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アメリカ流通 浅野秀二のアメリカ寄稿

浅野秀二のアメリカ寄稿

JACからのクリスマスカード2012

2012年12月13日(木曜日)
カテゴリー:
  • アメリカからのメッセージ
  
12:32 PM

20121213_christmas-card.jpg

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ウォルマートとアメリカ経済

2012年12月11日(火曜日)
カテゴリー:
  • アメリカからのメッセージ
  
3:16 PM

アメリカの片田舎、アーカンソー州のベントンヴィルに
本社を置くウォルマート。
2012年7月に創業50周年を迎えた。

20121210_walmart-facade.jpg

売上げ44兆7000億円。(100円計算、2012年1月末)
アメリカ国内の労働者は220万人。
世界一の小売業である。

20121210_walmart-lowprice.jpg

はたしてウォルマート成功は
世の中にとって良いことばかりなのか、
単純に喜べないと日ごろから思っていた。
ウォルマートは現在の中国のような存在に
なっているような気がする。

20121210_duck.jpg

個人消費がGDPの70%のアメリカでは、
消費者がアメリカ小売業者の運命を決め、
間接的には彼らがアメリカの経済を左右することになる。
同時に彼らは働き手でもある。

20121210_lincoln.jpg

50年前に最大の雇用者であった
ジェネラル・モーターズの賃金は、
今の時給に直せば、年金、福利厚生を含めて
約$50と計算される。

20121210_mocha.jpg

ところが、現在アメリカの最大の雇用者である
ウォルマートの平均時給は$8.81しかない。
その上、ウォルマートの従業員の3分の2は、
1週間28時間以内の勤務時間しかなく、
保険などの福利厚生は適応されていない。

20121210_chibi-sitting.jpg

もちろん、多くのことが当時とは違っている。
グローバリゼーション、テクノロジーの変化。
アメリカでは製造業が衰退し、
小売業のようなサービス産業が拡大をした。

もうひとつ大きな要因は労働組合の退潮である。
1950年代は民間労働者の3分の1が労働組合に属していたが、
現在は7%以下に落ち込んでいる。
かつての自動車総連のような労働組合はなく、
経営者側と対等に団体交渉する力はない。

昨年のウォルマートの利益は1兆6000億円(100円計算)。
実はこれら利益のほとんどは株主配当されている。
もちろん、創業者であるサム・ウォルトンの家族に流れ、
現在彼らの富はアメリカの40%の労働者すべての富を
上回っているのである。
ウォルマートの労働者の組織化は可能か?

20121210_walmart-cupcake.jpg

先月ウォルマートの集会があり、働く労働の経済的困難、
不健康で安全でない労働環境、労働時間超過、
セクシャル・ハラスメントなどの問題点を世間に知らせた。

ウォルマートの動きはすべての小売業に影響を及ぼしている。
彼らの基準が、この業界のスタンダートになっている。
広く言えば、ウォルマートの賃金などが、
アメリカの消費者の消費動向に大きく影響しているのである。

20121210_walmart-checkout.jpg

アメリカの中間所得は毎年下がり続けており、
2000年当時と比較しても8%も減っているのである。
アメリカの中産階級が復活しなければ、消費は回復しない。

小売業などのサービス産業に従事している人々の年収は
わずか$18,000~$21,000しかない。
もし、彼らの年収が$25000(フルタイム)まで上がれば、
70万人の人々が貧困家計から救われる。

20121210_walmart-action-alley.jpg

そのためには小売業の価格を1%上げさえすればよいのである。
そのことで多くの小売業者が恩恵を受ける。
そのことで小売業者の賃金は2兆8000円負担が増えるが、
それは小売業全体の売上げ217兆円の1%にしかならない。

その上、彼らの賃金の売上げにより、
小売業全体の売上げ自体も4000億円から5000億円も
売上げがあがる計算になる。

20121210_walmart-produce.jpg

ウォルマートの賃上げは世の中にとって悪いことではない。
ウォルマートが競合他社からシェアを奪う方針をやめ、
価格を1%上げれば、社会が変わる。

20121210_walmart-nm-facade.jpg

弱肉強食の覇権争いは社会にためになるか?
ウォルマートの成功は疑問を投げかけている。

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浅野秀二
12月10日

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福岡よかとこね

2012年10月26日(金曜日)
カテゴリー:
  • 日本と日本人への想い
  
11:28 AM

先日、株式会社むすんでひらいての第24回社員感謝祭に参加した。

20121024_asano3.jpg

福岡ドーム(ヤフードーム)のとなりにある
ヒルトン福岡シーホークホテルの大ホールを貸切り、
社員560名とその家族が集まる大規模な感謝祭である。

さすが日本一の経営を目指す原田政照社長らしい。
20121024_fukuoka-hilton.jpg

ちなみにこの福岡の惣菜屋さんのユニークな会社名は、
「心を開いて、夢を結んで」というところからきている。

20121024_musundehiraite.jpg

20121024_musundehiraite-logo.jpg

原田社長からスピーカーを依頼されたが、正直自信はない。

20121024_musundehiraite-harada.jpg

若い時から
「浅野は3日たたないとその良さはわからない」
と言われきた。
1日目では必ず苦情になる。
しかし今回、講演はわずか1時間しかない。
断った方がよさそうだ。
そもそも私のアメリカでのバス車中の話は、
外国という非日常の中で行われるので、
どんなことを話しても、
3日も一緒にいれば人間関係ができて、合格点がもらえる。

コミュニケーションは実は人間関係が基本である。
人間関係や信頼関係がないところでも、
1時間で聴衆の心を掴まえることができれば、
これは雄弁家ということになるが、私はそうではない。

20121024_asano.jpg

ではどうして危険を冒してでも
日本からの講演の要請に応じるのか?
それは私の「反省の機会」と「進化のための挑戦」だと
心得ているからである。

20121024_asano2.jpg

浅野さんが日本に来るならついでに、ということで
8月に結城先生と同行した三井物産のツアーの
メンバーを集めた反省会をしましょうということになった。
本社の堀田食品部長も参加して、
福岡支店で30名ほどが集まり、夜は宴会となった。
思えば人の運命はわからない。
以前の私なら酒の席は必ず断った。
しかし今回は赤ワインに釣られてご招待を快諾した。

女がいれば万里の波頭を超えて
どこまでも行くというのが私の主義だが、
それが赤ワインに変わったのだ。
ただ枯れるのはまだ早いので、
赤ワインと女がいればどこにでも行くということしておこう。

福岡にはユニークな経営者が多い。
ルミエールの三角社長とは
三井物産のパーティでもご一緒できたが、
翌日もホテルニューオータニでの夕食にご招待いただいた。
三角社長、原田社長、古賀社長、鷹取部長、
才媛から妖艶になったルミエールの石井さん、
本当に愉快な一時だった。

日本一の魚屋を目指す古賀社長は
別の機会に幹部社員36名を集めてくれた。
私のセミナーが役に立ったか?
これも自信はない。

私が勝手に友人と決めている元ハローデイの専務で
九州一の流通業界の論客、神戸みずち氏に
激戦区福岡をプライベートで案内していただいた。

20121024_halloday.jpg

日本のスーパー業界もアメリカと変わらなかった。
製造業の衰退に伴う失業の増加、高齢化、少子化、GDPの落ち込みが、
やはり業界を根本から変えているようである。

ついに売上3000億円を超えた
ディスカウントストアのトライアル。
食品を扱い短期間で200億円から3000億円を
超えるまで成長したコスモス薬品。
年間25店舗も新規開店をしている1000億円の
ダイレックス(サンドラッグ)、
20121024_direx.jpg

一店舗あたりの売上げと経費率では断トツのルミエール、

20121024_lumier.jpg

ホームセンターで食品を扱っている
スーパーセンターのヒロセなどなど。
20121024_supercombo-hirose.jpg

時代は確実にディスカウンターに有利に動いている。

ここまで食品の扱いを増やし、
6~15%まで価格を安くされると、
週に2回チラシを撒くような
膨大なコストをかけるやり方が通用するのか?
それで消費者の支持を得ることは可能か?

アメリカのWalmart、Trader Joe’s、WINCO、ALDIのような
勝ち組時代がくるような気がする。
それとも日本は違うだろうか?

日米の経済状況は似てきた。
ただアメリカには裕福な人が
最低でも日本の4倍から10倍は、いる。

20121024_dog.jpg

ハローデイも相変わらずよかったが、
SUNLIVEなどの周辺の店もかなりレベルアップしている。

ホールフーズのような健康を重視した店に
シフトしたらマーケットがあるのか?
無ければ創りましょうというのが、
ホールフーズの挑戦であった。
そのあたりをハローデイに期待したい。

JA糸島のファーマーズ・マーケットの
伊都菜彩(年商28億円)は特筆すべき業態だった。

20121024_itosaisai.jpg

この成功は大きな市場があることを示している。

20121024_itosaisai2.jpg

田舎では通用しない。

20121024_itosaisai3.jpg

福岡では他の約束もあった。
すでに退職をされたが、長い間、
ルミエールの米国研修の担当者であった松尾さんに、
国士、平野國臣の碑や神社を案内していただいた。

20121024_hirano-kuniomi.jpg

「わが胸の燃ゆる思いに比ぶれば、煙は薄し桜島山」
私の座右の歌である。
松尾さんが三菱商事時代に知り合った素敵な奥様にも会えた。

福岡ドームとヒルトン福岡シーホークホテルをみて、
ダイエー創業者の中内功氏の構想の偉大さを思った。

20121024_fukuoka-hilton2.jpg

彼は福岡にシーホーク・ダイエー城を残した。
イオン城もイトーヨーカドー城も、トヨタ城もない。
私はそれがなぜか残念なような気がする。
中内さんを除けば、しょせん商売人だったのかという気もする。
ここで初めて中内氏を褒め称える気になった。

原田さん、本当に福岡は、良かとこよ。
飯がうまい、人々に人情があって、美人が多い。

20121024_fukuoka-hilton-consierge.jpg

町もきれいだ。
旅に出るといろいろなことを考える。
たくさんの出会いもあった。
本当に幸せな一時であった。

結城先生、素敵な街に生まれましたね。

20121024_fukuoka-dome.jpg

浅野秀二
10月24日

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