商人舎

アメリカ流通 浅野秀二のアメリカ寄稿

浅野秀二のアメリカ寄稿

オバマ大統領誕生と2009年

2009年01月09日(金曜日)
カテゴリー:
  • 視察&インタビュー日記
  
12:21 PM

新年明けましておめでとうございます。

100年に一度あるか?ないかの?世界不況の真っ只中だそうです。
今日も、サンフランシスコの85年の歴史のある本屋さんがつぶれました。
直接には、
全国展開するバーンズ アンド ノーベルなどの大型店にやられての結果ですが、
それにしても2007年当時のビジネス(売上げ)の15%になったという、
すさまじい落ち込だったそうです。
2009年は20万軒の店舗と3000箇所のショッピングセンターが閉鎖するという予想もあります。

しかし、生活者の立場で見ると、日々行っているコストコもトレーダー ジョーズも
ウォルマートもセーフウェイイも以前と変わりません。
週末はパーキングがない。
やはり、食品スーパーとデスカウント業界は不況に強いですね。
住宅

さて、あと2週間あまりでアメリカは新しい大統領の誕生です。
あの絶大なる人気を誇ったヒラリー女史を破っての、
アメリカ初の黒人大統領出現は常識外の出来事です。

彼が当選した時、私はダラスにいました。
タクシーの運転手はアフリカから来た移民者。
夕べは家族で泣いてオバマの勝利を祝ったそうです。
自分の子供たちが(黒人)にも未来があるとうれしくて泣けて、泣けたと言うのです。
黒人のそこまで怨念は、我々日本人もにはけっして解らないでしょう。

オバマの勝利は、白人たちが力で黒人を抑えてきた時代の終わり、
アメリカ人の心理的変化です。力で押さえ込むという手法から白人と黒人の共生へと一歩。
それは国際社会においても、
一極主義から世界のパワーシェアリングに行くという心理的の変化です。
具体的に政治・経済・軍縮においても大きな変化が期待できます。

共生という未知の世界に入り込んだアメリカのリーダーが、
どこまで初心貫徹できるか?
日本は傍観者としてではなく積極的に関わって行く。
それしか、日本には生きる道はありません。
2009年こそ世界の人類が力をあわせ、問題を解決した時代として記憶されることでしょう。
それがオバマ黒人大統領誕生の持つ意味です。

浅野秀二
1月7日、2009年
添付
写真は一向に下がらない周辺の住宅
住宅2

コメント (0)

師走の帰郷

2008年12月25日(木曜日)
カテゴリー:
  • 日本と日本人への想い
  
6:11 PM

ガタン、ゴットン、トロッコの音ではない。
特急八雲号が伯備線を走る音である。

失礼な表現である。
仮にも特急である。耳を澄ますともう少しスピード感があった。
ガターン、ゴトーンとも、カターン、カターンとも聞こえる。

たっぷりと日が落ち、暗闇となった中国山脈の谷間を山陽岡山から山陰松江にむけて、列車は驀進中である。
列車は激しくいつも揺れる。
トイレは取っ手をつかまっていないと、
フェラガモの靴?、ルイヴィトンのズボン?を濡らすことになる。
ウォルマートで買ったコートでそれらを覆った。

世界に誇れる美しい日本の原風景の山々。
四季に変化する木々の色や花。瀬戸内海に流れこむ清流は、高橋川。
分水嶺を越えると日本海に向かい流れる日野川。
この闇の中では見えないが、私の心にはしっかりと焼き付いている。
何十回? いや優に100回以上は、この伯備線に揺られて
わが故郷・松江に通った。

10年以上前のことである。
当時のサラダコスモの土江営業部長が言った。
『浅野さんは、アメリカから日本に帰った時、両親を訪ねるの?』
当時は、実はそうでは無いことが多かったのである。
『浅野さんがいくら仕事が出来ても、親を訪ねないような人なら、俺は評価しないよ?』
それ以降、どんなことがあろうと、必ず年に数回、故郷に両親や友人に会いに帰る。
東京に住む弟は3年に一回、アメリカに住む私は3年で8回目だ。
人は言う。
『浅野は金と暇があっていいな?』
そうではない、そうしたいという気持ちがあるだけだ。

今回は幼なじみを7名招いて両親の家で宴会をした。
83歳になる両親にとって私の友達に会うことが最大の楽しみと思っている。
それは良き時代であった。疑いの無い愛があった。
腹をすかしていたせいか、飯が美味しかった。
弾けるような笑いがあった。夢があった。

ところで2008年の夏に松江の隣町、出雲市に超大型ショッピング・センターの夢タウンが出来た。
時代はNEEDの世界から、一時WANTに移ったが、また大きくニーズの世界に戻ったのだ。
ウォンツの世界。
ライフスタイル商品や、趣味、嗜好品、ブランド商品など、
夢のある暮らしが消えつつある。
特に地方都市にその傾向がひどい。
夢の無い時代に、夢タウンの出現だ。
“夢タウン”命名そのものが、一つの時代を象徴していたのである。
時代は変わったのである。

故郷の名誉のために付け加える。
ニーズの世界の消費にどっぷり浸かって、満足している私の友人たちは、老後を過ごすには十分すぎる貯蓄を持っている。
後は政治が何が出来るかどうかだ? 
若者の雇用が必要だ。
既存の考えでは計れない発想と志の問題だ。
日本の政治家と官僚にそれを求めるのは酷となる。
日本にはオバマは出現しない。

夢タウンはどうなるか?  言うまでもない。
名前を変える?  官僚はいつもそうする。
失礼、商人はどうする?  
今回はそれが命がけで問われている。そう命がけなのだ。

浅野秀二、12月21日、2008年

コメント (0)

2008年、最後のスーパーマーケット視察 

2008年12月25日(木曜日)
カテゴリー:
  • 視察&インタビュー日記
  
5:44 PM

結城先生のWEBに浅野コーナーを設けるから、何か書かないか?
とありがたい話があった。
ところが、私は過去に文章などは書いたことがないのである。

考えてみれば、たしか、小学校の夏休みの課題日記で書いたことがある。
『朝起きた。川に泳ぎに行った。山でチャンバラをして、隣の山畑の桃を食べた、
アゴがはずれるほど?美味しかった。夜は朝まで寝た』 
こんな文が42日も続く。

そういえば大学時代には、せっせとラブレターを書いた事もある。
『貴女の吸い込まれそうな黒い瞳、白い肌、モナリザのような微笑、
今、私がなぜ生まれてきたか? 私は解ったような気がします』
などと書き綴ったが、それは彼女の目に触れることはなかった。

WEBに寄稿する、この話はどう考えても、ハイリスクな事である。
しかし、常日頃、私はリスクを取れと言っている。
ダメなら修正、止めれば良いのである。
まず、一歩踏み出す事にした。
(しかし、結城先生をリスクには巻き込めない、そこが気がかりだ。)

サンクス ギビング・感謝祭の前の8日間、
テキサス州・ダラスとフロリダ州・レイクランドと、ワシントン、フィラデルフィア、ニューヨークを駆け足で巡った。

ダラスのマーケット・ストリートでは、店長のジェイソン氏、36歳が待っていた。
彼は16歳から働いている。店長になったのは32歳。いつも本当に良い事を言う。
『商品も売っているが、本当はサービス売っているのだ』
『チームメンバー378名の内、バガー、袋詰と車まで運ぶパートの高校生、大学生が75人もいる』
『年上の先輩には仕事で指示・命令はしない、いつもリスペクトを持ってお願いをする。そうすると喜んで協力をしてくれる。良いサービスを提供するために一番大切なこと、それは従業員満足だ』と。

レイクランド・フロリダ州では、高度成長スーパーのパブリックスを見る。
店は決して感動的な店ではない、期待値が高いほど、訪問者には失望が待っている。
ここは店長と話さないと、その良さは解りにくい。
運良く、店長インタビューがかなった。
『商品を売るのも本業だが、顧客の名前を覚えること、人間関係を構築することこそ本業』
上場はされてはいないが、66%前後の株は従業員が持っているという。

途中でオレンジの有機農場訪問。
大型の装甲車のようなバギー車で農場を走る。
バギー

日本からの訪問者は、子供にようにハシャギ、もぎとった有機オレンジを食べながら
農園主の牛に食べ残しのオレンジを投げる。
バギー2

牛の好物はここではオレンジ。
そして、この農場のスペシャリティーはオレンジ・ビーフ。
有機農業は地元で取れた有機肥料を優先するが、彼はディズニーの動物園の堆肥を使用している。
『気候、土壌、作物によってすべて方法は違う。有機農業のプロの話は参考にならない。自分独自方法を見つけるしかない』
説得力があった。
4名の可愛いい男の子たちと、小柄な元フィギア・スケート選手の美人の奥さん、青い空と1200ヘクタールの広大な農場、湖のような大きな池。ここにはアメリカの理想の仕事、生活、家族があった。

ワシントンでは、フード・ライオンのアップ スケールの店、Bloomを見学。
黒人女性のマネジャーらしき人が、カメラを持った我々を追っかけて来た。
『出て行け、店内を歩くな』
客は居ない、ようするに暇なのである。

15分離れたWegman’sに行く。
感謝祭前日である。一台の駐車場も見つからない。
3750坪の店内は身動きが出来ないほど混んでいる。
“浅野さん、アメリカは本当に不景気ですか?”
誰かが驚嘆して叫んだ。

フィラデルフィアでは、Aldi(Trader Joeと親会社は同じ)を見た。
これこそ究極のローコスト・ローオペレーションだ。
約200坪の売場に1300アイタム。
プライベート・ブランドではウォルマートより15~25%も安いと言われる、ハード・デスカウンターである。
軽薄短小のゲリラでしか、巨漢には勝てない。
6000坪、500名のアソシエイト・従業員、12万アイタムでどうして、ローコスト・オペレーションが可能か? 
ウォルマートは本当に最強か?
Aldiこそウォルマートをドイツから撤退させた張本人である。

ニューヨークのユニオン・スクエア、トレーダー ジョーズのワイン店舗の前に行列が出来ている。
ナーント? 入場制限である。信じられない。
この不況のおり、ホール・フーズが困難に陥ったニュースが駆け巡っている。
しかし、ユニオンス・クエアのホール・フーズ店が、また信じられない程の盛況である。
嬉しかった。
私は感動した、涙ものである。
ホール・フーズ、頑張れと心で叫んでいた。

少々高くても良い。この我々の生命を支えている地球、その美しさは比類なく、どんな
天才芸術家でも、自然より優れた美の表現者はいない。
その自然環境守ろうというのだ。
ホール・フーズ、君が現代スーパーの理論を変えたのです。
美しい地球を守り、人々の健康を守ろうと、我々に教えてくれたのです。ありがとう。

まだ本当のことに気がつかない多くの消費者の深層心理。
それは見えないところで確実に繋がっていると、心理学者のユングは言っている。
君の大いなる未来に引き続き期待したい。

追伸:この他、ダラスのセントラル・マーケットとニューヨークのファア ウェアマーケット(ブロードウェイ通り)が、不況をものともしない超繁盛店であった。
スチューレオナルド、ここは言うまでもない。カラスが鳴かない日があっても、子供が泣かない(笑わない)日はない。
子供連れの家族でパニック状態である。

浅野秀二、11月27日(感謝祭日に記す)

コメント (0)
<次のページ

商人舎サイトマップ お問い合わせ
今月の標語
  • 目標主義者になろう。
カレンダー
2025年6月
月 火 水 木 金 土 日
« 8月    
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  
指定月の記事を読む
カテゴリー
  • JACアメリカ流通リポート (5)
  • お知らせ (1)
  • はつえの発見! in USA (2)
  • アメリカからのメッセージ (51)
  • アメリカ小売業-最新トレンド (13)
  • 写真でみる[最新注目店] (4)
  • 旅先からのつれづれ日記 (50)
  • 日本と日本人への想い (20)
  • 視察&インタビュー日記 (20)
最新記事
  • 2015年08月20日(木曜日)
    残暑お見舞い申し上げます
  • 2015年07月01日(水曜日)
    立命館大学同窓会流通業OB、京都に集まる
  • 2015年05月01日(金曜日)
    スペイン旅行(2)
  • 2015年04月24日(金曜日)
    スペイン旅行・マドリード
  • 2015年04月21日(火曜日)
    立命館大学流通研究会(OB会)の皆さまへ
最新コメント
  • 2015年01月01日(木曜日)
    初絵スミス :カボサンルーカスからクリスマスのご挨拶にコメントしました
  • 2014年12月23日(火曜日)
    浅野秀二 :カボサンルーカスからクリスマスのご挨拶にコメントしました
  • 2014年12月22日(月曜日)
    m.asai :カボサンルーカスからクリスマスのご挨拶にコメントしました
  • 2014年12月22日(月曜日)
    浅野秀二 :カボサンルーカスからクリスマスのご挨拶にコメントしました
  • 2014年12月21日(日曜日)
    片岡 :カボサンルーカスからクリスマスのご挨拶にコメントしました
JACenterprises 浅野秀二の米国セミナー講義録 ジョージ君、アメリカに行く

USA視察研修会Specialコース

定番視察研修会報告

参加者の声は天の声!

  • ホームに戻る
  • トップに戻る
  • 友達・上司・部下に知らせる

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。
Copyright © 2008-2014 Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.