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商業経営問題研究会

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「蛻変(ぜいへん)のすすめ」(結城座長)2009年3月度報告

2009年05月07日(木曜日)
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5:59 PM

結城座長より商人舎HPにて、
RMLC、コンピュータリテラシー研究会、エコストア研究会など、
各種研究会の公開サイト、ブログを立ち上げていることの報告がありました。
また、米国セミナーより前日に帰国されたばかりだったこともあり、
07年11月より始まった英国テスコの米国進出の現状について報告がなされました。

テスコのフレッシュ&イージーは、店舗面積288坪(売場面積250坪)を基本モデルとし、
現在130店舗の布陣になっていること。
また、セーフウェイの「THE MARKET」、
ウォルマートの「MARKETSIDE」といった既存チェーンでも中小型店の開発が進んでいること。
この規模では、トレーダージョーが圧倒的な強さを持っており、
フォーマットをともにした戦いが始まりつつあることを示唆されました。
今年最初の研究会であることもあって、結城座長より、
2009年の流通業の抱える課題と行動提起を語ってもらいました。

  
「蛻変(ぜいへん)のすすめ」(結城座長)

年ごと、月ごとの標語をブログで発信していますが、
今年、特に強調している標語として掲げているものです。
生態変化は、自然環境の変化の下、本能的に行われるものですが、
企業は外的・社会的環境の下で、意識的・意図的に変化を行わなければならない、
この意を込めてのものです。

商業統計をもとに業態別推移を見ると、
1991年から07年の間を見るだけで、各業態のピークが見えてきます。
大型スーパーは97年、ホームセンターは02年、
衣料スーパーとコンビニは07年にピークを迎えています。
各業態にとっての蛻変のタイミングが分かります。

目を転じ、ウォルマートを見てみますと
88年にスーパーセンター、
98年にネイバーフッドマーケット、
08年にマーケットサイドをスタートさせており、
同社にとって、蛻変のタイミングを重視してきたと見ることもできます。
販促のキャッチコピーにしても、
「ALWAYS LOW PRICE」から「SAVE MONEY LIVE BETTER」「UNBEATABLE」といったように、
顧客心理を突くキャッチフレーズづくりが巧みです。

コーネル大学におけるスーパーマーケット論では、
「価格」(PRICE)の高低を縦軸に、
「品揃え」(ASSORTMENT)の幅を横軸にとったマトリックス内で、
フォーマットを“4つの象限”に分類するやり方があります。

今話題のハードディスカウントは「LOW PRICE&NARROW ASSORTMENT」、
コンビニは「HIGH PRICE&NARROW ASSORTMENT」に位置づけられるというものです。
この象限ではSMは中間に位置づけられています。

(中間といっても、SMの領域はそんなに広いとは思えない、という意見を受けて)
セルフ業態の変遷をみると、消費者の生活水準の向上に合わせて、
「コモディティ」から「高質化」へと幅が出てきました。
とはいえ、生活水準の向上に、経営水準が追いついていないのか、
日本の総合スーパーは、こうした広がりに追いついておらず、
衣料、住関連を縮小させ、今では食品しか残らない状況になっています。
各社のディスカウントフォーマットの前提に、
グローバリゼーションがあるといえます。

MITのバーガー教授によると、グローバリゼーションには
①コントロール不能
②(時間と空間を超越させる)IT
③後進国の技術力向上と活用
、の3つが特徴付けられています。

特に③は、仕事のモジュール化が必要であり、後進国の生活水準向上を招きますが、
本来の製造拠点であった(わが国のような地域の空洞化を起こす)スーパーマーケットにとっても、
何を主力とするのかを見るべきだと考えます。

蛻変をするためには、イノベーションが必要です。
イノベーションは何によって起きるのかを順位づけしたものが以下です。
①予期せぬもの(数多くの試行錯誤が必要)
②負のニーズ
③顕在化したニーズ
④産業構造の変化
⑤人口動態の変化
⑥認識の変化
⑦発明・発見

発明や発見といった技術革新よりも、
多くの試行錯誤からイノベーションが生まているということに注目したいと思います。

以上が結城座長の提言でした。 

「食品商業」編集長 山本恭広

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「コンピュータリテラシーとは」(第1回) RMLC2008年8月報告

2009年02月14日(土曜日)
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3:45 PM

「ポストまちづくり三法の商業開発」(高木さん)
「流通革命の残したもの」(品川さん)
と本会世話人企画による研究会を続けてまいりました。

今回から當仲さんによる「コンピュータリテラシー」をテーマとしたクールに入りました。

結城座長が商人舎で企画、推進しておられる「オーガニック&ナチュラル」「エコストア」など各種研究会の一つである、「IT問題」が當仲さんをリーダーとしていることから、合同開催の形をとりました。

項目など詳細は添付を参照ください。主に下記3つの視点でお話いただきました。

(1)”(物事の動かし方や工程間の有機的なつながりを指す言葉である)「システム化」=(”大量”のデータを”速く”処理するツールの導入でしかない)「コンピュータ化」”

この大間違いに多くの流通関係者が気付いていないこと。

(2)お客と最も近い場所(店舗)でのビジネスを行っているため、生来的に純朴、誠実な世界で仕事をしている小売業者と、真逆の世界の住人(つまり、ほとんどが過大なセールストーク)であるコンピュータ関連サプライヤーとの情報ギャップが、結果的に小売業に、無駄な投資と仕事をつくっていること。

(3)(1)(2)の理由が、小売業側における(コンピュータに関する)「リテラシー欠如」であり、受け取る側(つまり小売業)のリテラシー形成が”真に役に立つ、エンドユーザーである生活者の利便につながるコンピュータ使い倒し”につながる。

以上のお話を聞いて、私見ですが、実はこれからの流通革命につながる予感を感じました。
かつて、関西スーパーが、
ケースメーカーとともに米国から学んだオペレーションシステムを、
生鮮業務システムに置き換えて、
我が国の生鮮オペレーションシステムの原型と普及に貢献したというのは周知ですが、
この間、勉強会グループであるAJSのニッショー、サミットなどへの移植、定着にとどまらず、
各地の有力SM に、その知識とノウハウが波及、学習されたことが、
現在の日本の生鮮システムを作ったプロセスに近いものが、
ITにおいても、行われることが期待されます。

思えば、当時の関西スーパーが生鮮業務システムの他企業への公開や研修の受け入れは、
いわば、UNIXにおけるリナー氏に近いものでは、とも思います。
IT問題においても、當仲氏の問題提起やUSP研究所の活動はそれに近いものとも思います。

これからの研究会は注目です。

同会では、プラネットの玉生氏も参加されました。
商業界のITセミナーや商人舎の研究会でも活動されている方ですが、
当日は、EDI事業の先駆けでもある同社の事業の紹介、
および現況の受発注システムの問題点について、問題提起をしていただきました。

今後の研究会のレギュラースピーカーとして、さまざまな発信をしていただけると思います。

「食品商業」編集長 山本恭広

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「流通革命」の総括とこれから 2008年6月度報告後編

2009年02月12日(木曜日)
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1:14 AM

2008年6月度報告後編は品川昭氏(品川エコ・エコノミー研究所)の第3講(最終講)。
「流通革命」の総括とこれからとタイトルされています。 

「第一次流通革命」は、生産拠点と消費の現場をつなぐ接点として、役割を果たした。

1950年代から始まった重工業主導の大量生産・供給態勢の完成と、
伝統的な消費スタイル、
および60年代の耐久消費財の開発と「三種の神器」としての家庭での普及。

そして、90年の日米構造協議による規制緩和が、
各フォーマットの発展を促し、
“乗り物”として使いこなしたSMチェーン、
専門店チェーン企業の成長を際立たした。
それが「第二次流通革命」とのまとめがされました。

品川氏のまとめについては、主に下記の意見、補足がされました。

①規制緩和だけでなく、(一人当たりGDPなど)消費環境の向上も、
チェーンストアの成長の土台となったこと。
「SPA」確立などに見られるように、
製造業からの小売業参入も「革命」の要素を築いていること。

②小売業主体のもと、流通経路を「太くする」「短くする」ことで、
生産側にあった価格決定権を小売り側に引き戻そうという、
いわば「権力奪取」の活動が「流通革命」であったはずだが、
中間にある「問屋」“無用論”へと短絡的に解釈され、
クローズアップされた。

③現下、海外調達の限界が見えてきたことから、
IYによる農業法人参入のように、自ら調達ネットワークを形成する必要が出てくるなど、
食品スーパーにおける「革命」の方向が変わってきた。

*以上の議論の参考として、
「食品商業」最新号(8月号)での井口氏の寄稿していただいております。
「PBの販売量が増えることで、生産工場の稼働率が上がってきている。
小売業による製造業への関与が単なる商談段階だけでなく、
仕様書から生産ラインにまで踏み込むようになり、
売価決定権だけでなく、製造プロセス自体も小売業が掌握する時代」
こういった主旨で、「革命」のレベルが変わってきたことを示唆する内容です。

(事務局)

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