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アメリカ流通 浅野秀二のアメリカ寄稿

浅野秀二のアメリカ寄稿

田母神氏の講演

2010年04月27日(火曜日)
カテゴリー:
  • アメリカからのメッセージ
  
4:16 PM

3月ニューヨークで行われた田母神氏講演を聞き損ねた。

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ところが偶然、帰郷先の松江で彼の話を聞く機会があった。

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タイトルは「日本を良い国だと言って何が悪いか?」
もう一人の講演者は作家の石氏、日本に帰化した元中国人留学生であった。
タイトルは「共産主義国家、中国の野望」であった。

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田母神氏の話はなかなか面白い、
また元軍人には珍しく、理論的で雄弁でもあった。
時には漫談になりそうなユニークなスピーチでもあった。

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たとえば、「鳩山さんは外国ではハトだと思われていない。
フランスではアホウドリ、英国ではチキン(臆病者と言う意味)、
アメリカではサギ(鷺)、中国ではねぎを背負ったカモ、
日本ではガン(雁)と言われている。」
これを真面目な顔して云うアンバランスは素晴らしかった。

内容はタイトル通り、日本は素晴らしい国で、ユニークな歴史を持っている。
政府やマスコミ、学者たちは日本国の力を削ぐことに一生懸命になっている。
本当のことを言うと私のように首になる。
核は使われないが外交手段として決定的な重要性を持っているなど、
予想通りの内容であった。

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石氏は共産主義中国の野望は、
日本を中国の自治区にする計画ですべてが動いている。
自己主張の強い中国人が300万人日本に移民すれば、
日本征服は可能である。
小沢氏の主張する外国人地方参政権取得となれば、
県知事、地方議会、教育委員会・教科書採用、警察権力、地方裁判所など、
すべて中国政府に意向を受けた移民者に支配される。
私はこの素晴らしい日本に移民したのであって、
共産主義中国の支配する日本には住みたくない、そのような論旨であった。
これも別に驚くに値しない。多くのアメリカ人もそう思っている。
外国から日本を見ると解ることは多い。石氏も外人の目だ。

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田母神氏のスピーチで気なったことがあった。
それは、アメリカを白人国家、白人国家と繰り返し語っていたことだ。
この精神が日本人の弱みである。
だから黄色人の中国、韓国と組むべきだ、となり、
戦前の大東亜経済圏や、その焼きましの鳩山政権の
東アジア経済共同体のような話になる。
政策は違うが小沢氏の考えも田母神氏も深層心理では似ている。

私は日本のビジネスマンは、政治家や軍人、マスコミと違い、
現実を生きるための、もっとグローバルな視点を持っていると信じている。
 
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さて、話は変わるが、いまNHKで坂本龍馬をやっている。
私にとって、吉田松陰先生も坂本
龍馬も青春時代の英雄であり、
テレビにかぶりつき、幕末の英雄たちの物語を見た記憶がある。
しかし、今回のNHKの坂本龍馬をアメリカで見る気がしない。

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アメリカの移民史や開拓史を知って愕然とした。
祖国を捨て、太平洋や大西洋を越えて来た勇気ある冒険者、
アメリカ人移民1世は、全員が坂本龍馬のような英雄であった。
アメリカでは坂本龍馬は普通の人であったのだ。
アメリカの歴史は、この何百万、何千万人の
世界から移民してきた坂本龍馬が創った国なのである。

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「白人国家」などと言っている時ではない。
謙虚にアメリカの遠大なる構想力、冒険心、勇気、忍耐を
学ばないと日本の未来はない。
小売業では20年ほど前にダイエーの中内さんですら、
アメリカから学ぶものはないと言っていた時期がある。
今でも多くの経営者やコンサルトタントの中にはそのように公言する人もいる。
すぐ真似すべき形は少なくなったが?
彼らの心のあり方、グローバルな視点、挑戦する勇気など、
学ぶべきところは多い。偏狭な日本主義に陥っては、
アメリカにも中国にも勝てない。孤立するだけだ。
日本から来る現代の坂本龍馬を私はアメリカで待ちたい。
人材教育こそ大切だ。

田母神氏の講演内容には賛同するところも多かったが、
何か欠けているような気がした。
いつか誤解を解くべく、ゆっくりと話する機会があれば光栄だ。

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浅野秀二
4月26日

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ワシントンDC

2010年04月12日(月曜日)
カテゴリー:
  • 視察&インタビュー日記
  
10:46 AM

「バカモン!」と愛情いっぱいに叱ってくれた藤脇先生、
『てなもんや三度笠』に出て来たバカ殿、
藤山寛美と渋谷天外が演じた上方喜劇の『親バカ子バカ』、
マンガの『バカボン』、すべてに日本的素朴や、おかしさや、愛嬌があった。

鈴木善幸氏、村山富一氏も、英国のサッチャー女史(元首相)に言わせれば、
日本の最大の不幸となるが、今回の不幸は、我々が想像しえなかったレベルである。
昔、占領軍でやって来たマッカーサー将軍が、「日本人は13歳」と言ったとか?
そんなことを思い出している。

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※スミソニアン航空博物館にて、2名の第2次世界大戦の撃墜王、坂井三郎氏の写真・名前はなかった。
彼は生前、ビルゲイツが一番会いたかった人物である。
部下を一名も無駄死にさせなかった。
合理的精神の持ち主で特攻隊に反対をした日本一の撃墜王である(この写真にはないが)。

日本は戦後大きく経済成長し、変わったと思ってきたが、
やはり、システムは温存されていた。
実業界の苦戦も根本は同じだ。
江戸時代260年の遺伝子か?儒教の影響か?
数年前にトヨタ社長交代劇を大政奉還と持て囃したマスコミ、
実力より、氏素性・毛並みが尊重される東アジア的体質か?
いや、それも韓国や中国では変わりつつある。

取り残される日本、恐竜化する社会、
外国に渡った日本人の2世、3世に日本国籍を与えよ、
そうそうたる人材が世界に散らばっている。
英語、中国語、タイ語、ロシア語、世界の言語を操る、
おかしな日本人の顔した人たちがいる。
2重国籍は世界の大きな流れだ。
(韓国、中国の外交官は彼らを活用している。言葉はネイティブだ。)
これを活用すれば、人口も増えるし、日本外交もビジネスも大きく変化する。
矮小外交ともオサラバダ。

*****************************************************

ワシントンDC

久しぶりにワシントン行きである。

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訪米団の1日前に到着しないといけない。
前日の夜中、1時に到着、タクシーに乗る、深夜でも40分以上かかった。
チップ入れて$70、これは正直予想外の出費であった。

翌日は流通関係労働組合の幹部たちである。

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組合のリーダーとして米国流通視察をして経営者に
今後の経営方針を提案できるような幹部になるのが、目的である。
日本の労使協調のひとつの形である。彼らは組織のリーダーである。
組合から離れれば、経営幹部として将来の会社を背負ってたつ人材である。
毎晩、小グループの勉強会を寝る前やる真面目なグループ、私も参加する。

初日はスーパー・ターゲットのマット総支配人に会議室でのインタビュー、
店舗ツアー、バック・ルームの見学をさせていただいた。

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社歴20年、従業員275名、フルタイム30%、アパレルに粗利40~50%、
出て30日しかたたない、新しいブランド(Liberty of London)がすごい人気である。

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客の年収は9万ドル以上、ウォルマートは低所得者から中間所得まで、
我々は中間所得者から高額所得者までを狙っている。
また、独自のブランドを立ち上げ、差別化をしている。
今食品とファーマーシーを大変重要視している。
この部門が人を呼び込み、リピーターとなしている。
そのため他のスーパーやウォルマートより、価格を下げている。
正直利益はあまりない。
実際に大きなサインで、“BIG BRAND(National Brandのこと)、SMALL PRICE,”
と言って、食品のナショナル・ブランドを低価格で売っていた。

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レジは26台あり、復活祭の前の数日と、感謝祭の次の日のブラック・フライデーから
クリスマスまでは26台のレジがフルに活動することもあるが、
普通は忙しくても20~23台程度しか使わない。
従業員は3交代で、アシスタント・マネジャーは11名いる。

商品がレジを通ると、即バックルームの係(合計6名)に伝えられ、
カートに詰め込まれ、それを売り場の人が取りにきて、棚は補充される。
在庫が不十分であれば、自動発注され週に3~4回トラックが配達する。

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「売り上げはいくらですか?」との質問に、
「私は21年目も働きたい…。」??との回答であった。

(首になりたくないので言えないということであろう)

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社員教育に使われる会議室には、我々のために
飲み物やクッキーが用意されていて、本当に感動した。

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社員教育では、会社のビジョンやコア・バリュを徹底的に勉強させる。

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彼の親切な態度に我々は買い物をすることで、もちろん答えた。
私もシャツを
2枚買った。

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今年で10枚目になる。使わなくてもよい。
損得の理性より、感情が上回った瞬間である。
ニーズなど訴えているようでは、商売はまだまだ甘い。
感情にアピールする。
マット店長、「We Love You!」 我々は叫んだ。

 
 
午後4時から日本国大使館でアメリカの労働問題について、
一等書記官から説明を受けた。

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ワシントンの日本大使館員の怠慢に由来する、真珠湾の奇襲攻撃。
(以下の記述は徳岡孝夫「誰が12月8日を国辱の日にしたか」より)
このとき断交通知が遅れたことについては、戦後長い間、
「大使館員がタイプライターに不慣れなために予定が遅れたのだ」とされてきた…

そのタイプライターを発見しました。映画で何度も見たシーンです。

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爽やかな真面目な人たちであった。心強い思いがした。
まだ、日本は頑張れる。安心もした。

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浅野秀二
4月9日

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Natural Products Expo West

2010年03月23日(火曜日)
カテゴリー:
  • 視察&インタビュー日記
  
10:53 AM

腱哨炎を甘く見ていた。
右手の中指を曲げる時、伸ばす時、激痛がする。
そのうち治るだろうと軽く考えていた。もう4カ月も治らない。
右肩、肘、首筋、右半身全体が痛くなってきた。
この1
カ月、カイロプラクター・整骨医に行って多少は良くはなったが、
ブログを書くのを出来るだけ避けている。

さて、米国大豆協会の日本支社から
「Natural Products Expo West」の通訳の依頼があった。

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アメリカの大手大豆生産農家、加工会社、商社と商談をすると言うのである。
日本の新聞社、大手メーカーの方々5名と、
日本の大豆協会の事務局(彼女はアメリカの大学院卒のインテリ)合計6名であった。

この自然食品の見本市は食品で最大の展示会の一つになっていて、
今年も5万6000名の人が参加した。

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今年で30年を迎えるが、参加者は年々増えており、
自然食に対する関心はかつてないほど高まっている。

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私は2月、3月のスケジュールがほとんど埋まっていると思っていたが、
3月13日、14日だけが偶然にも空いていた。
欲張りな私は、一日も惜しんで仕事をすることにしている。
軽くOKと返事をしておいた。

やがて米国大豆協会の本部から10ページ近い契約書が英文で来た。
読む前から頭はパニック、拒否反応した。
“通訳が出来ない時は、お金は支払う義務はない”と書いてあると思ってしまった??
何度も読み返してみるが、そのようには書いていない。
しかし、あとでケチを付けられてはたまらない。

アメリカ生活30年、相変わらず英文の契約書には恐れをなす。
まして通訳を専門として仕事をしているわけではない。

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特に健康食品の世界は、抗酸化や乳酸菌、遺伝子組み換え、
サプリメント、多くのミネラル、ビタミン、農薬、食品、
植物の病気に関する専門用語が出てくる。

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難しそうな通訳になりそうだ。
一度はOKしたが、断ることにする…。
君子危うきに近寄らずだ…。??しかし、君子は豹変するとも聞くか…?
結局、挑戦することにする。
犬もあるけば棒にあたる、必ず学ぶことはある。

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食品業界ではシカゴで行われるFMI(Food Marketing Institute)のショーが、
長い間有名であったが、人気はガタ落ちし、
会場をラスベガスに移したが、人気は盛り返さない。
食品の総花的なショーから、より専門性が高く、
健康、自然食に焦点を絞ったショーに業界の関心は移りつつある。

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オメガ3、グルテン・フリー、美容、スキンケア、
オーガニックのヨーグルトなどが目についた。

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私の興味は、抗酸化などのアンチ・エイジングの世界だ。

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また毎年会場で会うのは、緑茶、無糖茶の第一人者、伊藤園の米国社長、
Mr. Yosuke Honjo、彼こそIto-En USA、躍進の原動力である。

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今や、コカコーラ、ペプシの飲料超大手が最も今後のライバルと見なしている企業だ。
30年前のトヨタを思い出す。
糖尿病の私はこの会社を心から応援をしている。
アメリカには、無糖の飲料が必要だ。

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アメリカのすべての公立学校からコカコーラ、ペプシなどの自動販売機が排除された。
サンフランシスコ、ニューヨークでは、これらに飲料会社に
9%程度の税金をかけようとする動きもある。
オバマ政権は健康保険の法案を成立させたが、
これから医療費を削減しないとこの保険制度は維持できない。
国民の健康状態を改善するために、必ず無糖飲料に注目する。

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30年前に、省エネで日本車が売れたことを、連想してもおかしくはない。

もうひとつ興味を持ったのは、この業界のエスニック化の進行だ。
多くの外国のオーガニック商品のブースがあったことだ。
ヒスパニック、韓国、中国、ヨーロッパ諸国である。
日本も味噌業界、お菓子、ヤクルト、酒、お茶業界など頑張っていた。

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私はヒマラヤ山地のGoji Berries(クコの実)の味が大好きだが、
栄養価の高いのには驚いた。さすが古代からの漢方の薬の原料である。

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ミネラル分が豊富で抗酸化作用がどのフルーツより高いのである。
これは注目すべきだ。

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2日間の仕事は何とか、無事に終わった。
五十嵐ゆうこさん推薦の有機レストランの味が洗練されて美味しかったこと、誰もが満足をした。

大豆協会の話を持って来てくれた彼女にどこかでお礼を言いたい。
良い勉強させていただいた。

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浅野秀二
3月21日

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