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チャレンジャー・挑戦者 (1)| アメリカ流通 浅野秀二のアメリカ寄稿

浅野秀二のアメリカ寄稿

チャレンジャー・挑戦者 (1)

2010年06月01日(火曜日)
カテゴリー:
  • アメリカからのメッセージ
  
12:09 PM

先週、2人の若者に会った。
1人は1年半前に商人舎のツアーに参加していた、
四国の中堅スーパーのオーナーの3代目、KH君だ。

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もう1人は18歳でアメリカのプロ野球、
男の世界に挑戦に来た、吉田えりちゃんだ。

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(次回、(2)で書きます。)

KH君の第一印象は髪の毛を染め、まさにどこでもいる日本の若者だった。

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おじいちゃんが創業者で、“3代目か!”
大学卒業後、すぐ親の会社で働いている。“甘やかされて育ったに違いない。”
私のひがみか?偏見か? つい、そのような目で見てしまう。悪い癖だ。

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話している間に、彼の素直さに興味を持った。
社会や学校に素直とは思えないが、自分自身には素直そうだ。
若者特有のエネルギーもあるか?これは“もの”になるかもしれない。

言葉をかけた。
「3代目か?大事な役割だな?
普通ならお祖父さんの創った会社を倒産させるために生まれて来たような役割だ。
ましてこのスーパー業界の過当競争、グローバル化社会では何があるか解らない。
地方の名門、親の会社などで、すぐ働かないで一から修業し直したらどうだ。
アメリカに来れば、多民族社会で言葉も解らない、毎日が苦労の連続。
研修ビザを取ってやるから、アメリカに出てきたら?」

100601_kh6.jpg

こんな内容の言葉を交わしたような気がする。
それ以来、1年余り、私はその言葉を忘れていた。

1年後、社長である彼の父に、アメリカでお会いする機会があった。
「息子のアメリカ研修の件、本気ですから、正式にお願いします。」

“えぇ?社長、済みませんが、私は本気ではなかったのですが?”
そんな言葉が口から出そうだった。これは大変だ。
責任が伴うし、だいたいビザの問題は簡単ではない。
しかし、商人舎のプログラムで知り合った。
結城先生の顔はつぶせない。逃げるわけにもいかない。
もちろん日本の若者を鍛え直したい私の本当の夢もある。
やってみよう。そのためには、KH君の本気度が知りたい。

100601_kh.jpg

引き受けてくれる某スーパーの店長に相談した。店長からメールが来た。
ものすごく厳しい、期待した以上の言葉だった。
以下に彼のメールを紹介したい。

研修目的の第一は、“精神的なタフさと商人の原点に戻る”を前提と考えます。
精神的なタフさでは、私生活面仕金禁止で与えられた給金内での
どん底の生活を経験することで、日本の裕福な環境では体得できない環境下設定をする。
(よって、ルームシェアの様な環境設定、一人暮らし厳禁)
お金の有難さや親元を離れての経済支援を断つことによって、
ハングリー精神を身に付ける。
現場の作業面では、南米系(メキシカン)と一緒に“0”からスタートさせて、
彼らの持っている良い所を学ばせる。
祖国を捨て、経済的に豊かなアメリカに渡って来る“真のハングリー精神”を
彼らとの対話や実践の作業の中から感じ取ってもらう。
私自身も彼ら(メキシカン)に教えてもらうことが多いです。
(仕事ができる有難さや逆境に立たされても笑顔で頑張る、
日本人が物の無い時代に、持っていた“志”を感じます。
人間が本能的に持っている、生きる力を肌で会得するのが狙い)
商人の原点に戻るには、日本の様に商品や情報が溢れている
現代の商売状況の中でなく、
自分の感性(商売センス)で相対商談で交渉して他国業者とも対等に渡り合える、
(語学力でなく)人間力(器)を鍛えることに重点を置き、
“人間力を高める”(心を高める)ことを最重要点課題とする。
アメリカの日系の商いは、日本の商品事情(商品や流通事情)
などと比べれば貧粗ですが、
与えら得た条件下で、頭を使って工夫することや商売の原点の
“本当に売れるものとは?”という面などは良い勉強になります。
そしてなんといっても、考え方が『島』でなく『大陸』になるように思います。
常日頃、社長からは『タフでなければここでは、商売できへんよ!!』と
言われているのは、私も肝に銘じておりますので。

※この事を踏まえて、受入れは致しますが、
研修者の気合が無い場合や旅行者気分の場合は、即刻研修打ち切りと致します。

素晴らしい文章だ。私の考えと同じだ。古澤店長ありがとう。
この文章を読めば、彼は来ないだろう。これで一件落着だ。

ところが、これでも来ると言うのである。
本当に困った?? でもうれしくもあった。
まだ、日本は生き残れる、鳩山さんのような、3代目ばかりではなさそうだ。
地方には「男の子」がまだいる。

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6月1日から18か月の研修が始まった。
2日ほど我が家で休んで、ロスに飛び立った。
知り合って時間は少ないが、親が息子を送りだすような気持ちになった。

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頑張れ。KH君!

次回は、夕べ応援に行った、吉田えりちゃんとのツーショットを載せます。
若者の挑戦は、いつの世もすがすがしい。

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浅野秀二
6月1日

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