今日は商業経営問題研究会。
Retail Management Learning Circle、
略してRMLC。

1990年代に生まれた勉強会で、
はじめは故杉山昭次郎先生を囲む会だった。
「杉山ゼミ」と称した。

杉山先生が引退されると、
磯見精祐さんが座長となって、
研究会は続いた。

その磯見さんが2007年11月にご逝去。
翌年、結城義晴が座長を拝命して、
研究会は続けられた。

日本チェーンストア協会の会議室をお借りして、
歴代会長の遺影の前でディスカッションもした。
RMLC

この研究会から生まれたのが、
東洋経済新報社刊『小売業界ハンドブック』
IMG_8708-002

私が参加できなくなってからは、
事務局長の高木和成さんが中心となって、
現在は山本恭広編集長が参加している。

今年17日には月刊商人舎の座談会を開催した。
IMG_8700-002

それが商人舎2月号に掲載された。

[緊急特別企画]
西友はどうなる?!
OBと語るカウントダウンまでの顛末とその真因
スクリーンショット 2025-04-20 114106

今日の研究会へのご参加は、
左から村上篤三郎さん、
井口征昭さん、髙木一成さん、
小林清泰さんと山本編集長。IMG_3906 (002)

テーマは二つ。
第1が米騒動に見る小売業の対応。
それぞれに鋭い指摘、皮肉な見方など、
RMLCらしい理屈っぽい話になった。

第2が小型店の可能性。
「既存コンビニ停滞の一方で、
なぜ、まいばすけっとが伸びるのか」

こちらは月刊商人舎の特別企画にできる内容だ。

次くらいには私も参加したいと思っている。

それから昨日は工藤澄人さんが、
商人舎オフィスに来てくれた。IMG_3904 (002)

商業界に入社してから、
月刊食品商業編集部に11年在籍した。

その後、月刊商業界編集長を5年、
商業界セミナー部長としては10年。
この間、商業界ゼミナールを仕切った。

私が取締役や社長のころは、
2月ゼミ企画は私がつくった。

その結城義晴がすでに退任していたから、
ゼミナール企画も工藤部長がつくった。

それから工藤君の単行本編集長時代には、
大ヒット企画を連発。

売り出し中のコンサルタントなど、
工藤澄人がゴーストライターだった。

本の中身よりも、
その文章力で売れた。

商業界という出版社のなかで、
執筆力はトップだった。
だから小説を書いたら、
第13回日経小説大賞の次点に入った。

小説家としてはもうひと頑張りだ。

山本恭広、工藤澄人。

どちらも商業界に入社して、
すぐに食品商業に配属された。
編集長は結城義晴だった。

いわば私の愛弟子。

立派に成長してくれて、
ほんとうにうれしい。

工藤君は1999年、
故森龍雄先生と連れ添って、
ウォルマートの取材に行った。

森先生はセブン-イレブン加盟店オーナーで、
なおかつペガサスクラブ所属コンサルだった。

現場主義という意味では、
故渥美俊一先生がもっとも信頼していた。

1990年に商業界から単行本を出した。
森龍雄著『ウォルマートの成長戦略』
51AcP2RERZL
いい本だった。

この後、森龍雄はウォルマートに関して、
日本で一番詳しいコンサルタントになった。

そのうえ森・工藤の米国行きは、
当時の㈱商業界社内では、
実に珍しい出張だった。

20代若手編集者の単独取材渡米。

私が指示したそうだが、
そのことは忘れていた。

二人の目的は、
「ネイバーフッドマーケット」の調査だった。

ウォルマートは1945年、
故サム・ウォルトンが、
バラエティストアのFCとして創業した。

1962年にディスカウントストアに業態転換し、
この新業態で大成功を収めた。
1693432481976

さらに1988年に、
スーパーセンターを開業した。
この画期的フォーマットによって、
ウォルマートはシアーズを抜いて、
全米第一の小売業となった。

1990年代は他を圧倒していた。

そのウォルマートが、
スーパーマーケット業態に初挑戦した。

アメリカ中の話題をさらった案件だ。

1998年にこの実験のニュースが流れると、
翌1999年にはアルバートソンが、
業界4位のアメリカン・ストアーズを買収。
買収額は117億ドル、店舗数は1500店だった。

ウォルマートには量で太刀打ちするしかない。
それが共通認識だった。

しかしこれが後々までの教訓となる買収だった。
まさに成長ではなく、膨張だった。

アルバートソンは当時、第5位ながら、
超のつくエクセレントカンパニーだった。

「ウォルマート、
スーパーマーケットに参入」
このニュースだけで大型M&Aが起こり、
それがきっかけとなって超優良企業が、
没落の道を歩み始める。

ウォルマートは、
4店のネイバーフッドマーケットを、
一挙にオープンさせた。

ウォルマート専門家の森龍雄は、
ネイバーフッドマーケットに注目した。

編集者としての工藤澄人は、
その調査に同行することにした。

そして森・工藤のコンビは、
ウォルマートの本拠地アーカンソー州、
ベントンビルに降り立った。

新しい実験はやはり、
本拠地で行われたのだ。

その珍道中は捧腹絶倒。

工藤君は小説家として、
いつか物語にするのだろう。

そんなことを話しながら、
実に楽しい夜となった。

シンガーソングライターのみなみらんぼう。
1200x1200bf-60
「過去を思い出すのは何も、
思い出にひたりたいというだけではない。
確認することによって未来が、
見えてくるのでなければいけない」

ありがとう。

〈結城義晴〉

1週間分をまとめて読む
流通スーパーニュース