商人舎

商人舎のツアーを終えて| アメリカ流通 浅野秀二のアメリカ寄稿

浅野秀二のアメリカ寄稿

商人舎のツアーを終えて

2011年11月10日(木曜日)
カテゴリー:
  • 視察&インタビュー日記
  
10:03 AM

商人舎ツアーの帰国の日、
ロス空港へ移動中のバスで思わず歌ってしまった。
自然と口から出たのだ。
歌は、「楽しくて、楽しくて、とてもやーりきれない。
この楽しさをみんなーに、告げたァーい。
胸にしみる空の輝き、今日もみんなーで、笑顔で旅をーする、
うれしくて、うれしくて、とてもやりきれなーい。」

結城先生から指摘があった。
「それは、悲しくて、悲しくて、とてもやりきれない。でしょう。」

我々が青春時代に歌った、サトウ・ハチローの詩だ。
確かにあの若い時は、悲しくて、悲しくてが、
その時の気持ちに合っていたように思う。
青春は孤独でさみしいものだ。

20111109_musician.jpg

でも今回のバス中での気持ちは、間違いなく、
楽しくて、楽しくて、だったのである。
もちろん、ツアーが大成功した充実感もあった。

今回は商人舎の10回目の記念ツアーであり、
結城先生は気合いが入っていた。

20111109_wegmans-wine-tasting.jpg

それに実践の師である大久保恒夫先生、
林廣美先生のセミナーもあった。

20111109_asano-ookubo.jpg

今回は10回の中で最高の研修ツアーであった。
もちろん、亀谷さんのリーダーシップ、
トッパントラベルの鈴木さんの献身的な努力もあったが、
それは毎回のことであり、今回が特別であったわけではない。

自分にとって他に何かが違っていた。
実は歌を歌ったのは、ほろ酔い状態だったからかもしれない。
この仕事をして初めて、毎晩、皆様とワインを飲んだのだ。

実は大学の拳法部の新入生歓迎コンパで私は死ぬ思いをした。
それ以来、酒は絶対に飲まないことにし、
この年まで何の疑念もなく生きてきた。

それが最近、ワインにハマッタのである。
きっかけは、糖尿病の完全なるコントロールである。
いままで色々なことを試してみた。

「一日3万歩歩けば、糖尿病はコントロールできる」
というエコスの平社長の言葉を信じて、これを試みた。
しかしこれは時間的に非常に厳しかった。
2万歩までが通常の生活では限界のようである。

今回は食生活の中から炭水化物と糖分を完全に排除する方法だ。
この方法は、東京のセミナー講師として同席した
元ハローデイ熊本の社長、神戸みずちさんに教えていただいた。

食生活を完全に変えて3週間後の数値は完璧。
驚くべき効果があった。
薬もやめた。
しかし、この食生活は自制心を必要として、なかなか辛い。
やはり、何かご褒美が必要なのである。

20111109_wegmans-wine.jpg

ワインは比較的、糖尿病には悪くないという話を聞いた。
そこでワインを飲み始めた。
なんと数値は上がらなかった。
正常値のままであった。
それに気をよくして、以来、夕食時にワインをいただくことにした。
(※後日追記:やはりワインは1日1杯までの方がよい。)

ワインを嗜むようになり、人間関係が変わってきた。
今回はメンバーの皆様と特に親しくなったような気がする。
それが楽しくて、楽しくて、の歌に繋がったようだ。

経営にはコミュニケーションが重要とされる。
コミュニケーションとは、
人間関係重視の経営のことを意味している。
京セラ経営学ではコンパの重要性を説いている。

今回の重要視察先は、
ダラスのHEB・セントラルマーケット、
20111109_central-market.jpg

ホールフーズ、
20111109_whole-foods.jpg

ウェグマンズ、
20111109_wegmansnyc-facade.jpg

マーケットストリート、スチューレオナルド、トレーダージョーなど。
これらのアメリカの優秀小売業は
この人間関係を最重要視している会社である。
アメリカの経営は必ずしもドライでない。
金だけの世界でもない。
日本が昔、得意としていた人間関係重視の考え方だ。

20111109_fairway-market.jpg

価格や商品政策はもちろん重要だが、
それより重要なのはコミュニケーションを通じて
形成される人間的な強い繋がりだ。
それは感情的ともいえる。

トレーダージョーのマネジャーは、
感情的インパクトを最重要視すると言っていた。

ウェグマンズやホールフーズのマネジャーも、
顧客―アソシエイト―マネジャー―経営者の
良好な関係こそ成功の要因だと、強調していた。

20111109_wegmans-interview.jpg

8か所で行ったインタビューは、
すべてそのあたりの話題が中心に進んだ。
20111109_walmart-interview.jpg

それには、人材教育がもっとも大切である。
スチューレオナルドも年間一人当たり$1000以上、
人材教育に投資をしている。

「働きたい企業ランキング」で
常に上位に入っているウェグマンズは
社会に対して5つの宣言を行っている。

20111109_wegmanswdc-facade.jpg

①従業員の親身になり、その声に耳を傾ける。
②常に高い水準を追求する。
③他社との違いを明確にする。
④従業員を尊重する。
⑤従業員の仕事を向上させ、お客さまと当社の利益をとなる決断をすべく、
従業員の権限を移譲する。

CEOのダニー・ウェグマンは、自分ですべて経営判断するのではなく、
従業員の裁量に任すと言ったのである。
20111109_wegmans-2f.jpg

ノードストローム百貨店は、
そのミッション・ステイトメントの中で、
Nordstrom Rules #1:
Use Best Judgment in all situations.
There will be no additional.

と明記している。
「現場の判断のすべてを任せる。
それ以外のルールはない」という意味。

また、返品ポリシーでは、
「ポリシーがないのがポリシー」として、すべて現場任せだ。

従業員を信頼するという経営は従業員の心に幸福をもたらす。
消費者満足のためには、従業員満足が必要だ。

2009年のフォーチュン経済誌によれば、
従業員が会社に希望することのトップ3は
(1)良い仕事をした事に対する評価
(2)決定への参加
(3)個人的な問題に対するサポート

である。

給与や昇進より、
「人として認められたい、人間として扱って欲しい」
という渇望を感じる。

楽しかった理由は、実はもう一つあった。
応援しているテニスの錦織圭君がスイスの大会で決勝まで進んだからだ。

20111109_asano-kei.jpg

残念ながら決勝でフェデラーには負けたが、
体力の劣る日本人にとって、これはものすごいことである。

20111109_nishikori2.jpg

14歳でアメリカに来た圭君には、人知れない苦労があったはずだ。
若い時の苦労はすべて人生の預金。
20111109_nishikori.jpg

教育さえすれば、日本の若者もちゃんと世界で勝負できることを証明している。
我々先輩が若者に残せるのは、人生の預金、苦労という人材教育だけだ。

【追加情報】
毎日サンフランシスコから、
ナパのワインナリー見学ツアーがたくさん出ています。
今後、着実にワインの需要増加につながるような気がします。
ワインへの期待は、いつも裏切られてきたが、
今度こそ、ワインのブームがくるか?
私は飲み始めた。
それは保証する。
今後のツアーには産地を見るワイナリー見学は必須です。
20111109_winery.jpg

浅野秀二
11月10日

« 日本とカリフォルニアの暑い夏 | 近況報告:つれづれ日記 »

5 件のコメント

  • めんたい より:
    2011年11月16日 12:15 AM

    こんにちは。
    ドライな印象のアメリカでしたが、
    人間的な繋がりを重要視しているのですね。
    そして、決定への参加・移譲のインパクト。
    あらためてコミュニケーションの大切さに気付き、
    身の引き締まる内容でした。
    そして、ワインも勉強していこうと思います。

  • 浅野秀二 より:
    2011年11月17日 3:25 PM

    久しぶりのブログにも関わらず、
    読んでいただいた上、コメントまでいただき、
    ありがとうございます。
    ぜひ、アメリカ視察に来ていただき、
    ワインを一緒に飲みましょう。

    浅野

  • 石坂 より:
    2011年11月27日 11:00 PM

    浅野先生、こんばんは。
    「若い時の苦労はすべて人生の預金」
    はっとしました。今まさにそう信じて突き進んでいます。
    アメリカで素晴らしい時間を浅野先生を始めとする皆さんと共有できたこと、
    心から嬉しく思います。
    また是非ご一緒しましょう。
    ナパのワイナリーツアーも行きたいです☆
    そしてワインの適量は赤ワインをグラスで1~2杯ですよー。

  • 井上進 より:
    2011年11月28日 3:06 AM

    浅野様

    日本のワイン市場は、ご承知の通りヨーロッパのものがヨカヨカという旗が、どこへ行っても未だに翻っております。南米モノを中心に他の地域からのワインも押しかけてはいますが、その中にあって北米産ワインの人気は、どうも今イチ?その理由として価格が高いと言われておりますが、じっさいのところは、どうなのでしょうか?つい先日、日比谷公園で彼女とピクニックをしようということになり、東京駅の大丸で弁当を買い、丸の内ビル内の明治屋でワインを2本購入。求めたのは1500円のアルゼンチンワイン。この辺の価格帯が懐具合にヨカヨカであることを実感。弁当は950円x2、フルーツ盛り合わせは1250円、〆て6150円 ・・・ 約80ドルのピクニック。その日の東京はいささか暑く、酒の入った彼女は上着を脱ぎ、シャツも脱ぎ、ほとんどXXX。まことに楽しいワイン・ランチでありました。閑話休題。17日のボージョレヌーボー解禁日は、あちらも・こちらも掛け声だけが空しく響き、客は呼べど応えず。私は品川のデンデンというレストランで、どこから来たのかわからぬボージョレヌーボー・1本2800円を2本飲みました。処女の味!16歳といったところ、美味しかったです。ワインを飲むなら獣の心を持たねば楽しみ半減と実感した次第。富山県の高岡市で友人がやっているワインと日本酒の専門店を訪れいろいろと話を聞いたところ、顧客の主流は、ネットで情報、店舗で確認というスタイル・正に橋下市長世代とのこと。日本酒も同じくその世代。面白かったのは50代、60代になると女性の顧客が多いとの話。彼女の店では、しかし、カリフォルニアワインは全くダメダメと言われておっとっと。それより、国産のワインの人気が、ここ1~2年で急速に高まっているそうで・・・和食に合って、価格は手ごろで、なるほど結構おいしいのです。浅野様、結論としては、日本のワイン市場は、独特のかたちながら確実に広がりつつあるように感じた次第。銀座のおねえさんが中国からやってきた30代のおっかねもちのおにいさんに達者な英語で「シャルドネ1万円、飲んでもよいかしら?」とささやく光景は珍しくなく、名の通った寿司屋で、初老の元東大教授が老妻とイカの刺身をつまみながら「ぼくが、昔、カリフォルアのパロアルト市に居た時には、アメリカでも未だワインをたしなむ人の数は少なくてね~」とつぶやくと、鮨屋の亭主は、「先生、あたしの息子は、ソムリエなんて資格をとりまして、寿司も創作の時代だなんてほざいとるんですよ、時代は変わったものですな~、先生、美味しい甲州ワインなどいかがです?」
    と返す時代になったのであります。

  • 浅野秀二 より:
    2011年11月28日 2:57 PM

    石坂様
    コメントありがとうございます。また、ニューヨーク、あるいはサンフランシスコ
    あたりで会える日を楽しみにしています。私の持病では赤ワイン、
    1杯がちょうどよいとわかったところです。
    ところで、私に預金をしてみませんか?金よりすごい配当ですよ?????

    井上様
    シスコでワイン勉強会を立ち上げるように
    ある人をそそのかしています。
    講師群はたくさんいそうです。
    月に1回、ワイン飲み会を開き、井上さんのような人からウンチクを
    聞く嗜好です。楽しみにしています。

    ジョージ


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