商人舎

結城義晴の知識商人対談CDオーディオ セミナー

結城義晴の知識商人対談CDオーディオ セミナー

第2弾/大久保恒夫の巻[第6回]1%の売り込み商品 

2009年06月11日(木曜日)
カテゴリー:
  • 成城石井 大久保恒夫社長の巻
  
5:55 PM


大久保社長の巻が事務局の都合で、一時中断しておりました。読者の皆様にお詫びいたします。
再び再開です。
対談は九州のドラッグイレブンの再建へと続き、同社で改革の肝は、マネジメントレベルを上げるためのコミュニケーション改革だったという話が、大久保社長から具体的に語られました。
そして、いよいよメインテーマ、成城石井での現在進行形の取り組みが語られます。<事務局>

大久保社長
成城石井の社長のお話をいただいたとき、
前から良い会社、可能性のある会社と思っていましたので、
ぜひ、やらせてもらおうと思いました。

結城
本当に、売場や商品がもともと、良い会社ですよね。
それで成城石井にやってきたと。

★価格でとったお客は、価格で取られる

大久保社長

成城石井は経営危機ということではなかったんですが、
やっぱりちょっと業績は翳っていましたね。
それから、成城石井らしさというのがなくなってきているのかなと。
他にはない良い商品がどんどん仕入れられていて、
店頭で売り込まれているというのが、
成城石井の良さだったと思うんですが、

何だかみていると停滞している感じだったんですね。
他がどんどん成城石井をベンチマークして追いかけてきて、
成城石井みたいな店がどんどん作られて、
差別化が少なくなってきていたんじゃないかなと思いますね。

結城
そうですね。典型がクイーンズ伊勢丹だとかね。
キャッチアップする側が、どんどん追いついてきたという感じですかね。
最初に成城石井ではどのようなことをやったのでしょうか。

大久保社長
まず最初に私が思ったことは、「価格勝負じゃないですね」と。
私は、日本は価格以外のニーズが非常に強い国だと思っています。
食品ですから、こだわった安心安全の商品で差別化していけば、
売上げを上げられるだろうと思いました。

今までディスカウントで売上げが上がったという経験が、私自身あんまりない。
だから方法論でいうとディスカウントというのは、非常に難しいと思っているんですね。
確かに価格訴求は、短期的に売上げが上がります。
短期的、表面的には、価格を下げるという手はあるんですが、
価格を下げて取ったお客様は、価格で取られてしまう。
値段を下げても、ずっと同じ値段であれば、
インパクトが少なくなって、だんだんお客様が買わなくなってしまう。
そうすると客単価が下がってしまう。
安いからといって2倍食べたりしないでしょ。
そうすると長期的には売上げが落ちてしまいます。

結城

競争相手も黙っていない。価格には価格で対抗してきますね。

★定番商品で固定客を増やす

大久保社長

売上げを上げる方法というのは、固定客を増やす。
値段じゃない魅力で、定番商品を買ってもらう。
これしかないだろうというのが私の結論なんですね。

例えば醤油の濃い口を1L158円でディスカウントしたとする。
固定客の方が、安いから買いましたという場合、
どういう購買行動が起こっているかを考えてみると、
まだ買わなくても良かったけど、安かったから買いましたという、
いわば先買いが起こっているだけです。
あるいは、本当は丸大豆のおいしい醤油の方が良かったけれど、
安かったから、今回はこっちでいいやと思って買いましたという、
商品スイッチが起こっているだけです。
安く買った醤油だから2倍かけようという人はいないので、
単価が落ちている分、消費量は変わらないので売上げは落ちます。

マーケット自体が、今後、どんどん縮小していくと思っているので、
ディスカウントは非常に厳しいと思いますね。
ただし、ディスカウントニーズが強いのは確かです。
その体力消耗戦に打ち勝てば、
巨大な企業が何社か、生き残るかもしれません。

しかし、成城石井は違います。
固定客に定番商品を買ってもらう、
だから成城石井のファンを増やしたいと。
ファンを増やすにはどうしたらいいかといえば、
私が今までずっとやってきて、至っている結論が、
基本の徹底です。

挨拶をしっかりすること。
クリンリネスを徹底すること。
品切れを削減すること。

これらを地道にきっちりやれば、ファンは増える、固定客は増える。
これが私の信念なんです。
科学的根拠はあんまりないんですけれども(笑)。

★挨拶を徹底したら接客に対する苦情が減った

大久保社長

面白いのは、挨拶を徹底すると、苦情が減ります。

これはドラッグイレブンのときもそうだったんです。
挨拶を徹底したら、総務部長が私のところにきて
「社長、最近苦情が減っているんです。半端じゃないんです。半分になりました」
やっぱりお客さんはちゃんと見ているんだと思いましたね。

今、経営判断する上で、成城石井では
苦情やお褒めを物すごく気にしているんです。

挨拶を徹底してて、毎月モニター調査やっていて、
点数をつけているんですが、
かなり飛躍的に点数が上がってきているわけですね。
点数上がってきているから良くなってきているな。
で、苦情が減ってきているかなと。

残念ながら、今、食品の安心安全に対するお客様の関心が高くて、
クレーム自体は、実は増えているわけですよね。
食品に対して、ちょっと味がおかしいんじゃないかとか、
これ大丈夫みたいなのがあるんです。

そこで苦情を、商品苦情と、接客苦情、
つまり商品クレームと接客クレームに分けて調べてみようって分けたら、
接客クレームは減っていたんです。

それと、もう一つはお褒め。お褒めが増えているんです。
1.5倍ぐらいになりましたね。
来店客100万人当たりを指数にしているんです。
こうした基本をきちんと徹底することが、
お客様の支持をいただくこと、固定客化に絶対繋がっていると思ってやっています。

結城
その通りですね。
僕も客数主義というのを掲げています。
客数、レジを通過する客数がバロメーターだと。
売上げではなくてね。
その客数を増やす方向性は、固定客の来店頻度を、買上頻度を増やすという、
これが一番原点だと考えているんですね。
それと同じでしょうかね。

★★1%のSランク商品を徹底して売り込む

大久保社長
そうです。
それともう一つは、やっぱり価格が安いからで買うのではなくて
本当にこの商品いいわねと思って買ってもらう、
そういう売場にしようと思っているんですね。

さっき、固定客に定番商品を提供するという話をしましたけれども、
売り込み商品というのを明確に決めて、それをきっちり売り込もうと。

これも今までの経験ですが、ABC分析ってありますよね。
売上上位3分の1の商品で75%ぐらいの売上げを上げるという。
あの分析だと、なかなか手にならないんですね。具体的な手に。

私はAをさらに3分の1に設定しまして、
つまり3分の1の3分の1だから、大体、上位10%でしょうね。
10%の商品で、40%から50%の売上構成比があります。
だからそれらをSランク商品として、Sランク商品を売り込めといっているんです。
Sランク商品は品切れさせるなと。

こういう手を打っているんですが、
それでもまだ、商品の固有名詞にならないですね。
「売り込み商品」にするにはまだ遠いんですよ。
その10%の中を、さらに10%、これは1%ですよね。
全体の1%の商品でどのぐらい売れるかというと、
大体15から20%の売上げがあります。

ドラッグイレブンもそうでしたが、
お店に1万5000ぐらい商品が並んでいるんですね。
成城石井も大体1万5000ぐらいなんです。
1%というと150ですから、150は覚えられます。
ドラッグイレブンのときに私、
全部覚えろと社員に言って、全部書かせたんですよ。
それぐらいなら、覚えられる範囲なんです。

それを売り込んで、売上げが上がれば、数字が簡単に弾ける。
例えば20%の売上構成比があって、これがもし10%売上が伸びたら
2ポイント上がりますから、既存店の100が102になると言うことなんですね。

結城
すごいことですね。

続きます。

コメント (0)

第2弾/大久保恒夫の巻[第5回] 豊富な品揃えの誤解

2009年05月20日(水曜日)
カテゴリー:
  • 成城石井 大久保恒夫社長の巻
  
3:44 PM

<中略>ユニクロの改革から、話は無印良品のコンサルティング時代のエピソードに及びます。
当時、無印良品は売場を拡大し、商品開発を増やしていましたが、
前年比売上高、既存店前年比売上高ともに90%という厳しい状況にありました。(事務局)

大久保社長
無印良品は当時、300坪だとか400坪だとか大きい店を作っていって、
その売場拡大に合わせて商品開発をものすごくやっていったんですね。
そして、300坪の店に合わせて開発した商品を、100坪の店にも並べていた。
新商品だから売れるんじゃないかと思ったわけです。

そこで、どういうことが起こったかというと、
売れ筋商品のスペースを縮めていって、
そのスペースに開発した商品を並べていったんですね。

結城
なるほど。

大久保社長
それで私が「売上落ちたでしょ」っていったら
「そうなんです」と。
売れ筋商品で大半の売上げを稼いでいたのが、そのスペースを縮めていった。
だから売上げも落ちますし、下手すると品切れしちゃう。
新しく開発した商品はそんなに売れないので、
品揃えの数を増やせば増やすほど、売上げは減るもんなんですね。
売れ筋の売込みが弱くなってしまうから。

結城
それはね、鈴木さんも「絞り込み」とさんざん言われたし、
昭和51年にヨークマートが勝田台というところで第一号店を作ったんですけれども、
イトーヨーカ堂の食品と雑貨の部分だけで新しいフォーマットを作ろうというときに、
イトーヨーカ堂の大きな食料品売場のコンパクト版を450坪に込めて同じ現象が起こったんですね。

★「絞り込み」とは「売れ筋の拡大」

大久保社長
そうですね。「絞り込み」も、当時有名になって、
ヨーカ堂が「絞り込み」やって、うまくいったというので、
「アイテムの削減だ」って他社もやりだしていました。
私はそうした売場を見に行って「全然違うな」って思ったんですね。

ヨーカ堂は「絞り込み」っていうよりも、
「売れ筋の拡大」をやっていたんですね。

売れ筋商品をもっと売り込む必要があるから、
その売り込みたい商品のフェースをもっと広げる。
フェースを広げるとどうしても棚から落っこっちゃう商品が出ますが、
それはそれでしょうがないので、それはカットしましょうと。
だから結果としてアイテム数は減ります。
じゃあ、売場ではどうなっているかというと、
売れ筋商品が、きちんと売り込まれている売場になっているわけです。

ところが他店にいきますと、一列にフェースを拡大して絞り込んでいるだけなんですね。
現場では、「作業効率が上がりました」という。
でも「売れ筋商品の売り込みじゃない売場になってて、
これだったら売上げが落ちるな」と思いました。
そうしたら「全然売上げは上がりません」というような話も聞く。
「同じように見えていても全然違うな」と思いました。

結城
最初の大久保さんが言われた「現場が大事だ」ということと、
「お客様が大事だ」という、このお客様を忘れて、
ただ、絞り込みという形を取ったらダメだということですよね。

★アイテム数が少なくても品揃えが豊富な店

大久保社長
それからヨーカ堂でも、ずっとデータ見ていると、
本当に一部の商品で、大変な売上げを稼いでいる。
だから、それらの商品をいかに売り込むかが、
お客様のニーズへの対応なんです。
アイテム数を増やしていろんな商品を置くことじゃなくて、
より多くのお客様に支持されている、満足されている商品を
よりアピールして売り込んでいくか。
それこそがお客様のニーズへの対応だと私は思います。

結城
その通りですね。

大久保社長
アイテム数と品揃えで、こういう話もありました。
ユニクロがある時期、GAPに比べて品揃えが悪いといわれていた。
その時に、アイテム数を調べてたらユニクロの方が多かったんです。
その後、ユニクロが売れ筋商品を拡大していって、アイテム数が減った。
アイテム数が減ったにもかかわらず、お客様からは品揃えが良くなったという声をいただいた。
「あぁ、お客様は自分がほしい商品が売り込まれていると、
これもほしい、あれもほしいと思い、品揃えが豊富な店、よい店だ」って評価するんだと、
その時、改めて思いましたね。

結城
それはある種、商業小売業の真理ですよね。
アイテム数は少ないんだけれども、品揃えが豊富だとお客様には受け止められると。
これは正しく真理ですね。

大久保社長
私はよく言うんですが、
お客様はカウンターを持ってアイテム数カウントして調べて、
こちらの店の方がアイテム数が多いから品揃えが豊富だということではまったくない。
お客様は、この店、買いたいものがあるかないかで、
品揃えが豊富か、豊富じゃないかって思っていると。
だから結局は、お客様なんだと。
お客様がどんな気持ちになるかがすべてで、
売るほうの立場の考え方とは全然違うんだと。
よく言いましたね。

コメント (0)

第2弾/大久保恒夫の巻[第4回 小売業ほど面白い仕事はない]

2009年04月24日(金曜日)
カテゴリー:
  • 成城石井 大久保恒夫社長の巻
  
11:46 AM

< 中略>二人の対談は、リテイルサイエンス時代のコンサルティングの話で盛り上がっていきます。
大久保社長はユニクロ、良品計画などの経営改革に携わりましたが、
中でも、ユニクロの柳井正社長との出会いに大きな刺激を受けたようです。< 事務局>

大久保社長
柳井さんが全社員を前にして、
「大久保さんを副社長だと思って、大久保さんの指示には全部、従ってください」
みたいなことをおっしゃるので「これは、すごい経営者だな」と思いましたね。

私も、何とかしたいという気持ちがあって、一生懸命やったところ、
指示に対するスピード感と徹底力が全然違うんですね、ユニクロは。
もともと、そういう力のある会社なんです。

「こういう問題があるからこうするんだ」と私がお話しして、翌週行くと、
「今、体制作ってますから」とか「こんなことをこうやって体制つくってやります」というのが普通ですが、
ユニクロの場合は、「もうやりました」「こんな結果出てます」
という話がどんどん出てきて、ものすごい勢いで経営改革が進みましたね。

★経営のスピードを変えるウイークリー・マネジメント

結城
いわゆるウィークリーマネジメントですよね。
月曜日の朝8時から開催して火曜日までやって、そして問題解決をして、
そして翌週、また月曜日、火曜日と、
あくなきウィークリー・マネジメントをやっているんですよね。
ユニクロのあれはすごい。

大久保社長
その時に明確に意思決定がされるんですね。
前週までの一週間が勝負なので、こんな結果が出ていると。
じゃあ、今週どういう手を打つのかっていうのが経営会議で決められて、
午後にある営業会議で具体的な指示事項になっていく。
これはものすごいと思いますね。

私が今、成城石井でやっているウィークリーでの営業会議は、
その柳井さんのやり方が非常に参考になっていて、
むしろ、そのままやっている部分も、結構ありますね。

月曜日に営業会議をやって経営として決めたら、
それを営業にすぐブレイクダウンする。
店にどうやって連絡するのか、
主事指示みたいなのを出して、
主事指示を出しただけじゃダメなんで、
スーパーバイザー的な人が店に行って、
店の人と話をして、具体的に誰が、いつやるのかっていうのを決めて、
水木あたりで実行し、土日に勝負がついている。
だから、月曜日にまた経営会議をやって、経営としての経営判断をする。

結城
サム・ウォルトンも、金、土会議をやったんですね。
ウォルマートがかなり大きくなってからも、
ジェット機で飛んで、月火水木と店に行って、
そして木曜日の晩に帰ってきて、金土に同じような会議をして、
そして指示を出して、日曜からまた木曜日までやる。
このサイクルをサムウォルトンが作って、
それが今でもウォルマートの原動力になってます。

柳井さんも同じですね。
サイクルを作って、それを年間52回続けていく。
52回すると、全く次元の違う会社になっている。
その経営のスピード感ですね。
鈴木敏文さんも業革で毎週のようにやっていたわけですね。

大久保社長
毎週、毎週。
ですから、先ほど話した津田沼店の鮮魚売場の
刺身の鮮度をいかに良くするのかっていう課題を毎週、毎週やっていました。
どんどん手を売って、その結果が出てきて、
それに対してどうするかを決めて、またやるっていう。
この繰り返しなんですね。

結城
その週の頭に意思決定をするというころですね。
そして具体策を作って、それを展開する。
やってみて次の週にもう一回意思決定し、検証する。
良ければどんどんやる。
悪ければすぐやめて、変える。
そういうことだったんですね。

★柳井正社長の「失敗したら学べるじゃないか」

大久保社長
そうですね。
もうひとつ、柳井さんを、私、すごいなと思ったのは、
「失敗していい」、むしろ「思い切って失敗しろ」「やれ」という。
とにかく「考えてたってしょうがない」と。

「やったら結果が出るんだから、結果を見て、
すぐまた次の手を打てば、失敗したっていいんだ」と言っていた。
「失敗したら学べるからいいじゃないか」と。
中途半端な失敗をして、学ばないぐらいだったら、
思い切ってやって失敗したら、勉強になるからよい
、
次にそれを活かせばいいじゃないかと。

本当に言ってましたからね、経営者が。
あれはすごい。
柳井さんに学んだところがたくさんありますね。

結城
そこは柳井さんのすごさですよね。
ともすると、権威が強くなると、失敗は許さないというような空気になる。
それでは、チャレンジ精神というか、チャレンジする部分をなくしてしまう。

大久保社長
私は、小売業はやっぱり「柔らかい」と思うんですね。
いろいろなことをやって失敗しても、怪我が浅い。
すぐ修正できる。
だから、思い切って売ってみて、売れなかったら、
それを半額にして、売り切ろうとすれば、売り切れちゃう。
そして、また次の商品を売ればいいじゃないかというような、
そういう柔らかさが小売業だと思います。

小売業のそういう良いところが、私は好きなんです。
どんどんやったらすぐ結果が出て、結果がだめだったらすぐ変えればいい。
その柔らかさ、身軽さというか、スピード感がある。
小売業のその良さを、うまく生かしたほうがいいと思いますね。

結城
その通りですね。

大久保社長
どんどんやって、結果が出たほうが、
考えているよりはるかに早く、正確にわかります。

考えて、分析しても、わからないものはわかんない。
躊躇して、いろいろと判断に迷っているぐらいだったら、
思い切ってこっちだと思ったことをやってみて、結果を見て
それでよかったのか、悪かったかを判断する方が、
ずっと正確にわかると思いますね。

結城
メーカーのように、新製品を出して失敗したら取り返しつかないっていうのと、違いますよね。
非常に野放図だけど、それがフレキシブルだという、
そういう要素はありますね。

★小売業は頭脳労働だからこそ面白い

大久保社長
私は小売業のそういうところって、すごい好きなんですね。
だからいろいろとアイデアを出せるし、そのアイデアも実行しやすい。
ダメだったらやめればいいと。
いろんなことを考えて、いろいろと手を打って、
しかも結果がすぐ出ます。
結果がでて、そうしたら、また次の施策もどんどんできる。

小売業は、本当に仕事としては
こんなに面白いものはないと思うんですよ。

それを考えもしないで、ただ作業だけをしていたら、
こんなに辛いものはないと思いますね。
労働環境は辛いし、肉体労働だしみたいなね。
本当は、小売業は頭脳労働というか、
その楽しさがすごくある職場だと思っています。
ぜひそれを皆さん、活かしてほしいと思いますね。

結城
この対談のタイトルは「知識商人」。
僕は、「ナレッジマーチャント」ともいっているんですが、
小売業で働く人たちは、頭脳労働者であると。
ドラッカーは「ブレインズとハンズ」という。
つまり「脳と手」の両方を使うのが知識労働者で、
21世紀の働く人たちのあるべき姿だっていうんです。
それを最も体験しているのは、僕は小売業や商人だと思うんですね。
ブレインズとハンズを使って。
手で商品を並べたり、商品を使ったりしながら、同時に頭を使う。

セブン-イレブンのパートタイマーやアルバイトさんの「分散発注」だって、
並べつつ、自分で売場を作って、
そこで発注という意思を込めて商売しているわけです。
それを見ても、知識商人、ナレッジマーチャントであるという認識を、
僕は持っているんです。

大久保社長
それから、小売業はものすごく自由になるところがあると思いますね。
メーカーだったら自社の商品だけを売り込めになってしまいますが、
小売業だったらいろんなところから商品を集めて、並べて売れますし、
場合によっては、並んでない商品を自分で仕入れてもいい。
そして、何を売るのか、どう売るのかっていう自由がありますよね。
私、お店にいたとき、ものすごく楽しかったです。
今でも本当は店長やりたいんです(笑)。
店長ほど面白いものはないと思うんです。

もっといえば、売場はすごい
「緩い(ゆるい)」
んですよね、きっちり決まってないので。

特にエンドとか、平台とか、あんなスペースだったら
ちょっと寄せれば隙間がいくらでも空きますので、
そこに自分がこれなら売れるかなと思った商品を思い切って発注して積んで、
例えば、お客さんに「この商品はこんないいところあるんですよ」っていって
売ったときの面白さはないわけです。

小売業は、そういう意味では、いろいろ考えることが自由にできるし、
行動もすぐできる。自分自身でいくらでもできますよね。

裁量権がものすごく大きいわけですね。

自分で発注して、自分でスペース空けて並べれば、
自分のやろうとしたことが実現できる。
その結果がまたすぐ出てきて、それに対して、また次の手が打てる。
そういう意味では、こんな楽しいものはないんじゃないかと思っている。

だけど売場に行くと、本当につまんない顔して働いている人が、
結構多いんですね。
これは残念だと思っているので、
ぜひ面白いと思う人が一杯いる小売業をつくりたいと思っています。

結城
さっきの柳井さんにしろ、伊藤さんにしろ、
やっぱり自分の仕事を楽しんでいて、自分の仕事が大好きなんですね。

続きます

コメント (0)
<次のページ
前のページ>
商人舎サイトマップ お問い合わせ
カレンダー
2015年4月
月 火 水 木 金 土 日
« 8月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  
指定月の記事を読む
カテゴリー
  • General (1)
  • サトーカメラ 佐藤勝人の巻 (7)
  • ライフコーポレーション岩崎高治社長の巻 (6)
  • 事務局より (1)
  • 成城石井 大久保恒夫社長の巻 (7)
最新記事
  • 2010年08月04日(水曜日)
    第4弾 サトーカメラ 佐藤勝人の巻[第7回最終回/一点突破、面展開]
  • 2010年08月02日(月曜日)
    第4弾 サトーカメラ 佐藤勝人の巻[第6回/アソシエイツ教育]
  • 2010年07月29日(木曜日)
    第4弾 サトーカメラ 佐藤勝人の巻[第5回/商圏を絞る]
  • 2010年02月05日(金曜日)
    第4弾 サトーカメラ 佐藤勝人の巻[第4回/市場シェア]
  • 2010年02月02日(火曜日)
    第4弾 サトーカメラ 佐藤勝人の巻[第3回/経営理念]
知識商人対談

知識商人対談

第25回 林 廣美氏 日本フードサービス
専門学院
学院長
林 廣美 氏
第24回 松本朋子氏 株式会社
マーケティング・ハピネス
代表取締役社長
松本 朋子 氏
第23回 大石 益代氏 財団法人
日本ソフトボール協会
ナショナルチーム
トレーナー
大石 益代 氏
第22回 池田 健太郎氏 一般社団法人
ファイブ・ア・デイ協会
理事長
池田 健太郎 氏
第21回 三科 雅嗣氏
株式会社 いちやまマート
代表取締役社長
三科 雅嗣 氏
第20回 横山 清氏
株式会社 アークス
代表取締役社長
横山 清 氏
第19回 玉生 弘昌氏
株式会社 プラネット
代表取締役社長
玉生 弘昌 氏
第18回 廣田 正氏
株式会社 菱食
特別顧問
廣田 正 氏
第17回 川野 幸夫氏
株式会社ヤオコー 代表取締役会長
日本スーパーマーケット協会会長
川野 幸夫 氏
第16回 町田 成一 氏
株式会社プレジデント社
dancyu編集長
町田 成一 氏
第15回 村井 哲之 氏
株式会社環境経営戦略総研 取締役社長
村井 哲之 氏
第14回 北野祐次氏
株式会社関西スーパーマーケット 名誉会長
北野祐次 氏
第13回 荒井伸也氏 CD
オール日本スーパーマーケット協会
会長
荒井伸也 氏
第12回 大畑 誠也氏 CD
九州ルーテル学院大学
客員教授
大畑誠也 氏
第11回 加治敬通氏 CD
株式会社ハローデイ
代表取締役
加治敬通 氏
第10回 當仲寛哲 CD
ユニバーサル・シェル・プログラミング 研究所
代表取締役
當仲寛哲 氏
第9回 佐藤勝人 CD
サトーカメラ(株)
代表取締役専務
佐藤勝人 氏
第8回 佐藤洋治 CD
(株)ダイナムホールディングス  代表執行役社長
佐藤洋治 氏
第七回 成城石井 大久保恒明 CD
(株)成城石井
大久保恒夫 氏
第六回 宗像守  CD
日本チェーンドラッグストア 協会 事務総長
宗像守 氏
第五回 (有)良品工房 CD
(有)良品工房
白田典子 氏
第四回 (株)カスミ 小濵裕正社長 CD
(株)カスミ
小浜裕正 氏
第三回平和堂 夏原社長 CD
(株)平和堂
夏原平和 氏
第二回 全日本食品(株) 斉藤充弘氏
全日本食品(株)
斉藤充弘 氏
第一回 (株)ライフコーポレーション 岩崎高治氏 CD
(株)ライフコーポレーション
岩崎高治 氏
  • ホームに戻る
  • トップに戻る
  • 友達・上司・部下に知らせる

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。
Copyright © 2008-2014 Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.