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《Vol.3》 ドニューブ川クルーズ| アメリカ流通 浅野秀二のアメリカ寄稿

浅野秀二のアメリカ寄稿

《Vol.3》 ドニューブ川クルーズ

2010年01月15日(金曜日)
カテゴリー:
  • 旅先からのつれづれ日記
  
2:18 PM

中部ヨーロッパの歴史、音楽、芸術も、ほとんど興味なかった。
ザルツブルグの出身であるモ―ツアルトの勉強会があったが、寝てしまった。
 
 
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このドナウ川より北は、ローマ時代以来、蛮族の住む地。その程度の知識であった。
唯一興味をそそったのは、日の沈まぬ帝国と言われ、スペイン帝国を支配下に置き、
結果として、中南米まで支配したオーストリア・ハンガリー帝国のハプスブルグ家だ。
16人の子供を産んだマリア・テルジア女王の末娘、
マリー・アントワネットは、フランスのルイ16世と結婚した。市民革命後、ギロチンで殺された。
テルジア女王は、小説・マンガの世界では有名な男好きとして知られている。
 
 
4日目は1000年の歴史を持つ、オーストリアのメルクの修道院を訪問した。
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バロック建築の宮殿のような大建築である。
1089年以来、常に修行僧が生活をしてきた場所である。
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ドレスダンの港に行き、ワチョワの田舎町の教会でオルガンを聞き、
散歩して帰ったが、途中でコンビニのような小型のスーパーがあった。
家族経営らしく、2人の娘がお手伝いをしていた。
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キャッシャーにいる小学生の娘が可愛いかったので買い物をして、
6名しか座れないイート・イン・コーナーでコーラを飲んだ。
小さな家族が力を合わせて仕事をする、これが本当の幸福だ。
家族や人のために働く、これこそ至福、彼女たちは大人になって、
この時の幸福な日々をいつか思い出すだろう。
 
 
12月31日、4日目、夜中に船でヴィエナ(ウイーン市)に到着した。
オーストリアの首都で、人口は約120万人である。(オーストリアは人口800万人)
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かつてカール大帝がアジャール人(アジア系)を追い出した後、
ドイツ人が入植し、その後、ハンガリー系・アジア系が住んでいた。
しかしそれを再びオット―大帝が追い出し、その後は神聖ローマ帝国になった。
ローマ帝国が滅びた後は、貴族バーベン・ベルガ―家となり、
その後をハプスブルグ家が治めた。
彼らは神聖ローマ帝国の後継者と名乗った。
13世紀モンゴル帝国はハンガリーまで侵入・支配するが、ハプスブルグ家は無事であった。
最初の国王フリードリッヒ3世は、聖ステファン教会に祭られている。
教会には135メートルと162メートルの2つの塔がそびえている。
彼の息子、マキシミリアン王は大変賢明であった。
「争いは他の者がやれば良い、あー、幸福なオーストリア人」と言って、
政略結婚などで、ハクスブルグ家をヨーロッパの有力、強豪王家となしたのである。

その後、オスマン・トルコが2度にわたり、ウイーンを攻めるが、勝利は得られず、退却。
ハプスブルグ家は戦勝国として南東ヨーロッパへ勢力を拡大していった。
18世紀に入ると、音楽の中心地となり、ハイドン、モーツアルト、ベートーベン、
シュ―ベルト、ブラームスなどが住んでいた。
しかし、この帝国も第一次世界大戦で滅びることになった。
 
 
12月31日、ウイーンの町の賑わいは、
2010年が好況の時代を迎えることを意味しているように思えた。
多くの買い物客でたいへんな賑わいである。
聖ステファン教会から、王宮(ホール・ブルグ)、国会議事堂、市役所、
国立オペラ座まで、人、人の波である。
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王宮から100メートルくらいの繁華街にある、高級スーパー、Julius Meinlに入った。
入口は洒落たペイストリー。
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左へ行くとかなり広いイート・イン・コーナー(カフェ)があり、
2階には、本格的なレストランもあった。

15年度ほど前に話題になったサンマテオ市のドレガ―と非常に似ている。
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青果売り場はどこもカラフルで陳列が洗練されている。
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魚売り場の横にはバ―のように丸いテーブルの立ち席、
酒の肴にワインを多くの人が飲んでいる。
これもホール・フーズ本店が取り入れている。

エレべ―ターが透明なガラスになっているのは、これは見たことがない。
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高級感がある、気にいった。

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大晦日の夜はウイーンでコンサート、ヨハン・シュトラウスとモーツァルトの音楽会だ。
と言っても、観客全員がタキシードにドレスと言うわけではない。
カジュアルな音楽会だ。
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2曲目にヨハン・シュトラウスの「ヴォイス オブ スプリング:春の声」が演奏された。
中学の時、放課後の掃除時間に、いつもこの曲が流れていた。
私、これを聞くとご機嫌になり、掃除をしながら、左手に箒を持ち、
1,2,3  1,2,3… とワルツを踊る真似をしたものだ。
私を踊らす、この魔法のミュージックの曲名を、友人に尋ねた。
「Voices of Spring」、いい響きだった。あれ以来、一生忘れない名曲となった。
それを本場ウイーンで50年ぶりに生で聞く事が出来た。感深い夕べになった。

ヨハン・シュトラウス亡きあと150年後に欧州のはるか彼方、
アジアの日本の田舎で、少年が箒を片手にワルツを踊っている姿や、
その少年がその45年後、ウィーンの都で彼の曲に感動の涙を流している姿など、
想像もし得なかったであろう。

バイオリニストはアスリートのように体を使い、叩きつけるようにバイオリンを弾いた。
しかも優雅に、春の喜びが、エネルギーが溢れていた。
男女ペアのダンサーがワルツを披露、テノール歌手とソプラノ歌手の共演。
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壁のように迫るテノールの声、その壁を鋭く突き破るソプラノの声。
酒に酔ったフリをして、お互いどちらが、主役か争うしぐさを見せ、観客を笑わせる。
このエンターテインメントに大いに沸いた、拍手喝さい。

それにしても、男性歌手は良い男だった。
にやけた2枚目、背も高く、女殺しの笑顔と美声。
もし私が彼だったら、野暮で修羅場の政治や経済にも興味は持たず、
ワインと美女、音楽と踊りで必ず身を持ち崩したに違いない。
人間は何が幸いするか解らない。凡人で良かった。

コンサートは、その他、モーツァルトのピアノ・ソナタ、フィガロの結婚、魔笛や、
ヨハン・シュトワルツの美しき青きドナウ川、エジプト行進など、1時間半で終わった。
 
 
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12時過ぎドナウ川の港は新年を迎える花火が川の両サイドからあがった。
2009年、大晦日良い夢を見せてもらった。

1月15日
浅野秀二

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