商人舎

アメリカ流通 浅野秀二のアメリカ寄稿

浅野秀二のアメリカ寄稿

格闘家の目

2009年04月20日(月曜日)
カテゴリー:
  • 日本と日本人への想い
  
10:12 AM

相撲撲好きな顧客のご招待で相撲部屋・八角部屋を見学する機会をいただいた。
親方は元横綱、北勝海である。

この部屋に最近、郷里、島根県隠岐の島出身の関取(十両)
隠岐の海が35年ぶりに誕生した。
また幕下で同じく隠岐の島出身の竹谷も有望だ。

故郷ではかなり話題になっている。
なにしろ、隠岐の海は角界一の美男子。
身長190センチ、147キロの彼がその気になれば、3役以上になれる逸材なのである。

格闘技好きの私は、ぜひ応援に行きたいと考えていた。

土俵では、黙々と力士たちが、すり足、てっぽう、ぶつかり稽古している。
すでに10時、彼らは朝6時から練習をしているので、かれこれ4時間以上になる。

体がぶつかるバシーとか、パーンとか、うめき声以外は沈黙である。
その時、唯一の幕内経験者、海鵬関が土俵にあがった。
掛け声がかかった。
『サアー、来い、』
力士のぶつかる音が違ってきた。
『ガッーン、バチ、』
気合が入った。
一瞬にして空気が張り詰める。
海鵬関は、背は高くはないが、筋肉は鍛え抜かれ、他の力士と目の光が違う。
格闘家の目だ。

2年前に名古屋場所の千秋楽、朝青龍と白鵬の優勝決定戦の日見学に行った。
私は土俵に向かう力士たちの写真を取っていた。
やがて、朝青龍が来た。
思わずカメラを下ろした。
写真など恐ろしくて取れない。
殺気・恐ろしい目である。
すごいオーラだ。

私の青春時代の英雄、キック・ボクシングの沢村忠は、
大学空手選手権で優勝後、毎日動物園に行き、トラやライオンと一日中睨み合う修行をした。
彼は格闘家の目を、野獣に求めたのだ。

グレシー柔術のヒクソンは、プロレス、異種格闘技、
あらゆる格闘家と戦って無敗を誇った。
彼が言っていた。
『リングに上がるときは、死を覚悟してあがります。
もちろん、相手を殺す可能性もあるでしょう。
私は日々の暮らしも、常に死ぬ覚悟で生きています。
それが武士道です。
この日本の武士道を後世に伝えるのが、
私のコンデコマ公爵・前田光世先生・日本に対する恩返しです。』

殺気や、野獣の目こそ必要ないが、
己に厳しい心も持てば、闘争心から自然と眼光は鋭くなる。
隠岐の海関や竹谷がこの覚悟と、格闘家の目を持てれば、
幕内はおろか?三役、横綱の可能性だってある。

世界経済は混迷の中にある。
日本経済も先が見えない。
小売業を取り巻く環境は、これまでになく厳しい。
経営者はヒクソンのような覚悟と、秘めたる眼差しの中に、
闘魂の炎を燃やさないと生き残れない。
経営は格闘技と同じである。

浅野秀二、4月16日

コメント (0)

サウス・ウエスト・ガス社幹部の訪日

2009年04月16日(木曜日)
カテゴリー:
  • 視察&インタビュー日記
  
4:39 PM

世界で一番美しい日本、日本で一番美しい桜の季節に、
サウス・ウエスト・ガス会社、
幹部3名と彼らの奥さんを日本に連れて行くことになった。

京葉ガス社の公式訪問である。
私は以前にも書いたが、京葉ガスの米国研修を扱って20年ほどになる。
ガス会社は小売業と何も関係のないように考えられるが、
必ずしもそうでもない。
ガスという差別化出来ない商品では、
東京ガスのような大手には価格の上でも、規模の上でも絶対敵わない。
また、異業種である東京電力のようなオール電化の時代、
地域独占企業であっても、激しい競争にさらされている。

実はサウス・ウエスト・ガス社もまったく同じである。
顧客満足度96%の超優良企業である。
双方の目指すものは同じ、サービスの向上である。
私の仕事と大いに関係がある。
この準大手日米のガス会社には、多くの共通点があった。
会社の規模約1000億円、従業員1200~300名、100年近い歴史、などなどである。

4月09日に到着、10日は終日、京葉ガスの社長以下、全員の幹部が揃い。
双方のプレゼンテーションや会社案内、夕食会など、精力的に仕事をこなして、
いよいよ11日、のぞみのグリーン車で姫路に向かった。

騒音のない、スムーズな乗り心地。
途中子供のようにハシャイで、雪を抱いた富士山の写真を取ったり、
幕の内弁当のおかずの種類の多さや、健康食であることに、感心したり。

午後1時過ぎに姫路城に到着。
城の見事さ、満開の桜、
桜の下で宴会をする人々、
やはりあらためて日本の春の美しさに感動。
彼らも平和で桜・美を愛する日本人がとてもよく理解が出来たようだ。

その後、瀬戸大橋を渡って、
阪神大震災の淡路島の野島断層見学。
彼らはガス会社の人間であり、地震には非常に興味を示した。

その夜は有馬温泉。
金髪の2名の奥様方は、最初は温泉に入ることには、抵抗を示した。
浴衣を着て食事に行くのも恥ずかしそうであった。
でも夕食で焼酎を飲んだ勢いもあり、夕食後温泉を体験・楽しんだようだ。

翌日は、法隆寺、東大寺、清水寺。
ホテルは会員制の高級ホテル、八瀬離宮。
有馬温泉でも、八瀬でも、日本の色彩の豊かな山々、川のせせらぎに、
心を奪われたようである。

13日は京都御所の外人向け・英語のツアーに参加、すごい人数であった。
昼食は高級料亭の日本食。
食後は、ガスのバルブを作っている藤井合金製作所を訪問。
6名の藤井姓幹部の出迎えがあり、
英語の好きな77歳の社長が流暢な英語で説明してくれた。
2時間コースを45分に短縮、本当に失礼をしました。
急いで新幹線へ。


東京のお別れの宴は、浅草近くの焼き鳥屋へ。
京葉ガススタッフの奥さんの経営をする店で、日米16名で宴会をした。
ママさんの計らいで、津軽三味線のプロと民謡、
今は珍しくなった本物の浅草芸者の挨拶と踊り、
日本舞踊のお師匠さんの踊り。
津軽三味線はアメリカのバンジョに似ていると言われ納得した。
お互い酒を組み交わして兄弟の縁を結ぶなど、
今までの高級レストランでは出来なかった、
素晴らしい打ち解けた交流となった。

翌日は、京葉ガス創業者、菊池寛実氏のコレクションの美術館を、
孫娘の菊池節女史の完璧な英語で案内をいただいた。
そして日本に来て初めての小雨の中、成田へ。
雨の離別もまた情緒がある。

『日本の何が素晴らしかった?』

私は姫路城の美しさと桜の見事さ、
東大寺の大仏の威容、そのような答えを期待していた。
ところが?
『京葉ガスの人々・日本人の心の温かさ、優しさ、親切、気配りに涙が出た。』
『わずかな時間であったが、藤井ファミリーの家族経営の素晴らしさ、
仕事に誇りを持っている姿に心から感動した。この時日本にいることを実感した。』
『貴方の日本史の知識、韓国や中国との関わりあい、戦前、戦後の日米関係、
経済、社会、それが一番楽しく勉強になった。』

自慢、失礼をしました。
この3つは事柄は、何度も何度も、6名のすべて人から言われた。

ようするに、日本の美や自然の美しさに、もちろん感動はしたが、
究極は人の心に感動したと言うことであった。
彼らは日本の知識はなかったが、インテリであった。
法隆寺が朝鮮半島の影響を受けたもの、
京都御所は、中国、唐の都のコピー、
姫路城、皇居は日本オリジナルな美、
日本の城郭美は、これは世界のどこにもないと感動をしていた。

東京は今IOC国際オリンピック委員会のメンバーが来ている。
赤坂離宮・迎賓館が使えるか?話題になっていた。
ベルサイユ宮殿のコーピーに、どこに価値があるか? 
コピーはコピー、
店で売られているコピー商品は排除される。

本当に東京にオリンピックを誘致したければ、
日本独自の美や、心が構えで勝負しないといけない。

オーケストラやフレンチ料理や、イタリアン料理の提供は感心しない。
津軽三味線、日本料理、蔵前国技館で勝負・誘致?

明朝は八角部屋に訪問、郷土出身の力士、隠岐の海(十両)の応援・見学の予定である。

浅野秀二、4月15日

コメント (0)

平和を考える

2009年04月07日(火曜日)
カテゴリー:
  • アメリカからのメッセージ
  
5:13 PM

北朝鮮がまたミサイルを発射した。日本はそれを飛翔体とか?
あまり解らない言葉を使っている。
それが花火なのか?蚊のことか
私は知らない。
外国でははっきりとミサイルと明言している。

平和とは何か?国家同士が戦争していない状態を意味しているが?
個人レベルでは言えば、その意味はまた違う。
アフリカの青年が言っていた。
それは貧乏ではないこと、十分な食べ物があって、健康で、経済的に豊かで、
政治的に自由で、社会的にも公平でないと、平和ではないと言っていた。
平和とは、国家間に戦争がない状態と、
個人の生活が、平和で自由な豊かなものでないといけない言うことになる。

北朝鮮国家は強盛大国を目指して、核開発、ミサイル開発に何千億円投資をしている一方で、たくさんの人が飢餓に苦しみ、不自由な暮らしをしている。
まさに軍事的力のバランスを保ち、国家間の平和を達成してはいるが、
個人レベルでは、平和の無い暮らしは明白だ。

私は仕事に恵まれ、気候に恵まれ、家族と花と動物に囲まれ、
アメリカという異国に住みながら、特別差別や劣等感も持つこともなく、
本当に平和な暮らしをしている。日々感謝の幸福な生活である。
北朝鮮の人々、アフリカの難民、アフガンの部族、イラクの民衆、チベットの抑圧された民を考えると胸が痛む。

一般論で言えば、国家間では、平和は軍事力のバランスを保つ方法か?
バックス・ローマや、バックス・アメリカーナのような覇権国家に、
国家の安全を保障されて、その枠で能力を示し、認められ、
豊かで、安全で平和な暮らしを保障してもらう2つの方法がある。

戦前の日本はその前者、戦後の日本はその後者であった。

白人社会、欧米主導の戦後の国際社会で、日本の成功物語は、
それは学歴もないサラリーマンが、大企業に入り、努力をし、能力を認められ、
出世していき、平和な暮らしをして来たのと似ている。
大企業のサラリーマンを辞めて、己の力と甲斐性で生き抜くことは、
過去50年の日本経済の中では、小国が生き抜く姿に似て、
貧困、差別、不自由を覚悟しなければいけなかった。

ローマ周辺の多くの小国家は自ら、ローマ帝国入り望んだ、
モンゴルを打ち立てた元朝、周辺国家もそうである。
その方が、税金も安く、国防に膨大な金をかけることもなかった。
戦後の日本がまさにそうだった。

もちろん帝国にもいろいろあった。サラセン帝国のような異教徒を認めない
ソビエトや中国の共産主義社会も一党独裁国家であった。
歴史的に存在した多くの帝国には、構造的に異民族支配、縦社会の差別や、
不自由があるほうが普通だった。
アメリカ庇護の戦後の日本はまだ幸運であった。

急速に崩れていく、バックス・アメリカーナ、日本の安全が危うい。
中国の核ミサイルを恐れて、米軍は日本列島から撤退をする計画が、
密かに議論されているとも言われている。
日本では、小沢民主党はそれを望んでいるかのような誤解される?発言をする。
日本近海、東シナ海、南シナ海は、アメリカの原子力潜水艦・トライデン
8隻が、一隻あたり12発の核ミサイルを積んで巡航している。
アメリカが、その気になれば15分後には北京は陥落、中国は死の大陸となる。

このバランスあっての日本の平和と平和憲法の存在、
アメリカの軍事力無しでは、憲法9条は空念仏でしかない。

伝統的アジアの超覇権国家中国、彼らの庇護を受けて
21世紀の日本が生きる選択?もあると考える日本人もいる。
そうなると、国家間の平和は保てても、共産主義社会で個人の平和が達成されるか?
それが大いなる疑問である。チベットを見ればわかる。

日本国家を守り、日本人の今の暮らしを守るには本当にどうすべきか?
北朝鮮のような、核開発をして軍事・強盛大国をめざせば、
確かに抑止力として国家が攻撃される可能性は低くなると思うが、
国民・個人レベルの自由で豊かな平和な暮らしが保てるか? 
海外に資源と市場を依存する日本には、それは、難しそうだ。
それとも、今以上に経済大国を目指すのか?
それも今となっては難しい。
文

化大国を目指せば平和に暮らせると言う意見もある。

私は長い間、日本は核武装をすべきと考えていた。
しかし、どう考えて核武装をして、国民一人、一人の平和と繁栄は達成できそうもない。
もうひとつ考えなければいけない重大な事柄がある。
それはコミュニケーション大国になることである。

教育を充実し、国民を国際的に生きていける
コミュニケーションに卓越した人材の養成しかないと思う。

ミサイル、核武装の予算で、税金で日本の若者を全員、
外国の大学に行かせるほど、開国するしかないと思う。
2000年にわたって島国で暮らしていた、日本人にとってコミュニケーションは最大の弱点だ。
諸外国とコミュニケーションさえ潤滑に出来れば、多くの問題は解決する。
中国や韓国では外国生まれの外交官が、バリバリの英語で国益を主張している。
私は日本の外務省や、国連や、各国大使に外国育ちの日系人の採用など聞いたこともない。

逆の話だが、アメリカの国会議員、ダニエル井上氏が、
日系人を日本の大使としてアメリカから送れば、日米のコミュニケーションは円滑になると提案をすると、時の総理大臣吉田茂は困った顔をして述べた。

農業移民の日系子孫の大使では困ります。日本の外務省は、ほとんどが良家の子女で占められています。

ダニエル井上は、その日本の総理大臣の言葉に声を失った。
私は大日本帝国の敗戦の本質的因子を見た思いがした。
戦後もそれが続いていることにショックを受けた。

話がそれてしまった。今ここで言いたいのは、
国際的なコミュニケーション能力こそ、
平和に最も有効な手段であるという事実だ。

コミュニケーションの天才、オバマ大統領は、幸いに私の期待どうり、
プラハの演説で本格的核軍縮を進めると宣言をした。
彼はそれを本気で考えていると思う。
彼が、どこまで世界の人とコミュニケーションが出来るか?

21世紀、世界を何百回も破滅させる軍事力ももった人類、
今まさに人間同士の共生、人間と自然界との共生を
本気で考えないといけない時代が来た。
環境破壊や温暖化は、
国家も個人も平和な豊かな暮らしが出来ないほど悪化している。
政治、ビジネス、生産活動、農業、宗教、すべてにおいて調和・共生こそキーワードだ。
お釈迦様の仏教を学び、長い間、自然とともに生きてきた歴史を持つ、
『和もって尊し』の日本こそ、調和と共生を世界で啓蒙し、リーダーシップを発揮する義務がある。
それこそが、日本が平和に生きれる唯一の道だ。
そのためには、どうしても日本人が国際間における、コミュニケーションの達人にならねばならない。

言葉と、伝えるべきメッセージを持つ、教育こそ日本が平和に生きる道だ。

浅野秀二
4月05日

コメント (0)
<次のページ
前のページ>

商人舎サイトマップ お問い合わせ
今月の標語
  • 目標主義者になろう。
カレンダー
2025年6月
月 火 水 木 金 土 日
« 8月    
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  
指定月の記事を読む
カテゴリー
  • JACアメリカ流通リポート (5)
  • お知らせ (1)
  • はつえの発見! in USA (2)
  • アメリカからのメッセージ (51)
  • アメリカ小売業-最新トレンド (13)
  • 写真でみる[最新注目店] (4)
  • 旅先からのつれづれ日記 (50)
  • 日本と日本人への想い (20)
  • 視察&インタビュー日記 (20)
最新記事
  • 2015年08月20日(木曜日)
    残暑お見舞い申し上げます
  • 2015年07月01日(水曜日)
    立命館大学同窓会流通業OB、京都に集まる
  • 2015年05月01日(金曜日)
    スペイン旅行(2)
  • 2015年04月24日(金曜日)
    スペイン旅行・マドリード
  • 2015年04月21日(火曜日)
    立命館大学流通研究会(OB会)の皆さまへ
最新コメント
  • 2015年01月01日(木曜日)
    初絵スミス :カボサンルーカスからクリスマスのご挨拶にコメントしました
  • 2014年12月23日(火曜日)
    浅野秀二 :カボサンルーカスからクリスマスのご挨拶にコメントしました
  • 2014年12月22日(月曜日)
    m.asai :カボサンルーカスからクリスマスのご挨拶にコメントしました
  • 2014年12月22日(月曜日)
    浅野秀二 :カボサンルーカスからクリスマスのご挨拶にコメントしました
  • 2014年12月21日(日曜日)
    片岡 :カボサンルーカスからクリスマスのご挨拶にコメントしました
JACenterprises 浅野秀二の米国セミナー講義録 ジョージ君、アメリカに行く

USA視察研修会Specialコース

定番視察研修会報告

参加者の声は天の声!

  • ホームに戻る
  • トップに戻る
  • 友達・上司・部下に知らせる

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。
Copyright © 2008-2014 Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.