商人舎

アメリカ流通 浅野秀二のアメリカ寄稿

浅野秀二のアメリカ寄稿

輸入ミッション

2012年03月30日(金曜日)
カテゴリー:
  • 視察&インタビュー日記
  
9:33 PM

3月も後半になって、やっと雨が降り出した。
冬はカリフォルニアの雨季であるにも関わらず、
1月から3月中旬までほとんど雨が降らなかった。
ツアー中、毎朝空を仰いで“晴れている、よかった”と
思いながらも、内心失望していた。

水不足でカリフォルニアの生活はどうなる?
農業用水は?生活用水は?
心配で仕方がなかった。

30年前の干ばつの時は芝が枯れ、
芝にペンキを塗る業者まで現れた。

今年はテキサスも雨が少なく、
68年ぶりに米の作付が全面禁止となった。

ところが、出張が終わった途端、
連日雨が降り始めた。
自然は偉大だ。
感謝の気持ちでいっぱいになった。

20120330_poppy.jpg

さて、この冬、最後のツアーは
アメリカから直接輸入を試みようとする、
とあるスーパーマーケットに勤める3名の若者だった。

「カリフォルニアの野菜を輸入してこい」という社長命令で
やって来たのは、20代~30代の若者3名。
「何でも挑戦してみろ」という社長の温かい配慮だと思う。

サンフランシスコ空港で彼らを迎えた。
話を聞くと、「野菜だけでなく、
ハネデューメロン、柑橘類、
ペットボトルの水、玉ねぎ、
更には肉まで輸入してこい。
それも、その場で買いつけてこい」
という凄い使命をおびてやって来たことを知った。

野菜買い付けのアレンジはしていた。
彼らが来る数日前に、メロンと肉の農家を
訪問したいと連絡はあったので、その準備もしていた。
が、その場で買い付けるというほど、
性急な話だとは知らなかった。

20120330_farm.jpg

とにかく、全米一の野菜の生産地、サリナスに向かった。
3万ヘクタールの野菜の作付をしている
TANIMURA&ANTLEの本社とパッキングハウスを外から見た。

20120330_tanimura-antle.jpg

20120330_tanimura-antle-hq.jpg

20120330_tanimura-asano.jpg

ちなみにこの農家はWalmartにも出荷している。

20120330_tanimura-farm-harvest.jpg

20120330_tanimura-farm-broccoli-box.jpg

20120330_tanimura-farm-broccoli.jpg

翌日はこの会社の輸出を専門にする子会社に行く予定だ。

時間があったので、松井農場を突然訪問した。

20120330_matsui.jpg

以前ブログにも書いたことがあるが、
ここは一代でアメリカ最大のラン栽培農家になった、
松井氏の農場である。

20120330_matsui-ran.jpg

急な訪問にも関わらず、歓迎していただいた。
盛和塾世界大会の最優秀経営者であるベテランから
直に経営の要諦を聞く機会をもてた。
松井氏は77歳だが、体も頭も55歳だ。
100歳まで現役でやる予定だそうだ。
稲盛塾長の日航会長就任は、この松井さんが背中を押した。

20120330_inamori-matsui.jpg

翌日は野菜農家を3軒も訪問した。
いずれも18000~30000ヘクタールの大農家ばかり。
スーパーマーケットの規模、
いや小売業そのものの規模が大きくなったので、
野菜農家も大型化せざるを得ないのだ。
最低1500ヘクタールはないと、野菜農家も生きていけない。

その後、400キロほど車で走り、
カリフォルニア最大のハリス・ランチ(肥育場)が経営する
ハリス・ロッジに泊まった。

20120330_harris-lodge.jpg

この間、JAC事務所のサチコさんが
3軒のメロン農家と生産者同業組合にコンタクトを取ったが、
すべて断られた。
もう玉がない、これ以上輸出先を増やしたくない。
それが理由であった。

悪い予感がする。
中国、韓国、台湾を始めとする新興国の買い付け増加により、
今までのようなやり方では通用しないと思った。
韓国のワイン買い付けに至っては、前年対比5倍だ。

日本の商社が農産物やコモディティを
買い叩いて買い付ける時代は終ったのだ。
逆に頭を下げて売っていただく。
金よりも、人間関係、信頼関係がないと物が買えないのだ。

私は若い3名にこのことを伝えたかった。
説明はしたが、デフレの日本では経験したことがなく、
なかなか解らないようだった。

ウォルマートはかってベンダーを叩いて、叩いて、
買い付ける、嫌われ者のディスカウント・ストアだった。
スーパーセンターというフォーマットを始めてから
青果を扱うようになったが、金がいくらあっても
農家から嫌われると良い青果は入って来なかった。
ここが加工品とは違う世界なのだ。
また、青果買い付けの面白さでもある。

その後、ウォルマートは変わった。
農家との人間関係を大切にするプロになった。

翌朝、メロン農家へのアポがまったく取れなかったので、
急遽、ハリス・ロッジのマネジャーに依頼し、
ハリス社の柑橘農場を訪問させてもらった。

何しろ我がJACは、この仕事を35年もしている。
彼らも我々のことをよく知っているからこそ、
実現できた視察だ。

20120330_harris-ranch.jpg

車で12万頭もの牛の肥育場の写真を取りながら走った。
口蹄疫を防ぐため、肥育場の中に入ることは出来ないとは
知っていたが、写真もだめだと言われた。
マスコミが牛の肥育場は家畜の虐待だと言うのだそうだ。

20120330_harris-ranch-cows.jpg

ANIMAL COMPASSION
(ホールフーズマーケットが提唱する動物へのおもいやりの理念)

食卓に上がった肉や魚を味わう時、
それらがどのように捕獲、飼育され殺されたかは、
ほとんど考えることはない。

だがステーキやハンバーガーなどの牛肉、
トンカツなどの豚肉、さらに魚なども、
かつては命のあった生き物から得られたもの。

もともと、これらの動物や魚は
人間の食材となるために商業的に飼育されている。
そのため、コストパフォーマンスは飼育業者にとって
欠かせない条件となり、効率よく飼育し市場に出すことが求められる。
その結果、動物や魚は我々が想像を絶するような
環境の中で飼育されている。

このような飼育環境を改善し、
動物や魚をhumaneに(慈悲の心を持って)飼育し、
しかもhumaneに食肉処理する傾向が
食肉用の鶏、豚、牛、魚などにも広まっている。

このような動きは以前からなかったわけではないが、
このムーブメントを一般にも浸透させ、
関心を高めようとしているのが、
ナチュラル・オーガニックフードの大手スーパー、
Whole Foods Market が発表した
The Animal Compassion Foundationの創設だ。

Whole Foods Marketはこの機関を通じ、
食肉用動物の飼育環境を高め、
より動物をhumaneに扱おうという運動を始めている。

数年先には、Animal Compassion(動物への思いやり)という規格を設け、
オーガニックフードと同様に、
承認機関を設けることも検討しているという。

Whole Foods Marketでは生きたロブスターの販売を止めている。
理由はロブスターをタンクの中で生かしておくのは、
ロブスターのhumaneに反する、というのがその理由のようだ。

少しづつホールフーズの思想が、
社会的な影響を与えていることを知った。

糖尿病になるまで太とらせ、目が見えなくなったころが、
肉が一番おいしいという日本の和牛に肥育方法も
いずれ、必ず問題にされるだろう。

柑橘農場は800ヘクタールもあった。
2時間にもわたって、農場を案内いただき、
パッキングハウス(処理場)の訪問もできた。
輸出は彼らの役割だ。

20120330_golden-nugget-factory.jpg

親切に案内してもらった上、食事までご馳走になった。
本当に申し訳ない。

日本には輸出されていない、
ゴールデン・ナゲットは最高に美味しかった。
木が若い時は、皮が金塊のようにブツブツしている。

20120330_golden-nugget-young.jpg

やがて数年するとスムーズな皮になるらしい。

20120330_golden-nugget2.jpg

ミネオラの収穫は終わったらしい。

20120330_golden-nugget-asano.jpg

この2つは日本でもすぐに売れると、
若いバイヤーは太鼓判を押した。
しかし、買い付けには遅すぎた。
玉はもうないのだ。

ネーブルオレンジを一箱いただいた。
これも非常に美味しかった。
種なしのレモンもあった。
大きなレモンもあるが、実の中が空洞になり、売れないサイズだ。

20120330_golden-nugget.jpg

その後、いよいよハリス牧場の堵殺場(800~1200頭/日)に行き、
輸出担当者にあった。
「この牧場は年間25万頭の肥育をしているが、アメリアでは中堅の牧場。
安い肉を買い付けたかったら、中西部に行きなさい」と言われた。

20120330_harris-ranch2.jpg

輸出担当者がさらに言った。
「我々は品質で勝負をしている。
現在、日本向けは色々な規制で2000頭ぐらいしかないが、
TPP 契約後は規制が緩くなり、25万頭のうち90%をできることになる」

日本向けの輸出が増えるということは、
アメリカの消費者にとってはマイナスで、価格があがる。
やがて、アメリカ人は安く肉を食えなくなる。
金持ちのアジア人のための農業になってしまうかもしれない。

新興国の成長を喜んでばかりはいられない。
やっとアメリカのマスコミも政治家もそれに気が付き始めた。
今後、アメリカの貧しい消費者はどうなるのだろう。

3日間で1500キロ走った。
3名の日本の若者が何を感じたか、いつか聞いてみたい。

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浅野秀二
3月30日

コメント (0)

イノベーション

2012年03月20日(火曜日)
カテゴリー:
  • アメリカ小売業-最新トレンド
  
1:59 PM

1月16日から2月15日までの2カ月、
家に帰ったのはわずか6日間。
あとは出張に出っぱなしだった。

20120320_santa-monica-asano.jpg

とは言っても、自宅のあるサンフランシスコでの
ツアー中でもホテルに泊まる。
家に帰る時間と体力を使いたくないのだ。

20120320_santa-monica-beach.jpg

毎日食事をしてワインを飲むのだから、
夜遅くまでの接待を50日ぐらい続けた感じだ。

今回は初めて朝早く起きて、
ツアー参加の人達と約4キロを3回走った。

20120320_asano-jogging2.jpg

自分ひとりでも5回は走った。

食事のイノベーションが効いているのか、疲れない。
実は、炭水化物と糖分を一切食べないようにしているのだ。

毎年アメリカに来る女性に言われた。
「浅野さんは毎年若くなっていますね。」
「ヘルシー、ビューティー、セクシーが
私のモットーですから」と胸をはった。

20120320_asano-jogging1.jpg

自慢話はここまでとしよう。

さて、ソニーが大赤字を出した。
他社も含む、家電業界全体の赤字合計は
1兆数千億円にものぼるらしい。

原因はソニーのテレビ事業の大赤字。
自伝『ジョージ君、アメリカに行く』にも書いたが、
学生時代、京都のソニー販売店でアルバイトをして大稼ぎした。
あの当時のトリニトロンは大人気だった。

あれから40年の歳月が流れた。
ソニーにはカラーテレビ以上の
イノベーションはなかったのかと
あらためて思った。
40年間もテレビで飯が食えたのだ。
それは幸運としか言いようがない。

あるグループの幹事さんからいただいた、
『Chain Store Age』の10月15日号の中に
気になる文章があった。
有名な女性コンサルタントの文章だ。
「赤字店の根本的な対策は収益モデルを確立し、
それと同じ形で標準化を進める事である。
そうすれば店ごとの効率数値も、
良い方向に標準化される・・・(続く)」

もちろん、その文章や理論に間違いがあると
言っているのではない。
ただ、ソニーや家電メーカーの赤字とこの文章が
私に2つのことを思い出させた。

1つはアメリカで学生をしていた時に読んだ
経済雑誌『Business Week』の記事を思いだした。
当時、日本に進出して間もなかった
ケンタッキー・フライド・チキンの味が
店舗ごとにすべて違っているという内容の記事だった。
「記者はそのすべてを味わい、
シェフにインタビューをした。
シェフは、調理のマニュアル本に従いながらも、
各店のシェフや店長が、
少しでもマニュアル以上の味を出すために、
創意工夫しているのであった。
だから日本はすごい。
フランチャイズでもこのありさま、
日本人のイノベーションへの努力、
創意工夫を見習うべきだ」と書いてあったのだ。

さて、この40年、
日本人はなにをしてきたのか?
ひたすらマニュアル化、標準化してきたのか?
人々は角が取れ、個性が無くなった。

流通業では言えば、どうしてには
ホールフーズやウェグマンズ、
トレーダージョーが現れないのか?

20120320_wholefoods-wine.jpg

12店舗の内装がすべて違うナゲットマーケットは?
地域に合った品揃えで、個店として売上増を優先しているHEBや

20120320_heb-facade.jpg

セントラルマーケットは?

20120320_central-market-facade.jpg

日本はどの店も売り場の商品も、似たり寄ったりだ。

アメリカのチェーン店も、
もちろん基本は標準化はされているだろうが、
各々の店舗には個性があるところが多い。
陳列、POP、品揃えなど、ある意味で個店主義である。

20120320_winco-bulk.jpg

あの標準化の代表、ウォルマートでさえ、
店長や部門長にかなりの権限がある。

20120320_walmart-facade.jpg

かつて、ラスべガスのウォルマート・スーパーセンターで
インタビューした時、
店舗のアシスタント・マネジャーでも、
テストケースで自分が仕入れた商品を自店で売ってみて、
成功したら本部に紹介をすると言っていた。
とにかく現場主義である。

20120320_walmart-cocacola.jpg

標準化はスポーツで言えば基礎体力のようなもので、
プロの世界となると、基礎体力と応用力が問題になる。

20120320_walmart-clinic.jpg

メーカーにイノベーションがなかったと言うより、
日本にはこの繁栄の40年間で、
大きなイノベーションがなかった。
流通も政治もエンターテイメントも
一歩前に出られないもどかしさがある。
何も決まらないのである。

NHKの大河ドラマや紅白歌合戦も
イノベーションは、あまり見られない。
韓流や中国映画の方がはるかに刺激的だ。

もう1つ思い出したのは、アップル社の成功だ。

20120320_apple-store.jpg

アップルの創業者、スティーブ・ジョブズの
言葉を紹介したい。

20120320_steve-jobs.jpg

「あなたの心の内なる想いに耳を傾けてみなさい。
それに挑戦することが一番大切だ」

スーパーマーケット業界にも、
スティーブ・ジョブズと同じような人がいる。
カリスマ経営者として有名な
ホールフーズCEOのジョン・マッケイ氏だ。

従業員を「チームメンバー」と呼び、
クリエイティブで独創的な思想を基に
ビジネスを展開している。

マッケィの従業員への方針は
従業員一人一人に権限を与えるということである。

20120320_wholefoods-staff.jpg

価格、発注、人員配置、店舗内昇進などまでも、
チームメンバー達が決定しているのだ。

20120320_wholefoods-coffee-bulk.jpg

これは彼の自由主義に基づく、
経営管理の独特な慣行といえるだろう。

「個人の責任」という考えのもと、
社員が目標を設定したら、必要な情報は与える。
会社の方針をおしつけずに、
それぞれのやり方、スタイルでその目標を達成する。

20120320_wholefoods-organic-produce.jpg

これらの言葉こそ標準化と対極にあると思えた。
日本の流通業界は50年前に標準化という
イノベーションに挑戦して、
皮肉にもイノベーションを失った。

20120320_winco-bulk2.jpg

今回、ドレーダージョーで聞いた話は、
有名なテキーラメーカーや、ヘネシーなどの
洋酒メーカーに対して、
1~2年の契約でPBを作ってもらう。
生産2週間前に全額前払いをして、
低価格を実現していると聞いて驚いた。

トレーダージョーでは、通常、
請求書をもらってから2週間以内に支払う。
なるほど、支払いの方法にもイノベーションがあったのだ。

WINCOのような従業員全員を株主にする経営もある。

20120320_winco-facade.jpg

イノベーションはいたるところで挑戦できる。
アメリカの小売業から学ぶものはないと言う人がいる。
それは自分の心でイノベーションを起こしたくなく、
進取の心が奪われたことを意味してはいないのか?
と自分のことを考え、心を新たにした。

20120320_central-market-staff.jpg

浅野秀二
3月20日

コメント (2)

セーヌ川クルーズ(3)

2012年01月25日(水曜日)
カテゴリー:
  • 旅先からのつれづれ日記
  
8:27 AM

正直に言えば、セーヌ川クルーズから
帰ってきてから、もうひと月たっている。

20120124_eifel-bride.jpg

時間と空間は本当に不思議な気がする。
結局は、今のこの瞬間の、この場だけが現実であり、
過去の出来事は1カ月前も20年前も記憶でしかなく、
時間の差は感じない。

空間も同じ。
テレビやインターネット、新聞を見なければ、
ある意味、自分の目で見えない世界は
存在しないことと同じだ。
少なくとも、肌身で感じることはできない。

セーヌ川クルーズのメモを
いっさい取っていなかったので、
色々な記憶が混在したブログに
なっていってしまうような気がする。

最終日の前日は、パリ郊外の港町に泊まり、
翌日はバスでベルサイユ宮殿へ
半日コースに行くことになった。

20120124_versaille-asano.jpg

ベルサイユ宮殿の観光客は
日本人と中国人で70%を占めていたような気がする。

そういえば、20数年前、
サンフランシスコから在米中国人に混じって
ベルサイユ宮殿に来たことがある。
その時の中国人ガイドは、中国の歴史と比較しながら
フランスやパリの説明をしていた。
これは非常にわかりやすかった。

当時もベルサイユ宮殿の豪華絢爛さには驚いたが、
中国の紫禁城や江戸城のスケールと比較すると、
それほどでもなかった。

20120124_versailles1.jpg

大きな疑問があった。
どうしてこの宮殿にはトイレがないのだ。
オマルを使用していたらしいが、
あの豪華な部屋の隅の方で、
傘が開いたようなスカートの中に、
侍従がオマルいれ、用をたした。

20120124_versailles2.jpg

マリー・アントワネットもそうした。
その時の音は?その時の臭いは?
男でも恥ずかしい。
だから中世ヨーロッパでは香水が発達した。

それにしてもこれだけ高度な文化をもつ
ベルサイユ宮殿の中にトイレが無いのは理解しがたい。
古いヨーロッパの城にはちゃんと
屋外にトイレがつくられていたのだから。
今回も「ベルサイユ宮殿トイレの謎」は解けなかった。

20120124_versailles-ceiling.jpg

ベルサイユ宮殿の庭園は、
ワシントンD.C.のリンカーン・メモリアル公園と
とてもよく似ていた。

20120124_versailles-garden.jpg

さて、ベルサイユ宮殿を見たあとは、
我々だけバスを降りて、
電車でパリ市内まで行くことにした。
船に戻ってしまうと、パリまでは船移動で、
パリ市内観光の時間はなくなってしまう。
私は有名な百貨店、ボン・マルシェを
どうしても見たかったのだ。

ベルサイユからなんとか、
電車でパリ市内まで行く。
電話の中では、たくさんの日本人学生や、
60歳過ぎの大阪のおばちゃんたちが
大声で大阪弁で会話をしていた。
懐かしい大阪弁だ。
本当にベルサイユからパリに向かっているのか?
頭が混乱してきた。
パリ郊外はサンフランシスコ以上に国際化している。

電車に約1時間乗り、
それから地下鉄に乗り換え、
ボン・マルシェ百貨店近くの駅に降りたはずだった。
結局、デパートまで1時間も歩いた。

20120124_bon-marche.jpg

空腹で倒れこむように食品売り場へ向かい、
1階のカフェのような場所で食事をした。

20120124_bon-marche-cafe.jpg

昼食が26ユーロ、
ニューヨークのイータリーという
イタリアン・スーパーマーケット/レストランの
空間の一角のような雰囲気であった。

ギャラリー・ラファイエット百貨店と同じく、
このデパートも1階が本格的な
スーパーマーケットだった。

20120124_bon-marche-furits.jpg

20120124_bon-marche-veg.jpg

20120124_bon-marche-seafood.jpg

お惣菜の種類もすごい。
フレンチはもちろん、アジア料理まで幅広い。
20120124_bon-marche-sozai.jpg

20120124_bon-marche-sozai2.jpg

20120124_bon-marche-sozai3.jpg

クリスマスシーズンのディスプレイは
目に楽しい。
20120124_bon-marche1.jpg

20120124_bon-marche-bulk.jpg

各食品売り場には必ず、
試食コーナーと担当者がいた。

20120124_bon-marche-demo.jpg

オースティンのホールフーズ本社も
ここから多くのヒントを得たに違いなかった。

20120124_bon-marche-demo3.jpg

20120124_bon-marche-demo5.jpg

京都の和菓子さんも試食デモをしていた。
日本の商品は情緒があって、高級なイメージで、
パリでは売れるらしい。

20120124_bon-marche-books.jpg

最後の夜だ。
再度、シャンゼリーゼ通りを歩いてみよう。

すると、行列している店があった。
あの有名なルイ・ヴィトンのパリ本店だった。

20120124_louis-vuitton3.jpg

行列というより、一度にあまり多くの人が入るので、
出て行く人を係員が止めて数分待たす。
そして待っている人が一斉に出る。
その数分の間に、また外には30~50名が並ぶのである。
この繰り返しが行列になっていた。

20120124_louis-vuitton.jpg

店員さんに聞いた。
週末は9000名から11,000名が来店するという。
この不景気に、この小さな店に、1万人も入る。
しかも安い商品ではない。
最低でも数百ドルはするものだ。

このブランド力、価格、価値、伝統の力。
ルイ・ヴィトンは世界最高のブランドなのだと、
つくづく感じた。
ルイ・ヴィトンのものを使ったことがないが、
初めて、そのブランド力を認めることができた。

20120124_louis-vuitton2.jpg

しかしここでも、客の70%はアジア人だった。
時代の変化を感じる。
確実に21世紀はアジアの世紀だ、と感じた。

さて、EUがどうなるか?
2012年、日本人はユーロ崩壊は間違いないと思っている。
あの誇り高いフランス人でさえ、言っていた。
「ドイツがなんとかしてくれる。ユーロは大丈夫だ」

もう昔のヨーロッパには戻れない。
EU加盟国の多くの国は陸続き、
国が狭くて数時間で国境越えなければいけないような
昔にはもう帰れない。
それが歴史の必然だ。

大借金を重ねたギリシャあたりが
破産するのは経済の必然。
歴史と経済の必然の綱引き、
ドイツの底力は勉強しないとわからない。
ロシア経済でもブラジル経済でも、
ドイツ系移民やドイツ・マネーの果たしている役割は大きい。
アメリカの人口も白人ではドイツ系が一番多い。

ドイツを語るように日本が語れるなら嬉しい。
21世紀、中国に吸収されないような
日本をつくって欲しい。

野田首相お願いします。
歴代の民主党首相には頼めなかったが、
自衛隊員の息子なら多少は解ってくれそうな気がする。

日本国は日本人が何とかする。
アメリカや中国が日本のために本気で
北朝鮮や拉致問題を解決してはくれない。
それは甘い期待だ。
そろそろ他国に依存した発想は辞めるべきだ。

そんなことを考えながら、
パリ市内の港に戻った船に帰った。
港の近くには新興住宅街があり、
新築のコンドミニアムがたくさん建ち並んでいる。

この周辺でMONOPRIXの新店を見学できた。

20120124_monoprix.jpg

パリ市内で一番頻繁に目に入ったスーパーだ。
この店は「モノプリ」といい、フランスに約300店展開しているらしい。

20120124_monoprix-dairy.jpg

1990年頃からエコロジーや持続型経済や社会を
目ざしている店で、人気がある。

20120124_monoprix-veg.jpg

青果売り場はカラフルでなかなか良かった。

20120124_monoprix1.jpg

20120124_monoprix-seafood.jpg

早く船に帰って、エッフエル塔を見ながら
最後の夜をワインで楽しもう。

20120124_cruise-dinner.jpg

ワインを飲みながら妄想が始まった。
2012年はアフリカ・キリマンジャロ(5895メートル)紀行を
書くことができれば、この上無い幸福だ。
キリマンジャロに登れる体づくりだけはしておこう。

20120124_eifel-asano.jpg

<By 浅野秀二>

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