商人舎

杉山昭次郎の「 流通 仙人日記」

 杉山昭次郎の「流通仙人日記」

杉山先生からヒロロ様のコメントへのお返事

2010年07月09日(金曜日)
カテゴリー:
  • 事務局
  
10:53 AM

4月26日の記事、「スーパーマーケットの競争力強化の視点 vol.42」に
ヒロロ様からコメントが投稿されました。
それに対し、杉山先生からご返事をいただきました。
ヒロロ様のコメントと合わせて、是非ご覧ください。
<事務局>

◆ヒロロ様からのコメント  2010 年7月4日(日曜日)

休日に職場で噂に聞いていた杉山先生のブログを覗いてみました。
一気にこれまでの連載を読みました。
自分の経験不足もあり、理解の難しい話もありましたが、何となくスーパーマーケットを運営する上で考えるべき視点が分かるような気がして大変勉強になりました。
意識改革で、多くの人々は自分の意識ではなく他人の意識を変えたがっている話や、欧米ではお客様は神様ではなく王様にたとえられる話、スーパーマーケットのマーケティングの考察など大変参考になりました。
2月のご自身への痛烈な反省は自分も考えられました。
ご指摘のように多くのスーパーマーケットの本部の担当者や専門誌の関係者は、一般的な普通の家庭とは異なる環境にいると思います。
私自身もしかりです。
それでも、ごく普通の家庭の身近な幸せに貢献する仕事を考えるのスーパーマーケットに関わる自分の役割と、思いを新たにいたしました。
次回のブログの更新を楽しみにしております。

◆杉山先生からのお返事

ヒロロさん
コメントありがとうございます。

2009/4/8 スーパーマーケットの競争力強化の視点vol.5
意識改革に関する試験に興味を持たれた由、うれしく思います。
このブログでも、度々述べたように、企業文化の性向はスーパーマーケット企業のこれからのマーケティングの成否に決定的な影響をもたらします。その企業文化をつくり上げるためには、意識改革を必要とする組織が多かったのですが、私の力ではうまくいかない場合が多過ぎ、恨みを述べたわけです。
私自身、親、学校の先生、先輩、上司等々から説教されて“意識を変えてきた”と思えることは正直、あまりありませんでした。
普通の人間の意識を変えることの難しさは、知っているつもりです。
しかし、企業文化は必要に応じ変えないと企業の存続をあやうくするケースもあり得ます。腰を据えて取り組まざるを得ない課題です。

2009/6/8 スーパーマーケットの競争力強化の視点vol.12

神様と王様の違いは宗教の観点から生じた用語の違いで、同じ発想に基づくものと思います。
キリスト教では、神は人間を愛し、その上にあって間違いをしないという信仰があるのでお客さまを神に例えるわけにはいかないのでしょう。
王様は、すぐれた人物でもわがままで気まぐれな一面をもっているでしょう。神様とは違うところを含んだユーモラスな表現とも言えるでしょう。
王様の要求は無視することできませんが、しかし全部に応えることもできません。
マーケティングにおいては、その識別が大事で、それぞれの対策が必要になります。
何より、王様は何かを手に入れてもそれに満足することはなく、更なる物を求めていくことを知ることが肝要です。

2010/2/15 スーパーマーケットの競争力強化の視点vol.33

食生活の実態を何一つ知らなかったことに気がついた時は、本当にショックでした。
その後、スーパーマーケットのマーケティングをどう進めるべきかを考え続けております。
「食生活の向上に貢献する」というキーコンセプトは変わりません。
もともとマーケティングは、試行錯誤的なアプローチによって問題解決策を設定し、実施しつつ改善していく経営技法です。
市場の実態(食生活)の理論的究明はできないまま、食生活の段階的向上に役立つ方法の“入り口”を何とか探り当てられないかと思案中です。
それらしき素案をブログに訳することができましたら、また、コメントをお願いします。

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スーパーマーケットの競争力強化の視点 vol.42

2010年04月26日(月曜日)
カテゴリー:
  • スーパーマーケットのマーケティング
  
10:33 AM

第42回スーパーマーケットのマーケティング-“マスカスタマイゼーション”

■ 店と顧客の複雑な関係

 小売業、外食産業などのサービス業のポスト・マス追求の時代のキーワードは“マスカスタマイゼーション”である。
不特定多数のマスに対し、カスタマイゼーションとは、固定客づくり、つまり、相対立する概念である。つまり、マス化と固定客づくりを両立させようとする新しい概念である。

  小売業では、かつて、工業的商業に変革した時、カスタマイゼーションを放棄した。

  今日、本来、小売業の重要概念である、カスタマイゼーションを呼び返す必要に追われている。
かつて、我が国の小売業は上得意を多く持つことによって、繁栄をはかっていた。焦点と上得意の間は、信頼の絆によって支えられていた。

  スーパーが出現し、この信頼関係を軽視、いや、無視するような商売を始めた。消費者もロープライス商品を売りつけるような商売をするスーパーに反応して、バーゲンハンターと呼ばれる買い物をする人達が増えた。
しかし、間もなく、スーパーは思ったより安くはない。目玉商品だけの安売り、というような認識が主婦の間に広まってしまった。

  オイル・ショックのあった頃、私がお手伝いをしていた中堅どころのチェーン企業の営業企画課長が、ある日、2人だけの会食の場で、小さな声で、
「サシミだけは、うちの会社の商品は買わないようにしている」
と漏らした。

  スーパーマーケットと顧客の間の信頼関係が最悪になっていた頃の話である。

  そこで、ポスト・マス追求の時代のスーパーマーケットのマーケティングを議論する必要が出てきたのである。
続きます

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スーパーマーケットの競争力強化の視点 vol.41

2010年04月21日(水曜日)
カテゴリー:
  • スーパーマーケットのマーケティング
  
2:10 PM

第41回スーパーマーケットのマーケティング-“マス”の追求

■ マスの時代

  そもそもスーパーマーケットは当初から“マス”をキーワードに、“店舗づくり”の開発を続けてきた。
マス・プロダクションとハイ・マス・コンサンプションを結ぶためには、大量流通システムの開発が必要ということが、我が国のチェーンストアが本格的に増え出した頃のうたい文句であった。
大量仕入で商品原価を安くするため、スケール・メリットを合言葉に、やみくもに出店を急ぐ企業も少なくなかった。
マスの追及によるロー・プライス戦略。これは誰にとっても解りやすい議論である。

  私は、東京オリンピックが開催された年に初めてアメリカの視察チームに参加した。その時の強い印象の1つが、広い清潔なフロアのゴンドラエンドの大量陳列である。これこそ、マス・セールの象徴だと思った。

  また、量販店以外の小売店にも見られたことだが、POPはもとより、ウィンドウに貼られた、ビラにも書かれている“off”の文字がやたらに多かったこともはっきり覚えている。
その頃、親交のあった業界ジャーナリストの1人は、「これからは、工業的商業の時代」を口癖のように唱えていた。

  チェーンストア、特にスーパーマーケットは、“店舗づくり”のハードウェアの設計にも、ソフトウェアの業務システムにも、製造業のノウハウの導入をはかった。また、商品調達の面でも、バックワード・バーティカル・インテグレーションならびに共同仕入れを行うなど、マス・メリットの追求に勢力を注いできた。

  ところで、小売業の“マス”とは、不特定多数の客を増やして、売上増をはかることを意味する。製造業のマス・プロダクションも、フォード社のT型フォードに代表されるように、低価格商品を開発して、不特定多数のユーザーをつくり、業績を伸ばしてきた。

■ マスの時代の終焉

  しかし、日本のチェーンストアがマスの追求を始めた頃、アメリカの製造業は、マス一辺倒の時代を終え、顧客をセグメントする時代に移行していた。

 再び自動車産業を例にとれば、ステータス・シンボルとしてのキャデラック、キャリアウーマン用のコンパクトカーなどの車種が脚光を浴びていた。
イギリスの産業革命に端を発した素朴な工業化が近代化の始まりであるとすれば、近代化は、日本の小売業のマス追求の始まった頃には、すでにポスト近代化の時代に移行していたのである。
ポスト近代化、即ち、ポスト工業化の時代は現代化と呼ばれる。産業としては情報産業などが中核となって急成長を遂げつつあることは説明の要もあるまい。

 我が国の流通産業も、遅ればせながら、マス追求不辺到の時代が終焉し、ポスト・マス追求の時代に入っている。

続きます

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