商人舎

アメリカ流通 浅野秀二のアメリカ寄稿

浅野秀二のアメリカ寄稿

男を磨く

2012年10月04日(木曜日)
カテゴリー:
  • アメリカからのメッセージ
  
3:56 PM

3カ月もブログをご無沙汰してしまった。
心に隙があったのかも知れない。
おかげ様で仕事だけは大変忙しくさせていただいている。

ブログを書かなかった口実、言い訳だが、
実は韓国大統領の発言や行動、
さらには尖閣諸島の問題で腸が煮えくりかえり、
とても冷静な文章が書けると思えなかったのだ。
(結局、相変わらず過激な言葉を書くが…)

20121004_newspaper.jpg

それにしても、だらしがないのは
民主党政権も、野党の自民党も同じだ。

安倍新総裁に期待できるのか?
彼が言っていることを実行するには、
並大抵の信念と根性がないとできない。
しかも彼からはリーダーとしての強い眼光を感じない。
頑張れ、安倍総裁。

野田首相は言った。
「いじめがあれば他の人に相談ください」
しかし残念ながら、それでは解決できないことを
子供たちはすでに知っている。
だから追い込まれ絶望して、自殺までしてしまうのである。

いじめられたら弱いなりにも反撃をしないと、
いつまでも馬鹿にされ、いじめは終わらない。
そこにある竹棒でなんでもいいから持って
刃向かっていかないと、いじめは終わらない。

外交で言えば、日本がいくら国連に訴えようが、
竹島問題や尖閣諸島問題での、日本に対するいじめは続く。
平和憲法を掲げる日本は手も足も出ないことを
近隣諸国は知ったからだ。

20121004_newspaper-protest.jpg

この無抵抗の事実が危険を招く。
これから領海侵犯でもなんでもできることを
中国、台湾、韓国は知った。
相手を刺激しないように日本が自制する。
実にかっこいい言葉である。
だが問題の本質から逃げているだけである。
平和憲法こそ相手を刺激しているのである。
抵抗しない美人は、男を刺激することを知るべきだ。

自民党もすぐ憲法9条を改憲するように国会に提案すべきタイミングだと思う。
そうすれば韓国も中国も、
右翼化する日本を刺激しないように
行動に抑制を掛けるだろう。

日本も中国も韓国も本当は平和を必要としている。
残念だが無防備で平和は維持できない。
それなりの犠牲が必要である。

吉田茂首相が戦後の日本は正規な軍隊を持たないと
選択したことは賢明な手段だった。
しかし、時代は変わった。
政治にこそイノベーションが必要だ。

ビジネスでもそうだが、日本は変わらない、
理屈は分かっていても、その一歩を踏み出す勇気がない。

20121004_newspaper-chinese-fume.jpg

国際社会でいじめられて泣くしかない日本。
いくら経済大国であろうと、
リーダーの能力がないと、世界は日本を相手にしない。

会社や組織や国の肩書ではない。
馬鹿には馬鹿な処遇しかない

20121004_newspaper-anti-us-prtotest.jpg。

鳩山さんが首相だったころ、
世界第2位の経済大国の首相としてアメリカに来たが、
ワシントンポストは、
鳩山氏を「loopy(ルーピー)」とコメントした。
つまり、日本の首相はバカだと言ったのである。
裸の王様だといったのである。
それに対して、ワシントンの日本国総領事は
「一国の首相に失礼を言った」
残念ながら国際政治は、時にはヤクザの世界と同じだ。
個人に能力がなければ誰もいうことを聞かない。

20121004_newspaper-japan-china-trade.jpg

TPP棚上げ、原子力発電ゼロ構想。

中国軍が明の時代までの領地、
すなわち沖縄を取り返すと言っても、
日本ではオスプレイに反対する知事がいる。
世界の大きな潮流より、村の論理優先か?
彼らが何を考えているか、正直わからない。
正直どうして知事でいれるのか?

日本は不思議な国だ。

アメリカには2世経営者は少ない。
社長の息子というだけで、従業員はついてこないからである。
2世経営者たちは親元を離れ、
社外に、県外に、国外に出て男を磨いてくるしかない。

ブログを書かなくなってからも、
たくさんのツアーをこなしてきた。
研修に対する私の考え方は、
アメリカ小売業の知識の取得ではなく、
生きる意味、働く意味を知り、
人から強要され、勉強するのではなく、
自らが学びたいという、その意欲、動機づけにある。

ホールフーズは一年間に7000名もの新入社員を採用するが、
彼らは、どうして、
あの自然食中心の高質なサービスや商品を扱えるのか?
それは人々の健康な食生活に貢献したいという
強い動機を学ぶからである。

仕事が単なる金儲け、生活の手段ではなく、
世のため人のためにという、利他の心に感動共感を覚え、
自らで学ぶからである。

さて、10年ぶりにオール日本スーパーマーケット協会(AJS)の会長、
サミットの元社長の荒井伸也氏をロスで案内する機会を得た。

20121004_arai-asano.jpg

「浅野君、絶好調だね、君のスタンスで考えれば、
米国流通研修も非常に意味あるものになるね」
ありがたい言葉をいただいた。

JAL名誉会長稲盛和夫氏とも、盛和塾塾長ロス例会で、
流通視察をご案内させていただく機会があった。
自画自賛のコメントは控えたいが、
すばらしく名誉で光栄な時間をいただいた。

20121004_inamori-asano2.jpg

塾長は私の隣、バスの一番前に座られ、
頷きながら身を乗り出して私の説明を聞かれた。
リーダーがバスの一番前に座る。
30数年の経験で初めてのこと。
さすがである。
そのど真剣な・真摯な態度に心から頭が下がった。
誰にも負けない努力、燃える闘魂こそ、
盛和塾の神髄であると、
身近なところで感じることができた。
本当にありがたいことである。

20121004_inamori-asano.jpg

浅野秀二
10月1日

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第1回立命OB流通研究会

2012年07月30日(月曜日)
カテゴリー:
  • 旅先からのつれづれ日記
  
11:54 AM

暑中お見舞い申し上げます。

.

さて先日、流通業に携わっている立命館大学の卒業生たちで、
同窓会をしようということになった。

十数年前の話になるが、
119年の歴史を誇る老舗、株式会社イシダ(ハカリ)の
当時、常務であった吉岡先輩に会った時の
不思議な魅力を忘れられない。

吉岡先輩はいつもニコニコ笑っているが、
この人は叩いても絶対に引き下がるような、
ヤワな根性の持ち主ではない、ということはすぐに分かった。
典型的な日本人の特性をお持ちの方で、
それは我が母校、立命館のキャラクターでもあった。

私が入学した当時の立命館大学は、
日本で一番授業料の安い大学だった。
年間授業料が6万8500円、入学金はたったの3万円だった。

国立大学に落ちた連中がたくさん入学していた。
最初は国立大学に行けなかったコンプレックスの塊であった人たちが、
一カ月も経たないうちに、京都が好きになり、
立命館大学を愛してしまうという、大変貌を遂げるのである。

質実剛健、権力になびかない野党精神(ごますりなど全く縁がない)、
学閥、門閥、金無し、当時の言葉で言えば、
プロレタリアート(労働者)の子弟たちである。

ただ、立命館の学生ということで、女と就職には苦労した。
アルバイト先でこんな会話があった。
「あんた、立ちゃんやろう?」
「どうして解りますか?」
「そんなのすぐ分るわ」
「京大や同志社の学生にどうして見えないですか?」
「あんたは野暮や、京大は絶対にないし、
同志社の学生さんは、もっとオシャレやで」

しかし、不思議だった。
どんなに女にモテなくても、けなされても、
他校を羨ましいと思わない。
心はびくともしないのである。
ハンディキャップを跳ね返す日本人精神に溢れていた。
その心は今も変わらない。

それにしても、就職には苦労した。
指定校制度に阻まれ、大企業には受験資格すら無いのである。
若い方はご存知ないだろうが、当時は指定校制度があり、
一流大企業は採用大学を指定していたのである。
我が母校は多くの一流企業の指定から外れていた。

そこで公務員である京都府警や、
信用金庫などの中小金融機関、
そしてなんといっても当時の新興企業、
体力と根性だけが必要とされたスーパーマーケット企業が
大量に採用してくれたのである。

ダイエーやニチイ、ジャスコ、長崎屋には
50名単位で就職して行った。

ただし、同じ小売業でも、
三越や高島屋などの百貨店に入社する人は少なかった。
いや、出来なかったのかもしれないが。

さて、今回の集まりには10名ほどが参加した。
20120725_ritumei-ob-kai.jpg

株式会社イシダの相談役、吉岡典生さん、
株式会社フクヤ代表取締役社長の、岡村忠明さん、
株式会社マツモト代表取締役社長の、松本隆文さん、
市民生活共同組合ならコープの開発室、浅井正満さん、
オール日本スーパーマーケット協会の
総務グループ情報システム シニアエキスパートの魚住正悟さん、
乾海産株式会社の代表取締役社長、乾勝亮さん、
伊藤ハム株式会社のCS関西営業部部長、玉井康史さん、
株式会社イシダ常務取締役、上野誠一さん、
そして、幹事をつとめてくれた、
株式会社イシダ西日本流通システム課マネージャーの小森佳範さん。
(写真と名前の並びは順不同です)

場所は東山の老舗、「粟田山荘」。

20120725_awata-sansou.jpg

ホテルオークワの京都別館である。
京都らしい素晴らしい庭園を持つ料亭であった。

20120725_awata-garden.jpg

最初はただ酒を飲むのが目的だったが、
同窓会はいつの間にか
「第1回立命OB流通研究会」という名前に変わっていた。

20120725_asano-dinner.jpg

司会進行は、幹事の小森さん。
吉岡会長のご挨拶の後、
「浅野君、すこしアメリカのスーパー業界の話をしてくれ」と言われた。

このような場で難しい話や長い話をするほど、
今の私は野暮ではない。
(どの女だ、昔、私を野暮だと言ったのは?!)

20120725_asano-speech.jpg

「アメリカのスーパーは勝ち組と負け組が明確になってきた。
勝ち組はWWWTCA、
Walmart, Whole Foods, Wegman’s,  Trader Joe’s, Costco, Aldi。
さらにこれにもう一つWを付けてWinco。
それからHEBやPublixも。

実はこれらの勝ち組には共通点がある。
労働組合のない比較的新興企業であり、
“店は客のためにあるが、実は社員のためにもある”
という認識をもっている企業だ。
Customer SatisfactionとEmployee Satisfactionを
両方実現しようという企業である。

従業員満足と言うと、
どうしても給与、福利厚生の方に目が行くが、
残念ながらいくら待遇を改善しても、
従業員満足は達成できない。

人間は尊敬と愛、お互いの信頼関係を欲しがっている。
認めて欲しいのである。
仲間が欲しいのである。

この人間関係こそが経営の要諦である。
社員も顧客も家族の一員なのだ。
私は長い間、米国のスーパーを見てきて、
それを今、一番強く感じている。

特にウェグマンズ、ホールフーズ、トレーダージョーズ、
ナゲットマーケット、HEB、そしてPublixなどは、
多くの点で古い日本の価値観を共有している。

システムやテクノロジーも大切であるが、
人間関係を強化する仕組みを再度見直すべきだ。
それにはコミュニケーションが中核をなす。

飲み会や、アメリカのように社員の誕生日を
ケーキとコーヒーで乾杯するのもよい。
運動会、社員旅行、そしてアメリカ研修旅行は、
仲間と旅行をして、社員同士や取引先との
人間関係強化に大いに役にたつ。

この同窓会でも素晴らしい人間関係を築けた。
この幸福感を共有したい」

私の隣に座ったマツモトの松本社長は、
同級生で柔道部に所属していた。
「浅野さん、早う、キリマンジャロに行きなはれ」

同じく同級生の岡村社長は、若い時は恵まれなかった。
お陰で根性ができた。

最後は立命館大学元応援団長、玉井さんのリーダーシップで、
応援歌「グレーター立命」歌った。

20120725_tamai.jpg

楽しかった。

20120725_singing.jpg

ぜひ2013年も30名ぐらい集めて、
第2回立命OB流通研究会をできれば幸いである。

20120725_ritumei-ob-kai2.jpg

<By 浅野秀二>

[追伸]
このブログを見た同窓生の方々、
ぜひ幹事役の小森佳範さんに連絡ください。
(連絡先 090-3276-5285)

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Mt. Dana 登頂記

2012年07月13日(金曜日)
カテゴリー:
  • アメリカからのメッセージ
  
1:56 PM

「なぜ山に登るのか?」と聞かれた登山家が、
「そこに山があるから」と答えたという話はあまりにも有名だ。

20120712_mtdana2.jpg

シリコンバレーの経営者たちは、
山や農場暮らしを通じて、神・大自然との対話を目指し、
「人生とは何か?」、「経営とは何か?」と、
自問自答することを心がけている。
その間、日本の経営者たちは
銀座のネーチャンたちと会話をしている。
「何十年後かにその差は出る」と、私はかつて説明していた。

今の家電・コンピューター業界を見ると、
予見が当たっていたのか、厳しい状況にあるようだ。

少なくとも私は銀座のネーチャンたちとの会話の方が
性に合っているが。

しかし、福岡の惣菜屋、「むすんでひらいて」の
原田さんご夫妻と富士山を登頂して以来、
私の中で何かが変わった。

まず、山登りは心と体の健康に良い。
無心になって登ることで煩悩をしばし忘れ、
大自然の中に身を置く。
その居心地の良さは、かけがえのない時間だ。
シャバに戻れば、あらたなる闘争心が湧き出てくる。

オラクルの創業者、ラリー・エリソン氏の言葉を借りれば、
「戦う時は鬼人のごとく戦い、いったん戦場から離れれば、
禅僧のごとく静寂の世界に入る」。

アップルの創業者、スティーブ・ジョブス氏は、
「内なる心の思いに耳を傾けよ」。
みんな、同じことを言っている。

先日、ある若い男の子と知り合った。
来年の4月から日本の大手商社に入社が決まっている、安島英城くん。
彼はこの5月にカンザス州立大学を卒業し、
大学が出す一年間の研修ビザを取得した。
そして、伝説のスーパーマーケット、
バークレー・ボールのグレン安田社長と
英会話で面接をし、ここで働くことになった。

20120712_interview.jpg

日系2世の安田氏が経営するバークレー・ボールは、
1100坪の1店舗で年間75億円(1ドル100円計算)を売り上げた、
とてつもない店である。

現在は2店舗で年商120億円。
青果の品ぞろえは全米トップクラスで、
青果部門の売上シェアは28%~30%にもなる。

20120712_berkeley-bowl.jpg

青果部門の売上シェアで、これを凌ぐ店は
ニューヨークのフェアウェイ・マーケットの33%しかない。

私の家からバークレー・ボールは近い。
安島君とはすぐにワインを飲む仲になった。

20120712_ajima-mocha.jpg

彼が「ヨセミテ国立公園に行きたい」と言うので、
「では山に登るか」と提案した。
彼はすぐに「ぜひ山に行きたいです」と答えた。

さっそく、昨年私が3307mのホフマン山を登頂したときに
案内をしてくれた水戸さんに電話する。
水戸さんは「行きましょう。」と快諾してくれた。

今回はヨセミテ国立公園にある、
標高3979mのデイナ山に登ることにした。

20120712_mtdana.JPG

富士山より200メートルほど高いというところが決め手だ。

登山チームには安島君と水戸さんの他、
私より年上の元ギャル、リホさんとアズマさんが集まった。

ヨセミテ公園は東京都の1.5倍の面積、高知県ほどある。
夏の間、ヨセミテ・バレーは観光客で一杯だが、
我々が登ったデイナ山はヨセミテの果てにある。
人はほとんどいない。

20120712_mtdana-asano.JPG

到着初日はサドルバック・レイクという湖の周辺を
4時間かけて4マイル(6.4キロ)歩き、足を慣らした。

20120712_saddleback-lake.JPG

夜はワインを片手にファイアーストーム。

20120712_yosemite-campstorm.jpg

リホさんの持ってきた料理が美味しい。
後に玄人はだしだと聞いた。

2日目、いよいよデイナ山を目指す。

20120712_yosemite-campsite.JPG

ところが車のエンジンが掛からない。
標高が高いため、古いディーセル車は発火しないらしい。
水戸さんはトヨタのレーシング・チームのメカニックで、
航空機の整備士免許も持っている。

20120712_diesel-car.jpg

心配だったが、邪魔をしないよう、我々は雑談に専念した。
約1時間半後、エンジンはスタートした。

この時、隣でキャンプしていた男性が
発火を手助けする燃料を買いに行ってくれた。
我々は金を払おうとしたが、「それは駄目だ」言うのだ。
「山のルールはお互い助け合うこと、シティ(街)とは違う」

なかなか良いことを言う、
お互い助け合うことは山のルールだけでなく、
本来の人間社会の中でも普通に持っていた機能だ。
大自然の中にいると、人間性を回復できる、
人にやさしくなれる。
これが魅力だ。

20120712_yosemite-deer.jpg

この日の登山客は、我々5名の他は3名しかいなかった。
富士山とは違う。
元ギャルは登頂を目指さず、
お花畑で我々男性3名を待つという。

登山に出発した。
山の頂上から600メートルぐらいは、岩石のがれきしかない。

20120712_mtdana3.JPG

実は3500メートルを超えると道が良く見えない。
やがて3名みんな、道を見失い、
一番遅れた私は直線でがれきを登って行った。

元気の良い2名はすでに登頂したようだ。
道なき道のがれき山に絶望感が襲ってきた。
やめれば良かった。
しかし、ここで諦めては男がすたる。

なんとか登頂成功、
今まで見上げていた周辺の山々の雪景色が眼下に見えた。

20120712_mtdana5.JPG

砂漠の中にあるモノレイク(MONO LAKE)も見える。

20120712_mtdana6.jpg

美しい、感動の一瞬だ。

20120712_mtdana-asano-ajima.jpg

20120712_mtdana-ajima-mizuno.jpg

30分ほど頂上にとどまって、インディアン音楽に耳を傾ける。

20120712_mtdana-ajima.JPG

それから下って行った。
下からはまったく見えなかったのに、
上から見ると、ちゃんと道があるのである。

下っていくと、アズマさんが青白い顔をして
3500メートル付近に一人でいた。
「リホさんがいない。
彼女は今日調子が良いので、私を追い越して行った。
そして見失ってしまった」

リホさんは登頂を目指さないはずだったので、
十分な水も防寒服も持っていないはずだ。
我々はあわてた。
リホさんはどこにも見えなかった。

水戸さんは、疲れ果てた体に鞭を打ち、
再び山頂をめざして彼女を探しに行った。
安島君は3700メートルあたりでリホさんを探すことになった。
リホさんが、転んで頭を打ち、気を失っているかもしれない。

安島君は別の道(トレイル)を発見して、
我々がいる地点より下がり、再度、下から
私とアズマさんが待っている地点まで這い上ってきた。

その時、私は決断をした。
これ以上リホさんを探していては、二次遭難に繋がる。

仮説を立てた。
彼女は安島君が見つけたトレイルで下山したに違いない。
まず、アズマさんと安島君を車まで返すことにした。

やがて頂上付近まで行った水戸さんが帰ってきた。
「頂上にいたアメリカ人に聞いたが、誰も頂上にいない。
さあ帰るしかない。
日があるうちに、レンジャーに頼んでヘリコプターで彼女を探そう。」

山を降りると、アズマさんと安島君とリホさんがいた。
二人がリホさんを見つけたらしい。
リホさんは他のルートからそこまで下山していた。

運よく、その日は終日快晴だった。
午後から雲が出る日もあるが、この日は温かく幸運だった。
終わってみれば笑い話だが、お天気が悪ければ、
大惨事に繋がっていた可能性もある。
山は決めたルールに従って登らないといけないのだ。

女性二人は完全に体力を消耗していた。
彼女たちは夕食も食べないで寝た。
でも良く考えてみれば、日ごろ訓練もしていない、
若くもない彼女たちが3600mを往復したのだ。
いざとなったら、女は男より、生き延びる確率は高いと思えた。

日本から届いた、大津市の中学生自殺のニュースが痛ましい。
日本では年間3万人も自殺をするという。
大自然と向き合えば、生きる力を感じられるはずだ。
所詮人間社会の悩みなど、すべて迷いである。
自然は常に完璧だ。

デイナ山の登山はトラブルもあったが、
自然に囲まれた最高に楽しい3日間だった。
すべてに感謝。

20120712_mtdana-asano2.jpg

浅野秀二
7月12日

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