商人舎

アメリカ流通 浅野秀二のアメリカ寄稿

浅野秀二のアメリカ寄稿

愛のコリーダ

2009年01月15日(木曜日)
カテゴリー:
  • アメリカからのメッセージ
  
12:31 AM

ブログも5、6回書くと、地が出るというか? 本音というか?
下衆な私の心が抑えきれなくなる。
真面目な結城先生の顔が浮かんでは来るが? 
私に投稿を依頼された不運を嘆いて戴くしかない。

1976年、大島渚監督が、あの1936年の阿部定の猟奇事件を題材に映画を撮った。
下町の男女の性的執着と究極の愛を扱った1976年の名映画『愛のコリーダ』。
サンフランシスコでノンカットで見たときの衝撃を、
今でも鮮明に覚えている。

「英語を憶えるのは、外人の女性とデイトするに限る」
と言うありがたいお言葉を信じて、
私は何度も色々なアメリカ女性をこの映画に誘った。

見せたかったのは、その猟奇的内容ではなく、
愛の行為が遊びまで昇華され、文化になっていること。
私は、そこに感動したからである。
(藤竜也と新人女優の演ずる、その感動的エロティックな行為を、
ここではさすがに書けないが…)

私はアメリカ女性に言いたかった。
貴国と違い、わが国では、それはスポーツでも、本能的行為でも、労働でもない、
長い歴史を持つ日本は愛の行為を文化・遊びにまで高めたのだ、と。

源氏物語や京都の色街と結びつけ、
浅はかな知識、下手な英語でまくしたてた。
もちろん、その晩は、私が光源氏になるはずであったが? 
遊びを知らぬ、野暮な日本の若者でしかなかった。
青春はこの地・アメリカでも暗いのである。

何年後か、新聞記事をみて、意を得たりと、強く共感をした。
日本の映画監督が、オーストラリアに2年ほど住んで、
かの地は、セックスは単なるスポーツか、本能だけの世界と書いてあった。

フォロンティアの国、アメリカやオーストラリアでは、
日本の源氏物語や、中国の金瓶梅、インドの性典、カーマストラも生まれない。
ローマはどうか? 
食べたものを、一度吐いて、再び食べた続けた。
彼らのグルメを考えれば、彼らの貪欲な遊び心も容易に想像できる。
食べ物もメイクラブも? 
同じである。
覇権を握った近代の西洋は
ワインと音楽・ワルツが、すべてを物語っている。
これを壊すのが、田舎物のドイツ人だ。
雅も遊びも解らぬ男たちは、
いつこの世を、戦争という行為で人間の情念を昇華する。

ここから論理の飛躍がある。
(これを評して人は浅野節という)
この大切な遊び心が
日本のスーパーマーケットや小売業には無いのである。

客に尻を向け、汗をかいて労働する。
上司が大きな声で客の前で怒鳴る。
笑顔一つ出来ない。
難しいコンサルタントの先生方、面白くない店ばかりだ。
店内は労働現場、ひたすら必死形相で働いていた。
(すみません、30年前の話しです)
マネジャーに褒められた。これでは彼女や主婦は落ちないだろう。

商業はエンターテイメント、劇場なのだ。
物売りなどという発想から抜け出して、
遊び心、非日常性、喜びの演出が期待される。
何度も貴方のもとに繰り返し通わせたい、その知恵をだせ。
それは私の暗い青春の軌跡・歴史が証明している。

世の中は100年来の不景気だ。
でも良く考えてみる。
これ以上、を作り、商品を買い続ける。
この限られた有限の地球世界でそれが可能か? 
ということだ。
人間の数は、やがて60億人をこすという。
あらゆる資源、水や空気ですら、
この生産活動に耐えられなくなってきている。
持続型(Sustainable)社会・農業・生産活動・経済、環境、
すべて目指すべきは、サステイナブルなビジネスだ。

人の喜びや、遊び心は無限だ。
エンターテイメントや持続型を目指す。
ここに自然食スーパーマーケット「ホール・フーズ」の存在意義がある。
ホールフーズ

ホールフーズ2
ホール フーズのホール スマイル

21世紀の不景気脱出に、遊び心が果たす役割は大きい。
後は環境、美容、健康だ。
戦争の選択はもう無いのである。
そこが20世紀と違う。
ホールフーズ1
(なぜか、愛のコリーダのタイトルが、
ホール・フーズの存在意義になってしまった。もうめちゃくちゃである。)

浅野秀二
1月12日・2009年

コメント (0)

試行錯誤

2009年01月10日(土曜日)
カテゴリー:
  • アメリカからのメッセージ
  
4:12 PM

「本領安堵されぬ時は、君も君と思わず」
鎌倉実記の中にある御家人の言葉である。

要するに、命を賭けて戦った、その報酬、本領安堵が、
不十分であれば、君子に忠誠である必要はないと、
言っているのである。
これが鎌倉武士の心意気であった。

彼らは実利を求めて戦った。
これが彼らの武士道であった。
今で言えば、アメリカや世界が唱える国益であり、
ロシア・マフィヤの掟である。
利が無かれば、裏切りは当然どころか(?)、
それは十分な報酬を支払わない方が、裏切ったと考えるのである。

ところが、高倉健さん演ずる、やくざは多少違った。
与える土地が少なくなり、武士道が名誉のみとなった、
江戸時代の葉隠れ武士道。
その影響を受けたのが、健さん演ずるヤクザであった。
要するに、日本人は利より忠誠心を、健さんに見たのだ。
我々は彼に憧れた。

日本人はこの葉隠れで戦った。
武士道とは死ぬことと見つけたり。
日清、日露、太平洋戦争も、赤紙一枚でこの精神で戦った。
利は(合理性)は無視された。
鎌倉武士なら決して真珠湾攻撃はしない。

話は変わる、若い時の事である。
保険会社の新入社員で最優秀成績を収めた我々は、
社長表彰をもらうことになった。
若い私にはこれは一枚の紙切れとしか思えなかった。
社内を一歩出れば、何の価値もない紙切れのために、
俺は一生働くのかと思ったら、
涙が出てきた。
破り捨てた。
若者は過激である。
会社は3年以内で辞める。
東京の満員電車とも、この灰色の空ともおさらばだ。
東京に一戸建ちの家を買ってくれたら結婚してもいい? 
そんな事を言った美人の彼女ともお別れだ。

突然、旅行社の看板が目に入った。
カリフォル二アの青い空、
ブロンド美人のビキニ・スタイル、
ローラー・スケートに乗ったポスターである。

これだ、アメリカに行こう?
青い目の彼女が待っている。
地平線の見える国、青い空のある国、フロンティアの国だ。
まだ日本史で言えば鎌倉時代かもしれない。

また別な話。10年以上も前のことである。
シリコンバレーの大成功でニューエコノミー論が語られ、
世界経済は、不景気のない時代に入ったと信じられたころである。
ロングビーチからメキシコのエンシナダに行くまで、
船上セミナーの講師を務めた。
NTTドコモ、第一製薬、JR東日本など若手幹部社員相手だ。

セミナーを開いたホリデー号

その時、以下の質問をした。
売り上げ100 億円の会社、従業員が1000名の会社の
売り上げと利益が20%下がった。
どうするか? 
3つの中から選んで議論をしましょう。正解はない。
1) 給与を20%カットする
2) 従業員を20%カットする
3) 従業員を40%カットして、20%の報酬を上げる
さあ、どうするか?
これを議論する。
さあ、皆様ならどう答えますか?

講義の様子

当時、私が言いたかったのは3)の解決であった。
1)  やる気のある従業員の士気に影響するのでダメ
2)  終身雇用、社員の調和が崩れる
3)  必要以上の人を切り、本当にやる気のある人間だけを残して成功報酬を増やし、
    真の戦闘集団・少数精鋭主義をつくる。

それはシリコンベレー的経営が賛嘆された時代であった。
やがて、インターネット景気もバブル化して瓦解する。
その次の波は、金融であった。
ニューヨーク、ウォール街の大躍進である。
製造業をあきらめたアメリカは金融帝国を目指した。
広さ1平方キロのウォール街でなんと1年間42兆円稼いだのである。
製造業のトヨタは世界36カ所に工場を持ち、
何十万人の雇用で、たかだか2兆円の利益だ。
ウォール街、この金融バブルも、一瞬にして、音を立てて崩壊した。
2009年は世界中を巻き込んだ100年来の大恐慌の到来である。

話はここでまた、変わる。
先日、ゲームソフトを作成している社長さんと話をした。
「浅野さん、一昨年は、ものすごく儲かりました。
頑張った優秀なエンジニアには成功報酬をたっぷりの弾みました。
ところが、ボーナスをたくさんもらった社員は、
翌日から出勤しなくなりました。
電話を掛けると、十分お金があるのに、
どうして会社にいって仕事をしなければいけないのか?
浅野さん、私は何か間違ったことをしたのでしょうか?」

トヨタ生協の人事課長と、一緒に、徹底的に調査・インタビューを繰り返した。
フォーチュン雑誌で話題になった、
社員が喜んで働く上位100社のうちの、
ホールフーズ(当時アメリカで4位)とナゲット(同13位)。

「会社のどこか好きで、何が働きやすい条件で、何に満足をしているか?」
決まって彼らの答えは同じであった。
「社長が好きだから、働く仲間が好きだから、
会社は私たちの事を考えてくれるから」

それは忠誠心であり、お互いの信頼であった。
日本の忘れ去られつつある、古い価値観と同じであったのだ。

我々の誘導的な質問にも、給与が高いから、
福利厚生が良いからという回答を導き出すことにはならなかった。
トヨタ生協の人事課長は困った。
浅野さんこれでは報告書は書けないですよ。
成功の理由が心にあったなんて。
我々は確固とした眼に見えるもの、
例えば高いサラリーや、良い福利厚生、成功報酬、効率経営が、
一番の動機になっているに違いないと、それを再確認しようと、
優秀スーパーマーケットの調査にアメリカに来たのですよ。
意外にも我々が発見した真実は、
アメリカ企業を底辺で支えてきた忠誠心であった。
決していままで語られることのなかったアメリカの、目に見えない心の部分。
アメリカをここまで大国にし、底辺で支え続けた本当の真実に触れたのである。
それをスーパーマーケット経営で見たのである。
シリコンバレー的経営、ウォール街的経営がアメリカのすべてなかったのであった。
この国は敬虔な清教徒が造った国であったことを思い出した。

しつこく、長い文章になった。
お陰で私も色々な試行錯誤を体験し、異文化の中で考えてきた。
本当に大切なものは、やはりバランスなのである。
物心両面から見た満足や幸福、目先の利益は、
必ずしも長期的成功・繁栄・幸福を約束するものではなかった。
100年以上続く会社が日本には10万社ある? 
長く生きづいた伝統と歴史、英知がある。
再び世界は驚く、21世紀の日本は必ず再生する。
それは国益を、真実を、冷徹に見極める新しい合理性と行動力を身に付け、
人を大切にする古い心のあり方である。

浅野秀二
1月10日、2009年

コメント (0)

エア ケイ? 圭君って誰だ?

2009年01月09日(金曜日)
カテゴリー:
  • アメリカからのメッセージ
  
4:44 PM

「テニスの今季ツアー開幕戦、ブリスベーン国際は7日、オーストラリアのブリスベーンで行われ、男子シングルス2回戦で、世界ランキング61位の錦織圭(にしこり・けい)(ソニー)が、同20位で第5シードのトマーシュ・ベルディハ(チェコ)を7―6、6―3で破り、準々決勝に進んだ。
 錦織は身長195センチのベルディハに的確なサーブで対抗し、第1セットをタイブレークの末に先取。第2セットもサービスゲームをキープし、相手のミスも重なって快勝した。」

昨日のインターネットの記事である。
残念ながらこの後、ベスト4進出はならなかった。
北京オリンピック、ウインブルドンにも選ばれた、
日本の誇るテニス会の王子様、18歳の若手ホープです。

小学校の全国大会で優勝をして、あの松岡修造テニスプレイヤーに見初められ、
ソニーの盛田正明氏の奨学金で
13歳でフロリダの「IMG ニック・ボロテリー・テニス アカデミー」
(あの美人テニスプレーヤー、シャラポア所属)へ留学した。

それしても、日本一のテニスプレイヤーであった
松岡修造氏の眼力はたいしたものである。
何年も前から彼は、彼と無名時代の少年、錦織圭君を比較されると、
「彼の才能と私の才能を比較するなど、おこがましい。
彼の才能は自分とは比べれないほどすごい」
と答えていました。
その眼力の正しさはその後も錦織圭君の活躍で証明される事になります。

錦織くん2

私は同郷・松江という事で、
17歳の彼の試合をロスやサンノゼ大会で応援に行きました。
会って話をすると礼儀正しく、やさしく、
我々の時代と変わらない純粋な少年の姿に驚き、いっぺんにファンになりました。

その後、自分の手の届かないような有名な存在になってしまいましたが、
でも今でも彼は変わってはいないと思います。
何事にも(悪い方へ)変わらない、彼は心の強さを持っています。
その子の心の才能を見出したからこそ、
13歳でアメリカに安心して送り出した両親がいました。

「あの子は大丈夫ですと」 
松江の大橋館で話した時、
この子に、この父親ありと、つくづく納得をしました。

彼の無名時代に数社のスーパーにスポンサーをお願いしてみました。
それは名の売れたニューヨーク ヤンキースの松井のような有名人より、
無名の新人のほうが効果があるという信念です。
広告には驚きが必要です。
無名だからこそ大化け・ヒットの可能性があります。

彼の等身大の写真を店のウインドーに貼って、
「我々は世界チャンピオンを創ります」と宣言をして欲しかったのです。

売れ筋や有名人を追い掛けているようでは、経済右下がり状況では勝てません。
有名人起用は、皆仲良く一緒に成長しましょう、という
古き良き時代の名残りと認識すべきです。
新商品の開発や、無名の新人・錦織圭も起用こそ、
この閉塞感を打ち破り現状打破の道です。

日本のスーパーは彼を使用しなかった、

圭君は、必ず彼は世界チャンピオンになります。
その時は日本経済も復活、両方期待しましょう。
皆様、応援をお願いします。

彼と会うと仕事柄??スーパーに直行。
いや、彼は日本食が食べたいのです。

浅野秀二
1月08日

スーパー・マルカイで一緒に買い物
錦織くん1

コメント (0)
<次のページ
前のページ>

商人舎サイトマップ お問い合わせ
今月の標語
  • 目標主義者になろう。
カレンダー
2025年6月
月 火 水 木 金 土 日
« 8月    
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  
指定月の記事を読む
カテゴリー
  • JACアメリカ流通リポート (5)
  • お知らせ (1)
  • はつえの発見! in USA (2)
  • アメリカからのメッセージ (51)
  • アメリカ小売業-最新トレンド (13)
  • 写真でみる[最新注目店] (4)
  • 旅先からのつれづれ日記 (50)
  • 日本と日本人への想い (20)
  • 視察&インタビュー日記 (20)
最新記事
  • 2015年08月20日(木曜日)
    残暑お見舞い申し上げます
  • 2015年07月01日(水曜日)
    立命館大学同窓会流通業OB、京都に集まる
  • 2015年05月01日(金曜日)
    スペイン旅行(2)
  • 2015年04月24日(金曜日)
    スペイン旅行・マドリード
  • 2015年04月21日(火曜日)
    立命館大学流通研究会(OB会)の皆さまへ
最新コメント
  • 2015年01月01日(木曜日)
    初絵スミス :カボサンルーカスからクリスマスのご挨拶にコメントしました
  • 2014年12月23日(火曜日)
    浅野秀二 :カボサンルーカスからクリスマスのご挨拶にコメントしました
  • 2014年12月22日(月曜日)
    m.asai :カボサンルーカスからクリスマスのご挨拶にコメントしました
  • 2014年12月22日(月曜日)
    浅野秀二 :カボサンルーカスからクリスマスのご挨拶にコメントしました
  • 2014年12月21日(日曜日)
    片岡 :カボサンルーカスからクリスマスのご挨拶にコメントしました
JACenterprises 浅野秀二の米国セミナー講義録 ジョージ君、アメリカに行く

USA視察研修会Specialコース

定番視察研修会報告

参加者の声は天の声!

  • ホームに戻る
  • トップに戻る
  • 友達・上司・部下に知らせる

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。
Copyright © 2008-2014 Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.