので、
さまざまな省エネ商材の紹介を受ける。

先週は、商社から夏のエアコン問題を解決できる
デシカント空調システムの説明を受けた。
これは、湿度をコントロールするもので、
エアコンの温度を高めにしても、
湿度を低くすることで快適に過ごすことができるシステムである。
その上、室内が高圧になることで、
外部からのチリや埃が入りにくく、
衛生的な空間を作り出すことができる。

通常の温度でコントロールするエアコンより、快適であるらしく、
スーパーでのお客様の滞在時間が長くなる傾向にあるという。

やはり寒すぎると滞在時間は短くなるというのは道理である。

このシステムは、気温は高めで湿度が低いので
「ハワイの気候」を人工的に作っているようなものだ。

desikant.jpg
実は広島で既にこのシステムを導入しているスーパーがある。
なんとなく居心地が良いと評判である。

ESCOの仕組み
ところで、先週の続きのESCO(エスコ)の話である。
詐欺と言われるのは、売りっぱなしで、アフターフォローがないことから、
効果が出なかった場合やトラブルが起きた場合に
泣き寝入りになってしまうことが問題であるとされる。

そこで、アメリカで省エネの効果を
契約で保障するビジネスが生まれた。
ESCOとは「Energy Service Company」のこと。
省エネルギーに関する包括的なサービスを提供し、
その顧客の省エネルギーのメリットの一部を
報酬として享受する事業である。

escosetumei.jpg
簡単に言うと、省エネの運用改善や設備更新を行って、
ユーザー企業の水道光熱費を削減し、
その費用で、設備の導入費用やESCO事業者の利益を出すものである。

ユーザーから見ると、
初期投資なしでランニングコストを削減することができ、
契約期間が終了後は、そのまま設備も利用できるので、
より大きなメリットを得ることができる。

国策でも推進され、ある一定の件数が行われてきたが、最近は頭打ちらしい。
大規模な工場や施設はほぼ省エネが進み、
ESCOの対象となる施設が少なくなっているからだと言われている。

しかし、まだまだ中小企業には省エネの余地が大きい。
それは、資金的な問題で設備投資が遅れているからである。
そのため、初期投資を必要としないESCOは
中小企業にマッチしていると思われる。
しかし、なかなか導入が進まないのが現状である。

次回、中小企業のESCOの課題について話したい。
<By 森下兼年>

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省エネ製品導入の落とし穴

2011年03月28日(月曜日)
カテゴリー:
  • 省エネビジネス・トレンド
  
10:47 AM

都合により休載していました森下兼年さんの
「スーパーマーケットの省エネ環境戦略」が本日より復活しました。
最新の省エネビジネス情報を毎週月曜、ご紹介いただきます。
もちろん、スーパーマーケット実務に役立つ情報も随時、執筆いただきます。
ご期待ください。<事務局>

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今週は山口県の宇部市と広島市の2つの会場で
「企業の省エネトレンド」というタイトルで講演させていただいた。
20110328003.jpg
当初お話をいただいたのはひと月以上前で、
その時点では、企業の方に興味を持っていただく話が良かろうということで、
20年ぐらい前からの「省エネビジネスの変遷」や
「省エネ装置」と呼ばれている機器の話を準備していた。
そこで、お話ししたことを記したい。

20110328026.jpg

省エネ製品やその手法については、
良いものもあるが、問題のあるものもある。

それは適応する現場の状況にも左右されるが、
問題の本質は、その売り方にある。

例えば、毎月の電気代が100万円とすると、
これを90万円に削減する省エネ装置があるとする。
この装置が100万円だとすると、元を取るのに10カ月かかる。

長い目で見るとコスト削減になる投資でも、
中小企業の場合は、資金に余裕がないので導入しにくい。

しかし、これを
「月々2万円で導入できます」という提案を受けたらどうだろうか。

そうすると、すぐに毎月8万円のメリットがでる。
中小企業でもすぐに導入しようということになる。
毎月の経費を削減したい中小企業が、すぐに飛びつく提案ではなかろうか。

ところがここに落とし穴がある。

100万円のものを毎月2万円の支払いで買ってしまったのである。
これはリース契約で行われることが多く、
4年以上支払い続けなければならない。

そのため、もし提案を受けただけのメリットがなかった場合や、
設備に何らかの問題があった場合でも、
途中解約は出来ない仕組みになっている。
なぜなら契約の相手がリース会社になっているからである。

ランニングコストの削減になって喜ばれる場合も多い反面、
期待した効果がない場合や、無理な省エネのため
設備全体に影響が出てしまうこともある。
途中解約を求めたが応じてもらえないとうトラブルが多く、
訴訟になっているケースもある。
しかし被害額が小さいため、泣き寝入りのケースもたくさんあると思われる。

このような背景があり、
1990年代には、省エネ=詐欺というイメージが定着しつつあった。
そこで当時、アメリカで流行していた
ESCO(エスコ)という手法が日本に導入された。

次回は、「ESCO」を紹介する。

<by 森下兼年>

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4. 中長期報告書の作成方法

2010年11月18日(木曜日)
カテゴリー:
  • 中長期報告書
  
8:54 PM

今週は、岡山のスーパー本部に省エネ法対応の件で訪問した。

101118_niji.jpg

ここはB級グルメで有名なホルモンうどんがある。
こちらの会社では中国地方の3県のエリアに出店されている。
そのため、国の省エネ法の報告以外に、
自治体の温対条例にも対応しなければならなく、
その締め切りがいずれも11月末である。

これには他の企業の担当者も頭を悩ましており、
その自治体のエリアごとのお店を集計して、1500kl以上であれば、
その自治体のフォーマットに添った報告書を提出しなければならない。
たいへん面倒である。

まずは、省エネ法への対応は、定期報告書と中長期計画書の作成である。
省エネ法は、国に対して全事業所の中長期報告書は、
5年間で毎年1%以上の省エネを進める設備更新の計画を記述しなければならない。
今後5年間の設備更新の計画をお持ちの場合は、それを基に計画を作成する。

しかし設備更新の詳細な計画を立てている企業は少ないと思われるので、
この場合は、過去の5年間の設備更新の実績をベースに、
今後5年間の設備更新を想定して、それに伴う省エネ効果(原油換算)をおこなう。

101118_electricity-graph.jpg

それもない場合の奥の手として、売り場面積などから蛍光灯の本数を推計して、
その蛍光灯を5年間で全てLED照明に変更する計画を立てる。
おそらくLED技術の普及により、5年後はかなりの割合で照明が更新されるであろう。

省エネ効果は、既存の設備の能力と同じものを最新の設備に変更した場合の
エネルギー(主に電気の消費量)の差分を計算する。
チェーン店の場合は、1店舗の設備改修を積み上げて、
会社全体の省エネ効果が1%以上可能な計画を立てなければならない。
そのため、その計算が複雑になるので、
何らかの省エネ法対応のシステムを導入することが望ましい。

<By 森下兼年>

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森下兼年プロフィール

福岡県出身。
福岡県立修猷館高等学校 卒業。
九州大学工学部水工土木学科 卒業。
広島市内の環境コンサルタント会社に勤務、環境システム事業部を立ち上げる。
2008年10月に12名の仲間とスピンアウトし独立、株式会社グリーンテクノロジーを創立。
地球温暖化対策地域推進計画の策定(島根県、広島県、名古屋市、香川県など)、環境情報システムの開発などが主な実績。
現在は中国電力をはじめ、企業の環境・エネルギーデータの集計・分析サービスを主力事業として、企業の環境経営の支援を行っている。
最近は銀行や、業界団体、企業経営者などへの講演多数。

森下兼年のインタビュー記事はこちら

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