商人舎

杉山昭次郎の「 流通 仙人日記」

 杉山昭次郎の「流通仙人日記」

スーパーマーケットの競争力強化の視点 vol.25

2009年10月13日(火曜日)
カテゴリー:
  • グローバリゼーション
  
3:53 PM

第25回 グローバリゼーション-食品産業の変容

■食品産業のグローバル化

食生活、食材のグローバル化と共に関連産業(食品産業)のグローバル化が進んでいる。3者の間には当然のことながら複雑な相互循環関係がある。グローバル化という意味では産業をアクター(初動を起こすもの)と見ることができよう。

その好例の一つは、大規模法人の一次産業である、農業・漁業参入である。日本では、電機産業がヒラメの養殖業を始めたり、工業の大手が大規模温室栽培業を開発して、話題を呼んだ。また、大手チェーンが農場の自営を始めたり、農業法人と業務提携契約を結んで注目を浴びている。

アフリカの新興国、その他の途上国では、外国資本の大農場、大牧場、養殖水産業に対する投資が増えるであろう。また、コールドチェーンの発達により、食品加工業が発展することになろう。外国資本の投入は、当該国の食生活、食事にどんな影響をもたらすか。

さらに日本のスーパーマーケット産業人にとって、最も深い関心のポイントは各国の流通システム・小売産業システムがどう変化するか、ということである。
また、日本の小売り産業にどんなインパクトをもたらすか、ということである。

これまでにも欧米から小売業が日本に進出している。成功している企業もあるが、すでに撤退したものもある。また、成否の成り行きが注目されているものもある。

これらの総体が食のグローバリゼーションの現状であろう。

しかし、そんなことでは対策の立てようもないではないか、というお叱りの声が聞こえてくるような気がする。

だから冒頭にせめて心構えだけは固めておく必要があるとお断りしたのである。

次回はその心構えについて校を進める所存である。

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スーパーマーケットの競争力強化の視点 vol.24

2009年10月07日(水曜日)
カテゴリー:
  • グローバリゼーション
  
1:50 PM

第24回 グローバリゼーション-食材のグローバリゼーションの問題点

■マイナス要因① 環境破壊の問題

脱線が長くなり過ぎたが、本論に戻す。

食材のグローバリゼーションは食生活を豊かにするが、「山が高くなれば、谷が深くなる」の例えの通り、良いことばかりではない。

マイナス面の第一は農業開発の環境破壊である。農地開発は昔は自給自足体制を整えるため小規模に行われてきた。交易が活性化するにつれ、輸出・移出商品を増産することを目的に大規模化した。現在では南米のアマゾン流域に代表例が見られるように、木材を輸出するため、広域にわたり森林を伐採し、その後に大規模農場をつくり、輸出する企業が増えている。これらの大規模開発行為は環境を破壊し、さまざまな問題を引き起こしている。

その最大の問題は地球温暖化の重要な一因となっていることであろう。アジアの南方諸島、アフリカなどにも同じ問題が発生している。また、旧ソ連領の大規模干拓は塩害のため大失敗に終わり、沿岸漁民に多大な損害を与え、復旧のめども立たず困り果てているという。

■マイナス要因② 安全性の問題

第二のマイナス要因は、安心・安全である。
安心・安全は食生活で最も注意を払われる項目の筆頭に上げられる。中国では昔から生ものは口にしない食習慣があったと聞く。中国が誇る食文化の一つであろう。

しかし安心・安全は、しばしば、無知・過失による自己、時には業者の欲ばりによる犯罪などによって、破られる。安心・安全が破られた場合、被害者に対する補償、残余商品の処分などの善後処理と共に、原因を究明し、再発防止策を講じなければならない。

安心・安全は、国内の事故でもしばしば発生する。集団中毒の場合など、旅館、弁当提供業者などは営業停止の処分を受ける。しかも比較的短期に終るケースが多い。しかし、国際間にまたがる事故の場合、善後処理、再発防止とも、長時間を要し、すっきりした問題解決が行えないケースが多くなる。アメリカの狂牛病事件、中国の冷凍餃子事件などが好例であろう。
食材のグローバル化が進むに従い、この種の問題は件数が増えることが懸念される。そして当事国同士の国民の中に相互不信の感情が生まれ、高まることを恐れる。

ところで、ここ1年間の間に国際間の摩擦以上に嫌な事件が起こっている。それは商品の品質の不正表示である。工業用にしか使うことが認められていない汚染米を半分近くも混入した米を食品用と不正表示して醸造業者に売りつけたり、外国産のウナギを国内産と偽ってスーパーに納入したり、ブロイラーを地養鶏に混入して地養鶏の産地名を表示したりする事件が相次いで摘発された。これらの不祥事件のニュース接し、知人の一人は「氷山の一角」とうそぶいた。「嘘ももとでのうち」といった観念がまだ残っているのかと悪感のする思いであった。
特に国際摩擦のあった相手国の人達がこんな事件が日本では度々起こっていることを知ったら、何と思うであろうか。

さらに、ごく最近出会った事実を一つ。
あるコンビニで野菜入り卵焼きを購入した。上に貼られたラベルに「国内産タマゴの自家割り、国内産のタマネギ、国内産のニンジン、国内産のいんげん使用」と表示してあった。
この卵焼きのメーカーは安心・安全と味の良さをアピールするためにこのラベルを使用しているのだとは思ったが、発展途上国の人達がこのラベルを見たら、何と思うであろうか。日本人に対する信頼感はどう変わるであろうか。

続きます

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スーパーマーケットの競争力強化の視点 vol.23

2009年09月25日(金曜日)
カテゴリー:
  • グローバリゼーション
  
2:33 PM

第23回 グローバリゼーション-食材のグローバリゼーション

■食材・食品・食料品などの交流

食料の自給率の極端に低い我が国では、世界中から食材を輸入している。
魚などは遠く、大西洋で獲れたものも相当量、我が国の家庭食の食卓で消費されている。2~3年前に、真夏にオーストラリア産のみかんを食したことがあった。美味であった。正月に食べる、日本のみかんとほとんど変わりないのに驚いた。また、ニュージーランド産のカボチャの煮物を食べたこともあった。これまた、日本のカボチャと変わりなかった。

地球の反対側の南米諸国、アフリカからもさまざまな食材が輸入されている。
ブラジルからは多数の日系2世、3世などのブラジル人が日本の工場で就職しているが、これらの就業者の多くが居住している町には、日本語の話せない子供達のための学校があり、母国からブロッコリーを輸入している食料品店も営業している。

日本で育った子供達の中には、母国語が話せなくなったこと、友人が多勢できたことなどを理由に、日本に永住を希望する者が少なくないという。戦後、日本各地に韓国人街ができたように、ブラジル街、インド街、インドネシア街、アラブ街、アフリカ街などがつくられ、それぞれの国・地域の食材・メニューなどが日本人の間にも浸透することが予想される。

以上と同じように、世界各地に相互にそれぞれの伝統的食材に加えて、それぞれのパターンで地域外からの食材・グロサリーが浸透してくる。
これが食材のグローバリゼーションである。

食材のグローバリゼーションは、食生活を豊かにしてくれる。豊かな食生活とは、より高級化、高額化した食事をとることではない。これまでの美食家と呼ばれた人達は、高級料理店で高額メニューを食することを楽しんでいた。これは一部の恵まれた人達だけの豊かさに過ぎない。
現在、我々が求める豊かな食生活とは、もちろんある一定水準以上の品質感を満たすことが条件となるが、いわゆる大衆がより広い選択肢の中から自分の好きな、あるいはその時の自分に合ったメニューを自由に選ぶことができるようになることである。自分自身も楽しみ、家族を楽しませ、お客さんを喜ばせることが、食生活の豊かさなのである。

■豊かな食で思い出す3食のナマコ

ここでささやかな私の食の豊かさの反対体験を一つ。

戦時中のことであった。まだ中学生であった私は、東京に食糧難が迫り出した頃から。
買い出しならぬ、食い出しのため、両親の出身地の青森の庁内舎に夏冬の休みに遊びに行かされた。親戚数軒を泊まり歩いたのである。帰りには米、豆、干した山菜などをリュックサック一杯に土産として積めてもらうことも、母親の計算には入っていたのであろう。

休暇中、一番長く滞在したのは、海辺の農家であった。
天気の良い日にはナマコやホタテを獲りに海に舟を出すこともあった。15~6人の大家族で、大鍋で一杯に汁をつくり、大鍋一杯に煮物を炊き込んで、もてなしてくれた。漁に出た日には、毛ガニ、アイナメ、ソイなどのシーフードが食卓に彩りを添えた。
おいしかった。
「おいしい」と言うと、その家の人たちは「ずっぱ(たくさん)食え」と言って喜んでくれた。
しかし、2~3日経つと、私は違和感を持ちだした。1週間も経つとうんざりした。
毎日同じものを食べさせられたからである。ナマコの獲れるシーズンなど、朝から3食ともナマコが皿一杯に盛りつけられて出された。

その頃、その農村では、肉は牛はもとより、豚肉も全く食べられなかった。野鳥やタヌキは何かの拍子で獲れた時には食べることもあったが、わざわざ狩りに行く人もいなかった。
完全と言ってもよい程の自給自足システムの地域であった。
冬休みに私が持っていったミカンやホウレンソウは大歓迎された。酒屋以外には村に食品店はなく、菓子も所用で町に出た人が買って帰る程度で、子供達は間食にはジャガイモ、餅、漬物などを食べていた。
昨今、「豊かな食」について考える度に、以上の体験を思い出すことが多い。しかし、「豊かな食」とはたくさんあること、おいしいと思うことは必要条件ではあるとは思うが、十分条件には程遠いともう次第である。

続きます  

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