結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2025年03月03日(月曜日)

井阪隆一セブン&アイ社長退任の報とその意味

Everybody, Good Monday!
[2025vol⑨]

2025年第10週。

商人舎はGoogleカレンダーを使っている。
そのカレンダーも1月1日の週を第1週として、
今週は第10週だ。

今日は3月3日、雛祭り。
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雛祭りを迎える女の子たちが、
成人し、成長していく時代は、
いったいどうなっているのだろう。

それが心配だ。

輝かしい21世紀が待っていると思ったら、
20世紀に戻ってしまった。

突然ですが、
ブレーズ・パスカルの「パンセ抄」から。

「美徳の徹底追求」

美徳を両方の端まで
徹底的に追求しようとすると、
悪徳があらわれる。

それは、小さな無限のほうから、
感知できない道を通って、
こっそりと忍び込み、
大きな無限のほうからは、
群れをなしてあらわれる。

その結果、人は悪徳の中で迷子になる。
もはや、美徳の姿など見えない。
人は完全な徳さえ非難するようになる。
(断章三五七)

日経新聞夕刊。
「セブン、井阪社長退任へ 」

セブン&アイ・ホールディングス。
井阪隆一社長が退任する。67歳。

後任はスティーブン・ヘイズ・デイカス氏。
取締役会議長。64歳。
母親が日本人のアメリカ人。
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1983年9月 Northrop Corporation入社。
アメリカの航空機メーカー。
その後、米国コンサルティングファームに転職し、
2001年6月、マスターフーズのCEO。

4年後の2005年9月、
ファーストリテイリングに入って、
シニア・バイス・プレジデント。

2年で辞めて2007年7月、
ウォルマートのシニアバイスプレジデント。

2010年4月、現在の西友の上級副社長、
2011年6月、西友CEO。

4年間勤めて2015年10月、
スシローグローバルホールディングス社外取締役。
2016年7月 同社代表取締役会長。

そして2022年5月にセブン&アイの社外取締役、
昨2024年4月、筆頭独立社外取締役。

アメリカ人なら当たり前かもしれないが、
次々に転職してキャリアを積んできた。

セブン&アイには三つの道があった。

第1が自力で経営を続ける道。
第2が創業家の伊藤興業主導による株式非公開化。
第3がアリマンタシォン・クシュタールに買収される道。

その第2番目が白紙となった。

第3の道は選びたくない。

そこで第1の当たり前の道を歩む。
ただし現体制ではそれが難しい。

だからデイカス議長に白羽の矢が立った。

決めたのは誰だろうか。

デイカス議長自身か、
伊藤家の伊藤順朗さんか、
ヨークベニマルの大髙家の大髙善興さんか、
それらの総意か。

善興さんがキーマンだと思う。
こんなときには、
最後の意思決定ができる人に頼るのがいい。

井阪社長は、
1980年3月、㈱セブン‐イレブン・ジャパン入社、
22年間頑張って2002年5月、取締役。
2009年5月、代表取締役社長COO。
同時にセブン&アイ取締役。

2016年2月に政変があって、
鈴木敏文会長が辞任した。
鈴木敏文

このとき鈴木会長は、
井阪セブン-イレブン社長退任を内示。
理由は「新しいアイデアが出てこない」

しかし取締役会などの反対にあって、
鈴木会長が辞任。

セブン-イレブン社長退任を言い渡されていた井阪氏が、
親会社のセブン&アイの社長になってしまった。

それから9年間。
井阪体制が続いた。
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もう、9年か、
いや、9年も経ったか。

複雑な感慨だ。

井阪さんも10年はやりたかったのだろう。

しかし状況はそれを許さない。
セブン-イレブンの世界戦略を担う技量も、
残念ながら不足している。

ただしデイカス議長にそれができるか。
「知見に期待したい」という声が出ている。
「海外人脈と交渉術への期待」もあるらしい。

しかしそれらと経営力は別物だ。
だからまったくの未知数。

それでも第1の自力経営路線に進む。
それがはっきりしたことは、
セブン&アイにとってはいいだろう。

順朗さんはファウンダーになるべきだと、
私は言い続けている。

そしてセブン-イレブンに関しては、
世界ナンバー1の30兆円コンビニチェーンを目指す。

全米コンビニエンスストア協会の調査では、
米コンビニ市場における店舗数シェアは、
セブンが8.5%の1位、ACTは3.8%の2位。

日本と違って、
米国ではまだまだ伸びシロはある。

世界を見渡しても、
成長余力はある。

ただし肝心かなめの日本市場で、
セブン-イレブンが圧倒的な優位に立ち続けられるか。
そこに鍵がある。

だから新たなトップマネジメントが、
求められることになるかもしれない。

腰を据えて最低でも10年、
やってもらう必要がある。

問題はヨーク・ホールディングスだと思うが。

いつも言っているが、
社員・従業員、顧客、
そして加盟店オーナーが、
安心し、納得する結果を導いてほしいものだ。

故伊藤雅俊さんも、
それを望んでいると思う。
伊藤雅俊

では、皆さん、今週も、
美徳を失ってはならない。
Good Monday!

〈結城義晴〉

2025年03月02日(日曜日)

塩野七生「マキアヴェッリ語録」の「まったくもって情けない現実」

夜の自由が丘。
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いつもの花屋。
モンソーフルール。
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3月最初の日曜日。

1週間が過ぎたのに、
まだ時差ボケが残る。

とにかく眠たい。

ゆっくりと過ごして、
塩野七生さんの本をぺらペらめくる。

最初に読んだのが、
『チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷』
(1970年 新潮社)
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衝撃を受けた。

それから、
『海の都の物語』
――ヴェネツィア共和国の一千年
(1980年 中央公論社)
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1981年に続編が刊行された。

これはいい本だった。
だからイタリアでは一番最初に、
ヴェネツィアに行った。

それから三部作。
『コンスタンティノープルの陥落』
(1983年 新潮社)
『ロードス島攻防記』
(1985年 新潮社)
『レパントの海戦』
(1987年 新潮社)

発刊されるとすぐに読んだ。

そして、
『わが友マキアヴェッリ』
――フィレンツェ存亡
(1987年 中央公論社)
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そして『ローマ人の物語』
(1992~2006年)

出るのが待ち遠しくて、
出版されるとすぐに読んだ。

私の書くものにも反映された。

正規軍は、勝たなければ、
すなわち負けである。
ゲリラは、負けなければ、
それで勝ちになる。

『わが友マキアヴェッリ』の続編というか、
語録編が『マキアヴェッリ語録』IMG_0930 (002)

冷徹な観察者のニコロ・マキアヴェッリ。
フィレンツェ共和国の外交官。
そして「君主論」「政略論」「戦術論」の著者。

「マキアベリズム」などと、
誤解もされているが、
塩野さんは共感して、
その語録をまとめた。

「まったくもって情けない現実だが、
人間というものは権力をもてばもつほど、
それを下手にしか使えないものであり、
そのことによって、
ますます耐えがたい存在と化すものである」
『フィレンツェ史』 

500年後の現在、
世界最強国の首長たちの姿もそれだ。

「ある人物が、
賢明で思慮に富む人物であることを
実証する材料の一つは、
たとえ言葉だけであっても、
他者を脅迫したり、
侮辱したりしないことであると言ってよい」

マキアヴェッリに同感したい。

賢明であることも、
思慮に富むことも、
その価値観に中に認めない者もいる。
だから困る。

「なぜならこの二つの行為とも、
相手に害を与えるのに
何の役にも立たないからである」

脅迫したり、
侮辱したりしても、
何の役にも立たない。

「脅迫は、相手の要心を目覚めさせるだけだし、
侮辱はこれまで以上の敵意を
かき立たせるだけである」

「その結果、相手は、
それまでは考えもしなかった強い執念をもって、
あなたを破減させようと決意するにちがいない」
『政略論』

「祖国の存亡がかかっているような場合は、
いかなる手段も
その目的にとって有効ならば
正当化される」

ウクライナは今、そんなときだ。

「この一事は、為政者にかぎらず、
国民の一人一人にいたるまで、
心しておかねばならないことである」

「事が祖国の存亡を賭けている場合、
その手段が、正しいとか正しくないとか、
寛容であるとか残酷であるとか、
賞讃されるものか恥ずべきものかなどについて、
いっさい考慮する必要はない」

「なににもまして優先さるべき目的は、
祖国の安全と自由の維持だからである」
『政略論』

「人間というものは、
一つの野心が達成されても、
すぐ次の野心の達成を願うようにできている」
『政略論』

ウラジーミル・プーチンのことのようだ。

「人間というものは、
危害を加えられると思い込んでいた相手から
親切にされたり恩恵を施されたりすると、
そうでない人からの場合よりは
ずっと恩に感ずるものである」
『君主論』

これ、ドナルド・トランプの、
プーチンへの気持ちを表している。

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「宗教でも国家でも、
それを長く維持していきたいと思えば、
一度といわずしばしば
本来の姿に回帰することが必要である」

会社でも組織でも同じだ。

「それで、改革なるものが求められてくるのだが、
自然に制度の改革ができる場合は、最も理想的である。
だが、なにかのきっかけでその必要に目覚め、
改革に手を付けた場合も長命だ」

「つまり、はっきりしていることは、
なんの手も打たずに放置したままでいるような国は、
短命に終らざるをえないということである」

「改革の必要性は、
初心にもどることにあるのだが、
なぜそれが有益かというと、
それがどんな形態をとるにしても、
共同体である限り、その創設期には必ず、
何か優れたところが存在したからである。

そのような長所があったからこそ、
今日の隆盛を達成できたのだから」

「しかし、歳月というものは、
当初にはあった長所も、
摩滅させてしまうものである。
そして、摩滅していくのにまかせるままだと、
最後には死に至る」

私がセブン&アイの人たちに、
「伊藤雅俊に戻れ」というのは、
このことだ。

マキアベッリから500年後の今、
その言葉の意味を考えさせられる。

ニコロ・マキアヴェッリ――。
手元に置いてときどき読んでみてはいかが?

〈結城義晴〉

2025年03月01日(土曜日)

イオン・グループ企業4新社長の「商人の本籍地と現住所」

3月に入った。

すっかり春めいてきた。
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梅の木。
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今が盛り。
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青い空に映える。
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 勇気こそ地の塩なれや梅真白(うめましろ) 
〈中村草田男〉

「地の塩」はマタイの福音書から。
「あなた方は地の塩である」との、
イエス・キリストによる「山上の垂訓」の一節。

世のために尽くせ、という意味がある。

勇気をもって世のために尽くせ、
梅が真っ白に咲いている。

草田男の教え子が学徒動員で戦地に赴く。
その「かどで」のときに、
「無言裡に書き示したもの」とか。

白梅にはそんな勇敢なところがある。IMG_0908 (002)

サトザクラも満開だ。IMG_0912 (002)

3月は私にとって、
懸案の問題は残っているものの、
とりわけて大きなイベントはない。

懸案の問題とは単行本の執筆だ。

根本の発想は変わらない。
けれどプロットの構想は大きく変わってきている。
ケーススタディを入れたいと考えている。

それはとても面白いし、
役に立つ。

ニューヨーク研修が終わって、
そちらに集中できる。

3月5日が啓蟄。
3月20日が春分。

この啓蟄の15日間が、
その構想を実行に移すときだ。

決意を新たに2025年3月を迎える。

さてイオンが、
着々と人事や組織の改編を進めている。

商人舎流通SuperNews。

イオンnews|
グループ4社の新代表人事発表、イオンビッグ社長に三浦弘氏

3月1日付でグループ会社4社に新代表者が就任する。

三浦弘イオンビッグ(株)代表取締役社長。
三浦さんは㈱ビッグ・エー 代表取締役社長、
アコレ㈱ 代表取締役社長を経て、
イオンビッグ取締役副社長だった。

ダイエー出身の55歳。
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私は高く評価している。

山本 浩喜イオングローバルSCM㈱代表取締役社長。
山本さんはジャスコのプロパーで52歳。
2016年にイオングローバルSCM首都圏運営部長となった。
そしていまそのトップ。

サプライチェーンマネジメントの専門家だ。
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伊藤秀樹イオンマーケティング(株)代表取締役社長。

1994年ダイエー入社の54歳。
ダイエーの営業企画や営業戦略を担当し、
2015年に執行役員業態開発部長。
2023年にリテールビジネス改革本部長、
そして昨2024年に取締役デジタル担当。

イオンマーケティングで重責を担う。
そしてイオン㈱DX担当を兼務する。

一度、インタビューし、議論しよう。
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木原弘恵イオンベーカリー㈱代表取締役社長。

木原さんもダイエープロパーの53歳。
食品畑を歩いて、
2014年、㈱ボンテ 代表取締役社長。
ダイエー傘下のパンの製造小売業。
同社関東ベーカリー部長から、
イオンベーカリーの社長への抜擢。
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イオンベーカリーは、
「カンテボーレ」を中心に148店を展開する。

もともとは㈱マイカルカンテボーレ。

楽しみだ。

今回の4人の代表取締役社長の人事を見ると、
ダイエー出身者が3人、
ジャスコプロパーが1人。

イオンはこういった人事を次々に行っている。

実にいいことだ。

これこそ多様性である。

「商人の本籍地と現住所」を、
私は声高に言っている。

商人として、
最初に影響を与えられたのが、
「本籍地」である。

「本籍地」は大切にしなければならない。
「本籍地」の悪口を言ってはならない。

その後、それぞれに経緯があって、
「現住所」がある。

商人の本籍地に多様性をもつ企業は、
意志一致が進めば、強い。

変化にも対応できる。

期待しよう。

最後に、私はこれまで、
人を脅したことがない。

人を脅す人間は信用しない。

日本の法律では「脅迫」は、
「生命、身体、自由、名誉または財産に対して
害悪を告知すること」。

相手に恐怖を与える言動。

一方、「恐喝」は、
「相手を脅迫して畏怖させて財産を交付させること」
すなわち「脅迫行為+財産交付の要求」のこと。
こちらは犯罪となる。

「脅迫」や「恐喝」のない世界にしなければならない。
「脅迫」や「恐喝」をことさらに評価してはいけない。

それが人類の英知と品格である。

〈結城義晴〉

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