商人舎

アメリカ流通 浅野秀二のアメリカ寄稿

浅野秀二のアメリカ寄稿

インド紀行(2)

2013年01月09日(水曜日)
カテゴリー:
  • 旅先からのつれづれ日記
  
3:04 PM

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
年末のインド紀行、あと2回ほどあります。
お付き合いください。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

冬の北インドは朝夕が寒く、昼は暑い。
インド人が重ね着をしている理由が良くわかった。
ぼろ布を何枚も重ね、
13メートルにも及ぶターバンを巻いているのも
そのような理由があるらしい。

20130109_cold.jpg

特に中部インドに行ってからは、
霧が毎日出て、真昼でも0℃近くまで下がった。
インドの夏は35~45℃と異常に暑く、冬は寒い。

さて、日本人の想像を絶するような貧困に、
どこに行っても出くわした。
農村ではカーストの最高の位置にいるバラモンも
騎士クラスも平民もアンタッチャブルも、
我々から見るとほとんど貧しさは変わらない。

20130109_people.jpg

しかし、人々の悠久な時間の過ごし方や
自然と調和して生きている姿も非常に印象に残った。
「悠久な時間の過ごし方」といっても失業者や
小売業、農民などの自営業者が多いせいもあると思うが。

中国では「4つ足で食べないものはイスと机」というぐらい、
生き物は食べられてしまう。
しかし殺生を嫌うインド人はその点、
牛、豚、ヤギ、ヒツジ、イノシシ、サル、
すべて路上で放し飼い。

20130109_boy-lamb.jpg

誰も気に留めない。

20130109_monkey-on-street.jpg

車がきても平然と歩いているこれらの動物を見ると、
これが古代からの人間社会の自然な姿で、
他の国にみられるように、動物を柵で囲って綱でつなぐという飼い方は
非人道的なことをしているような気がする。
ホールフーズが唱えるアニマル・コンパッションは
ここからきたのではないかと思うぐらいだ。
インドの動物と人間の共存に深い感銘を受けた。

さて、一日半にわたって、
野生公園のジャングルにトラを探しに行ったが、
徒労に終わった。

20130109_asano-on-jeep.jpg

ただし、たくさんの他の動物や鳥に出会った。

20130109_crocodile.jpg

20130109_deer.jpg

20130109_monkey.jpg

20130109_wild-animal.jpg

20130109_deer3.jpg

野生動物は人を見ても逃げなかった。

20130109_bird-on-hand.jpg

パキスタン、インド、バングラデシュには、
マハラジャ(日本の江戸時代の藩・大名のようなもの)
と呼ばれる550の諸侯がいた。
ムガル帝国(モンゴル・トルコ・イラン系)が最初、
支配し始めた時、ムハラジャの多くは抵抗をした。
しかし最終的には娘をイスラムの王と婚姻させるなどして
和平を結び、何百年も生き延びた。

イギリスが来た時も同じく、たくましく生き延びた。
今でも彼らの多くは大富豪としてインド社会に君臨している。

我々が泊まったのは
今もマハラジャの子孫が住んでいる壮大な城のホテルであった。

20130109_hotel2.jpg

20130109_hotel.jpg

そこの王子様が我々に挨拶に来た。

20130109_prince.jpg

エリザベス女王にも謁見したことがあるらしい。
彼らの先祖が造った1630年代の別の城にも住んでいるらしい。

アンベール城も彼の親戚のものだそうだ。
20130109_amberfort.jpg

20130109_amberfort2.jpg

1200年代から数えて27代目らしいが、
ご先祖様の名前、偉業はすべて記憶していると言っていた。

私はインドには綿々と歴史が生き続いていることを知って
嬉しかった。
モンゴルやイギリスに完全に破壊されたと思っていたのである。

さすが大国。
藩と言っても日本の徳川家をしのぐ領地を持っていただけあって、
全国各地に広大な世界遺産の城や砦があった。
もちろん、最高傑作は
ムガル帝国の皇帝、シャー・ジャハーンが建てた
妃への愛の記念碑(霊廟)、タージ・マハルである。

20130109_tajmahal-children.jpg

ここは私が今まで見てきた人間が造った構造物の中で、
無条件に最高だと思う。
2度と同じものが出来ないようにと、
職人の手首を切ったという話もある?

ホテルの隣にあるアーグラ城壁や
ジャイブルで見たアンベール城をみて、
インドはつくづく昔は大国だったのだと思えた。

20130109_agrafort.jpg

繊細さ、洗練度を除けば、
そのスケールはヨーロッパや、中国の世界遺産に勝るとも劣らない。
インドは世界遺産の数では世界第4位らしい。
世界的歴史遺産と、今の貧困の落差がどうも理解できない。
政治に問題があったと思える。

20130109_amberfort3.jpg

<By 浅野秀二>

コメント (0)

インド紀行(1)

2012年12月27日(木曜日)
カテゴリー:
  • 旅先からのつれづれ日記
  
6:03 PM

21世紀の大国となるべき
BRICs(ブラジル、ロシア、インド、チャイナ)の国々を
すべて訪問したいと思っていた。
残された国はインドだけである。
だが実現のための問題は多かった。

まず遠すぎる。
ニューヨーク経由で行く必要があり、
飛行機に乗っている時間だけでも22時間もある。

また、不衛生から起こる下痢・食中毒、
これが一番、訪問を躊躇していた理由である。

しかし、思い切ってインドに行くことにした。

旅は今日で7日目を越えたが、
体調は完璧、すべてが快適・絶好調だ。
こんな面白い国はない。
食事も非常においしい。
インド最高。

町はホコリっぽいが、
デリーのような1700万人も住む大都会でも、
中国と違ってここには青空があった。

20121221_delhi-street.jpg

それにしても、ものすごい人の数である。
とにかく、どこの路上も若い人が溢れ、
商売をする人、路上にただ座っている人、
なかには車の往来の激しい
排気ガスとホコリまみれの道路脇で寝ている人。

女性はよく働くが、
男たちはお茶を飲みながら
人生哲学や政治談議をしているらしい。

20121221_delhi-people.jpg

町はゴミだらけ。
草が生えていない都心で
牛は何を食べているか不思議だったが、
人が残飯を食べさせているらしい。
毎朝、牛は家々を回って、
人々が残した残飯や生ごみを餌としているというのである。
これらの牛はすでに草など食わないらしい。

20121221_jaipuer-cow.jpg

紙を食べている牛もよく見た。
路上には、牛に交じってヤギや豚も
ゴミや残飯をあさっている。
犬もゴミの中に住んでいた。

20121221_jaipuer-lamb.jpg

すべてが常識では理解しがたい。
それがまた異質で最高に旅情をかき立てる。

20121221_delhi-banana.jpg

インドに行く前から色々な疑問を持っていた。
宗教、人種、歴史、生活、風習。
滞在するつれ色々な謎が解けた。

紀元前1500年ごろ北からアーリア人が、
土着民(オーストラリアと同じ人種のアボリジ人)のいる
インドに侵入した。
アーリア人が身分制のカースト制度を持ち込んだらしい。

その他、
なぜ、紀元前マケドニア人のアレキサンダー大王が
インダス川を越えて大遠征をしたのか?
なぜ、トルコ中国西域でイスラム化した
ジンギスカンの末裔までが多大な犠牲を払ってまで
インドを征服し、定住をしてムガル帝国をインドに造ったのか?
なぜ、イギリスが80年間もインドを支配したのか?

800年にもわたる異民族による支配の理由は、
バスで一日地方を走ってみたらすぐに解った。

自然がめちゃめちゃに豊かなのである。
動物も植物も豊富で農業が盛んである。
12億を超えた人口を今でも養う農業がある。

20121221_park.jpg

古代は世界の屋根のヒマラヤ山系からくる
インダス川、ガンジス川の水も魅力があったと思う。

さて今日の問題は、
5P(Population, Poverty, Politics, Pollution, Pakistan)らしい。
人口が爆発している、
毎年オーストラリアの人口と同じ数が増えているのだ。
これが生活向上できない大きな原因となっている。

しかし、最近つくづく思うが、国力とは、
人間の数、人口の若さ、貧困からくるエネルギー。
いずれも日本にはないが。

もし、この国に優秀なリーダーが現れれば、
たちまち中国をしのぐ超大国になる。
またこの貧しさを体験していれば、
彼らは移民として世界に出ていけば必ず成功する。
やがてインドの移民も中国の移民と同じように
世界を支配する勢力になる。
21世紀は間違いなく、
白人や日本人が活躍した時代とは違う世界になる。

さて、我々はデリーやニューデリーで3日間、
世界遺産のイスラム教会や、

20121221_delhi-islam-church.jpg

20121221_delhi-islam-church2.jpg

ヒンズー教会、シーク教会などを訪問、

20121221_delhi-hindi-church.jpg

リキシャ(力車)で街や市場を回遊し、買い物を楽しんだ。

20121221_delhi-asano.jpg

騎士クラス出身のインテリなガイドさんや、
我々が訪問した上流階級出身の家庭に何度も確認したが、
実は食品を扱うスーパーマーケットは
デリー周辺にはないということを知った。

国民の多くはこの路上や商店街の出店で食品を買うらしい。

20121221_jaipuer-market.jpg

20121221_jaipuer-market5.jpg

20121221_jaipuer-market3.jpg

60年前の日本と同じだ。
フランスのカルフールは法的に大衆には
食品をまだ売れないらしい。

その後、南東へ265キロ移動。
城で有名なジャイパーに向かうが、
途中、ジプシーの村を訪れた。
ジプシーはインドが発祥の地とは知っていた。
彼らは本国インドでカースト最低の身分から外された。
インドの人口の数にも入れてもらえない。
国民・人として扱われない階級にあたるらしい。
彼らは何千年もインド住んでいるのに。
これもすごい話だ。

我々が行ったジプシー村の家は、
藁葺の掘立小屋で、中は空っぽ。
雨風も寒さも防げない。
雨季には家にテントやビニールを掛けるらしい。

彼らは農業しない。
誇り高き砂漠の民だ。
村はコブラ使いを家業として飯を食っている。

20121221_jaipuer-cobra.jpg

20121221_jaipuer-cobra3.jpg

20121221_jaipuer-cobra4.jpg

いずれにせよ、ジプシーの生活は石器時代と変わらない。

例外的だが、ここのジプシーは学校に行っていた。
法的には誰でも学校に行けるが、
ほとんどのジプシーの子供たちは行かないらしい。

笛に合わせて踊る8歳のジプシー娘とコブラに合わせて、
私もインドの砂漠と青い空の下、踊る羽目になった。

20121221_jaipuer-children2.jpg

子供たちはどこに行っても可愛い。

20121221_jaipuer-children.jpg

また、人間どこでも住めるような気がする。
インド・世界平和万歳だ。

<By 浅野秀二>

コメント (2)

JACの社員旅行

2012年12月18日(火曜日)
カテゴリー:
  • 旅先からのつれづれ日記
  
11:45 AM

日本の衆議院総選挙中、
各政党党首はまるでおとぎ話のような、
現実味のない話ばかりしていた。
選挙はいつからこうなったのだろうか?
日本未来の党の嘉田さんと社民党の福島さんは
お伽の国からきたお姫様のようだ。

中国の新しい習国家主席は
「出来そうもないことは考えない・言わない、
それが彼のモットー」
だとアメリカの新聞に載っていた。
日中のリーダーには大きな違いがあるようである。

20121217_asano-beach.jpg

さて、今年のクリスマス・パーティーは
ハワイで行うことにした。
今年、会社に特に利益があったわけではないが、
社員の喜ぶ顔が見たい、その一念だ。

20121217_jac-members.jpg

昨年はホテルで岩盤浴と美容エステをしたが、
これが喜ばれた。
それまでのディナーの後の定番のカラオケはやめた。
これが受けたのだろう。

20121217_asano.jpg

さあ、おとぎ話の夢の島、ハワイだ。
初日の夕食はヒルトン・ハワイアン・ビリッジの
ルアウ・ディナーショーで豚肉を食べながら、
ポリネシアン・ショーを楽しんだ。

20121217_dinner-show.jpg

ワインを覚えた私はすっかり酔っぱらった。
美人に囲まれた幸運に心から感謝した。

翌朝は朝食のEgg`n Thingsに行った。

20121217_eggsnthings.jpg

ここは日本でも有名らしい。

20121217_eggsnthings2.jpg

「美味しい!」と皆満足していたが、
ご飯やパンなどの炭水化物を一切食べない私は、
正直、ここの何が美味しいのか?わからない。
でも彼らの笑顔を見ていると、思わず顔がほころび、嬉しくなる。

20121217_eggsnthings3.jpg

女性が3名いると姦(かしま)しいと言われるが、
なにしろ6名いる、この騒々しさは想像にあまりある。
しかし彼女たちのこの姦さこそ、愛と平和の象徴と思えた。
幼少のころ、母や近所のおかみさんたちの姦しさを、
子守唄に聞いて育った、その時の深層心理と
どこか繋がっているのかもしれない?
社員の彼女たちが心から女神に見えた。

20121217_jac-members3.jpg

正直、「何が美味しい、どこの店が美味しくて有名だ。」という
男にとってはどうでもよい事柄が、
彼女たちにはとても重要であるようだ。
もし男にこのような女性の才能があれば、
きっと世の中、戦争は起こらないとつくづく思えた。

20121217_hawaii-beach2.jpg

我々男性は基本的には物欲はない。
食欲は飢えを満たせれば良い?
男はやはり、女・子供たちを守る戦士としての
役割の価値しかないのか?
私の意見に、もう一人の男性の藤森さんも同感した。

20121217_hawaii-beach.jpg

翌日はレンタカーを借りて島を1周した。

20121217_hawaii.jpg

20121217_jac-members2.jpg

途中、MATSUMOTO GROCERY SHOPの前に
多くの人が群がっていた。

20121217_matsumoto.jpg

何か起こっているのか?
なんと、かき氷が人気らしい。
白人たちにも大人気のようだ。

夜は町を歩いていたら、丸亀うどん店の前に人だかり。
これまた異常な人気である。
ロスやニューヨークではラーメンも人気があるが、
ハワイのワイキキ周辺はまるで日本人村。

それにしても安い。
ワイキキで食ったロコモコ・ハンバーグは9ドル以上もした。
丸亀うどんは3ドルから6ドル程度、
アメリカ人に人気があるのも理解できる。

帰る日は、アメリカで2番目に参加者の多い
ホノルル・マラソンがあった。
この大会は長年、JALがスポンサーをしている。
今年は40回目の記念すべき大会で、
参加人員は3万1000名、日本人だけで1万6000名。

私もチャンスがあれば参加したい。
幸いなことに参加できない口実がある?
今年の7月から踵が痛く、歩くのも支障がある。
残念だ?

20121217_asano-beach2.jpg

わが社のアスリート、森山直美さんが参加した。
マラソン2回目で、4時間04分で走ってきた。

20121217_marathon.jpg

ゴール近くで待つ、私の存在に気が付くほど
余裕の笑顔でゴールに入ってきた。

20121217_marathon2.jpg

これも今回の社員旅行に華を添えてくれた。

20121217_marathon3.jpg

今回の社員旅行は本当に楽しかった。
心理学者のマズローは人間の五段階の欲望で
一番上の段階を「自己実現」としているが、
己の野望や欲望などスケールが小さいことかもしれない。

人の喜びこそ最高の喜びだ。
よりたくさんの人に喜ばれれば、もっと幸せになれる。
これがビジネスと政治の目的であるはずだ。
社員の笑顔をみてつくづくそれを思った。

20121217_jac-members4.jpg

浅野秀二
12月17日

コメント (2)
<次のページ
前のページ>

商人舎サイトマップ お問い合わせ
今月の標語
  • 中小小売業者の「備蓄古古古米」申請開始と紀文の「SURIMI」の力
カレンダー
2025年6月
月 火 水 木 金 土 日
« 8月    
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  
指定月の記事を読む
カテゴリー
  • JACアメリカ流通リポート (5)
  • お知らせ (1)
  • はつえの発見! in USA (2)
  • アメリカからのメッセージ (51)
  • アメリカ小売業-最新トレンド (13)
  • 写真でみる[最新注目店] (4)
  • 旅先からのつれづれ日記 (50)
  • 日本と日本人への想い (20)
  • 視察&インタビュー日記 (20)
最新記事
  • 2015年08月20日(木曜日)
    残暑お見舞い申し上げます
  • 2015年07月01日(水曜日)
    立命館大学同窓会流通業OB、京都に集まる
  • 2015年05月01日(金曜日)
    スペイン旅行(2)
  • 2015年04月24日(金曜日)
    スペイン旅行・マドリード
  • 2015年04月21日(火曜日)
    立命館大学流通研究会(OB会)の皆さまへ
最新コメント
  • 2015年01月01日(木曜日)
    初絵スミス :カボサンルーカスからクリスマスのご挨拶にコメントしました
  • 2014年12月23日(火曜日)
    浅野秀二 :カボサンルーカスからクリスマスのご挨拶にコメントしました
  • 2014年12月22日(月曜日)
    m.asai :カボサンルーカスからクリスマスのご挨拶にコメントしました
  • 2014年12月22日(月曜日)
    浅野秀二 :カボサンルーカスからクリスマスのご挨拶にコメントしました
  • 2014年12月21日(日曜日)
    片岡 :カボサンルーカスからクリスマスのご挨拶にコメントしました
JACenterprises 浅野秀二の米国セミナー講義録 ジョージ君、アメリカに行く

USA視察研修会Specialコース

定番視察研修会報告

参加者の声は天の声!

  • ホームに戻る
  • トップに戻る
  • 友達・上司・部下に知らせる

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。
Copyright © 2008-2014 Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.