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アメリカ流通 浅野秀二のアメリカ寄稿

浅野秀二のアメリカ寄稿

「土を育てるさなぎの会」の忘年会と講演

2014年12月04日(木曜日)
カテゴリー:
  • 日本と日本人への想い
  
2:36 PM

長野県駒ケ根で開かれた、
NPO法人 土と人の健康つくり隊の
忘年会「土を育てるさなぎの会」に招かれた。

そこでアメリカの小売業と米国農業をテーマに2時間の講演を頼まれた。

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私の講演は、「人を幸せにし、健康にするアメリカのスーパー経営」
について話をした。

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もう一人の講演者は、日本一の有機米を作っている、
NHKの『プロフェッショナル』にも出演した石井稔氏。
彼の有機米は60㎏で10万円もするという。

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真ん中が石井稔さん

この法人の理事長である伊藤勝彦さんは現在、
CGCの顧問で、長野県最大のスーパー「ツルヤ」の常務でもあった。
子供の時から非常にユニークな人で、
彼の担任の先生が彼のことを本にしたほどだそうだ。

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「里子のかっちゃん」こと、伊藤勝彦さん

本のタイトルは『里子のかっちゃん』。
田舎育ちの彼はバスに酔いやすい。
ある日、学校から町へバスで映画鑑賞に行くことになった。
かっちゃんは映画は見たい、でもバスには乗りたくない。
そこで走って、田舎のオンボロバスを追いかけることにしたらしい。
先生は幼いかっちゃんがバスを追いかける姿を
気にしながら後ろを振り返り、振り返り、
やがて彼の姿はホコリの彼方に消え去った。
「ああ、やはりついて来れなかったのか?」
ところが映画館に着いてみると、
泥だらけになったかっちゃんが待っていたのである。
「先生たち遅いずら!」
野を越え、田を泥だらけになり走り、崖を下り、近道をして、
ついに町の映画館にオンボロバスより早く着いたのだ。

伊藤さんの人脈はすごい。
ツルヤの掛川会長はもちろん、YAOKOの小林正雄副社長、
アルプスの松本社長、カネスエの牛田会長のご子息、ナリタヤの菊川社長、
元いなげやの役員で現在フレッシュ・システム常務の西澤孝明さん。
また鹿児島から北海道まで全国津々浦々から農業者170名が参加した。

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駒ケ根に来たら、どうしても行きたい会社があった。
寒天パパで知られる、伊那食品工業の会長、塚越寛氏に会いたい。
豊橋のスーパーサンヨネの社長、三浦和雄さんの案内で
幸運にも塚越会長に面会することができた。

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左から三浦和雄さん、塚越寛さん、浅野秀二

寒天パパは、人に喜ばれ、幸せにし、健康にする。
また永続する会社経営の実践者として有名な人であり、
現在はトヨタ自動車ですら、伊那食品をモデル経営にしている。

近々、日経の雑誌に豊田章社長と塚越寛会長の対談が載る。
サンヨネ社長の三浦さんも、
最近テレビ東京の『ガイヤの夜明け』で取りあげられた。

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塚越寛氏は、テレビ東京の『カンブリヤ宮殿』。
石井さんはNHKの『プロフェッショナル』。
夢のある、ユニークな経営者に巡り合えた幸運の2日間であった。

<By 浅野秀二>

コメント (2)

圭くん準優勝おめでとう!

2014年09月12日(金曜日)
カテゴリー:
  • 日本と日本人への想い
  
5:17 PM

盛和塾世界大会に参加するため日本に行った。

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我々の仲間、山下、森(経営者賞受賞)効果で
シリコンバレーから総勢22名も参加した。

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その後、私は故郷の母に会いに松江に帰った。

古代から八雲(山陰)の地は雲が多く、
県民性は情熱的ではないが、
この時ばかりは圭君の話題で確かに燃えていた。

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盛和塾、稲盛さんの教えには、
「具体的な目標」を立てるというのがある。

圭君は小学校6年で「世界チャンピオンになる」と
すでに文集に書いている。
「そのためにどんなつらい練習でも頑張る」とも書いている。
盛和塾の教えと同じ、「燃える闘魂、誰にも負けない努力をする。」が垣間見える。

12歳にしてすでに志が定まっていた。
ここに彼の非凡さがあった。

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私はもう何年も盛和塾の勉強会に参加しているが、
なかなか具体的な目標が立てられない。
「経済環境が悪い、衰退産業に身を置いている」
いろいろと言い訳ばかりしている。

高校卒業のアルバムには、
「若者は思う 海の広がりを、海外雄飛」と書いている。
あの時も抽象的な夢だった。

一緒に入塾した山下さんは、
10年後20億円、30年後100億円と具体的な目標を立てていた。
その彼が今年は経営者賞を取ったのである。
具体的な目標はやはり大切だ。

圭君のご両親とも食事をしたことはあるが、
お父さんは保守的な考えが嫌いな非常に個性的な人であった。

ピアノの先生をしている優しそうなお母さんも、普通ではないと思う。
でなければ13歳の子どもを一人で外国には出さない。

松岡修造氏も言っている。
普通の親なら、
「せめて中学を、高校を終えてから行かせる」

だが、圭君のご両親からはその言葉が出なかったので、
松岡氏はその時に圭君の成功を確信したそうである。
圭君のご両親も圭君も、勇気をもって事にあたったのだ。

決勝を前にして、テニスに興味ない人まで島根県人は、
全員がにわか評論家になっていた。

私の親友の奥さんがなかなか鋭く批評していた。

準決勝で世界ランキング1位のジョコビッチに勝った時、
圭君がラケットを手から放して、両手を突き上げた。
その時に、決勝戦に不安な気持ちがよぎったそうである。

それは宮本武蔵が、剣の鞘を投げ捨てた小次郎に向かって、
「小次郎、敗れたり」と叫んだことを思い出したらしい。

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私もそのシーンをビデオで見て、
巌流島決闘のマンガのシーンを思い出した。

それもあるが、準決勝で世界チャピオンに勝った時に
彼が喜びを爆発させたシーン。
それを見て感動もしたが、すぐに不安がよぎった。

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あの時点で、彼の挑戦は、ドラマが完結したような気がしたのだ。

順番が逆で、16位のチリッチに準決勝であたり、
決勝で世界チャンピオン勝負なら良かったと本能的思った。

無責任な評論はやめよう。
「これを感性的な悩みという。」

圭君はそのように考えていないことを望む。
今回の準優勝を素直に喜び、次に期待したい。
彼は近い将来必ず世界チャンピオンになるだろう。

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彼が無名な時代、17歳の時、ロスで一緒に食事をして、
その素朴な好青年ぶりに正直驚いた。

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一緒にいた日生協の根本さんに私は言った。
「彼はまだ無名です。
イチローのような名の売れた選手より、
彼を使えば、無名であるがゆえに宣伝効果がありますよ。
ぜひ生協でスポンサーになるように、理事長に言ってください」と。

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根本さんと圭君

宣伝のスローガンは
「我々は日本の未来を応援しています。
この若者は誰でしょう?
彼はテニスの世界チャピオンを目指しています」
あえて名前は出さなかった。

他のスーパー数社にもスポンサーをお願いしたが、実現しなかった。
今となってはもったいない話である。

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今回のUSオープンの優勝者はクロアチア出身。
旧ユーゴスロビア。
父は確かタクシードライバーだと思う。
彼は圭君の友人でもあるらしいが、
昔、常日頃言っていた言葉があるそうだ。

「僕の家庭は貧しい。国も貧しい。
君のように世界ランキング100位にもならない状態で、
スポンサーがつくような恵まれた環境は僕にはない。
だから絶対に圭だけには負けない」と。

圭君頑張れ!
君のハンディキャップは身長差だけではない。
相手は肉体的にも精神的にもタフだ。

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圭君と盛和塾とは直接は関係ないが、
サンノゼの久保田レストラン(塾生)の
食事が美味しいと言っていましたよ。
魚と野菜の煮物が好物でした。

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久保田レストランのオーナーとのスナップ

そして、タザーン・ファンドのオーナーである平様(塾生)の
奥様に作っていただいた食事にも感動していました。
やはり母の味には勝てない。

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平様のご自宅にご招待いただいた時のスナップ

サンノゼ市で試合がある度に我が家に泊まって、
弁当を作って応援に行きました。

国際テニス審判員の余村さつきさんが圭君を私に紹介してくれました。
しかし彼女は今年の6月にガンで亡くなりました。
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彼女はいつも言っていました。
「私は彼にとってアメリカの母のような存在になりたい」と。

彼女のご冥福を心からお祈りします。

多くの人を惹きつけた圭君は、
世界チャンピオンに相応しいスポーツマンです。

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今後とも圭君への応援をお願いします。

<By 浅野秀二>

コメント (9)

北欧の旅(後編) ノルウェー

2014年08月07日(木曜日)
カテゴリー:
  • 旅先からのつれづれ日記
  
12:06 PM

思ったほど刺激のなかったデンマーク、スウェーデンから
ノルウェーに入った。

山に入り、徐々に高度が上がり始めた。
温度が下がってきて20℃前後になると、本当に快適になる。
連日30~35℃という北欧の人達が経験したことがない
暑い暑い夏に疲れていたのだ。

しかしパレスチナ、シリア、ウクライナの人々のことを考えると、
食事のまずさや35℃の気候に
不平不満を言っている自分が恥ずかしい。
家族の命を奪われ、怪我をし、水も電気もなく、
住み慣れた町や家を着の身着のままで逃げ惑う人たちもいるのだ。

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自分の立場に感謝して生きないと罰があたる。

せめて戦火を逃げ惑う子供たちに
大きな未来が来ることを信じたい。
彼らの20年後に確実に起こる未来である。
イスラエルの行き過ぎた行為にも、
勝てない戦争にパレスチナの人たちを駆り立てる
ヒズボラの政治家たちにも、双方に腹が立つ。

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経営者も同じ責任がある。
社員やその家族を短期的視野や感情で
リードしてはならないと強く思った。

さて、市内ではスーパーマーケットの大型店を
見る機会がなかったが、
初めてノルウェーで大型ショッピッングセンターにバスが止まった。
MAXIというIGA(Independent Grocers Alliance)の
メンバー店であった。

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Walmart Supercenterのような大型店である。

青果売場。

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年間の旬の野菜をパネルで掲示。
今の季節は上の矢印のところ。
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サラダバー。
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氷を敷き詰めた冷ケースにはもちろん北欧のサーモン。
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シーフードの惣菜。
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精肉コーナーには牛や豚の部位を示すパネル。
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ホット・デリの対面コーナー。
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商品の多様性、品質はアメリカとは比較にならないほど
選択が少なく、品質も劣る。
しかも25%の消費税のせいもあるが、価格が高い。

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しかし、ここで面白いものを発見した。

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IGA発行のクレジットカードに
自分で買った商品をこの小型の自動読み取り機のデバイスで
チャージしながら買い物ができるという仕組みである。

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もちろん、客を信用するという前提がないと成り立たないが、
キャッシャーを通らずにそのまま外に出られるという
究極のセルフレジの仕組みであった。

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これには感動した。
初めての体験である。

さてノルウェー2日目、
バスはいよいよ氷河で削られたフィヨルドに入った。

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アメリカのヨセミテ国立公園のような光景が延々と続き、
660カ所以上の滝がいたるところでみられる。

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壮大なスケールのパノラマだった。

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滝の高さはさまざまだが、700mを超すものもある。
岩山は900m~1300mくらいある。

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しかし滝の水が直接海に落ちているのか、
湖に落ちているのか、それが解らない。

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ヨセミテバレーのような岩山の谷間に入っていく
大型船のクルーズがあるのだから、
これは湖ではなく、海岸の入江であるはずだ。

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ところがとても狭く、波もなく、
静かでどう考えても湖にしか見えない。

この大渓谷と滝を、世界一急なクロム鉄道とフェリーで
3日間かけて遊覧した。

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自然は偉大だった。
やっと北欧に来た感動が湧いてきた。
本当に来てよかった。

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ヨセミテの何十倍ものスケールで、
フィヨルドは想像以上の光景であった。
2週間ついてくれているベテランのコーディネーターの女性は
「スイスより良い」と言葉を強めた。

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フィヨルドを眺める美しい山のスロープにある、
1645年から続いている果樹農家に立ち寄った。

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昔は漁業と羊農家、やがて酪農から果樹農家になったそうだ。
この100年で7ヘクタールの畑に4000本を植えた。
26種のリンゴ、ブルーベリーなどを作っている。

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労働力は出稼ぎポーランド人2名とここの親子の家族労働。
販売は100%ファーマーズ・マーケットと自宅前の直売所で、
スーパーなどには出さない。

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これしか中小農家が生き残るすべはない。
世界中どこも同じである。

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今回の旅でも、どこに行っても中国人の団体が溢れていた。
現地で見た中国語の新聞には投資・移民という言葉が氾濫していた。
彼らは観光がてら来て、将来どこに移民するか
極めるために観光して歩いている…そう思えた。

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逆にアメリカ人と日本人はどこに行っても、
自国が最高の場所だと確認するために
旅行しているような気がする。
自分がそうだ。
ここでも自分の幸運な人生を思った。

しかし、アジアの大航海時代を迎えた今日、
やはり彼らの(中国人)の未来の方に分がある。
日本の若者よ、世界をもう一度目指せ。
少子化時代、難しい時代になった。

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<By 浅野秀二>

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