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2008年、最後のスーパーマーケット視察 | アメリカ流通 浅野秀二のアメリカ寄稿

浅野秀二のアメリカ寄稿

2008年、最後のスーパーマーケット視察 

2008年12月25日(木曜日)
カテゴリー:
  • 視察&インタビュー日記
  
5:44 PM

結城先生のWEBに浅野コーナーを設けるから、何か書かないか?
とありがたい話があった。
ところが、私は過去に文章などは書いたことがないのである。

考えてみれば、たしか、小学校の夏休みの課題日記で書いたことがある。
『朝起きた。川に泳ぎに行った。山でチャンバラをして、隣の山畑の桃を食べた、
アゴがはずれるほど?美味しかった。夜は朝まで寝た』 
こんな文が42日も続く。

そういえば大学時代には、せっせとラブレターを書いた事もある。
『貴女の吸い込まれそうな黒い瞳、白い肌、モナリザのような微笑、
今、私がなぜ生まれてきたか? 私は解ったような気がします』
などと書き綴ったが、それは彼女の目に触れることはなかった。

WEBに寄稿する、この話はどう考えても、ハイリスクな事である。
しかし、常日頃、私はリスクを取れと言っている。
ダメなら修正、止めれば良いのである。
まず、一歩踏み出す事にした。
(しかし、結城先生をリスクには巻き込めない、そこが気がかりだ。)

サンクス ギビング・感謝祭の前の8日間、
テキサス州・ダラスとフロリダ州・レイクランドと、ワシントン、フィラデルフィア、ニューヨークを駆け足で巡った。

ダラスのマーケット・ストリートでは、店長のジェイソン氏、36歳が待っていた。
彼は16歳から働いている。店長になったのは32歳。いつも本当に良い事を言う。
『商品も売っているが、本当はサービス売っているのだ』
『チームメンバー378名の内、バガー、袋詰と車まで運ぶパートの高校生、大学生が75人もいる』
『年上の先輩には仕事で指示・命令はしない、いつもリスペクトを持ってお願いをする。そうすると喜んで協力をしてくれる。良いサービスを提供するために一番大切なこと、それは従業員満足だ』と。

レイクランド・フロリダ州では、高度成長スーパーのパブリックスを見る。
店は決して感動的な店ではない、期待値が高いほど、訪問者には失望が待っている。
ここは店長と話さないと、その良さは解りにくい。
運良く、店長インタビューがかなった。
『商品を売るのも本業だが、顧客の名前を覚えること、人間関係を構築することこそ本業』
上場はされてはいないが、66%前後の株は従業員が持っているという。

途中でオレンジの有機農場訪問。
大型の装甲車のようなバギー車で農場を走る。
バギー

日本からの訪問者は、子供にようにハシャギ、もぎとった有機オレンジを食べながら
農園主の牛に食べ残しのオレンジを投げる。
バギー2

牛の好物はここではオレンジ。
そして、この農場のスペシャリティーはオレンジ・ビーフ。
有機農業は地元で取れた有機肥料を優先するが、彼はディズニーの動物園の堆肥を使用している。
『気候、土壌、作物によってすべて方法は違う。有機農業のプロの話は参考にならない。自分独自方法を見つけるしかない』
説得力があった。
4名の可愛いい男の子たちと、小柄な元フィギア・スケート選手の美人の奥さん、青い空と1200ヘクタールの広大な農場、湖のような大きな池。ここにはアメリカの理想の仕事、生活、家族があった。

ワシントンでは、フード・ライオンのアップ スケールの店、Bloomを見学。
黒人女性のマネジャーらしき人が、カメラを持った我々を追っかけて来た。
『出て行け、店内を歩くな』
客は居ない、ようするに暇なのである。

15分離れたWegman’sに行く。
感謝祭前日である。一台の駐車場も見つからない。
3750坪の店内は身動きが出来ないほど混んでいる。
“浅野さん、アメリカは本当に不景気ですか?”
誰かが驚嘆して叫んだ。

フィラデルフィアでは、Aldi(Trader Joeと親会社は同じ)を見た。
これこそ究極のローコスト・ローオペレーションだ。
約200坪の売場に1300アイタム。
プライベート・ブランドではウォルマートより15~25%も安いと言われる、ハード・デスカウンターである。
軽薄短小のゲリラでしか、巨漢には勝てない。
6000坪、500名のアソシエイト・従業員、12万アイタムでどうして、ローコスト・オペレーションが可能か? 
ウォルマートは本当に最強か?
Aldiこそウォルマートをドイツから撤退させた張本人である。

ニューヨークのユニオン・スクエア、トレーダー ジョーズのワイン店舗の前に行列が出来ている。
ナーント? 入場制限である。信じられない。
この不況のおり、ホール・フーズが困難に陥ったニュースが駆け巡っている。
しかし、ユニオンス・クエアのホール・フーズ店が、また信じられない程の盛況である。
嬉しかった。
私は感動した、涙ものである。
ホール・フーズ、頑張れと心で叫んでいた。

少々高くても良い。この我々の生命を支えている地球、その美しさは比類なく、どんな
天才芸術家でも、自然より優れた美の表現者はいない。
その自然環境守ろうというのだ。
ホール・フーズ、君が現代スーパーの理論を変えたのです。
美しい地球を守り、人々の健康を守ろうと、我々に教えてくれたのです。ありがとう。

まだ本当のことに気がつかない多くの消費者の深層心理。
それは見えないところで確実に繋がっていると、心理学者のユングは言っている。
君の大いなる未来に引き続き期待したい。

追伸:この他、ダラスのセントラル・マーケットとニューヨークのファア ウェアマーケット(ブロードウェイ通り)が、不況をものともしない超繁盛店であった。
スチューレオナルド、ここは言うまでもない。カラスが鳴かない日があっても、子供が泣かない(笑わない)日はない。
子供連れの家族でパニック状態である。

浅野秀二、11月27日(感謝祭日に記す)

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