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アメリカ流通 浅野秀二のアメリカ寄稿

浅野秀二のアメリカ寄稿

ホール・フーズとナゲット

2009年02月24日(火曜日)
カテゴリー:
  • 視察&インタビュー日記
  
10:20 AM

昔からメモは取らない。ノートも書かない。
これで50数年生きて来た。

理由はミミズが這ったような自分の文字が、後で読めないのである。
また、書いてもそのノートを、どこに置いたか見つからない。
冷蔵庫にある、目の前のチーズも発見できない。
メガネを持っていながら、メガネがどこにあるかと探す。
人は老化だ、ボケが始まったと言う。
もしそれが真実なら子供の頃から、ボケがすでに始まっていたというしかない?

メモを取らないと良い事もある。すべて一発勝負である。
2度と復習はしないので授業も一度聞いたら、すべて記憶しようとする癖がついた。
本も2度と読み返さない、頭は常に真剣勝負である。

結城先生からブログの話があった時、この自分の習慣を変えようと、
挑戦しようと考えた。
メモを取ることにしたのである。
そのノートを最近無くした。
ノートを取っていたので安心をしたのか?
その間の記憶がまったく存在しない。困った??
こうなったら、断片的記憶と写真に頼るしかない。

あるスーパーからホール・フーズのような自然食、有機を中心としたスーパーをつくりたいので、徹底的にホール・フーズを研究する視察団を送りたいという依頼があった。

年末、クリスマスを挟んだ視察アポは、取りにくい時期である。
研究テーマ、依頼項目を見ると、とても私の手に負えそうはない。
もちろん、私が出来ないと言うより、
相手ホール・フーズや、そのベンダーが、
そこまで我々の要求に答えてくれるとは、思えなかったのである。

彼らも多忙。日本の研修を受け入れても何のメリットもない。
企業秘密もある。
私も容易に引き受けて、出来なかったら、責任問題も発生する。
リスクは取れない。クリスマス、お正月、ついでに不景気だ。
弱気な心が自分を覆う。

その時、ナゲットのマネジャーの店長・ジョンの顔が浮かんだ。
彼はノードストローム高級百貨店でバイヤーを20年務め、部長職を辞めて
ナゲットに入って一月しか経っていなかった。
フーチュン雑誌で働きたい会社10位まで上昇した、ナゲットのチーム・メイト全員が
2008年当時、胸に金の鍵をぶら下げていた。

ジョン氏いわく、
人は常に挑戦を無意識のうちに避けている。
する前に不可能と考えている。
その心と扉を開ける鍵がこれだ

と言う。

私はこの依頼を受ける決意を固めた。やらねば男がすたる。
相手が断ってきたら、この熱い思いで、相手の扉を開けるのだ。
鍵など要らぬ。

2009年、ナゲットに再び行った。
全員が豚の羽がついた黒いTシャッツを着ていた。なぜ? 
豚に羽は付いてはいない。
絶対起こりようが無いこと、それに彼等は挑戦しようとしていると言う。

不可能を可能にする翼!!

この12店舗しかない田舎会社は、
1)世界的レベルの雇用者となり、
2)世界レベルの接客を身に付ける、競争相手はスーパー業界だけではない。
3)常なる改善を目指す。
田舎者にしては? 失礼、言うことがでかい。(私はだからナゲットが好きだ。)

私が大好きなナゲットの店舗

ガンから這い上がった経験を持つ、
ブログを一緒に書いている私より熱い心を持つ五十嵐ゆうこに、
この旨を伝えた。
彼女は飲み込みが早い。否定形も、躊躇も無い。浅野さんやりましょう。
連日の挑戦が始まった。電話、手紙、実際に現場に行く、何度も何度も。
さすがに200キロも離れた農場まで行くと、オーナーも心を動かす。

我々は、ホール・フーズの農産物を卸している農業経営者、
農務省の有機認定のインスペクター、ホール・フーズの4店舗のマネジャーは
もちろん、社員教育係り(イディケイターと呼ぶ)、80%の魚を卸している問屋、
惣菜を供給している工場、配送センター、青果市場などアポを取った。
2月初旬、やっと何とか、形が出来た。
これもジョン氏のお陰だ、いや私を信じて依頼をして下さったお客様のお陰である。
熱い思いをぶつければ必ず道は開ける。

容易にNOと言ってはいけないのである。
NOと言う私(日本)から、YESと言える浅野に少し変化出来た。

ホール・フーズもここまで行くまで、不可能を不可能と思わず挑戦をしてきたはずだ。
私もこの日本の依頼者と共に、志を持って挑戦したい。
ぜひ今回のように尻を叩いていただきたい。

浅野秀二
2月18日 

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世界一のランの花栽培・松井ナーサリー訪問

2009年02月12日(木曜日)
カテゴリー:
  • 視察&インタビュー日記
  
12:00 PM

今日は日曜日。
今回のリーダーは桑原社長、山梨盛和塾代表世話人でもある。
シリコンバレーの塾生企業、松井ナーサリーと山ちゃんラーメン訪問となった。

松井さんに連絡をすると、
サンフランシスコ空港まで自家用飛行機で迎えに来ると言う。
自家用ジェット機!

「ホテルまでリムジンが来て、
それから私が皆様を私の農場まで飛行機でご案内をします。」
一瞬言葉に詰まった。
確かに米国生活30数年の私は、農家の経営者が自家用ジェットで、
自分の農場や都市を自由に移動することは知っていた。
しかし、それは他人の話で、長い間、自分の身近な話ではないと思っていた。

日本に連絡すると、桑原社長は絶句。
「浅野さんどうしましょうか?」 
「いや、そういわれましても?」
明らかに戸惑いが感じられる。

「どうしたら、お礼が出来ると思いますか?」
「お土産に富士山でもあげてください。」
そう答えるしかない。
では
「富士山の写真を持っていきます??」
「それで行きましょう??」

松井さんは47年前、わずか1万円をもってカリフォルニアにやって来た。
徒手空拳からの成功物語は、今では伝説的である。

子供は4名全員ハーバード卒。
一人のお嬢様は日本で活躍する、
ゴールドマン・サックスの副社長、キャシー松井女史である。
文芸春秋、日経新聞、ダイヤモンドなど経済雑誌でご存知の方も多いと思う。

松井ナーサリーは、今は世界一のラン栽培農家である。

農場の広さは36ヘクタール、1000坪のハウスの数が約50棟。
年間350万鉢を出荷し、カリフォルニア市場の25%のシェアを占めている。

ラン栽培は、60歳過ぎてから挑戦したと言うから、
驚きを通り越して怪物? 
失礼。
いや、今でも青年のように走る。
若干73歳、どう考えても50代にしかみえない。(写真をご覧ください)

トレーダー・ジョーズのラン販売の仕掛け人でもあり、
コストコ、セーフ・ウェイなどにも卸している。
トレーダー・ジョーは「仕入れの50%以下の掛け値(薄利多売)」、
セーフ・ウェイは「卸値の約2倍」、コストコは「輸送コスト+卸値、花で客寄せ」と聞いた。

ランの売り方でも会社の方針がわかる。

世の中、金持ちはたくさんいるが、松井さんはそれだけではないのである。
サリナスに住む、メキシコ系農業労働車の子弟を中心に、
金が無くて大学に行けない若者に、
奨学金は一人年間、一万ドル、4年間で一人あたり4万ドル。
毎年それを新規に十数名、一年間に8000万円程度提供している。
今までに47名が恩恵を受けた。
今年は13名。
今後、財産150数億円すべては、松井基金を通じて人創り・奨学金に寄付をする予定という。

この偉大なアメリカの大地が生んだ偉人に同行した桑原社長の息子は平凡な20歳の大学生。
お父さんに連れられて特別興味もないアメリカに来たようだ。

私は、この数日で、彼の目の色が少しづつ変わってきたことを、感じていたが、
松井さんとの出会いは、決定的なショックになったようである。
最後に彼はニコッと笑って「またアメリカに来たいと思います。」と言った。

この大学生の言葉に目頭が熱くなった。
私は本当に良い仕事を選んだ。
日本の若者よ、フリーターなどしている暇などない。
世界は君たちの挑戦を待っているのだ。
日本を飛び出せ、日本はいつでも帰れる。

その後、飛行機でサリナスから再びサンノゼ空港まで送っていただいた。
空港には、シリコンバレー盛和塾代表世話人、山下さんが待っていた。
塾生と昼食をとる。この人たちの笑顔がたまらない。
その後、アメリカのラーメン巨大市場を狙う山下さんの工場見学。
家族5人が、力を合わせて努力する姿は、古い、忘れかけた日本の良き家族と
家長・山下氏のカリスマを見た。
その本質は優しさである。

盛和塾の皆様、ありがとうございます。

美しく咲いたランの花

浅野秀二
2月9日

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アメリカのORE,ORE詐欺??

2009年02月02日(月曜日)
カテゴリー:
  • アメリカからのメッセージ
  
11:40 AM

Hi,
It is with profound sense of sadness i wrote this email to you.
I don’t know how you will find this but you just have to forgive me for not telling you before leaving.
I traveled down to Nigeria Yesterday for a seminar but unfortunately,
all my money and all other vital documents were stolen during the robbery at the hotel where i lodged.
I find things difficult here and i don’t know what to do at the moment because all the connections
to phone were all disconnected and the only source left are the computer in the hotel cafe.
I email to ask if you can lend me 2,500.00 so i can settle the hotel bill and return home.
Please do me this great help and i promise to refund the money as soon as i get back home.
I asked one of the attendant here if they could accept credit card
but i was told that the only means of receiving money here is through Western Union.
Please let me know if you can help me send the money,
Below is the details to you will be send the money to via western union.

そして送金先が書いてあった。

英文の好きな方はぜひ読んで戴きたい。
実はこの手紙は、知り合いの有名なスーパー店舗の
アシスタント・マネジャーから届いたものである。
確かにメール・アドレスも彼からのものである。

「悲しい事をお知らせしなければいけない、
私はナイジェリアに行って、金も財布も必要な書類も盗まれた。
電話も出来ない。使えるのはロビーのインターネットだけ。
どうか、$2500送ってください。
お願いします。帰ったらすぐにお返します。」

店に電話をしたら、彼は会社を半年前に辞めていた。

それでもあの善良そうな彼、いくら金がなくなっても、私を名指しすることなく、
HI で始まる不特定多数に書くような、このようなメールは書くはずが無い。いやそう信じたい。
私は、アメリカ版俺俺詐欺と考えた。
彼の名前と、メールアドレスが盗まれたに違いない?!

日本では非常に多くの「オレオレ詐欺」がある。
私の両親にも電話がかかって来た。
ダシは成人したばかりの孫である。
実に簡単に結論は出たようだ。母は金を持っていない。
「お金を貸してください。必ずお返しします。お願いします。」
電話はすぐに切れたそうだ。

いつも
「オレオレ詐欺に引っかかるほど、ボケてはいけない。
アメリカでは引っかかる方にも50%の責任があります。
騙すほうも、騙されるほうも、お互い様です。
これがグローバル社会の掟です。

(ここからまた飛躍するが?)
侵略する方も悪いが、侵略される方にも半分の責任がある。
平和憲法では平和は護れない、核武装こそ抑止力になる。」
と、常日ごろ語っていた。

「尊敬する、賢い大阪のおばちゃんは引っかからない。」
「アメリカ人は絶対に引っかかる事はない。日本人ほど、脳が退化してはいないから?
 オレオレ詐欺は実に日本的です。」
など勝手な事を言っていた。

でもどうもそれは事実でないそうで、
このような手紙は、ずいぶんアメリカでも出回っているようだ。
このメールでもわかるが、やはり、この国でも騙される人もいるようだ。

会社には年に一度は、
一見あたかもカリフォルニア州政府から来た手紙のごとく、
株式会社登録、議事録申請料金$250とか、とにかく請求書がくる。
どこから見ても、政府から来た請求書のようで、送金をする人が多い。
私も弁護士に相談するまで信じきっていた。

ボケの問題ではなく、彼ら詐欺師たちは、私たちの知恵を上回るプロ。
解っていてもだまされる、昨今の金融業もプロのペテン師たちもそうだ。
弁護士は詐欺の合法ライセンスをもった職業? 
そんな人もいるかもしれない。

逃れる方法はある。私の母のように金が無ければ問題はない。
お日様と、ささやかな生活、友人にも恵まれ幸福な人生のようで安心している。

でも気になる、彼が本当に困っていたらどうしよう??
「オレオレ詐欺」は、本当に人間の心理をついた巧妙な行為である。

浅野秀二
1月30日

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