商人舎

アメリカ流通 浅野秀二のアメリカ寄稿

浅野秀二のアメリカ寄稿

大震災に思う

2011年03月17日(木曜日)
カテゴリー:
  • 日本と日本人への想い
  
1:23 PM

被災者の皆様に心よりのお見舞いを申し上げます。
あまりの未曾有の大惨事に正直、言葉を失っています。

「試練は人を育てる、人生にとって、けっしてマイナスにはならない。」
日ごろのそんな生意気な言葉がいかに無責任か?
この大参事で知らされた思いです。

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被災者の皆様の深刻な生活に何もできないもどかしさ、
それに解決がみえない原発の行方?
米国でもすべてのマスメディア、新聞、
テレビチャンネルで絶え間なく報道されています。

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特にCNNはNHK以上に臨場感のある報道を続けています。

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今回の大地震・津波は、その巨大なスケールもさることながら、
福島原発の事故が伴っていることが、
いままでの地震報道と大きく違っています。

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アメリカの報道は始めから、原発・核問題に
多くの時間を割いていました。

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NHKを見ていても、曖昧にしか理解できないのに、
彼らの報道は極めて明確で、あいまいな表現はありません。
英語の方が解りやすいと、不思議な気持ちです。

「政府と東電がいかにリスクを隠して来たか」、というような
報道を聞くと日本人としては正直、腹が立ちます。
日本の原発技術が進んでいるので、嫉妬でもしているか?
と、そのような気持ちになります。

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しかし、基本的に彼らの報道には悪意はなく、
真摯に真面目に報道しているのが真実です。
偏見のある言葉は、ほとんど聞きません。
むしろ、暖かい彼らの視線に感動することもあります。
日本人の助け合う姿、泣き叫ぶこともなく、悲しみをこらえ、
淡々と復旧に励む姿、忍耐と根性。

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すっかり失われていた古き良き、日本精神が再び現れたことが
驚きをもって受け止められています。

家族を失った中学生が悲しみも見せず、
「お互い協力して生きるので僕たちは大丈夫です。」
この言葉に、私は涙が出ました。
立派な子供たちが育っている。
日本も捨てたものでない。
我の我慾を思い、恥ずかしい気持ちで一杯になりました。

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昔、日本に住んでいた時、
ソビエト共産党機関紙、プラウダ紙の翻訳が
日経新聞に載っていたことを思い出しました。
要約すると、なぜ日本人は勤勉か?
それは営々と働き続け、これから蔵でもたてて、
豊かな暮らしをしようと思った時に台風や地震で
屋敷、田畑が流され、またその子供たちは一からスタートをする。
その2000年の繰り返しが、勤勉な日本人を創った。
そのような見解でした。

今、日本は歴史上、未曾有の豊かな暮らしをしています。
子供たちはパラサイト症候群で、親にすがって生きる、
その親は両親の遺産を当てに兄弟喧嘩をする姿など、
どこにでも溢れています。

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命も財産も永遠ではない、一瞬でなくすことを知った。

西郷さんも言っている。
「子孫に美田を残さず」
子供のために金を無くそう・使いきろう。

この大参事に、この時節柄などと、
委縮して金を使わないことによって起こる、
不景気という二次惨事を招かないように、
金のある人は被災者の皆様に、幾分か寄付をし、
大いに消費をして戴き、日本経済を強力にすることで、
被災者の皆様に貢献しましょう。

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この大参事を日本人精神の再生の機会として欲しい。

頑張れ日本、
助け合いましょう。
日本、世界の人々の手も借りましょう。

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浅野秀二
3月17日

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有機農産物生産方式の紹介

2011年03月04日(金曜日)
カテゴリー:
  • アメリカからのメッセージ
  
8:31 PM

結城先生と5日間の視察も今日で終わった。
ブログで紹介されているように、
充実した日々があっという間に過ぎ去った。

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ナゲットに感激し、ホールフーズに感心してため息をついたが、
一番の感動は2店舗で120億円の店を作った、
グエン安田氏との面会と彼の店、バークレーボールである。

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結城先生の報告にあるので詳しくは述べない。

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有機青果・果物の売上が26%なり、ますますその種類・選択とその量は
拡大し、市場は伸び続けると彼は明言した。

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日本でも同じ現象が起こる可能性はあるが、はたして生産量が間に合うか?
今のところ供給体制に問題があるのは明らかである。
解決の方法はないだろうか?

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ここに米国で一緒に仕事をしている、
元NASA(米国航空宇宙局)の科学博士、
高島保和氏のシステムを紹介したいと思う。
スーパーの屋根裏や前庭、工場で有機農産物が生産出来れば、
有機農産物の拡大は必至である。
ご興味のある方は高島博士をご紹介します。

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浅野秀二
3月4日

***********************************************************************

現在の農業が抱える大きな問題

なぜ若者が農業に興味関心を持てないのか?
3K - 汚い、きつい、危険 + 金儲けできない。

なぜ農業分野での革新的技術が生まれないのか?
既成概念を元に考え、斬新的な研究はされていない。

なぜ日本の食量供給量が増加し安定化できないのか?
非効率的な手法に依存し生産性に乏しく非営利的であるため、
農家の後継者が育たない。

なぜ農業は儲からないのか?
小規模で経費がかかりすぎ、利益率が良くない。
家族による長時間の労力でうめあわせている。
若者が逃避する最も大きな要因であろう。

なぜ大量の農薬を使わないと生産できないのか?
気候、生産地の立地条件などがもたらす要因を農薬で補佐している。
環境制御により防虫、防菌ができる。

なぜ日本国民は高い食品を買わされるのか?
農家の生産性が低いため、生産物はコストが高くなってしまう。
日本国民の一般的志向として高品質を求める傾向が多い。

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上記の要因を取り除ければ問題が解決されるか。

大部分の障害は除かれ、環境保全が可能で理想的な農法を構築できる。そこで下記のA、B、Cのようなシステムを考案し、実験をしている。すべての農作物をこの方法で生産できるわけではないので、このシステムに適用する作物以外のものを生産できる、別のシステム開発も必要とされる。

農業技術が改善・進展し、政府の支援策が伴えば日本は立派な農業国になり、国民も低価格で安全な食料を安定して入手できるようになる。自給率や農業人口の老齢化が解消されて、儲かる農業となれば、アメリカのように農業が企業として経営できるようになり、日本だけでなく、発展途上国、先進国でも大きな市場が出来る。さらに、この生産システムや技術を日本から発信することで、輸出可能な商品となる。

私は長年、宇宙で使用可能な生命維持装置や食料生産装置の研究開発をしてきたが、宇宙空間という特殊な条件下での食料生産は、無重力対応、人工光、軽量、最小立体面積、エネルギー効率、自動操作などさまざまな面での総合的な機能を必要とされる。これらすべての条件で作動できる野菜栽培装置を作成し、米国及び日本での特許を取得した。研究を始めて20年を経た現在、地球上でもこのような食糧生産装置が必要な時代になってきたようだ。

地上仕様の完全自動野菜生産装置の開発を手がけた。トラクターなどの農耕機械を一切使用することなく、天候や不適格な立地条件にも影響しない、効率的なシステム考案した。さらに化石燃料の使用や、空気・水質汚染の軽減が図れるだけでなく、大量のCO2を酸素に変換することができる。

また、この工程はすべて自動化され、この装置を導入することにより生産性が高まり、同時に他の生産物も手がけることも可能になる。

例として、
System A 10Ft×12
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System B (開発中、画像は未公開)
40Ft×120Ft のグリーンハウスを使用。22の水耕栽培ベッド、自動栽培、自動収穫。
1年で投資金回収。

System C (開発中、画像は未公開)
8Ft×40Ft コンテイナーサイズ、自然光、LED使用可能、完全自動栽培、自動収穫。
有機栽培、スーパーマーケットの屋上で野菜の自家生産も可能。
それも驚異的な生産量、高利益率、1年で投資金回収。

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本当の意味での食の安全

日本では遺伝子組み換えされた種の使用は認められていません。
ところが遺伝仕組みかえされた穀類を一番多くの輸入している国は日本なのです。一般消費者はこの事実を知っているのでしょうか。食品成分の表示は法的に求められていますが、遺伝子組み換えされた食材に関しては表示義務がありません。(アメリカでの法がそのまま日本で適用されているようです) “この製品は遺伝子組み換えされ材料を使用していません”と記載されていない場合は、ほとんど使用されていると思えばよいでしょう。

日本の有機農法に関する法はアメリカの農務省のNational Organic Program(NOP)をベースに作られているようですが、無農薬農法と有機農法の区別が明確にされていない部分が多いように思います。また、有機農法承認された畑に隣接する畑が農薬を使用すれば、その農薬は飛散し、有機農地を汚染することになります。アメリカでは隣接地からの距離、また、飛散してくるかも知れない汚染物資の防御対策まで調べます。日本の場合、農地面積は小さく、隣接する畑との距離も近いので、完全に管理出来ないという問題が生じます。 アメリカで有機栽培の承認を受ける場合、申請してから3年間、農薬、肥料は有機農法で認められたものだけを使用し、その記録や購入先からの伝票なども提示させられます。

しかし、NOP 基準にも矛盾した点があります。3年経過し、その期間、有害物質を使用しなかったことが実証されれば、自動的にOKとなり、土壌検査などは行われないのです。 そこで私は承認機関の係官に提案しました。「3年などと期限をつけるのはなく、どのような方法であっても有害物質が除去され、実際に土壌検査をして確証されれば3年も待つ必要ない。3年経ても、土壌検査をしなければ、完全に汚染物がないとの保障はない。基準を変えるべきだ。」といいましたが、そんなに簡単には変わりません。

このような現状を考慮した上で、日本のような立地条件でも、完全な有機農法が即座に確立できる、今までの農法では考えられないような清潔さ、安全性、軽労力、農業知識無用で儲かる農法を開発しました。もちろん世界中どこでも使用可能です。いずれは宇宙での野菜生産にも使用されるようになることでしょう。
私が1992年に開発した無重力対応のサラダマシンも、この新しいシステムが出来て更新されています。

下記リンクをご覧ください。
モンサント社をめぐる数々の疑惑
モンサント社7つの大罪
モンサント社なしで世界を養う方法は?

(by Yas Takashima)

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テニスの王子様とホール・フーズ

2011年02月16日(水曜日)
カテゴリー:
  • アメリカからのメッセージ
  
11:05 AM

いつの間にか、庭の梅はすっかり散り、

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野も山もすでに桜が満開である。

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春が来たのだ。

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元テニス国際審判員の余村五月さんが我が家に泊まり、
連日、「彼」の応援に行っている。
ここで飯を炊いて、おにぎりや弁当を届ける、熱心なファンである。

錦織圭くんの試合がある2月10日。
私は運よく出張が無い。
自称「圭くんの応援団長」、応援に行くことにする。
会場はサンノセ市のパビリオン、犬も歩けば棒に当たる。

その隣にホールフーズの予定地があった。

110214_whole-foods2.jpg

偶然、この日のサンフランシスコ新聞には、
ホールフーズの業績が載っていた。
昨日(9日)発表された第4四半期の売上は、
14%増加して$3ビリオン(100円計算で3000億円)。
何と$88.7ミリオン(88.7億円)、79%もの利益が増加した。

昨年の同時期は$49.7ミリオンしかなかった。
売上、利益とも金融業界の予想は上回っている。
この調子で行けば、2011年は年間売上1兆円を楽に超すことになる。

同じ時、インターネット上の情報によれば、
ウォルマートの既存店が伸び悩み、0.8%のアップ。
株式は「買い推奨」から、「保留」に変わった。

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この2社の明暗は非常に注目すべき出来事だ。
景気回復によるものと見なすだけでなく、単純に言えば、
ウォルマート対抗する勢力、Winco, Aldiなどが出たが、
ホールフーズのレベルに到達する、
競争相手になりそうなスーパーは、
まだ出現してないと言うことになる。

110214_geese-mallards.jpg

ところで残念だが、
表題の「テニスの王子様とホールフーズ」は、
ほとんど関係ないことになるが?
いつかこのパビリオンで試合がある時に、
ここのホールフーズに来て、そしてこの店の大ファンになる。
大いなるこじ付けだ。

このホールフーズの予定地は、
昔のインダストリアル・ゾーン(工業・産業用地)である。

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周辺はまだ工場や倉庫や空き地のある一帯、
デルモンテの缶詰め工場ビルはコンド・ロフトに改築され、
やっと人が住み始めている場所である。

110214_whole-foods4.jpg

このような立地での潜在需要を開発することで
ホールフーズは躍進して来た。
よって上記の表題になった。(圭くんは潜在顧客となる?)

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さて、以前から日本のマスコミの“王子様”という
表現が気になって、このブログを書き始めた。
テニスの王子様、ハンカチ王子…
日本人は、よほど王子様が好きなようだ。

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アメリカでは、プリンス・王子様などと、ほとんど表現をしない。
この国では家柄や・毛並みの良さでは英雄になれない。
リンカーン大統領に始まり、クリントン大統領、オバマ大統領。
彼らは貧しい階級から来ている。
アメリカでは、シンデレラやシンデレラ・ボーイは好まれる。
これは貧しい、恵まれない階級の女性や男性が成功する物語、
これこそアメリカン・ドリーム。
けっして王子様は登場しない。

ところで、島根出身の圭くんは本当に王子様か?
私は実はそう考えていなかった。
彼は普通の家庭の出身で、
特別に羨ましがられるような環境で育ったわけではない。
松岡修造氏とは違って田舎の男の子だ。

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小学6年生の時に全国大会で優勝し、松岡氏に見込まれ、
ソニーの奨学金でフロリダにテニス留学した。
現在世界ランキング72位。
王子様と言うより、シンデレラ・ボーイと言う方が、ふさわしい。

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ところが五月さんいわく、同世代のテニスプレーヤーは、
彼に対して異常なまでものライバル意識・敵愾心を持って、
向かって来るそうだ。

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今回ダブルスでペアを組んだべランキス君は
貧しい小国・リトアニアのタクシー・ドライバーの息子だ。
多くの選手は貧しい生活資金から大会に参加している。

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それと比較すると、圭くんには経済大国日本の世界的企業、
ソニー、ユニクロ、日清食品などのスポンサーが付いている。

そもそも世界ランキング72位では、
ほとんどスポンサーは付かないのがこの世界だ。
日本人・圭くんのケースは特別だ。

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だからライバルから見ると、やはり彼は王子様に見えると言うのだ。
圭くんの前途にはハングリーなライバル達が立ちはだかる。
それに打ち勝って王子様を返上して欲しい。

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小学校を出たばかりでアメリカにやって来た時の志や夢と、
「優勝してお父さんとお母さんに家を買ってあげたい」と言った気持ちを
忘れないで欲しい。

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この日は格下の選手に負けた。
とても食事に行こうと誘える雰囲気ではなかった。
次回に期待したい。

良い時もあれば悪い時もある。
失敗や悪い時の方が、
その後の人生にプラスになる。

彼が無名だった17歳の頃、ロスでスーパーに行って、
あんパン、寿司、日本のお菓子など買った。

110214_shopping.jpg

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そこが最初の出会い。

次回、ホールフーズで寿司を買って、この表題はやっと完成を見る。

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浅野秀二
2月16日

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