商人舎

杉山昭次郎の「 流通 仙人日記」

 杉山昭次郎の「流通仙人日記」

スーパーマーケットのマーケティング Vol.8

2011年01月07日(金曜日)
カテゴリー:
  • チェーンストア
  
9:30 AM

8. チェーンストアの転機

■導入期から成長期へ
 思い起こすと、半世紀の間に我が国のチェーンストアにも、業種・業態的に何回かの転機があった。

 チェーンストアの中で最初に導入期から脱皮して、成長期を迎えたのは、衣料品に重点をおいていた企業であった。西のダイエー、東の西友などが代表選手であった。これらの企業は、当時ビッグストアと呼ばれ、現在は業界内でGMSと呼ばれる衣食住を総合した店舗構成で、順次大型化した店舗を全国各主要都市に出店して、急成長を遂げた。

 我が国で、最初にショッピングセンターを開発したのも、ビッグストアであった。また、コンビニエンスストアの大手もほとんどビッグストア企業の子会社として出発している。

 ビッグストアは、我が国の産業の高度成長期の落とし子の感がある。バブル崩壊後、登場が少し遅れたホームセンター、衣料品量販専門店にシェアをおびやかされ、成熟期も終わり、衰退期を迎えている。

 以上、大変大ざっぱな見方であったが、チェーンストアの転機があることの実例である。転機には、いわゆる「事業のライフサイクル」といわれる業界全体の変化もあるが、企業ごとの何かの“きっかけ”によるものもある。

 また、産業全体、経済全体的な時代的変化もある。多くの場合、我々が意識する転機とは、これらがかみ合った変化のことであろう。

続きます

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スーパーマーケットのマーケティング Vol.7

2010年12月21日(火曜日)
カテゴリー:
  • 企業使命の重要性
  
10:41 AM

7. 使命を果たせなくなった企業は存続できない

■レゾン・デートル

 企業は使命を果たすことによって、その存在意義が社会から認められる。社会に認められた企業の存在価値を「レゾン・デートル(存在理由)」という。

 スーパーマーケットは顧客の食生活の向上に貢献することにより、「レゾン・デートル」が成立しているのである。そしてマーケティングとは、社会(顧客)に企業の「レゾン・デートル」をより広く、より深く認知してもらうための企業活動の総称である。

 したがって、現在活動している企業は、それを意識しているか否かにかかわらず、マーケティングを行っているということになる。

 ただし、それを意図的、計画的に行っている活動と、無意識、無計画のうちに行われる活動とでは、結果に大きな差が出ることは言うまでもない。

 ■マーケティングの戦略課題

 また、マーケティングの戦略課題は時代の推移、産業システムの変化に伴って、当然変わっていく。

 わが国のスーパーマーケット産業はもともと、大量仕入れによるコストダウンをメリットに、価格の安さをスローガンにし、セルフサービス、ワンストップショッピングによる買物のしやすさを顧客にアピールして登場した。次いで、鮮度管理を中核にする業務システムを整備して成長期を迎えた。

 折から国の経済の高度成長期と共にモータリゼーションの影響や、コンピューター技術の進歩の結果としての情報革命の影響もあり、立地戦略、マーチャンダイジング戦略も大きく進展して顧客の食生活の向上に貢献してきた。

 そしてこの産業が、今、新しい転機に遭遇していることは衆目一致するところである。

 スーパーマーケット各社はこの時期を克服していくために、いかなる戦略課題をクリアしていかなければならないのかを検討すべきである。

続きます

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スーパーマーケットのマーケティング Vol.6

2010年12月14日(火曜日)
カテゴリー:
  • スーパーマーケットのマーケティング
  
3:33 PM

6. スーパーマーケットの使命

■食生活の向上に貢献する
 さて、ここまで少し冗長に過ぎる私のマーケティングの認識の変遷過程を述べてきた。というのも、長い間、この言葉の含みの広さ、深さ、曖昧さゆえにモヤモヤした思いを残したままで過ごしてきたからである。

 しかし、黒田さんの「ミスマッチを正すこと」という切れ味の良い定義に接し、モヤモヤを払拭することができた。

 黒田さんの言うところの「スーパーマーケットのマーケティングとは企業の政策と顧客の食生活とのミスマッチを正すこと」という定義は「顧客の食生活のニーズに応えること」であり、さらに「食生活の向上に貢献すること」と言い換えることもできよう。

 では、何のために「食生活の向上に貢献する」のか?

 これに対する答えは哲学的、宗教的、あるいは経済学的にかの見解によって異なる。
だが、経営学的に求めれば「使命」であろう。

 企業は使命を果たすことによって、存続発展を成し得る。使命を果たせない企業、あるいは使命を終えて、当たらし使命を見つけられない企業は消滅する。江戸時代の駕籠屋、明治に入ってからの馬車などもその一例である。現代的な一事例としては、米国の地方メディアが使命を終えたのではないかと危ぶまれている。

 わが国の小売業の中にも業種業態により、使命が終わったのではないかと思われるものも少なくない。

続きます

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