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知識商人登場!當仲寛哲の巻[第2回 松田康之氏との出会い]| コンピュータ・リテラシー研究会

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知識商人登場!當仲寛哲の巻[第2回 松田康之氏との出会い]

2009年07月14日(火曜日)
カテゴリー:
  • 當仲寛哲VS結城義晴 対談
  
2:03 PM

結城:

當仲さんは、ダイエーである程度の仕事をされた。
どういう改革をしたのか、最初の改革の中身を紹介してください。

★「情報の価値とは人間が見て、その価値化をする」

當仲氏:

スタートは本当に小さな小さなものだったんですね。
はじめに中内さんに言われたのは、
大阪に行って松田康之さんと言う人に会いなさいということでした。
私は、松田さんのことは、当時全然知らなかったんです。
松田さんは、大阪でファルマという薬局のボランタリーチェーンの創業者で、
お会いしてみると、
コンピュータだとか、システムについて一家言ある方でした。

結城:

僕も接点があり、存じ上げています。

當仲氏:

彼が言うには、情報の価値はコンピュータではないと。
コンピュータというのは数字を並べたりするだけであって、
情報の価値というのは、人間がちゃんと見て、その価値化をするものだと言われた。

例えば、コンピュータが無くたって、
落ちてるレシート一枚拾っても、見る奴が見たら、
その落ちてるレシート一つだけでも有益な情報というのは分かる。

ああ、そうか。
コンピュータというものと情報システムというものは違って、
情報システムというものは、
人間の感性であったりとか、想像力であったり、判断であったりとか、
そういう非常に人間臭いものであって、
コンピュータというものは、あくまで道具に過ぎない。
でも、その道具が不自由だと、やっぱりいい判断は出来ない。
コンピュータとシステムは違うということを教えてもらいました。

結城:

それは凄いことですよね。ある意味、発見ですよね。

★「情報は情けに報いる、情けは青い心と書く」

當仲氏:

はじめ、僕はコンピュータと情報システムはイコールだと思ってたんですね。
情報技術者とかいって、そんな言葉もあるぐらいですから。
でも、フタを開ければコンピュータの試験なんですね。
現在でも、世の中的には多分、コンピュータと情報というのはイコールだと思われてる。

情報というのは考えてみれば、「情けに報いる」という字を書くんですね。
「情けに報いる」とは、まさに義理人情、浪花節な非常にべたべたした言葉を当てている。
その情けというのは青い心と書きますから、
人間の純真とか本心ということですよね。
それで報いるというのは、響くということです。

ですから、情報というのはその人の心に響く、そうした言葉が情報であって、
その言葉の大事さを感じる感受性の強さが大事なんです。
片方でそうした感性を磨き、一方でコンピュータの技術を磨く。
その両方が大事なんだということを教えてもらったような気がします。

結城:

コンピュータとはいったい何か、ということも
當仲さんは明快に回答を出してらっしゃいますよね。

當仲氏:

そうですね。恐らく松田さんといろいろ話をしていった中から、
自分なりに確信に至ったのが、
コンピュータというのは道具であって、
その道具の良さを追い求めることによって、
情報システムというものは良いものになる、と思えるようになったんです。

ではコンピュータを道具と考えた時に、
「いい道具とは何だろう?」となるわけです。

料理に例えると、包丁や鍋、フライパンが道具になるわけですが、
じゃあ、いい料理を作るためのいい道具とは何か。
包丁なら、どんな包丁がいい包丁ですかとなったら、
これは単純明快で、よく切れる包丁です。切れない包丁は、しようがない。
値段が高い包丁というだけじゃダメです。
「なんとか正宗」とか入っている、名前が立派な包丁も、切れなければ最低です。

★道具としてのコンピュータは「早い、安い、柔らかい」が条件

當仲氏:

じゃあ、コンピュータを道具として考えた時に、
一番その道具として求められることは何だろうかと思ったんですね。
僕はやっぱり、値段が安いということ、早いということ、柔軟であるという、
「早い、安い、柔らかい」という、
牛丼のキャッチコピーみたいなんですけど、
僕はその三つに尽きるなと思うんですね。

その「安い、早い、柔らかい」というものを追い続けて、
そういったいい道具を使っていれば、
いい情報システムが作れると思ったんですね。
まさに料理のアナロジーです。

いい料理を作ろうと思ったら、さらに腕のいいシェフとか、コックがいるわけですよね。
さらにその腕のいいシェフを育てようと思うと、
舌の肥えた食する人、あるいはお店やレストランといったものも全部必要になりますね。

情報システムも、単に道具としてのコンピュータだけではなくて、
その情報システムで何を作るのか。
あるいは作ったものをどう使うのか。
それによってお客様や会社の組織がどう変わっていくのか。
そういったものを含めて考えて、初めて、いいものができるんですね。

ところが、コンピュータと情報システムというものを
大半の会社は、混同してしまっている。
特に最近は「IT、IT」と言って、なんか、かっこいいんだけど、
中身を開けると難しそうにみえる。
まぁ、実際難しいんですけど(笑)。
そのITが難しいと、要はシステムも難しいということになってしまいます。
システムと名の付くものは、みんな難しいだろうと考えてしまう。

當仲氏:

会社の中では、システムというのは非常に拒絶感と言いますか、
浮いた存在というか、そういう位置づけになっている。
そういった会社が多い。それは非常にもったいないことだと思ってます。
なぜなら、情報システムというものは、
働く人の感性そのものであったりとか、
その会社でそれを使う人の使い方であったり、
さらにはお客様とか会社をどう変えるかという話なんです。
これって実は、会社の経営そのものの話なんですね。

ところがコンピュータと情報システムを同じだというふうに勘違いしてしまって、
会社にとって本当に一番大事な情報に対して、疎くなってしまう。
これは非常にもったいないことだなと思っております。

結城:

松田さんにお会いになって、そして、
そういう情報とコンピュータの本質みたいなものを学んだわけですね。

続きます

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