商人舎

[連載]物流クレート標準化物語

[連載]物流クレート標準化物語

<物流クレート標準化協議会ニュース>北陸エリアで導入開始!

2010年09月15日(水曜日)
カテゴリー:
  • 標準クレート導入報告
  
4:59 PM

『物流クレート標準化協議会』では、
物流クレート(通称・食品通い箱 以下、標準クレート)の
標準化・共有化に取り組んでいますが、
2010年9月中旬より、北陸エリアにおける最初の導入先として、
株式会社北陸シジシー
(石川県白山市宮永町 2848番地)に加盟する小売店舗に対し、順次、標準クレートによる商品配送を開始すると発表しました。

現在、イズミヤ、オークワ、関西スーパーマーケット、ライフコーポレーション、
エコス、シジシージャパン、ユニー、オギノ、ヤオコーなど国内の
主要スーパーマーケット23社で標準クレートが導入されており、
日本海側における導入は、今回が初となります。
北陸エリアをはじめとする今後の普及・拡大が期待されそうです。

引き続き、同協議会では、標準クレート共有化に賛同する企業を
募っていく方針です。


<by 商人舎標準クレート研究チーム・K>

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第2回 農産物標準クレート「イフコ」の導入

2010年08月20日(金曜日)
カテゴリー:
  • クレート
  
4:42 PM

農産物の標準クレートとして「イフコ」が有名ですが、イフコの初期導入にたずさわった者として、当時を振り返り、取り組んだことを説明しましょう。

イフコのリターナル・システムを日本のスーパーマーケットに導入する際には、さまざまな課題がありました。
ドイツと日本では農産物の生産方法や商品化が異なり、消費面でも食文化、環境に対する考え方の相違があったためです。
日本の一般的なスーパーマーケットの農産品の品揃えは、アイテム数にして200~250、SKU数は250~350。

日本の農産品のカテゴリー分類は以下の通りです。
①一般果実:みかん・いちご・メロン・すいか・ぶどう・りんご
②季節果実:中晩かん・さくらんぼ・プラム・桃・梨・柿・栗
③輸入果実:グレープフルーツ・オレンジ・バナナ・レモン・その他
④加工果実・カットフルーツ
⑤サラダ・葉物:洋野菜・果菜(トマト・きゅうり他)・葉物・重量野菜・つま物・小物
⑥季節野菜:きのこ・なす・ピーマン・豆・山菜
⑦一般加工品:加工野菜・水煮・加工品・季節加工品・漬物材料
⑧土物:玉ねぎ・じゃがいも・にんじん・ごぼう・かぼちゃ・さといも・れんこん
⑨生花・その他

これらの商品はさらに、産直品、市場品、メーカー工場品、卸問屋業者品、PC(プロセスセンター)品のように、流通経路別に分かれています。
農産品は、季節や旬を打ち出しやすいためスーパーマーケットにとっては主力商品です。
その一方で、農産品の流通形態は多岐に分かれ、配送容器も段ボール、網カゴ、ネット袋、裸バラなど多種多様でした。
配送容器の廃棄処理作業には、皆がタダ働き同然で作業をしたといわれます。

そうした日本的な商環境の中で、イフコのリターナル・システム導入実験がスタートしました。

まず、第一に、産地~店内陳列~容器回収~洗浄~産地補給の流れが、波動なく一貫して連続的に行われること。第二に10トン車単位の物量で、採算性がとれること。この2つの視点で実験はスタートしました。

小売業は生協とイオンが参画し、商品は長野・群馬のJAなどの単品大量販売、高鮮度商品の「高原野菜」で始まりました。

産地での摘み取り、収穫、選果、包装、出荷検品、そして配送。物流センターでは入荷検品、店舗別仕分けと店舗への配送。店舗では入荷検収、バックヤード保管、店内陳列などの作業。
各工程における商品単位数、容量、品質、そして受け払いに関わる手順と要領のルール化、またリターナル・システムに関わる取り決め、用語の統一など、細部にわたる検討がなされました。
また、店内オペレーション面では、平台での陳列法、商品の見栄えと取りやすさ、POPなどの販促方法、イフコ容器の色づかい(当初は茶系)、新聞紙を敷いて使うか否かなどいろいろなことが課題にのぼりました。
果ては冬期の積雪状況や道路事情まで検討されたのです。

なぜなら関係者が皆喜ぶシステム構築でなければ永続性は保てません。最終顧客に、品質を維持しながら安定的に供給するシステムを、低価格で実現するという使命感をもった取り組みでした。

始まりは、レタスなどの洋野菜・葉物野菜でした。
具体的に、イフコ容器の試作、折り畳みネステイング要領、現場・産地教育、実容器数量(パレット単位)、受払い(汚破損含む)と容器洗浄のための容器物流センターの設置(尼崎)などが順次決まっていきました。
また空容器の搬送やフォークリフト運搬では、転倒危険のためフィルム巻策が必須であること、返却時には汚紙・ラベル・残屑除去など洗浄前工程での前処理が重要であることなど、多くの課題解決が必要とされました。

イフコ容器そのものをテスト導入のためにどれくらい用意するのか。
テストから順次拡大・展開していくためにイフコ容器の生産ロット数、貯蔵・保管場所などの準備を検討しなければなりませんでした。
また小売・流通では、運搬・マテハン上のドーリーやカートの準備を必要としました。

当初は、ターゲットを絞り、平均使用日量2000箱に想定し、全体で2万箱を用意してスタートしたのです。
開発準備から実証実験に取り組んだ成果はすぐにあらわれました。
小売・流通側からは、店内作業の負荷が軽減されたとの大きな反響を呼びました。
そして多くのスーパーマーケットで、イフコは農産品陳列什器の標準容器として広く使われるようになったのです。

<by 商人舎標準クレート研究チーム・中林>

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第1回 クレートとイフコ

2010年07月29日(木曜日)
カテゴリー:
  • クレート
  
11:40 AM

クレート=Crate
Google翻訳では、名詞では竹かご、動詞では包装するという意味。
ただし、ネットでクレートを検索すると、ペット用ケージに関わることが大半なので、
少々驚きます。

もともとクレートとは、酒瓶箱などのように、内容物が可視可能な容器を指しました。
小売・流通の分野では。いわゆる通い容器のこと。
ユニット・ロード・システム運用を構築するための、物流・マテハン什器のことをいいます。

*ユニット・ロード・システムとは、荷物や貨物を、1つの単位(ユニット)にまとめて輸送・荷役・保管しやすくするシステムの総称。コンテナ輸送、パレット輸送など。

これまで小売・流通業界では、これらの容器に、万重(バンジュウ)、プラコン、トレー、コンテナ、バット、カートン等々と、さまざまな呼称を使っていました。
物流クレートの標準化にあたり日本スーパーマーケット協会をはじめとする小売業団体は、その呼び名を『物流クレート』に統一したわけです。

小売業が主体になって使い始めたクレートでは、
オリコンやイフコ・コンテナーシステム(以下イフコ)が知られています。
オリコンは、㈱昭和電工が1970年代に、小売業のニーズに基づいて開発しました。
そのオリコンも、今では用途に応じて数百種類が氾濫しています。

イフコは1993年、環境先進国のドイツで誕生しました。
ドイツのシェラー社(IFCO Systems N.V.)が、
青果流通向けにレンタル方式のプラスチックコンテナーを開発したのが始まりです。
デポジット制度のあるドイツでは、瞬く間に広がり、EUの主要な小売業に広がりました。

そして1995年、京都・環境国際会議の開催にあたり、京都議定書(COP3)素案策定のために欧州視察に行った
大阪大学大学院で環境工学を専攻する盛岡通教授が、
イフコの取り組みを見て、日本でも導入すべきとして紹介しました。

日本では1995年(神戸・阪神大震災の年)にイフコ・ジャパン㈱が設立されます。
そして関西地区における農産物の流通に、生協やイオンがテスト採用しました。

いまでは、産地集荷~市場~店舗陳列の一貫什器としてイトーヨーカ堂やJAの流通業で広く使用されています。
当初は1種類だった容器も、現在では数十種類になりました。

乳製品・日配品の流通において取り組みの始まった「標準クレート」は、この青果物流通における「イフコ」の考え方と同じといえるでしょう。

(続きます)

<by 商人舎標準クレート研究チーム・中林>

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