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アメリカ流通 浅野秀二のアメリカ寄稿

浅野秀二のアメリカ寄稿

イタリア紀行【1】~いざ、イタリアへ!~

2010年07月16日(金曜日)
カテゴリー:
  • 旅先からのつれづれ日記
  
11:46 AM

ギリシャ神話に見られるように、
古代ヨーロッパは多神教・多くの神々がいた。
もちろん、古代ローマもギリシャに影響を受け、
名前こそ違えど、多神教であった。
アメリカのインディアンもポリネシアンも
インドのヒンズー教なども、ほとんどの国では、
古代は多神教であった。
要するに日本における八百万の神である。

人間はどの民族においても、
自然の恵み、生存に必要な太陽や水や岩や木を、
また、食糧となる動物や魚に心から感謝し、それを神として、
あがめてきた歴史がある。
感謝の心こそが、神を造った??

ところが、ローマ皇帝コンスタンティヌスが、
紀元4世紀、キリスト教を国教にすることによって
一神教(異教徒は認めない)となっていく。
この時、今までの神々を否定したので、多くの宗教戦争がおきたが、
皇帝の加護を受けたキリスト教の勝利に終わった。

一神教は誰の創造か?と言うと、ユダヤ民族の物語、
旧約聖書の中のモーゼが、シナイ半島で神の啓示をうけた
十戒の時代あたりに見えるが、それは私の勝手な想像である。
一神教は人間の心から湧き出る本来の姿ではなく、
政治的目的で発明されたような気がする。

とにかく、西洋キリスト教社会は、
一神教により、政治的パワーを手にした?
それが産業革命と相まって、多神教の国々を侵略、植民地化した。
「一神教になると国力は強化され、隆盛となる」と仮説持っていた。
だとすると、共産主義という一神教を抱いた中国13億の民が、
中華思想と一緒になって、21世紀の新興勢力として、
アジア・アフリカを征服、欧州・キリスト教諸国、
イスラム世界に挑戦する。
その時、日本の神々は滅びる。そんな事を危惧している。
それは今回の旅の途中、寛容を持たない一神教が、
必ずしも最強でないことを学ぶことになった。

さて、我が家には山の神がいる。
山の神のお告げは、イタリア旅行だった。
バチカン博物館でキリスト教の歴史を詳しく日本語で聞けるように
今回はJTBのツアーに参加することにした。

100716_subway-station2.jpg
サンフランシスコからフランクフルトまで12時間、
乗り換えて1時間半でイタリア・ミラノに向かった。

100716_mountains.jpg

途中、雪を抱いた峻厳・壮大なアルプスを見た時、
紀元前218年カルタゴの名将ハンニバルが、
北アフリカから、地中海を渡り、スペインのピレネー山脈を越え、
フランスに入り、アルプス越えて、5万の兵と37頭の象に乗って、
ローマ帝国に侵入、勝利の一歩手前まで行ったという
歴史の壮大なスペクタクルなドラマを中学の時代に習ったことを、
思い浮かべ興奮した。

初めてのイタリア旅行である。
長い間憧れていたが、生来のあまのじゃくで、
人が行くところにはあまり行きたくなかった。

中学、高校で習ったローマ帝国には、昔から強い関心があった。
また最近、塩野七生さんのローマ帝国の興亡史や、
『海の都の物語』、『ヴェネツィア共和国の一千年』6巻を読んでから、
改めてイタリアの歴史に興味を持ち、やはり1度は行く機会を探していた。
絶妙のタイミングで山の神の一声に従うことにする。
とは言っても、今回はJTBの一般募集観光であり、
ある程度の好奇心は満足させれば良い。

ミラノからベローナ、ベネチア、ナポリ、ローマが予定に入っている。
もちろん、イタリアのスーパーマーケットも
時間のある限り見学したいと考えた。

100716_supermarket.jpg

グルメなイタリアの食文化を堪能し、
イタリア民謡、カンツオーネが聞ければ、それは最高だ。

100716_supermarket-display.jpg

ところが、ミラノ空港へ2時ごろ到着したが、
スーツケースが2つとも出てきていない。
たくさんの人が列をなし、紛失中のバッグのクレームをしていた。
荷物は明日の午後に届くでしょうとのことだった。

ホテルが毎日変わるので本能的に、最低でも2~3日、
いや最悪、今回の旅では出て来ないことを覚悟した。
これには、相像以上に大きなストレスを感じた。
同じ体験をする人の気持ちが痛いほど解った。
でも、これを引きずっていては、旅行は楽しめない。

100716_subway-station.jpg
手ぶらになったので、地下鉄に乗り、郊外のホテルへ入った。

100716_subway.jpg

ホテルはジプシーの多い地区でレストランがほとんどなく、
あまりいいロケーションではなかった。

100716_hotel.jpg
2時間後、ホテルのロビーで日本からの添乗員にあった。
団体はアメリカからではなく、日本から来ていたのである。
我々はそんなことさえ、知らされていなかった。
添乗員は、流通研修ツアーでも来たことのある
知り合いの柳田氏であった。彼なら安心だ、すべて任せよう。

部屋に入るが、コンピューターのケーブルがないので、
しばらくインターネットが使えそうもない。
もちろん、着替えも、歯ブラシもない。これには本当に落ち込んだ。

初日がついに終わった。
いつも問題はある。忘れて寝よう。
明日からリカバリーだ!

100716_red-car.jpg
浅野秀二
7月15日

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I Love You

2010年07月05日(月曜日)
カテゴリー:
  • アメリカからのメッセージ
  
12:38 PM

「I love you, Yes I do.
愛しているよと君に言いたくて、そのくせ、怖いのさ
君に今度会うまでに、見つけておこうね、その勇気を」

これは加山雄三の歌「恋は紅いバラ」の一節である。
作詞:岩谷時子 作曲:弾厚作


この歌を歌って幾年かの歳月が流れた。
メロディーもさることながら、歌詞が気に入っている。
当時10代の思春期の自分の心境と同じだったことが心に残ったのだ。
今でも時々、メロディーや言葉が頭をよぎり、
目をつぶって自然と大声で歌っている自分がいる。


ニューヨークからデンバー経由で帰った。
100705_times-square.jpg

久しぶりのデンバー空港だ。
100705_airport.jpg

ニューヨークから飛行機で4時間5分。
デンバーからサンフランシスコまでは3時間30分だ。
アメリカ大陸は広い。
このロッキー山脈にある町、デンバーは“1マイルシティー”と呼ばれ、
標高1,600mの位置にあるが、西側は山脈だが、東側には地平線が見えるのである。
100705_sky-view.jpg


飛行機の席で、やはり、この歌を歌っていた。
何しろ、冒頭の歌詞は、英語であり、隣のアメリカ人でも解る。
隣の男が笑っていた。声を押し殺し頭で歌う。
“You”はアメリカでは複数形としても考えることが出来る。

歳月の流れは、私の心境を多少変化させている。
頭に浮かんで来るyouは女性だけではない。
今まで知りあった多くの人々、時には、私に辛くあたった人も、
私に試練を与えてくれた恩人であり、何か素直に心のなかではI Love youと言える。
もちろん、家族や友人や仕事で知り合った多くの人に、
今まで言葉で言うことは叶わなかったが、ブログの中で心からI Love youと伝えたい。

同時に浮かんでくるのはI Love my Jobという言葉だ。
100705_supermarket.jpg

つくづく自分の人生の中で、今やっていることが、
本当に好きだと思える仕事に出会った。
この幸せは計り知れない。

思わず加山雄三の「僕は幸せだな」とツイートして(つぶやいて)いる自分がいる。
俺は本当に人間が好きだと思う。
人の幸不幸はつくづく人間関係だと思う。
多少の給与が増えることや、りっぱな家に住むことも幸せなことだが、
それは必ずしも幸福であることを意味しない。
会社や仕事が好きかどうかも、実は職場における人間関係で多くは決まっている。

店と顧客の関係もそうだ。
価格や商品が最も大事だと考えられているが、
実は店の人とお客さんとの人間関係が大きく左右する。
店にやってくる顧客に、すべての店の人がI Love youと素直に言えることが、
店舗繁栄の大前提だ。
社長が、店長が、部下やパートさんに向かって
I Love youと言うことが店舗繁栄の条件となる。
そうすれば、彼らは顧客に向かって、満面の笑みでI Love youと迎えるだろう。
自分にとって最も身近な人にI Love youと常に素直に言える心を持ちたいものだ。

100705_mms.jpg

今日も勇んで仕事に行く、どんな人に会えるかと思うと興奮は抑えられない。
今度こそ、「I love you 」と言葉で伝える勇気を持とう。

浅野秀二
7月5日

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JUNE(6月)のニューヨーク

2010年06月21日(月曜日)
カテゴリー:
  • アメリカ小売業-最新トレンド
  
3:57 PM

ヨーロッパでは「ジューン・ブライド」という言葉がある。
それは1年で1番気候が良く、結婚式に最高だからである。
日本の6月では、梅雨のため、結婚式は様にならない。

100621_asano.jpg

今、ニューヨークも初夏を迎え、訪問には最高の時である。
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来られる予定の方は、視察の合間を縫って、
ぜひセントラル・パークを散策していいただきたい。
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セントラル・パークに面する、
メトロポリタン美術館では、ピカソ展を開催している。
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禿げたピカソしか知らない私は、
彼の若い時の写真に、格闘家の姿を見た。
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肉体・性の神秘、悩める人間、
人間社会の矛盾や本質に迫る狂気をみた。

彼の絵に風景画があったような印象はない。
ピカソの絵の良さは相変らずわからない。
しかし、その絵は強烈な個性を放っている。
これは魅力だ。素人の私でも解る。
100621_picaso-pic2.jpg
現代は、素晴らしい絵が世の中にたくさんある。
「上手い」とか、「美しい」とか、
色々な形容詞が当てはまる数限りない絵や美術品。
特に生活のために働かなくてもよい豊かな現代は、
アーテストで満ち溢れている。
しかし、心を強く惹かれる絵は少ない。魂が感じられない。

ピカソの絵は個性こそ値うちだ。

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私は芸術には興味はないが、海外では美術館は時々行く。
それは絵画でも肉体・エロス、戦争の絵(人が人を殺す狂気)、
宗教画、人間の本質に迫るアートが多いことに興味を魅かれている。
ルーブル、メトロポリタン、ボストン美術館でも
驚くほどこれらのテーマが多い。

日本の芸術にはこれらに迫るものは少ない。
それだけ、世界史でも稀にみる競争の少ない、平和な社会であった証拠だ。

しかし、グローバルな競争に投げ出された今の日本、
政治も経営も変わらないと、日本は生き残れない。
いま、まさに芸術も平和も経営も、
人間社会の本質に迫り、本音で議論しないといけない。

スポーツも似ている。
元・全日本サッカー監督が最近の文芸春秋の中で語っている。
選手が試合中でも監督の顔色、指示を伺っている。
選手は瞬時に自分で決定・行動しないといけない。
小売業で言えば、現場力だ。パートさんが選手だ。
他所の店の物マネや、上司の指示待ちには感動はない。
競争・生存のために優先順位を瞬時決定する現場力。
スポーツや芸術を愛する集団が、現場力が店舗を躍動させる。
ピカソ展でそれを感じた。

ニューヨークのスーパーはすべての店舗に個性がある。感動の連続だ。
100621_fairway-market-store.jpg

FAIRWAY MARKETのオーナーの息子にもインタビュー出来た。
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自由の女神の見えるブルックリンの店である。
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「1週間に$1.6ミリオンを売っている」と言っていた。
「月商約6億円?年間70億円、信じられないが…?」と私は再確認した。
そうすると彼は、
「我々のブロード・ウェイの店は、面積当たり、一番売っている。
1週間に$2.4ミリオン(単位:100万)売っている」
と言うのである。
私は思わず、
「ギネス・ブックに載っているのは、スチューレオナルドだ。
面積あたりの売上げは、彼らが一番のはずだ」
と、反論をした。

100621_stew-leonard-facade.jpg

彼は答えた。
「それを我々は抜いた」
思わず、「ニューヨークのトレーダー・ジョーズはどう?」と
聞きそうになったが、いや、その話はやめよう。

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真実はともかく、「これから6店舗の店を近い将来15店舗にする」と強気だ。
「ありがとう。また、来週も来るよ、頑張って成功させて欲しい」
幸運な視察第一歩になった。

今回はウォルマートの新装開店初日にも遭遇している。
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全体的に4月に来た時より、店は微かに客が少ない気がした。
ニューヨークの景気は、株価次第。
悲観論、楽観論あるが、私は後半から徐々に良くなると思っている。
それは不景気に飽きたから??
経済よりあたらぬ心理学だ。
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強気に行こう、タイムズ・スクエアで若者から、
世界の人々から元気をもらおう。
弱気は死んだ後で十分時間がある。
せめて生きている時ぐらい強気で行きたい。
100621_kids.jpg

ディナークルーズにも行った。これが一番の感動であったようだ。
100621_dinner-cruise-statue.jpg

予算の問題もあろうが、感動体験に外せない条件もある。
ホテルはマンハッタン内、食事も大切だ。
美術館や街や公園を散策する時間があればなお良い。
100621_asanogirls.jpg

今回の研修も感動の涙と笑顔で別れた。
100621_dinner-cruise.jpg

浅野秀二
6月20日

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