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アメリカ流通 浅野秀二のアメリカ寄稿

浅野秀二のアメリカ寄稿

ボストンからニューヨーク

2009年07月14日(火曜日)
カテゴリー:
  • 視察&インタビュー日記
  
11:10 AM

犬も歩けば棒にあたる。
ツアーに出れば、人に会え、心にふれ、感動や刺激がある。
本当に私の仕事はありがたい。
神様がくれた仕事と思っている。
幸運な人生だ。
今回も良き人にめぐり会えそうだ。
待ちきれない。

今回は特別にリクエストがあったわけでも、
知り合いの人がいるわけでも、予算があったわけでもないが、
ボストンからニューヨーク、一日半の行程につくことにする。

サンフランシスコからボストンまで6000キロ。
グループリーダーは経営コンサルタントの中島セイジ氏。十勝出身。
今まで会った十勝の人は、心がおおらかで、爽やかな印象しかない。
他のメンバーは、税理士、菓子問屋の社長ご夫妻、住宅建設の社長
コーヒー焙煎会社の社長、そして中島氏の会社の社員4名の、総勢9名だ。

私は案内できなかったが、
前日は、ボストン市の、ジョーダン・ファーニチャー(家具屋)の訪問を勧めた。
この家具屋さん、全米の家具屋の面積あたり(1SQF=スクエアフィート)の
売上げが$250しかない時代、$2000を売った。
その秘密はエンターテイメント性だ。
社長自らテレビに出て、
コメディアン顔負けのパーフォーマンス。
店では従業員が歌ったり、踊ったりする。
映画の上映もある。
何しろ面白いのだ。
週末、一日に2万人が来店した日もある。

2000年にメーシーズの親会社、アメリカの90%の百貨店シェアを持つ、
フェデレーテッドの役員が、ボストンに集合した。
このジョーダン・ファーニチャー(4店舗)を訪問後、
秘密の営業会議を持ったと言われている。
その結論は
『21世紀の小売業は、エンターテイメントがないと、成り立たない。』

7月10日 朝8:00出発。
一時間半後、クラッカー・バレル・レストランに到着。

コーヒーと人気の朝食メニューを2アイタム試食後、
店長に来ていただいた。
この会社のミッション・ステイトメントとは?

『Please People』
つまり、人を喜ばすこと。

言葉や方法は違うが、
ジョーダン・ファーニチャーと基本的に変わらない。
この会社は地域社会で、子供達の教育、文化、
アメリカの古き良き伝統や環境を守り、
社会貢献をする会社としても有名である。

それからニューヨーク郊外まで4時間ほど走った。
ニューヨーク郊外で有名な裕福な住宅街、
ウエスト・チェスターにあるDream Dinnerの店を訪問。

4~5年前に非常に話題になった、ミール・アッセンブリーの業態だ。
日本では業界誌が盛んに中食のニュービジネスとして紹介した。
何十社ものフランチャイズが竹の子のごとくでき、
200店舗を数えるような会社もできた。
Super SuppersやDream Dinner社が、その代表である。

今回はSuper Suppers訪問を予定していたが、
あちこち連絡をしてみるが、どの店も電話の応対がない。
(閉店したのか?)
ニューヨーク郊外には、Dream Dinnerは一カ所しかない。
電話でアポをお願いすると、
本当に親切そうな声でメアリーさんが対応してくださった。
期待通りの美人でやさしく、品の良い奥様だった。

カリフォルニアのサンディエゴに娘さんがいて、
Dream Dinnerを見た時にピンと来たものがあったらしい。
非常に繁盛をしていたそうだ。
ニューヨークに帰り、昨年の10月にフランチャイズに加盟。
加盟費$5万、リース契約、工事で$15万、
備品が$5万、家賃が$8000。
(80坪程度だが、ここはニューヨークで最も高級住宅地周辺で異常に高い。)
毎月のフランチャイズ料金は$800プラス売り上げの数%、
一月$3万の売り上げ目標(粗利は50%)、
客単価$150。
大金の投資である。

でも実は今、客はほとんどいないそうだ。
100年に一度の大不況で、最悪のタイミングで開店した。
今は頑張って、顧客を育てるため営業をしている。
フランチャイズ本部の助けは、ほとんど無く、
周辺にメンバーがいないので、会社・店の認知がない。

これだけの困難な状況なら、
私ならすぐ寝込んでしまいそうだが、
このご婦人、気丈なのか?楽天的なのか?お家が裕福なのか?
明るく、本当に親切であった。
試食までさせてくれた。
これが栄養価も高く、カロリーバランスが取れていて美味しかった。

レストランやファースト・フードの店が、
でき上がりの食事を提供するとすれば、
スーパーマーケットは素材を提供する。
ミール・アセンブリーは、
その間の業態、食材をアッセンブリーできる場所。

材料を直ぐ食べれる状況まで作って、
料理ごとにパッケージにして、
それを何人前か、まとめて持って帰り、
冷凍室に保存して、必要な時に料理し、食べる。
食品問屋の大手シスコ社が、食材を作って提供している。
彼女は、認知度が高いカリフォルニアなら
もう少しうまく言ったかもしれないと、幾分か寂しそうに言った。
何とか力になってあげたい。
「頑張ってください」と励まして、さよならする。
ビジネスは本当に恐い。この不景気は素材か、完成品か?の選択で
その真ん中を淘汰する。

この後、定番の繁盛店、スチュー・レオナードを見学。

さらにウエッグマンも見学。

いつも変わらない感動がある。
夕食は、東京でも大成功のオイスター・バーにて。

翌日は、ホール・フーズとトレダー ジョーズ、
ディーン&デルーカを見学。

その後は、セントラル・パークを詩人、哲学者になった気分で散歩。
大都会だから、詩人になれる。
ニューヨークは元気だ。
オーラが漲る。

夕食はウルフギャング・ステーキ・ハウスでステーキを満喫後、
イルージョン・ジャズ・クラブで生演奏を聞いた。
本場のジャズはすごいと声が上がった。

中島セイジ様、今回も良い人に会えました。
ありがとう。

浅野秀二
7月12日

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白衣の天使はどこへ?

2009年07月07日(火曜日)
カテゴリー:
  • はつえの発見! in USA
  
6:36 AM

nurse
私の記憶では日本の看護婦さんはたいていこんな感じでやっぱり『白衣の天使』です。可愛らしいですよね。
それに比べてアメリカで見かける看護婦(士)さんは『スクラブ』とよばれる服を着ていて最初はなんだか違和感がありました。
以前はアメリカでも白衣の天使風な看護服を着ていたようです。でも現在はもうこのスクラブがかなり主流のようで『白衣の天使』を見かけた事が私はない。

お医者さんは上下ブルーやグリーンのスクラブを手術を行う時に着ていたりしますが、 看護婦(士)さんのスクラブはそれぞれの好みで選んでいるようです。 (病院によって規則は違うと思いますが)
とてもカラフルで上下違う色や柄だったり、小児科などでは子供の好きなキャラクターモノの可愛いスクラブだったりもします。(スポンジボブやキティーちゃんものもありますよ♥)
靴も日本では白っぽいサンダル風なものに比べて、アメリカではほとんどがスニーカーで動きやすいのが重視といった感じです。

最初はこの『スクラブ』が私にはパジャマみたいなものにしか見えなかった。
ウエストも紐をぐっと引っ張って縛るだけだし、体にあんまりフィットしていないのでサイズも大まかな感じにみえる。
そして仕事帰りの看護婦(士)さんはスクラブを着たまま割と何処へでも行くので、スーパーやレストランなど のあちこちでみかけます。お洒落な制服でもないスクラブのままでどこでも行ってしまうのは未だにちょっと抵抗がありますが。。。

日本では仕事帰りの看護婦さんは普通のお洋服に着替えいるので街角で逢ってもわからないから、私が日本へ帰って病院やお医者さんへ行く時にしか逢えない『白衣の天使』は貴重な感じがしますね。
それはなんだかメイドカフェに通うお兄さんのような気持ちに似てるのかも? 
そんな風に思う私は変でしょうかね(笑)

kitty_scrub

イメージ http://www.uniformadvantage.com より

初枝スミス

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平 強氏のセミナー

2009年07月01日(水曜日)
カテゴリー:
  • アメリカからのメッセージ
  
3:45 PM

3年ほどまえに、京セラ創業者の稲盛経営を勉強しようという話があった。
ロスから盛和塾の代表世話人他数名が、
シリコンバレーの中心地であるサンノセ市で説明会を開いた。
私はとにかく初めから入塾する気持ちで参加した。
それが昨年5月に50名ほど集めて、稲盛塾長の列席を仰ぎ、正式に塾として発足。
月に2回勉強会を開いている。

われわれのメンバー全員は、非常にユニーク方々が多いが、
2名の大先輩・経営者の成功物語のスケールは特別だ。
また地元では慈善家としても知られている。

徒手空拳で渡米、世界一のラン栽培者となった松井さん。
子供4名全員、ハーバード大学を卒業した。

もう一人は、米国サンヨー・セミコンダクター社長から、
シリコンバレーで、ベンチャー・キャピタルの一人者となられた、
タザンインターナショナル代表の平強氏である。

平強氏

今日は、平強氏のセミナー、
『シリコンバレー企業家たちその成功と失敗』
のタイトルでおこなわれた。

アメリカにおいてのベンチャー企業約4000社。
シリコンバレーは、そのうちの30%を占める。
成功率は0.1%の確率。
2000年以前(バブル期)は、200ビリオン(20兆円)というお金が動いていた。
2008年は一四半期で$5ビリオン、日本は年間3兆円まで落ち込んでいる。
このバブル崩壊で多くのベンチャー投資家は消え去った。

アメリカの企業は、利益をだすために投資するが、
日本の企業は、利益をだしてから投資する。

企業を成功させる十カ条
1)人物、やはり人である。
2)金
3)マーケット・テクノロジー
4)100里を行く者は99里を半ばとす
5)ビジョン
6)チーム・ワーク
7)ネット・ワーク
8)Mentor・助言者・指導者
9)社外取締役活用
10)根性
        
成功しているベンチャーは知られているが、
表に出ない、失敗事例もたくさんあるようだ。

LCDプロジェクトにおいて、100億ドルの投資を受けたが
テクノロジーは急激に成長するため、他社に先を越されてしまった。
10年ほど前に、CELLPHONEのプロジェクトで、
ウルトラーロー・パワー、ハイ パフォーマンスの技術を持ちながらも、
社長がVISIONを実現する強烈な意志をもてなかったことや、
資金不足の為、断念。

女性をターゲットにインターネットの相談窓口を企画したが、
ソフトウェアの開発に遅れ、市場をつくれなかった、等々。
この他、靴のメーカーでZAPPOSの紹介があった。
この会社は、すべてはカスタマー・サービスから始まるという、ユニークな会社だ。
「Delivering Happiness」がモットー。
どこの世界もカスタマー・サービスが最重要である。

面白いと思ったのは、
ゴルフをする起業家には、金は貸さない。
シングル・ハンデなど問題外。
(私もゴルフに凝って会社を左前にした人を、たくさん知っている)
接客においての人物の判断として、
鮫のステーキを食べれるか(何でも食べれるか)どうか。
また、お箸の使い方も、判断材料にもなるらしい。
        
平さんが手がける投資があまり成功するので、ゴールド・フィンガーと呼ばれ
女性に「タッチ・ミー」とよく言われたこと。
女性塾生は、もちろん握手を求めて殺到した。

私は皆さんにお聞きしたい。
①100名の従業員で100億円売り上げ、利益を30億円出す企業と、
②5000名の従業員で5000億円売り上げ、100万円しか、利益を出さない企業と、
企業としてどちらに価値があるか?
もちろん、立場や、考えの視点によって違ってくるが? 
どんな議論になるか?
興味はある。

平さんには、今度会った時にお聞きしようと思う。

浅野秀二
6月30日

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