商人舎

杉山昭次郎の「 流通 仙人日記」

 杉山昭次郎の「流通仙人日記」

スーパーマーケットのマーケティング Vol.32

2011年04月20日(水曜日)
カテゴリー:
  • 新プロセスモデル
  
3:29 PM

32. 新プロセスモデルの目標設定

 次は目標設定の段階に進もう。目標はプロセスモデルの始めのプロセスに設定すべきはうすうすながら、分かっているとする。しかし、どんな目標にしたらよいのか全く分からない。だから試行錯誤なのだ。

 試行錯誤とは仮説を立て、実施し、結果をみて、仮説をつくり直すというフィードバックを繰り返して、正しい(効果的な)やり方を見つけ出すことである。

 したがって、まず仮説を立て、実施しなくては始まらない。しかし、仮説の作り方も分らない、というのが現状であろう。

■仮説の作り方

 そこで、1つの仮説の作り方を紹介してみよう。
この作り方が有効なのか否なのかは分からない。ましてベストなのか他にもっといい方法があるのかは分からない。ともあれ、ゴーサインを出すためにつくるのだ。

 さて、このプロジェクトのコンセプトはコモディティ商品以外にもライフスタイル商品を加えてカスタマイゼーションを進めることである。

 ライフスタイル商品の選定は、おいしさに焦点をおけということだ。一口においしいと言っても、おいしさにも色々ある。コモディティ商品だっておいしい。おいしくなくてはコモディティ商品にもならない。と言ったような思考のグルグルまわりで行き詰る。

■「おいしさ」のパターン

 このような場合は、逆の発想が役立つことがある。コモディティ商品以外の商品でおいしそうな商品をリストアップし、その商品をおいしいと思うパターンを書き出せばよい。

・ 「納豆ならこれに限る」というパターンのおいしさ。
・ 久しぶりに食べるおいしさ。
・ メニューの味付けのおいしさ。
・ メニューの具としてのおいしさ。
・ シーズンの走りのおいしさ。
・ 旬のおいしさ。
・ 晩期のおいしさ。
・ 弁当のおいしさ。  などなど

 以上の作業が終われば、どんなパターンを試せばよいかを相談して商品リストを作成し、プロセスモデルにのせる。

続きます

コメント (0)

スーパーマーケットのマーケティング Vol.31

2011年04月14日(木曜日)
カテゴリー:
  • マス・カスタマイゼーションの準備段階
  
1:28 PM

31.新プロセスモデルのたたき台

■既存プロセスモデルのどのプロセスを変えるか

 さて、状況により、また課題により、トータルイメージの共有化、目標設定の仕方も違うことを縷々述べてきた。この課題では具体的にはどうすべきであろうか。

 自分達で方法を見つけ出さなければならない。だから試行錯誤的問題解決というのである。
最初のステップは企画部で(企画部ではなくても差し支えはない)議論のためのたたき台を作成する。たたき台は、営業トータルシステムのプロセスモデル(簡略化したものでもよい)を利用するとよい。(他にもっとよい方法があるかもしれないが)

 プロセスモデルのどのプロセスを変えるか、新しく組み入れるかなどを検討しやすくするためである。

 たたき台を使って討論を行えば、品揃えを変えてカスタマイゼーションをはかる全体の構造が浮かび上がる。つまり、トータルイメージが紙上に浮き上がるのである。

 効果的なたたき台をつくり、提案を交えて数人のグループで討論を行えば、トータルイメージはかなり鮮明になる。その過程でどのプロセスに設定すべきかが自ずから分かってくる。討議が一回では不十分な場合は、2~3回繰り返せば、所期の成果は得られる。トップとミドルなど複数のグループで検討し、両者をドッキングすれば、より鮮明度の高いイメージが出来上がり、共有化のレベルも上がるはずである。

 要は、関係者全員の知恵を結集することである。個々人は知恵を出し、責任者はそれらの知恵を結集するための知恵をしぼり出すことが肝要なのである。

■コンサルタントの活用

 試行錯誤的問題解決に不馴れな組織では、コンサルタントを活用するのも1つの知恵である。

 しかし、コンサルタントに任せてはならない。問題解決を行う主体は組織である。問題解決を効率的に行うために手伝ってもらうのである。したがって、手伝ってもらう内容、目的、方法は、依頼時に組織側から明示しなければならない。もちろん依頼時に相手と話し合いの上、調整するのは当然のことである。話し合いの上、自分の役割を決められないコンサルタントは、2流以下のタレントに過ぎない。コンサルタントに役割を決めさせるためには、組織も知恵を使わねばならない。

続きます

コメント (0)

スーパーマーケットのマーケティング Vol.30

2011年04月07日(木曜日)
カテゴリー:
  • 試行錯誤的問題解決
  
10:05 AM

30.試行錯誤的問題解決

■トータルイメージの共有化

 さて、話を「おいしさに焦点をおいた、ライフスタイル商品開発」の試行錯誤的アプローチに戻す。関西スーパーマーケットのケーススタディに学ぶように、手順としてまず大事なことはトータルイメージを共有化することである。次いで、目標決定を行い、逐次目標内容を具象化した表現に直しながら、実施に移すということである。

 関西スーパーマーケットのケースとここで論ずる課題の違いは次の2つである。

 第1はトータルイメージのつくり方の違いである。
関西スーパーマーケットでは、ハワイ研修でトータルイメージの共有化をはかったが、今回のプロジェクトでは参考とすべき既存モデルが全くない。トータルイメージの共有化の段階でも両者は異なる方法を取らざるを得ないのである。

 第2は目標設定の仕方の違いである。
関西スーパーマーケットのプロジェクトは業務システムの開発であるのに対し、今回のプロジェクトは戦略の転換である。業務システムの開発、改善では、最終プロセスのあるべき姿を描き出し、目標とする。このプロジェクトでは、品揃えを変えること、作業的に言い直せば、最適と思われる品揃表を作成することが目標となる。これは現状営業プロセスモデルの最初のプロセスである。

■試行錯誤的問題解決のまとめ

 このシステムでは、目標を達成するためには品揃えの逐次改善のためのフィードバックシステム、なかんずく、コンピュータによるデータシステム、より具体的には、単品管理データシステムの改善が必要になってくるであろう。

 以上いろいろ述べてきたことを要約すると下記の通りになる。
1. 問題解決を意識的・意図的に行うと状況、課題のタイプによる解決プログラムの違いを分類できるようになる。
2. 分類してプログラム案を提出すると、トータルイメージの共有化の方法が見つけやすくなり、共有化の速度、精度が高まる。また、目標設定の方法も向上する。
3. 操作的な目標設定すると、運営のためのトータルプログラムの整合性が高まり、フィードバックを繰り返すたびに目標の特定化・重点化が進む。
4. 目標の特定化・重点化が進む中で関係者全員(店舗のパートさんやアルバイトまで)役割意識が高まり、協業度も向上する。

 さらにこの要約を一口にまとめると、組織の成熟度が高まるということになる。

続きます

コメント (0)
<次のページ
前のページ>
商人舎サイトマップ お問い合わせ
カレンダー
2015年4月
月 火 水 木 金 土 日
« 8月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  
指定月の記事を読む
カテゴリー
  • こだわり商品 (2)
  • ことわざから学ぶ (1)
  • カスタマイゼーションの効用 (1)
  • グローバリゼーション (13)
  • コンセプトの効用 (3)
  • スーパーマーケットのマーケティング (13)
  • スーパーマーケットの店舗づくり (1)
  • スーパーマーケットの未来 (1)
  • チェーンストア (1)
  • マス・カスタマイゼーション (10)
  • マス・カスタマイゼーションの準備段階 (2)
  • マーケティング (5)
  • リーダーシップ (1)
  • 事務局 (2)
  • 企業使命の重要性 (1)
  • 企業文化 (2)
  • 利益の概念 (1)
  • 商業の現代化 (2)
  • 固定客づくり (2)
  • 新プロセスモデル (5)
  • 業態の転機 (1)
  • 競争力は開発・改善スピード競争の成果 (1)
  • 筆者からのメッセージ (2)
  • 組織の変容 (4)
  • 組織計画 (1)
  • 組織計画は組織力強化不可欠の基礎条件 (1)
  • 組織計画は設計するだけでは機能しない (1)
  • 試行錯誤的問題解決 (3)
  • 賢者は歴史に学ぶ (1)
  • 週間販促計画に見る効率的な組織の運用 (2)
最新記事
  • 2011年08月05日(金曜日)
    【最終回】 スーパーマーケットのマーケティング Vol.41
  • 2011年07月13日(水曜日)
    スーパーマーケットのマーケティング Vol.40
  • 2011年07月07日(木曜日)
    スーパーマーケットのマーケティング Vol.39
  • 2011年07月01日(金曜日)
    スーパーマーケットのマーケティング Vol.38
  • 2011年06月24日(金曜日)
    スーパーマーケットのマーケティング Vol.37
最新コメント
  • 2010年12月14日(火曜日)
    ワンダーウーマン :スーパーマーケットのマーケティング V...にコメントしました
  • 2010年07月04日(日曜日)
    ヒロロ :スーパーマーケットの競争力強化の視点...にコメントしました
  • ホームに戻る
  • トップに戻る
  • 友達・上司・部下に知らせる

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。
Copyright © 2008-2014 Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.