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《Vol.4》 ドニューブ川クルーズ・最終回| アメリカ流通 浅野秀二のアメリカ寄稿

浅野秀二のアメリカ寄稿

《Vol.4》 ドニューブ川クルーズ・最終回

2010年01月25日(月曜日)
カテゴリー:
  • 旅先からのつれづれ日記
  
11:05 AM

ウイーンで大晦日を迎えた船は、
ドナウ川の年越し花火に別れをつげ、下流・ハンガリーへ向かった。

半日後、午後1時30分、「甲板に出ろ」との船内アナウンスがあった。
プダペストに近づいたらしい。幸い、青空が見えている。
100122_budapest1.jpg


厳冬のヨーロッパと聞いてきたが、
小雪に降られたのは今までの行程で数時間、順調な旅である。
京都の冬もシーズン・オフこそ情緒があって好きだが、
古い都のウイーン、またブダペストも冬が似合う。

突然、蜃気楼のように、川岸に荘厳な宮殿が見えた。国会議事堂らしい。
100122_parliament_bldg.jpg

反対の丘の上には、世界遺産のブダ城、マーチャーシュ聖堂、
アンドラシー道路など数々の世界遺産がある。
100122_budapest2.jpg

2000年の東西文明の争いの中心地、
イスラム教とキリスト文明、アジア遊牧文化との融合の町。
プダペスト(200万人の都、ハンガリーの総人口は1700万人)の文化遺産に圧倒される。
マルコ・ポーロの歩いた道でもある。
100122_budapest3.jpg

 
彼らはマジャール人、自分たちはアジア人と云う。
(フィン族の末裔、フィンランド、スペインのバスク人と同じ人種)
このあたりには古くはケルト族が住んでいた。

その後、ローマ帝国、フィン族、モンゴル族、トルコ族、
近代はドイツ系のハクスブルグ家などの血が混じって、今では白人系が多い。

大学で世界の美術史をとったことがある。
先生はハンガリー人、彼は私が日本人と知って、話しかけてきた。
「君と僕の先祖は同じだよ。日本語でWaterは何という。」
「水」 
「そうだろ。わが国でもMIZOO(?)と言う」 
同じだ。
「私の知っているだけでも30単語は、ハンガリー語と日本語は似ている。」
お陰で成績はAだった。
それ以来、ハンガリー・ファンであった。
 
 
翌日はチェコから分かれ、スロバキヤの都、ブラチスラヴァ市。
人口45万人この国の総人口は300万人。
ここで初めて元・共産国の貧しさを感じた。

町は中世そのもので、中心地には日本大使館があった。
その前には寿司屋がある。
100122_sushi.jpg
タイム・スリップした感のあるこの町では、大使館員が毎日寿司を食うのか?
その程度の楽しみは許されるだろう。

2時間余りの、おもちゃのような電車と徒歩で観光で、体はすっかり冷え込んだ。
100122_traincar.jpg
この旅初めての寒さ、風が冷たい。

船に帰って、ラウンジでオト―氏のエレクトーンを聞く。
これが彼と最後の時間だ。
優雅でロマンチックな音楽でした。旅の思い出に彼のCDを4枚買った。
100122_chefs.jpg
 
 
数千年の異民族、異教徒間の戦乱の歴史をくぐり抜けてきたヨーロッパが、
近代において力をもったことは当然のことのように思えた。
戦争を繰り返し、勝利者こそ時代にあった、
生存に最適なものを手にして来た。

力をもった国は必ず、隣国に影響を及ぼそうとする。
新興国が勃興する時に、戦争は始まる。
かつてスペインの無敵艦隊に挑んだ新興国家イギリス。
しかし第1次・第2次世界大戦の時は、
世界帝国イギリスに対する、新興勢力のドイツの挑戦であった。
大日本帝国とて例外ではなかった。

100122_slovakia.jpg

新興巨人、中国は近隣諸国に向かって必ず膨張する。
国民のエネルギーを政府は押さえきれない。
恐怖のみが、彼らを思いとどまらす。
アメリカの核のはたす役割や、インドの核開発の動機だ。
軍事的に冒険は出来なくても、政治・経済的に世界の覇権国家になる。

中国とどのようにお付き合いしていくのか?
世界中が難しい選択を迫られている。

共生や共存は美しい言葉だが、
歴史的にみれば、それは征服された後の話だった。
しかし、それだけならEU設立の意義はない。

人類は平和の裏に国家の連邦制を計ろうとしている。

140年の歴史の中で独仏は5回の戦争をした。
EUはこの教訓を生かした。
この実験を成功させないと人類に未来はない。

競争相手の店が駄目になり、消えたからといって、
自分の店が良くなったわけではないと同じように。
自民党の政治がダメだった
。だから民主党に期待した。そのようにはならない。
与党がダメなら、野党もダメになる。
それが道理だ。

中国、韓国、台湾、アジア諸国も、強い日本があったから躍進した。
次は我々が彼らから学ぶ時だ。
政治のみならず、事業も競争相手がいるからこそ、自分も磨かれる。
強い国になればこそ、弱者に配慮した政治も出来る。

企業は繁栄しないと社員に愛を全う出来ない。
人材教育こそ生き残りの道、そんな気がしている。
海外研修も大切だ。
知識、行動力、根性、そうだあの時代錯誤の根性のことだ。
「地獄の特訓」ではない、米国の企業社会に、
日本の経営者の2世、3世を投げ込む、研修ブログラムを考えている。

大河ドナウ川ともお別れ。
「春の声、Voices of Spring」
燃える春のエネルギーが欲しい。
100122_dog.jpg

浅野秀二
1月22日

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2 件のコメント

  • Kengo yamada より:
    2010年1月29日 2:41 AM

    浅野さん、ご無沙汰しております。愛知県T村の海外派遣事業では大変お世話になりました。今プラハにて研修しております。ブラチスラバの大使館の方は毎日寿司ランチ・・・ではなく、質素なランチを召し上がっていらっしゃるようですよ。お元気そうで何よりです。また日本へいらっしゃる際には是非ご連絡くださいませ!

  • ドキンちゃん より:
    2010年2月5日 2:50 PM

    プラハですか?実はオプションで行こうと思っていました。
    でも懐かしいですね?まさか、私のブログを読んでいただいていたとは
    驚きました。ありがとうございます。
    また、日本で再会をしましょう。


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