さようなら、鈴木敏文さま
あなたは「コンビニの父」と呼ばれました。
あなたがつくったセブン-イレブンは、
あなたのたぐい稀なる経営力によって、
商業史に燦然と輝く企業となりました。
祖業のイトーヨーカ堂を凌ぐ小売業となりました。
さらに日本のすべてのコンビニエンスストアは、
先陣を切るイノベーターをひたすら追いかけながら、
立派なフランチャイズチェーンとなって成長しました。
その結果、コンビニエンスストアは、
日本小売産業を代表するトップ業態となりました。
最も小さな売場と最も狭い商圏の店舗によって、
あなたは日本最大の小売りビジネスをつくりました。
チェーンストアの革新的なモデルを創造しました。
しかもあなたは専門経営者でした。
ほとんどがオーナートップのこの商業世界のなかで、
あなたはサラリーマンとして統率力を発揮しました。
それを決意し、それをやり遂げました。
しかし際立った事業家である以上に、
あなたは現代の社会革命家でした。
あなたは日本国民の生活をガラリと変えました。
365日24時間を当たり前のライフスタイルにしました。
休日にも深夜にも人々はコンビニに立ち寄って、
おにぎりや弁当やサンドイッチを手に入れました。
手軽な挽き立てコーヒーを楽しみました。
コンビニエンスな生活の糧を獲得しました。
あなたは小さな店を銀行に変え、
役所にし、郵便局にしました。
あくまでもお客さまの立場に立って、仮説をつくり、
それを実践し、検証を繰り返しました。
その日々の活動によって、
日本の国民が欲するであろうニーズを先取りし、
その問題解決に勤しむ組織を育てました。
国民が抱える問題を解決するために、
セブン-イレブンの社員だけでなく、
すべての加盟店オーナーを顧客志向に変え、
メーカーやベンダーの人々を巻き込み、
多くの若者たちを育てました。
革命は一人では成就しません。
あなたは多くの同志たちを叱咤し、
奮い立たせたのです。
あなたは原則に忠実な人でした。
あなたは厳しい人でした。
あなたは妥協を許しませんでした。
自分に厳格な人でした。
それらによってまた、
数多くの人たちが去っていきました。
けれどあなたはそんなことには目もくれず、
自分の信じることを貫きました。
あなたは孤独な人でした。
それが傑出した経営者であり、
優れた革命家であるための条件だったからです。
今、その孤独から解放されてあなたは、
多くの人々の記憶の中に残ることとなりました。
鈴木敏文さま。
ありがとうございました。
さようなら。
〈結城義晴〉
























