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第八回[最終回] 何を目的として情報システムと向き合うべきなのか?| コンピュータ・リテラシー研究会

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第八回[最終回] 何を目的として情報システムと向き合うべきなのか?

2009年03月02日(月曜日)
カテゴリー:
  • 當仲寛哲VS玉生弘昌 対談
  
11:00 AM

當仲寛哲(USP研究所)VS玉生弘昌(プラネット)対談 

対談を終えて、研究会参加者からは、率直な意見や質問がでました。
その一部を紹介します。

参加者:玉生社長にお伺いします。
これだけ情報システムが整備されてくると、
卸売業の役割というものが問われるのではないかと感じました。
このような状況で、小売業がメーカーと直接取引きをして、
利益を上げようとしないのは、なぜだと思われますか?

玉生:例えば、日用雑貨ですと、1つの小売業が、数百メーカーと取引を行います。
これを卸を介さず直接行うとすれば、物流センターの前に、
メーカーから直接何千台ものトラックが納品の列を作ることになります。
これはナンセンスなことですよね。

また、日本の日雑卸は、耳掻き1本でも、
発注すれば1本1本ピッキングして、納品することができます。
こうすれば、小売業は、在庫を持つ必要がありません。
これだけレベルが高い物流サービスは、世界中を見回しても、他にありません。

結城:日用雑貨の物流がそこまで発達した理由というのは、どこにあるのでしょう?

玉生:コンビニの台頭ではないでしょうか。
1970年代に、セブン-イレブンがコンビニエンスストアという業態を日本に広めました。
その後、コンビニもどきが次々と誕生しましたが、
そのコンビニもどきにはバックヤードがありませんでした。

そして、そのような店舗が、洗剤やシャンプーを、
いちいち日雑卸に持ってこさせたのです。

最近では、通路別納品や、売り場別納品までできる日雑卸もいます。

當仲:小売業の無茶なニーズにこたえることで、
卸売業のレベルが上がったというのは面白いですよね。
小売業が基点となって、卸やメーカーに影響を与えたというのは、
あらゆる業界に当てはまるように思えます。

■どこまでをシステムで吸収していくべきなのか?■

参加者:小売業は、特売の頻度が多いのも問題です。
特売をすると、それぞれをユニークなものとして認識しなければなりません。
システム上にその特売期間も、情報として持たねばならない。
それが物事を煩雑にしているように感じます。

當仲:小売りは売り方を工夫することが生存意義です。
そのために煩雑になるのであれば、それを技術的に吸収する必要がありますね。

どこで競争して、どこで競争しないかの線引きが必要です。

例えば食品の総合レジについて考えて見ましょう。
あれは1台120万円ぐらいするのですが、数が集まると非常に安くなります。
ところが、小売業はそれを各社でバラバラ仕入れている。その必要があるのでしょうか。

小売業のシステムは、業界全体で統一してしまうと面白くありませんが、
どこかしらのレイヤーで、共通化したほうが、
メリットが出てくるのではないかと思います。

参加者:伝票で人が動くので、いまだに店から伝票が無くなりません。
伝票レスなど実現できなさそうです。

結城:特にローカルのスーパーマーケットは、
情報システムにおける理想と現実のギャップが激しいようですね。
ドラッグストア業界では、以前はさまざまな共同仕入のグループが乱立していて、
まるで今のスーパーマーケット業界のようでしたが、
それを集中し、整理してきた歴史があります。

そのとき、ドラッグストア業界では、
「業界をひとつにする」、「薬事法を改正する」と、
そういうことを旗印に掲げたわけではなくて、
最初に「セルフメディケーションを推進しましょう」ということを言いました。
この「セルフメディケーション」が、
どのような企業でも、共有できるコンセプトだったということがことが、
集中・整理の大きなきっかけだったようです。
 
結城:スーパーマーケット業界における情報システムの問題にも、
セルフメディケーションのような、業界を挙げたコンセプトが必要です。
今回玉生社長のお話を伺って、私は人間のネットワークのあり方と、
それをひとつにしていく知恵について、考えをめぐらせました。  (了)

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活動については随時、この研究会ページでご案内いたします。
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